機動戦闘車(英:Maneuver Combat Vehicle;MCV)とは、現在防衛省技術研究本部(TRDI)が開発試験中の
装輪戦車、もとい装輪装甲車である。
開発完了は2015年、制式採用は2016年を予定している。
機動戦闘車が「16式」と制式化されるのか、軽装甲機動車や中距離多目的誘導弾のように、型式のつかない部隊使用承認装備となるのかは、今の段階では不明である。
2003年から2007年にかけて防衛省で行われた将来装輪戦闘車両研究を元に、2008年から開発が開始された。開発の目的としては、
これら二つの点を重要視している。
同様のコンセプトを持つ装輪装甲車としては、イタリアのチェンタウロ戦闘偵察車や、アメリカのストライカー装甲車などが開発されていたが、いずれも防衛省の要求を満たさなかったため国産車両として開発することとなった。
だから、キヨさん、アフリカのルーイカット装甲車を日本に配備しようなんて言わないでください…
当初(平成18年度政策評価時点)は、機甲科に配備する予定の装備とされており、戦車の削減を要求している財務省が機動戦闘車を戦車定数に含める意向であるとも言われたが、翌年度の政策評価では「戦闘部隊に装備」とされており、制式化後にどの職種に配備されるかは現在でも検討中であるとされる。
この場合の戦闘部隊とは、試作車公開式典の質疑応答においても発言されたが「機甲科・普通科・偵察」の3つの職種部隊のいずれかであるとされている。
財務省との折衝次第で機動戦闘車が戦車定数に含められると、自衛隊の保有する戦車(MBT)戦力がさらに減らされる可能性もあることがしばしば懸念されている。
また、自民党の某幹事長は戦車を減らし、装輪戦闘車両にシフトすべきと主張する装輪厨であるため横槍が心配である。昨今では幾らか認識も変わったと言われるが…
…ていうか財務省さん装輪装甲車を戦車扱いするのマジやめてください。陸自が死んでしまいます。
61式戦車の試作車を見た時に砲塔が旋回することさえ知らなかった頃、あるいは「迷彩塗装なんて不要!草や泥を車体に塗りつければいいだろ!」と放言してた頃から、何も進歩していないような…
主砲は、74式戦車と同口径の105mmライフル砲を搭載している。
通常の砲に比べて反動が少ない代わりに威力が低い「低圧砲」などではなく、フル規格の戦車砲である。
当面は74式の戦車砲弾を転用するためであるが、並行して新型の砲弾を導入する予定である。
この74式戦車用の砲弾とは、即ち「93式APFSDS」と「91式HEAT-MP」のことなのだが、どちらもRAH換算で400mm程度の貫徹力を有しており、第2世代戦車程度なら撃破することができる。ちなみに、最新型の105mm砲弾では、初期の120mm砲弾(=90式戦車用の砲弾)と同程度の威力を持っている。
105mm砲の砲口には、チェンタウロと同じ螺旋状に複数の穴が開いた「マルチポート式」マズルブレーキを採用している。この方式は反動を抑えられると共に、砲口に邪魔な物が何も無い為、APFSDS等を積極的に運用することが可能であり、機動戦闘車が敵装甲車両との積極的な戦闘を行うのではないかと考えられている。
(まさか、新型砲弾と合わせて戦車殴る気じゃないよな…?)
主契約者が同じ三菱重工と日本製鋼所であることもあって、10式戦車を彷彿とさせる楔型の砲塔となっており、気象センサなど一部の部品を共用している。また、内部のFCS(射撃統制システム)なども10式戦車の開発で得た技術を応用、発展させたものを搭載していると考えられ、PVや公開式典でも10式・90式戦車のように砲身が全くぶれず、一点に向けられている様子が窺える。
センサー系としては、砲手用サイトに赤外線と可視光センサーが備えられているのが確認されている。
車長用サイトは、10式戦車の車長用サイトを一回り小さくしたようなサイトが旋回式で設置されている。
10式戦車の車長用サイトは、赤外線と可視光を切り替えが可能で、またそのどちらでも高倍率なズームが可能だと言う。機動戦闘車に搭載されているものに関しては不明だが、単に10式のサイトを小型化したものなのでは、あるいは10式とは逆に広角寄りなのではないか、など様々な推測がなされているしかし、開発の経緯から10式と同じか、またはそこから発展したサイトが搭載されているのはまず間違いないと考えられる為、現有の車両の中ではトップクラスの索敵の力を有していると考えていいだろう。
陸上自衛隊公式チャンネルで公開された試作車のプロモーション映像のラストシーンでは、「行進間射撃」を実施
している。(ただし、空砲の可能性も否定できない。砲弾のキャプチャ画像はよ)
さて、ここで他国の類似車両の発砲シーンを見てみよう。発砲時の車体の揺れっぷりに注目。
お分かり頂けただろうか?
普通、この手のAFVはタイヤを備える装輪式であるが為にただでさえ砲の精度が戦車に比べると低く、
70mm~90mmクラスの砲や、通常の砲に比べて反動が少ない代わりに威力が低い「低圧砲」ならまだしも、
ガチの105mm砲なんて積んだ日には実用レベルの行進間射撃なんて不可能である。
……と言う認識が軍事業界では一般的だったのだが、何をトチ狂ったのか機動戦闘車は「行進間射撃」をしてしまった。しかも、反動制御が難しい車体からほぼ真横の向きで。さすがは三菱とTRDIの変態技術者たちである。
なお、動画の発砲シーンを10式戦車のような「スラローム射撃」とする声もあるが、よく見ると発砲時には旋回中とはいえほぼ直進状態にあるため急旋回中に発砲する技術である「スラローム射撃」と決め付けるのは早計である。もっとも結構なGが掛かってるはずなのは確か。奴らならやりかねんが…
砲弾の装填は、10式戦車などの自動装填装置(ALS)では無く、74式のような装填手による人力で装填される。
自動装填装置が採用されなかった理由は重量と容積を抑えるためである。105mm程度なら小柄な日本人の力でも扱えること、主任務が正面切っての機甲戦闘ではなく威力偵察や軽歩兵制圧であり、手動装填のスピードでも火力としては十分であろうことを考えると妥当といえる。
具体的な防護性能は今のところ明らかにされていない。
しかし、主任務が普通科部隊の支援であること、装輪装甲車であることなどから、機関砲弾に耐える程度の装甲だと推測される。正面は105mm砲に耐えるなんて飛ばし記事書いたマスコミもいるけど。
ちなみに、同様の車両である「チェンタウロ戦闘偵察車」は、正面が20mm機関砲弾程度、側面が12.7mm重機関銃弾程度に耐えられる。最新型のチェンタウロ120mmでは、砲塔前面で40mm機関砲に耐え、増加装甲を装着すれば、全周でRPG-7に耐えられるらしい。
砲塔全面左右に10式戦車のものと同型の「レーザー検知装置」が取り付けられている。
10式戦車や90式戦車は、レーザー検知装置と発煙弾発射機が連動させることができ、機動戦闘車も同様の機能が備わっていると推測される。ただし、10式戦車が前後に計4基のレーザー検知装置があるのに対し、機動戦闘車は前に2基だけである。
また、車体及び砲塔にはある種の「増加装甲」が搭載されているのではないかと考えられてる。
先ほど紹介した、動画の射撃のシーンと、公開された試作車を比較して頂きたい。
動画の方は画質が悪いので分かりづらいかもしれないが、公開された試作車と比較すると、動画では試作車の車体前面と側面にボルト留めされていたものが見受けられず、砲塔も側面の楔型の装甲が取り外されている。
この増加装甲についての詳細は不明であるが、耐弾試験においてRAH換算で400mmという「RPG-7」と同程度の貫徹力を発揮する「84mm無反動砲 対戦車榴弾(HEAT弾)」の使用が確認されている。
あくまで推測だが、この増加装甲は中身が空洞、またはウレタン等が充填されており、HEAT弾に対して効果を発揮する「空間装甲」として機能するのではないかと考えられる。加えて、砲塔の増加装甲に関しては、10式戦車と同様に敵脅威のレベルによって装甲を取り換えられる「モジュラー装甲」として機能するのかもしれない。
ただし、要求性能には「歩兵の携行火器からの防護」のみあったのであり、どの部分が耐えられるのかまでは公開されていなことに注意。車体前面からの攻撃に耐えるだけでも、一応要求性能は満たすことになる。
というか、素の側面装甲でRPGの攻撃に耐えれたら、もう装輪装甲車とか言うものじゃなくなる気が…
昨今の不正規戦で問題となっている「即席爆弾(IED)」等への対策としてなのか、車体底部が従来よりも高めに取られており、爆圧を逃がす事によって被害を最小限に抑えるものだとも考えられる。
しかし、車体底部のバーが剥き出しになっていること、高く取ってはいるものの底部自体は平らなままなこと、
などから積極的なIED対策というわけではない可能性もあり、逆に不整地での機動性を考慮したものではないかとも考えられる。(装輪車は車高が低いと、ちょっとした盛り上がりに底部がつかえて動けなくなる事がある。)
ただし、車体下にドレンキャップがあるためどーも車体自体には地雷に対する防御性能があるっぽい。
車体は8輪のタイヤを備え、フロント部にエンジンを配置するという類似車両と同様のスタイルを取っている。
しかし、前項で述べたとおりIED対策の為か車体底部を高く取り、かつ車高を抑えなければならない為、同規模の
車両であるチェンタウロやルーイカットに比べると非常に車体薄っぺらく、全長が1m以上長くなっている。恐らく、
車高を抑制した分減った車内容積を前後に伸ばして確保したのだろう。それでも、車内容積ギリギリっぽいが。
車体後部にはハッチが取り付けられているが、ハッチの大きさ(推定40cm?)や車高から判断するに、膝を抱えでもしなければ普通科の隊員を搭載することは難しいと考えられる。むしろそこまでして乗りたくない。
おそらく、これはメンテナンスを主眼としたハッチであり、ここから砲弾の搭載などの補給・整備、あるいはその砲弾ラック(仮定)を利用して傷病者の搬送等も行えるのではないかと推測される。
時速は100km以上での走行が可能となっている。
主力戦車と比較すると、74式戦車の速度が50km、10式戦車が70kmと、その差は一目瞭然である。
ちなみに、普通科の足である96式装輪装甲車、87式偵察戦闘車とは同速である。
何輪駆動なのかは今のところ不明だが 、各種画像から8輪全輪駆動である可能性が高い。操向に関しては動画から前4輪操向であると推測される。
また、動画の最後で披露された行進間射撃の様子から、非常に高度なサスペンションを有していると考えられて
おり、一部では「10式戦車譲りのアクティブサスペンションを搭載しているのでは?」とも推測されている。
エンジンに関しては、560馬力を発揮する「水冷4サイクル4気筒ディーゼルエンジン」という、類似の車両と比べてもトップクラスの強力なエンジンが搭載されている。気筒数の少なさと出力の大きさから、恐らく1200馬力を発揮する10式戦車の「水冷4サイクルV型8気筒ディーゼルエンジン」を基に開発された気筒数減少版だと推測される。
重量が26t、車幅2.98m、車高2.87mと、類似車両と比べるとトップクラスのサイズ・重量であるが、航空自衛隊に配備予定のC-2輸送機に搭載可能な範囲に収められており、戦略機動性が高くなっている。
ただし、車幅に関しては陸自の天敵とも言える存在、道路交通法の定める制限:2.5mを超えてしまった為、平時における公道走行に際しては警察からの特別な許可が必要となる。これは射撃時の安定性を優先した為であり、同様に105mm砲搭載のチェンタウロとルーイカットもほぼ同じ全幅である。にしても普通あそこまで安定しないだろ。
なお余談だが、このたび公開された試作車についているタイヤは国内企業のものではなくミシュランのものである。これは試作車開発時に要求を満たしたタイヤがこれしかなかったからだそうで、今後は国産化も検討されるという。
先述にある将来装輪戦闘車両研究においては、ベースとなる車体の機動力の改良と上部火砲の多様化により部品の共通化によるライフサイクルコストの低減が研究された。
機動戦闘車の車体を用いるかは不明だが、同スケールの車体を用いて新型の40mm機関砲を備えた偵察車両、兵員輸送車両、指揮通信車両などの開発を目指すものとされている。
機動戦闘車はこれらの研究の反映と、装備化によるさらなる効率化の研究資料として用いられると想定される。
陸上自衛隊広報チャンネルより 10月9日の報道陣初公開より
↓やっぱりお前の撃ち方はおかしい。
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最終更新:2025/12/14(日) 06:00
最終更新:2025/12/14(日) 06:00
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