MEKO型フリゲート 単語


ニコニコ動画でMEKO型フリゲートの動画を見に行く

ミーコガタフリゲート

4.8千文字の記事
これはリビジョン 2049273 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

MEKO型フリゲートとは、ドイツで開発された量産型軍艦シリーズである。

概要

19世紀からの伝統を持つドイツ・『ブローム・ウント・フォス』社が1970年代から開発し、21世紀に入っても更なる新型の研究開発が続いている輸出用軍艦シリーズ=企業製品であり、欧州や南米、アフリカ、アジアで50隻近い系列艦が運用されている。

特色

『MEKO』とは日本語でいう『多用途フリゲート構想』の略称である。本来、フリゲートを含む軍艦は予め、決められた任務に合わせ、船体、武装、機関を1パッケージにして建造し、その運用実績をもとに改良型、派生型を作ってゆくものだがMEKO型フリゲートは以下の構想が骨子となっている。

  1. 基本となる船体を顧客に提示
  2. 顧客は自分側の事情に合わせて搭載品(機関・兵器・電子装備)をチョイス
  3. 搭載品はモジュール化されていてアップデート・換装もしやすい

すなわちバイキング料理の様に自分の好みと予算などの事情+容器に合わせてオンリーワンに近い自分だけのフルコースを作る=『ぼくのかんがえた』、とまではいかないが『帯に短したすきに長し』=オーバースペックないしロースペックを避けることが出来、予算が限られている発展途上国でも導入しやすいのがMEKO型フリゲートのコンセプトである。
なお、シリーズについている数字は目安の排水量を示す。

  • 360=3600t
  • 200=2000t
  • 140=1400t
  • 100=1000t

ちなみにシリーズの中には駆逐艦、コルベットに分類されるのもいるがこまけぇこたぁいいんだよ!!

MEKO 360シリーズ

MEKO型フリゲートの初期型で1978年から1984年にかけて5隻(ナイジェリア:1隻、アルゼンチン4隻)が建造・配備された。

共通点は以下の通り。

  • 中央船楼型=艦橋、ヘリ格納庫、後述する煙突を一纏めにした艦上構造物
  • 2本煙突はⅤ字状に傾けて配置
  • イタリア製127㎜砲1門+40㎜連装機関砲4基
  • アルバトロス短距離対空ミサイル8連装発射機1基(シースパローのイタリア版)
  • 3連装短魚雷発射管2基
  • 最大速力30kt、航続距離18ktで4500海里
  • 艦載ヘリ1機

そして相違点としては以下の通り。

艦級名 アラドウ アルミレンテ・ブラウン級
基準排水量
満載排水量 
3360t
3680t
2900t
3360t 
全長
全幅 
125.6m
15m 
125.9m
14m 
機関 CODOG方式
ガスタービン+ディーゼル 
COGOC方式
ガスタービン+ガスタービン 
乗員 195人 200人
対艦ミサイル オトマート連装発射機x4 エグゾゼ4連装発射機x2
その他 爆雷投下軌条x1

の構成となる。

アラドウはMEKO型フリゲートの1番艦として建造されかつ当時はアフリカ最大の軍艦としてもてはやされたが海軍後進国としての各種スキルの低さか、1987年には3回事故を起こし(座礁、埠頭に激突、海上衝突)、1990年代に入ると修理⇒復帰⇒故障⇒修理の繰り返しに見舞われている。さらに対艦ミサイルも運用期限を過ぎてしまい使用不能となった。
一方、アルミレンテ・ブラウン級はアラドウの改良型としてヘリコプター2機を搭載する予定だったがアルゼンチン側の要望で結局1機止まりになっている。また、その規模からフリゲートではなく駆逐艦に分類されている。

ともあれ、本級の建造からMEKO型フリゲートの歴史が始まった。

MEKO 200シリーズ

360シリーズの経験を元に開発されたのが200シリーズである。5か国で運用され、6タイプが存在する。
360シリーズの改良型として開発されたため中央船楼型[1]、Ⅴ字煙突を受け継いでおり一部を除いて以下の共通事項を持つ 。

  • シースパロー対空ミサイルを搭載⇒後にESSMへアップデート
  • ハープーン4連装発射機、3連装短魚雷発射管各2基搭載
  • 艦首にアメリカ製Mk45 5インチ砲1基搭載
  • 対潜ヘリコプター1機搭載

MEKO200TNシリーズ(トルコ海軍)

初めて本シリーズを使いだしたのがトルコ海軍である。
トルコ海軍は地中海+黒海を抱えており黒海のクリミアにいるソビエト連邦黒海艦隊がいた。ことがある場合には真っ先にNATO艦隊の前衛に駆り出される故に有力な海軍戦力は喫緊の課題であった。トルコ海軍では1987年から200シリーズの運用を始め、第1世代の「ヤウズ」級、第2世代の「バルバロス級」+「サーリヒレイス」級を合わせた8隻を運用している。

3タイプの共通点は以下の通り。

  • トルコしか採用していないスイス製CIWS「シーゼニス」[2]を3基搭載
  • タイプ毎のネームシップはドイツ、それ以降は基本トルコで建造

そして相違点としては以下の通りになる。

種類 ヤウズ級 バルバロス級 サーリヒレイス級
シースパロー発射機 Mk.29旋回式発射機 Mk.41垂直発射機
(16セル)
基準排水量
満載排水量 
2414t
2994t 
3100t
3350t 
3150t
3400t 
全長 115m 116.7m 117.7m
全幅 14.2m 14.8m
機関 COCAD方式
ディーゼル+ディーゼル
CODOG方式
ディーゼル+ガスタービン 
最大速力 27kt 32kt
航続距離 4000海里/20kt 4100海里/18kt
乗員 180名 220名

の構成となる。

ヴァスコ・ダ・ガマ級フリゲート

ポルトガル海軍が運用するフリゲート。構成はバルバロス級に近いが以下の特徴を持つ

  • 艦砲はフランス製100m砲。
  • 対潜ヘリは2機搭載。
  • 本級からCIWSとしてファランクスを搭載。(1基)

本級はドイツで3隻が建造された。

イドラ級フリゲート

ギリシャ海軍が運用するフリゲート。ヴァスコ・ダ・ガマ級の経験をベースに建造されたが以下の特徴を持つ

  • MEKOフリゲートで初めてVLSを採用=Mk.48(16セル、シースパロー用)
  • ファランクスを前後に1基づつ=2基搭載
  • 乗員は173名まで削減。

本級は4隻が建造された。(ネームシップ『イドラ』はドイツ、残る3隻はギリシャで建造)

アンザック級フリゲート

オーストラリア、ニュージーランド両海軍が運用するフリゲート。
『アンザック』 とは第一次世界大戦時に編成されたオーストラリア・ニュージーランドの混成軍団から続く両国の軍事連合のことである。
本級は両国のEEZ=排他的経済水域防衛が主任務とされていたため当初は以下の艦容だった。

  • 機関はCODOG方式だが出力を抑えて最大速力27kt⇒代わりに航続距離は18ktで6000海里
  • ESSMはMk.41で運用(8セル)
  • ハープーン搭載なし
  • ファランクスはニュージーランド向けで1基のみ
  • M2機関銃を複数装備
  • 乗員163名

しかし、MEKO型フリゲートの特徴の一つである『搭載品はモジュール化されていてアップデート・換装もしやすい』ということでオーストラリア向けは以下の改装が施されつつある。

  • ハープーンの追加装備⇒お約束の船体中央部ではなく艦橋前に搭載
  • 後部マストを改造して国産多機能レーダーを装備したセンサーマストに

本級は10隻(オーストラリア:8隻、ニュージーランド:2隻)が建造された。

MEKO A200型

MEKO200シリーズは改良を重ねた結果、成功を収めたが元々1970年代に開発されたMEKO360シリーズをベースにしていたためコンセプトはともかく設計の旧式化が21世紀に入って目立ってきた。
そこで後述するブランデンブルク級フリゲートをもとに設計・開発されたのが本級である。

大きな特徴としては以下の2つ。

  • ステルス性を重視し船体と一体化した長船楼方式を採用。
  • Ⅴ字煙突を廃止⇒艦尾から海水で冷却したうえで放出

2014年現在は南アフリカ海軍が『ヴァラー級』4隻を採用しており、特徴は以下の通りとなる。

  • 欧州式の兵装に交じって南アフリカ国産の兵器を搭載(短距離対空ミサイル、対空機関砲)
  • CODAG(ディーゼル+ガスタービン)推進方式[3]を採用し3軸推進のうち一基はウォータージェット。
  • 航続距離は18kt/8000海里(最高速度30kt)

となる。

なお、トルコ、チリでも導入計画がある。

MEKO140・MEKO A100シリーズ

それぞれ360、A200シリーズのバリェーションとして開発されたがいずれも1000t台であり、コルベット扱いとなっている。

大まかな特徴としては

  • 全長90m台
  • 主砲は76㎜砲1門
  • ヘリコプター1機搭載可能(格納庫あり)
  • 機関はディーゼルのみ

140は問題が指摘されていた360シリーズをベースにした故か導入したのは6隻を導入したアルゼンチンのみにとどまった。

一方、A100はマレーシアが6隻を導入しているが現時点では哨戒艦になっていて武装は主砲の他に機関砲+機銃のみだが有事には対艦ミサイル+近距離対空ミサイルを搭載することになっており、その際に備えてレーダー等の電子装備は哨戒艦には強力なものを装備している。

ドイツ海軍向け

前述の通り、MEKO型フリゲートは企業製品であり、ドイツ海軍はほとんどタッチしていない。しかし1990年代から技術をフィードバックした独自のフリゲート・コルベットを開発・整備している。

ブランデンブルク級フリゲート

1992年から1995年にかけて4隻が配備された。特徴としては以下の通り。

  • ステルス性を考慮した長船楼型の艦上構造物+Ⅴ字煙突
  • ドイツ海軍史上初めてVLSを採用(シースパロー用)
  • 近接戦用にRAM21連装発射機+27㎜リボルバーカノン各2基
  • エグゾゼ対艦ミサイル発射機+短魚雷管制装置は退役艦から流用(予算節約)
  • 艦載機は2機

ゼクセン級フリゲート

1999年から2003年にかけて3隻が配備されたブランデンブルク級の派生型となる対空ミサイルフリゲート。相違点としては以下の通り。

  • 欧州版イージスシステム『NAAWS』を採用し長距離3次元レーダー+多機能レーダーマストを装備
  • 対空ミサイルはSM-2+ESSM+RAMの3段構え
  • 対艦ミサイルはハープーンに変更
  • 機関はブランデンブルク級のCODOG方式に対しCODAG方式を採用

ちなみにブランデンブルク級、ザクセン級は元々『NFR-90』なるNATO加盟8ヶ国による国際共同軍備計画に源流がある。

これは1960年代に建造した戦闘艦を更新する際に加盟国で仕様を共通化したフリゲートを50隻以上建造して相互運用性を高めて各種コストも下げようというものだが結局失敗に終わっている。その準備段階でもめている際につなぎとして開発されたのがブランデンブルク級である。

その後で持ち上がったのがドイツ、オランダ、スペインが参加する『TFC』=3ヶ国共同による対空フリゲート開発計画であるがスペインは離脱してイージス艦を採用、残った独、蘭の2ヶ国で続行した結果の一つがザクセン級である。

ブラウンシュヴァイク級コルベット

A100型の派生型となるコルベットだがハルナンバーはF=フリゲート。2008年から5隻が導入。

  • スウェーデン製対艦ミサイル『RBS-15』(射程250㎞)連装発射機2機搭載
  • 対空ミサイルはRAM2基
  • 対潜装備はない代わり機雷敷設装置を装備
  • 艦載機は無人機だがまだ装備していない(有人機も着艦可能)

関連動画

  • トルコ海軍

  • オーストラリア海軍

  • 南アフリカ海軍

  • ドイツ海軍

関連商品

meko型フリゲートに関するニコニコ市場の商品を紹介してください。

関連コミュニティ

meko型フリゲートに関するニコニコミュニティを紹介してください。

関連項目

  • 軍艦/フリゲート/駆逐艦/コルベット
  • ドイツ/ブローム・ウント・フォス
  • 量産型/食べ放題

脚注

  1. *ただし形状は360が四角形上だったのに対し本級以降は少し台形状に変更された
  2. *4連装25㎜機関砲を箱型(ヴィルベルヴィントやシルカと同様)に配置している
  3. *CODOG方式は巡航時がディーゼル、高速時がガスタービンに切り換えるのに対しこの方式は急加速+高速時に双方のエンジンを併用することが可能(双方をつなぐギアボックスが複雑になる欠点がある)

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/13(土) 03:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/13(土) 02:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP