Tウイルスとは、バイオハザードシリーズに登場する架空のウイルスである。色は緑色。
製薬会社のアンブレラ社が極秘裏に開発・研究していたウイルス兵器。物語中で引き起こされるバイオハザード(生物災害)は、大体このTウイルスの漏洩事故が原因。ただし近年の作品では出番が少なくなり、別のウイルスが原因となる事が多い。そしてこのウイルスに感染した者はゾンビと化す。ゾンビと並んで、シリーズの屋台骨を支えてきた陰の主人公と言えるだろう。
漏洩直後は空気感染をするため、吸引した人間はもれなくウイルスに感染する。しかしTウイルスは変異性が高いため、次第に空気感染しなくなる。Tウイルスに感染した生物に噛み付かれたり引っ掻かれる、もしくは汚染された水を摂取する、血液感染等が主な感染経路。
感染した人間がゾンビになるまでの時間は十人十色。数時間でゾンビ化する者もいれば、数週間後にゾンビ化する者もいる。宿主の健康状態に左右されるようだ。
感染すると、ウイルスにより新陳代謝が異常発達。死んだ細胞をも蘇らせるが、急激な皮膚の再生に耐え切れず全身に痒みが出始める。同時に大脳新皮質が破壊され、記憶力の低下や理性の欠落が表れる。新陳代謝の異常発達が進むと皮膚が腐り落ち、またその消費エネルギーを補うために食欲が増大する。それに伴って胃酸が凝縮され、何を食べてもすぐに消化されてしまい、常に極度の飢餓感に苛まれる。
やがて食欲を満たすため、本能的に新鮮な肉を摂取する(=生きている人間を襲い始める)。これが所謂ゾンビの状態である。大抵のゾンビは膨大なエネルギー消費をまかない切れず餓死するのだが、確保に成功すると体内のウイルスが変異を促し、リッカーに進化する場合も。
ゾンビは生きている人間がウイルスに冒された存在で、Tウイルスには死者を蘇らせる力は無いとされる。コードベロニカでは墓石の下から這い出てきたゾンビがいるが、これは混乱の最中、仮死状態のまま埋葬された事に起因する。一方、医学的には死んでいるとされ、安楽死が通用しない。
またTウイルスには異なる生物間の遺伝子交配を容易にする特性があり、これを使って様々なB.O.W.(生物兵器)が製作された。
ウイルス兵器なので同時にワクチンも存在する。ラクーン大学が独自に製作したワクチン「デイライト」は、生きている人間に注射すると体内のTウイルスを死滅させ、恒久的に感染を防いでくれる優れもの。逆に感染した生物に打ち込むと即死させる事が出来る。
10人に1人の割合で、Tウィルスに完全な抗体を持った人間がいる。彼らは噛まれようが引っかかれようが、感染しない。バイオハザードの主人公が感染しないのはこの抗体のおかげである。しかし体内に直接濃厚なTウイルスを送り込まれた場合は例外のようだ。
映画版バイオハザードでは少々設定が異なる。映画版では色が青色になり、ワクチンが緑色。
アンブレラ社の責任者、チャールズ・アシュフォード博士(アレクシア・アシュフォードとは関係ない)が、娘のアンジェラを苦しめる筋ジストロフィーを治療するために開発したのがTウイルスだった。原作同様、感染すればゾンビと化すやべーやつで、アンブレラ社は生物兵器の開発に利用した。
しかし抗ウイルス剤(ワクチン)を定期的に摂取すれば、理性を保ったまま死んだ細胞を蘇らせる事が出来る、つまり筋ジストロフィーの治療が可能だった。本来は筋ジストロフィーの治療薬だったのである。
実際、アンジェラはTウイルスのおかげで歩けるようになっていた。
だがTウイルスは治療薬としてではなく、ウイルス兵器として利用された。アンブレラ社はラクーンシティの地下にある研究施設ハイブで、その研究を行った。うさぎを使った動物実験や、生物兵器リッカーの育成が秘密裏になされた。
一作品目の「バイオハザード」では転売して金儲けを考えたスペンスによって盗み出され、証拠隠滅のため研究施設ハイブにウイルスを漏洩させた(小説版では誤ってアンプルを割ってしまった事になっている)。ワクチンも同時に盗まれたため、ハイブを司る人工AI・レッドクイーンはやむなく職員498名を閉じ込めた上でハロンガスを充満させ、窒息死に追いやった。原作ではTウイルスに死者を蘇らせる力は無かったが、映画版では殺害された職員がゾンビ化している。
二作品目では、調査隊がハイブの隔離シャッターを開けたせいで蠢いていたゾンビが放たれ、ラクーンシティ全域にウイルスが流出。最終的には核弾頭による滅菌作戦で街そのものが滅んだ。
三作品目では、滅菌作戦を以ってしてもウイルスの流出は止まらず、全世界に拡大。大半の人間がゾンビ化(劇中ではアンデッドと呼称)し、地球を砂漠化させた。わずかに生き残った人々は終わりの無い逃避行を強いられ、アンブレラ社の幹部は地下へと退避した。
主人公のアリスは、三作品目にてアイザックス博士からTウイルスを投与されたが、なんと適合に成功。理性や感情を保ったまま超人的な身体能力と超能力を獲得し、チートじみた活躍を見せた。
ところが原作との乖離が激しすぎたためか批判が相次ぎ、次回作のアフターライフでは冒頭でアルバート・ウェスカーに抗ウイルス剤を打ち込まれ、無力化されている。
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最終更新:2025/12/11(木) 02:00
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