概要
愛知県の堀商店が販売、小林商店が製造。
主な販路は駄菓子屋で、価格は1枚20円。
商品名は「ようかいけむり」「おばけけむり」「カードけむり」など。いずれも、力強い筆致で描かれたおどろおどろしい妖怪の絵が特徴。
紙製のカードに、パラフィン紙で保護された「くすり」が塗られている。これを指に取り、親指と人差し指をつけたり離したりすることで、煙のような白い物体が空中に舞う。
炎を一切使わないのに煙が出るという不思議さが子どもを惹きつけ、「火のない所に煙は立たぬ」ということわざと正反対の挙動となるのもおもしろいところである。それ以上に、この不思議な玩具を「ようかい」「おばけ」として売り出したパッケージングセンスがこの商品のヒット要因であったといえる。
実際に遊んで見ればわかるが、指から出る白い物体は煙ではなく、粘着物が繊維状になったホコリのようなものである。そのため、しばらく空中を漂った後は地面に落ちる。室内で遊んだならば掃除しよう。
2020年9月、販売元の堀商店により生産終了が発表された。同社は、製造元である小林商店の経営陣が高齢になり、材料もなくなったことを理由に挙げている。これ以降、商品の出荷は在庫限りとなる。
ただし、類似の商品は他社より販売されている(下記「関連商品」参照)ため、オリジナルにこだわらなければ当面の間は容易に入手可能と思われる。
「くすり」の正体
企業コンプライアンスが確立されるはるか以前からある商品であるため、商品そのものに成分表示がない。したがって本項は、ニュース記事や他の解説サイトを見ながらの推測であることに注意されたい。
下記「関連リンク」におけるFNNプライムオンラインの取材では、主原料は五酸化二リンと答えられているが、実際に五酸化二リンを使用したものと全く挙動が異なるので、回答者の誤認である可能性が高い。
五酸化二リンによる煙は、実際に発熱反応が起こっているので本物の煙であり、「ようかいけむり」のように地面にカスが落ちることはない。「くすり」の正体は、繊維状に伸びる何らかの粘着物であると考えられる。
エンスカイが販売する「妖怪ウォッチ 妖怪けむり」では、けむり成分に「合成ゴム」とある。
ラテックスと油脂を混ぜると柔らかくなり、油脂の量によっては糸を引くようになる。下記「関連動画」では、練り消しゴムやガムなど広義の合成ゴム製品にワセリンを添加して類似の物質を作っている。
小林商店の「ようかいけむり」もこれと似た挙動を示すため、これが本当の「くすり」の正体と思われる。
ただし、合成ゴムも油脂類もまず払底は考えられないありふれた材料のため、「材料がなくなった」という堀商店の回答とは合わないことに留意されたい。
五酸化二リンの「ようかいけむり」
上記の五酸化二リンを利用して、指から煙を発生させる方法もある。こちらは子ども向け科学書などに記載されている。
マッチ箱のストライカー(側薬)は赤リンでできているため、これを燃やすと茶色いタール状の物質(五酸化二リン)を生ずる。これを指につけてこすってやると、指先や空気中の水分によって発熱反応が起きる。
すなわち、煙は指の皮膚から発生している。したがって、下記注意点をよく読んで実験すること。
また、下記から分かるとおり、これを量産・保管するのは危険すぎるため、この原理による「ようかいけむり」が市販されている可能性は低いと思われる。
注意
マッチ箱1つ分の側薬程度なら問題ないが、大量に作りすぎないこと。
五酸化二リン自体は不燃性だが、水と激しく反応する。
空気中の水分と反応して自然発火するため、紙などの燃えるものをそばに置けば火災になることもある。
また、実験そのものも大量につけると火傷の危険があることに十分注意されたい。
目に入った場合は直ちに大量の水で洗い流し、医師の診察を受けること。
万一火災になった場合は、絶対に水をかけてはならない。水分に触れさせてもいけない。
消火器か、消火砂をかぶせるなどして、酸素を遮断して消火する。
119番通報する際は、五酸化二リンによる火災であることを消防署に伝えること。
その他、五酸化二リンの取扱いに関する注意点は、厚生労働省「職場のあんぜんサイト」など、危険物の取扱いに関するページを参照のこと。
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関連項目
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