第二次ネオ・ジオン抗争とは、劇場版アニメ「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」の作中で起きた戦争である。
「シャアの反乱」、あるいは「第二次ネオ・ジオン戦争」とも呼ばれる。
宇宙世紀0093年に勃発した地球連邦軍とシャア・アズナブル率いるネオ・ジオンとの戦争であり、グリプス戦役以来歴史の表舞台から姿を消していたシャア・アズナブルが、反地球連邦組織やジオン残党を併合した新生ネオ・ジオンを結成し、宇宙世紀0092年12月22日に難民用コロニー「スウィートウォーター」を占拠した事を発端とする。
シャアは0093年2月27日にテレビのインタビュー番組内で地球連邦政府に対して事実上の宣戦布告を宣言。これに対して連邦政府高官ジョン・バウアーはロンド・ベルを支援し、一年戦争の英雄であるアムロ・レイ、ブライト・ノアを中心としたより実戦的な部隊として再編。だが、当時の地球連邦軍の戦略は有事を想定しておらず、国家規模の戦争には到底、迅速な対応ができるものではなかった。さらにスペースノイドは地球から宇宙を支配している地球連邦政府を嫌っていたことからロンド・ベルはスペースノイドからの協力を得られず、対応が後手になっていた。
シャアの目的はアースノイドを粛清し、人類全てを宇宙へ上げるために地球寒冷化作戦を実施することだった。もっともこの目的は新生ネオ・ジオンの支援者でもあるアナハイム・エレクトロニクス(AE)社や宇宙居住者にとっても到底許容できないものであり、組織上層部と実行部隊以外には秘匿されていた。そんなシャアの真意を知らない地球連邦政府は和平交渉によってアクシズを譲渡してしまい、みすみすシャアの目論見に加担してしまうのだった。
宇宙世紀0089年1月、ネオ・ジオンの自滅的敗北によるエゥーゴの勝利という形で第一次ネオ・ジオン抗争は終結。事態は鎮静化したように見えたが地球連邦は何の対策も講じてはおらず、宇宙は地球に住む一部の特権階級によって搾取される時代へと逆戻りしていた。そのためスペースノイド全体に反地球連邦政府の感情が拡大していた。
0090年に入り、反地球連邦組織の活動は激化。エグムやNSPなどの大掛かりな規模を持つ組織もあり、モビルスーツ(MS)や宇宙艦艇まで調達し連邦への妨害工作も顕著になり、テロや小規模な戦闘にまで発展していた。
0090年3月21日、地球連邦軍は外郭新興部隊ロンド・ベルを再編。実働部隊としてのロンド・ベルは組織規模は小さかったが、スペースノイドはかつてのティターンズの再来であると警戒心を抱いていた。そのためロンド・ベルは2年間で全部のコロニーの調査を行ったが、シャアによる軍事力整備を発見することができなかった。
反地球連邦組織やハマーン・カーンのネオ・ジオンの残党らを糾合し、さらにAE社に新型MSなどを製造させるなど軍備の増強を進めていたシャアは自らが総帥となり、新生ネオ・ジオンを結成。スペースノイドにとってかつてのザビ家によるジオン公国はスペースノイドですら虐殺していたことから広く支持されていなかったが、ジオン・ズム・ダイクンの衣鉢を継ぐ事を標榜したシャアはそれと一線を画しながら腐敗した連邦体制への反抗を掲げたことで広く支持を集めていた。
0092年12月22日、ネオ・ジオン艦艇がサイド1のスウィート・ウォーターを占拠。これに対し、同年12月25日、地球連邦政府の高官ジョン・バウアーの指示によりロンド・ベル隊の増強が行われ、組織的にも実戦部隊として機能できるように再編成される。MS隊隊長のアムロはリ・ガズィの導入に加え、AE社のフォン・ブラウン工場の協力を取り付けてサイコミュ搭載のνガンダムを開発。
0093年2月27日、シャアはインタビュー番組内で地球連邦に対する事実上の宣戦布告を行う。とはいえ、その戦力は地球連邦軍とは比較にならないほど小さいため、シャアは蜂起にあたっては短期決戦を目指していた。
0093年3月3日、スウィート・ウォーターを発進したネオ・ジオン艦隊は地球連邦政府の油断をつき、少数精鋭をもって電撃的に地球の衛星軌道上にあった小惑星5thルナを占拠。当時の連邦本部が置かれていたチベットのラサへ5thルナ落下を決行する。ロンド・ベルは隕石の落下を阻止すべく抗戦するが、5thルナの核パルス・エンジンを破壊することはできず、地球への落下を許してしまう(そもそもロンド・ベルだけで阻止するというのはかなり無理がある話なのだが)。
もっとも粛清対象である地球連邦政府の閣僚達は一足先に脱出していたため、犠牲になったのは避難の完了していなかった多くの一般市民だった。
このときリ・ガズィでシャアのサザビーと交戦していたムロはMSの性能差を痛感し、自身が開発に関与していたνガンダムを受領するため、AE社フォン・ブラウン工場へ赴くのだった。
ラサへの隕石落としで自分たちの力を誇示したネオ・ジオンは地球連邦政府に対して和平交渉を申し入れる。この和平交渉はサイド1のロンデニオンで極秘におこなわれることになり、シャアがロンデニオンへ潜入することをロンド・ベルに悟られないため、ネオ・ジオンはロンド・ベルへ陽動攻撃を仕掛けていた。
0093年3月6日、ロンデニオン内のホテル・キャンベラにて和平交渉が行われる。会談にはアデナウアー・パラヤ以下の連邦政府代表とネオ・ジオンの参謀ホルスト・ハーネス、そして総帥のシャア・アズナブルが出席。交渉はネオ・ジオン艦隊がルナツーで武装解除し、ネオ・ジオンが買い取ったアクシズを自らスウィート・ウォーターに輸送するという内容で合意。
しかし、この和平交渉はネオ・ジオンによる欺瞞であったのだが、腐り切っていた地球連邦政府の高官たちに目論見が見破れるはずもなかった。
0093年3月12日、ネオ・ジオンは艦隊を二手に分け、一方はダミーバルーンで艦艇数を偽装した上で、武装解除地点である連邦軍宇宙基地ルナツーへ向かい、和平成立と思い込み油断していた連邦軍を少数戦力による騙し討ちで壊滅させ、ルナツーを占領。シャアに率いられた残りの艦隊はアクシズを占領する。
前述したように、シャアの真の狙いは小惑星アクシズを地球に落とし、かつ地表近くで核爆発を起こし、地球を核の冬に包むことだった。
ネオ・ジオンは、ルナツーに貯蔵されていた核兵器をアクシズに移送し、アクシズの核パルスエンジンに点火し地球への落下コースに乗せる。これに対し、シャアのアクシズ落としを察知していたロンド・ベル隊はアクシズ内部への破壊工作によってアクシズを2つに分断する事に成功する。ところが、爆発の威力が強すぎた為に分断されたアクシズの後部がもはや阻止不可能と見えるほどに地球に接近しており、その巨大な影が地表から目視できるほどになっていた。
サザビーを破壊し、脱出したシャアを捕らえていたアムロはνガンダムでアクシズの軌道を逸らそうとする。このとき、周辺空域を警戒していた連邦軍の艦隊や多数の連邦軍MSパイロットのみならず、アクシズを地球に落とすために戦っていたネオ・ジオンMSパイロットまでが引きつけられるようにアクシズに集結。アムロの行動に同調し、アクシズ落下阻止に尽力する。
このときサイコフレームの共振によってνガンダムの機体から突如として発せられた“虹色の光”はアクシズのみならず地球全体を覆うほどのオーロラへと拡大。超常的な力でアクシズは地球への軌道を離れていくという奇跡的な事態が起きる。
こうして、第二次ネオ・ジオン抗争(シャアの反乱)は宣戦布告から一ヶ月足らずで終結するのだった。アクシズから地球から押し返された不思議な現象は、戦後数カ月後には連邦軍の上層部により「アクシズショック」と呼ばれるのだった。
アクシズの地球落下は阻止されたが、アムロとシャアの二人は行方不明となった。νガンダムによってもたらされた輝きは地上の各地で目撃され、人々の心に強烈な印象を残していた。だが、世界のパワーバランスを崩しかねない制御不能な力の発現に恐れを覚えた連邦軍によってサイコフレームの研究・開発は凍結されることとなる。また、連邦軍は「アクシズショック」を公には認めず、ロンド・ベル隊の分断作戦の成功であると公表していた。秘密裏にサイコフレームの研究は進められていたのだが・・・。
事実上、シャア個人でもっていたに等しいネオ・ジオンは最終作戦直後に事実上、瓦解。しかし、ネオ・ジオンの兵器や人材の一部は、旧ネオ・ジオン残党や旧ジオン残党、ジオン共和国の強硬派といった様々な層をも取り込んだ残党勢力「袖付き」に吸収され、新たな火種となるのだった。
ネオ・ジオン残党以外にも、「地球の保全」というシャアの思想に共感し、全人類を地球から宇宙へ移民させる為の政策実施を地球連邦政府に要求し、地球に対して動乱を起こすものも現れるのだった。
さらに後の世でも思想を変え、立場を変えて地球連邦軍相手に戦うものが登場している。結局、宇宙世紀に平和が訪れず、戦争の火種がなくならないそもそもの原因はさらに腐敗していく地球連邦の組織に問題があった。
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最終更新:2025/12/08(月) 10:00
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