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WAR(Wins Above Replacement)とは、野球標の一つである。

概要

均的な代替選手(控え選手)が出場した場合とべて、その選手が出場する場合はどれだけチーム勝利数を増やすことができるのかを示した標。打撃・守備・走塁・投球を総合的に評価した標であるため、投手と野手との較、打撃面で優秀な野手と守備・走塁面で優秀な野手との較、出場数に違いのある選手といった、他の標では行いづらい検討も可である。

WARの算出方法はデータ会社・サイト・学者によって異なるが、おおむね「打撃評価+走塁評価+守備評価+守備位置補正+投手評価+代替準対価値」という組みが一般的とされる[1]。「守備位置補正」は、守備負担の大きい捕手遊撃手などにプラスの補正、守備負担の軽い指名打者左翼手などにマイナスの補正をかけるもの、「代替準対価値」はリーグ均的選手と均的代替選手との評価差を打席数・投球回数に応じて補正値として加えたものである(それまで計算してきた標がリーグ均的選手と較した標であるのに対し、WAR均的な代替選手と較する標であるため、ここで修正する)。

上記のようにWARは算出方法・算出者によって変動する数値ではあるものの、MLBで著名なものとしてはFanGraphsが算出するWARBaseball Referenceが算出するWARの2種類があり、前者をfWAR後者rWARと区別して呼ぶ。NPBではDELTAなどがWARを算出しており、自社サイトに記載している。

均的な代替選手のWARを0.0と定めており、0.0より大きければ均的な代替選手よりチーム勝利に貢献し、0.0より小さければ均的な代替選手よりチーム勝利に貢献できていないことになる。ちなみに、優秀なリリーフ投手のWARが1.0以上、均的なレギュラー野手・先発投手のWARが2.0前後、MVPクラスの選手のWARが6.0以上とされている[2]日本野球ファンの多くが持つ認識と較すると、ややリリーフ投手が過小評価されているように感じられるが、これは投球回数の多寡によるものである。

理論的にはWARマイナスの選手は控え選手と取り替えた方がチームの勝ちに繋がる。しかし、WARマイナスが一時的な不調による場合、弱小球団で代替選手のレベルリーグ均を大きく下回る場合などがあるため、一概に正しいとは言えない。また契約によって出場機会が保・制限されていたり、FA権・年俸調停権獲得を遅らせるためにあえて代替選手を一軍に出場させなかったりするなど、球団の編成の関係でWARマイナスの選手が出場を続けるケースもある。

論争

野球選手をポジション問わず総合的に評価できる標であるため、シーズンMVPや新人王などの有補が複数いる場合、一部野球ファンの論争ではWARによる検討がなされる。ただし投票権を持つ新聞記者でWARを最重要視するものは少数であるため、WARの高低と投票結果との間に乖離が起こることもしばしばある。

MLB

2012年ア・リーグは、三冠王首位打者本塁打王打点王)を獲得したミゲル・カブレラと、満票で新人王を受賞したマイク・トラウトのどちらがシーズンMVPにふさわしいか、論争が巻き起こった。MLBでの三冠王は45年ぶりの偉業だったため、インパクトではカブレラが勝るものの、守備・走塁面ではトラウトに分があり、走攻守の総合標であるWARで見ると、いずれもトラウトがカブレラを大きく上回っていた(マイク・トラウト……fWAR:10.1[3], rWAR:10.5[4]ミゲル・カブレラ……fWAR:7.3[5] , rWAR:7.1[6])。

これによりトラウトをMVPに推すもあったが、実際の投票結果は、カブレラ362pt、トラウトが281ptで、カブレラシーズンMVPを受賞した[7]。これはカブレラの所属するデトロイト・タイガースが地区優勝ア・リーグ優勝を果たしたのに対し、トラウトの所属するロサンゼルス・エンゼルスは地区3位(プレーオフ進出ならず)に終わったがあると見られる。

NPB

一部例外はあるものの、NPBではそのリーグ優勝球団に所属する選手からシーズンMVPを選ぶのが通例である。

2013年セ・リーグは、読売ジャイアンツリーグ優勝を果たしたが、タイトル受賞が中継ぎ・抑え部門のみであり、MVPの有補に欠いていた。一方、東京ヤクルトスワローズに所属するウラディミール・バレンティンは、王貞治が長年持っていたシーズン本塁打記録更新本塁打王を受賞。世間でも大きな話題となったことから、MVPに推すも大きかった。しかしチームダントツ最下位。最下位球団の所属選手がシーズンMVPを受賞する前例は過去なかったため、記者ファンの間で議論が起こった。

そこで一部データアナリストがWARを算出したところ、バレンティンよりも阿部慎之助巨人)や鳥谷敬阪神)の方がWARが高いという結果が出た。

こうした議論はあったものの、投票結果は1位バレンティンが1,135ptで、2位村田修一巨人)の419ptに大きく差をつけてシーズンMVPを受賞した[8]

関連項目

外部リンク

脚注

  1. *WAR(Wins Above Replacement)【野手】 - 1.02 - Essence of Baseballexit
  2. *What is WAR? | FanGraphs Baseballexit
  3. *Mike Trout - Stats - Batting | FanGraphs Baseballexit
  4. *Mike Trout Stats | Baseball-Reference.comexit
  5. *Miguel Cabrera - Stats - Batting | FanGraphs Baseballexit
  6. *Miguel Cabrera Stats | Baseball-Reference.comexit
  7. *2012 Awards Voting | Baseball-Reference.comexit
  8. *2013年 表彰選手 - NPB公式サイトexit

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