KTR1000形・KTR2000形 単語


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1990年4月ある日、宮津市の小学校に通う、小学四年生に進級した鉄道少年は、いつもの様に友達の家に遊びに行く道中、
KTR宮津線の某区間の線路沿いまで、近付いた。
すると、踏切の遮断機が下りてきた。
新しい特急「タンゴエクスプローラー」だと、わかった少年は、ワクワクした。
だが少年の目の前を通過していったのは、「今日のタンゴエクスプローラー、銀色のエーデル丹後やん!でもエンジンの音が急行「丹後」と一緒やし、4両編成やん!」と思わず言った。
その日、友達にも、
「タンゴエクスプローラーって金色だろ?銀色のタンゴエクスプローラーなんだよ?」と、親にも、同じを話したが、変な顔された用だ。

そして翌週の日曜日、少年とその家族は、「西舞鶴のさとう」までショッピングをする為にKTRの某駅のホームにいた。
列車の接近を知らせる、踏切の警報音が鳴り響くなか、入って来たのは、「銀色の急行丹後みたいなヤツや、お父さん、お母さん!アレだよ、アレのエーデル丹後みたいなヤツがタンゴエクスプローラーで来たんや!」
少年の家族は、ここで少年の言った事が正しかったことに気付く。
そして終点、西舞鶴に着く頃、少年が見たと言う「銀色のエーデル丹後」が止まっていた。
気になる少年とその家族は、KTR西舞鶴駅の駅員さんに聞く事にした。
駅員さんから、パンフレットと共に渡され告げられた、その正体と衝撃の事実とは!?
 
KTR1000形・KTR2000形とは、北近畿タンゴ鉄道がかつて所有していた、特急形気動車である。
鉄道少年に告げられたその正体は、後述する。

概要

北近畿タンゴ鉄道が1990年4月の宮津線転換開業した際に、
KTR001形「タンゴエクスプローラー」を補完する為に導入した車両である。
車両の名前は「レインボーリゾート」
「エーデル丹後」に良く似た、展望車2両と、急行「丹後」の色違いな中間車用の2両が存在した。

少年に告げられた、その正体とは!?

 少年は、西舞鶴の駅員さんにある車両系式とそっくりと告げた。
駅員さんは、
「坊主、良くわかったなぁ、そうだよ。その通りだよ。」
その正体は!?
「坊主の言う通り「キハ58」なんや、ご褒美におっちゃんが飴ちゃんをあげよう。」
駅員さんから、褒められた、少年は、駅員さんにVサインしてみせたのだった。
そう、その正体は、国鉄急行形気動車キハ58系だったのだ。

外観

展望車にあたる車両は、展望室こそ、「エーデル丹後」そっくりだが、車端部に近づけば、側面の窓もクーラーの形状もベンチレーターのそれも、種車のキハ58のままである。
中間車用の2両も、外観は、まんまのキハ58だが、無線アンテナが凸型では無く、新幹線0系みたいな、ブレードタイプである。
塗装はタンゴエクスプローラーKTR001系がゴールドメタリックに対してこの車両は、シルバーメタリックで、鳶赤の帯千歳緑の帯を巻く。

内装

 座席は、回転リクライニングシート、モケットは、緑色を採用し従来のキハ58よりも快適な旅約束している。

メカニック

 機関は従来のキハ58と同じくDMH17H(180PS)を装備し、台車はこちらもコイルバネのDT22C/TR51Bを採用。
ブレーキは、ブレーキ装置はDE1A自動空気ブレーキで、
最高運転速度は95km/hである。
保安装置はATS-SWを装備している。

形式

 基本的には、

国鉄清算事業団から購入の中間車用のKTR1001+KTR2001の編成

JR西日本から譲渡された展望車用のKTR1002+KTR2002の編成で、

2編成4両である。

なお、形式数字の由来は、千の位の数字がエンジンの搭載数を表している。

形式のカッコ書きは、種車となった形式
なお、改造はJR西日本 鷹取工場で、改造された。

中間車用編成


KTR1001(キハ28 2198)

豊岡方に連結されていた車両で、こちらに貫通幌、ジャンパ栓を装備している。
トイレ設備は、使用不可能であり、業務用室と言う名の物置になっていた。

KTR2001(キハ58 591)

西舞鶴方に連結されていた。
こちらは、トイレの使用が可能であった。

展望車用編成

KTR1002(キハ28 2314)

 西舞鶴方に連結されていた。
こちらもKTR1001同様、トイレ設備は、使用不可能になっていた。
また、運転台側の連結器も、種車の密着式自動連結器のままである。

KTR1002(キハ58 102)

豊岡方に連結されていた。
この車両の水タンクのみ、JR西日本のキハ58の特徴である台形の水タンクに交換されている。KTR2001同様、トイレ設備の使用は、可能
こちらも、KTR1002同様、連結器は、種車の密着式自動連結器を装備している。

運用

 中間車用編成は、宮津線、宮福線の車掌乗務の普通列車、快速列車に充当されていた。
2両編成の強みを活かして、通勤通学時間帯の普通列車にあてられる事が多かった。

展望車用編成は、主に、団体、臨時列車にあてられることが多く、
運用の無い日は、西舞鶴運転区で半ばニートレインをやってたりした。

また、展望車用、中間車用編成を3・4両編成で、宮津線臨時急行「レインボーリゾート」に使われていた。

変わり種運用

 中間車用編成は、KTR線でのデビュー前に、山陰線の急行「丹後」に増結編成として使用された実績がある。
指定席車ではなく、自由席車としての運用で、当時アコモ改善車のキハ58 7200番台登場以前であり、衝撃的な話であった。

展望車用編成は、乗り入れ先のJR西日本を飛び越え、JR東海の伊勢市駅や豊橋駅まで乗り入れた。
KTR(現在の京都丹後鉄道)の車両が、JR西日本以外の路線まで乗り入れて、営業運転を行なったのは後にも先にも、この車両だけである。

KTR001系「タンゴエクスプローラー」の回送列車が、岩滝口駅付近で、強風で吹き飛ばされた、農家の納屋の屋根がフロントガラスに当たり、割れてしまった際には、代走車両として、「タンゴエクスプローラー」に充当された。
但し、旧態依然のキハ58の性能では、スジに乗れず直ちに、JRから、キハ181系3両を借り受ける事態になった。

運用離脱、そして廃車へ

 ここまで頑張ってきたこの車両。
運用離脱と廃車は、アケッないものだった。
1994年ごろに、展望車編成のKTR1002+KTR2002が運用離脱し、福知山運転支区に、保留車として留置された、中間車用編成のKTR1001+KTR2001も、1995年5月頃まで稼働したが、知らぬ間に運用離脱をしていた。
そして1996年1月に、KTR8000形「タンゴディスカバリー」と入れ替わる形で、廃車となった。
KTR関係者の話だと、末期は、屋根がベコベコでとても歩いて点検出来るものでは、なかったらしい。
展望車編成にいたっては、展望室と、種車との溶接部分から、雨水が入り込み、腐食を早めたそうだ。
もっとも、種車になったキハ58も、初期、中期の車両だった訳だし。

何故、種車がキハ58系だったのか?

この「エーデルシリーズ」の中でも、マイナーな部類入る「レインボーリゾート」、何故キハ65では無く、キハ58にしたのか?
当時のJR西日本は、「エーデルシリーズ」の拡大を狙い、第三弾として、「エーデル北近畿」を改造しようと企んだが、管内で余ったキハ65が無く、JR四国からキハ65を6両譲渡して貰い、それを「エーデル北近畿」に改造した。
更に、「エーデル北近畿」の増結、予備車両としてキハ58系1両をキハ58 7301に改造していた程の有様だったからだ。
結果として、KTRが「「エーデルシリーズ」を頂戴」と、言われた所で、JR西日本が「ハイどうぞ!」と言える状況では無かったのだ。
もう一つの理由としては、KTRの乗務員が、キハ58系の運転に慣れっ子だった、というのもある。
実際に、当時、急行「丹後」に急行「みやづ」、などの乗り入れ列車も、あったからだが、大半の乗務員は、JRからの出向や再雇用の乗務員が多く、結果キハ58の扱いに慣れていた訳である。
仮に「レインボーリゾート」がキハ65系だったとしても、扱えれたか否かと言われたら、もしかしたら、かなり早い時期に廃車になってかもしれない。

KTRにとって、黒歴史!?

 実は、もう一つこの車両、
KTRのホームページの車両紹介に載っていなかったのだ。
ホームページ開設時に既に廃車になったからだろう。
と、突っ込まれたらそこまでだが、鉄道会社でも、過去所有車両の紹介もしている会社も、ある訳だが、
一応名誉の為に言っておくと、KTRにHPのコーナーの一つだった、「みんなの写真館」(京都丹後鉄道となった現在は、閲覧不可)に掲載されていたので、まんざら隠す気は無かった様だ。
ただ、「エーデルシリーズ」の中でも、異端でマイナーな部類入るこの車両、取り上げられている鉄道趣味系のHPも少なく、地元の鉄道ファンですら、知る人ぞ知る「幻の存在」な車両
せめて、この「ニコニコ大百科」でこの存在を知って頂くと、ありがたい訳で、あります。

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関連項目

  • 北近畿タンゴ鉄道
  • キハ58系(種車となった車両)
  • 鉄道車両一覧
京都丹後鉄道の車両

KTR001形-KTR8000形-KTR700形・KTR800形-MF100形・MF200形

KTR1000形・KTR2000形(廃形式)

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