垳とは (ガケとは) [単語記事]

垳（がけ）とは、日本の地名・苗字に使用される文字である。

概要

現在、「がけ」という言葉には通常「崖」という漢字が当てられるが、江戸時代中期までは当てられる漢字が一定でなく、「崖」の他に「峪」、「岨」、「碊」など様々な文字が当てられていた。「垳」という字はその内の一つである。

垳

意味・字形: 「がけ（崖）」を意味する日本製の国字。漢字の「圻（岸や崖を意味する）」から旁が「斤→行」のように転訛した。また、水と一緒に土が流れるため「土」に「行」という字をあてたともいう。
音訓: 訓読みはがけ。
規格・区分: 常用漢字ではない。JIS X 0213第二水準。

埼玉県八潮市に大字の垳という地名がある。八潮市から東京都江戸川区には一級河川の垳川が流れており、垳地区は垳川と中川に接した付近に存在している。八潮駅から徒歩10分ほど。

垳という明らかに使用頻度が少ないであろう文字がJIS第二水準漢字に入ったのは、この地名があるためだ。

ところが、この貴重な地名が現在、消滅の危機に晒されている。

2011年、八潮市が2013年の区画整理事業の終結を見越して周辺の大字を含め地名を改めることが明らかになった。2012年 1月には住民アンケートが行われ、垳地区の面積の約7割が「青葉」の地名へと変更されることになった。だが、この貴重な地名を改めることに反発、反対の声も大きい。

一部住民が「『垳』を守る会」を結成し、2012年 5月13日には垳町会公民館にて有識者が参加した「『垳』を知る緊急集会」が開催された。

貴重な文字・地名である「垳」の行く先が注目されるところである。

日本の苗字に「垳田（いげた）」があり、埼玉県などで見られる稀少姓となっている。何故「いげた」と読むかは不明。