薬菜飯店(やくさいはんてん)とは、グルメ作品なのに読んでてもお腹が減らない小説作品である。
1992年に筒井康隆が発表した、料理作品の名を借りた小説作品。神戸の中華街に存在する、ある不思議な中華料理屋を扱う。
同名の短編集に収録されており、表題作である本作以外には、諸子百家がモチーフの「法子と雲海」、タイムスリップがテーマの「秒読み」、どこか幻想的な雰囲気がいい「ヨッパ谷への降下」などが収録されている。
ある時、ふと立ち寄った中華料理屋にておいしそうな料理が出てくるところから最初はグルメな展開が期待されるかと思いきや、突如として始まる様々な形での壮絶な『体内の老廃物』の排出現象。グロテスクな描写や汚らしい展開が続く中、最後は一転し体内の悪いものを掃除し終わって爽快になったさまは、読んでいる側もまた身も心も浄化されたような錯覚を覚えるだろう。
体内の老廃物は「排泄」すると気持ちがいい、という生物の原始的快楽(欲求)を生々しくも明快に書き出す文章力、いろんな形で描かれる「体内の掃除」、そして他の収録作品を含め『もしかするとこれは現実に存在するのかもしれない』という読後感を残すストーリー仕立ても評価が高い。他のお客が既にいたら、入るのは躊躇いたくなるが。
なお、成人向け小説ではないものの、やや露骨な性描写がある。少なくとも児童の読者に適した作品ではないことには注意されたい。
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最終更新:2024/05/06(月) 15:00
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