アドマイヤマーズ(Admire Mars、頌讚火星)とは、2016年生まれの日本の競走馬である。
栗東・友道康夫厩舎所属、安平町・ノーザンファーム生産、馬主は近藤利一→近藤旬子。
主な勝ち鞍
2018年:朝日杯フューチュリティステークス(GI)、デイリー杯2歳ステークス(GII)
2019年:NHKマイルカップ(GI)、香港マイル(G1)
父ダイワメジャー、母*ヴィアメディチ、母父Mediceanという血統。
父は皐月賞やマイルCS連覇などマイル~中距離路線でGI5勝を挙げ、種牡馬入り後は2歳戦からバリバリ走る仕上がりの早い馬を多数送り出している上級種牡馬。母はフランスでGIIIを含め4勝。母父はマイル~中距離で活躍し、英国でGIを2勝。種牡馬としても芝のマイル~中距離でGI馬を出している。
祖母Via Milanoも重賞馬であるが、近親には目立った活躍馬は見当たらない。
名前の「マーズ」はおそらく、「Mars der Medici」という行進曲から連想したものと思われる。多分。
そう考えるとMachiavellian(策謀家)→Medicean(メディチ家)→Via Medici(メディチ通り)→Admire Marsと繋がる。
幼駒時のアドマイヤマーズは1歳セレクトセールで税別5200万円で、「アドマイヤ」の冠名で知られる近藤利一に落札された。この時友道康夫調教師が近藤オーナーに本馬を推薦し、後に本馬を管理することとなった。友道師と近藤オーナーは昵懇の間柄で、友道師が調教師になる時に、以前から世話になっていた近藤オーナーに挨拶に行ったところ、「面倒を見てやるわ」と言われて3月開業の予定が11月に繰り上がった経緯がある。その後、アドマイヤジュピタで調教師として初GIタイトルを得て以後、栗東の大手として活躍している。
仕上がりの早いダイワメジャー産駒らしく、デビューは6月末の中京。鞍上はミルコ・デムーロ。単勝1.4倍と圧倒的支持に推され、2着ケイデンスコールと叩き合いになったが競り勝って新馬勝ちを収める。続いて中京2歳S(OP)では手応えたっぷりで抜けだし3馬身つけて快勝。初重賞のデイリー杯2歳Sでは先手をとって逃げ、直線入口からメイショウショウブと叩き合い3/4馬身競り勝って無傷の3連勝を収める。
3連勝で挑む朝日杯フューチュリティステークス。しかし1番人気に推されたのは前走サウジアラビアRCで圧勝したグランアレグリアの方で、本馬は単勝4.6倍の2番人気。レース本番では逃げるイッツクール、番手のグランアレグリアに続く3番手を追走する。直線入口から一気に前を捉え、内ラチ沿いから進むグランアレグリア、外から追い込むクリノガウディーを2馬身封じて無傷の4連勝を達成。
無敗でホープフルSを勝ったサートゥルナーリアと最優秀2歳牡馬争いとなったが、重賞1つ多く勝っているアドマイヤマーズが276票中153票を集め最優秀2歳牡馬に選ばれた。
ホープフルSを勝ったサートゥルナーリアと鞍上が同じミルコ・デムーロである為、デムーロがどちらの鞍上になるか注目された中、サートゥルナーリアがクリストフ・ルメールに乗り変わる事が発表された為アドマイヤマーズは引き続きデムーロが鞍上を務めることとなった。
春初戦に東京の共同通信杯を選択。距離延長や関東への輸送など不安要素もあり、ハナに立って緩いペースで逃げる手を打ち、直線でもしばらく先頭に立っていたが残り200mで内からダノンキングリーに交わされ2着に敗戦。初黒星となるが3着クラージュゲリエを4馬身離していた。
次走は更に200m距離が伸びる皐月賞。圧倒的1番人気のサートゥルナーリアから離れた2番人気に推され、先団を見る形で追走したが若干追い出しが遅れ、サートゥルナーリア、ヴェロックス、ダノンキングリーの上位集団から離れた4着に敗戦する。
ダービーには進まずマイル路線に戻ってNHKマイルカップへ出走。ここでも前走桜花賞でレコード勝ちを収めたグランアレグリアの再戦となり、やはり2番人気に推された。スタートで若干出負けして中段外目を追走。直線では残り400m付近で斜行したグランアレグリアの煽りを受けたダノンチェイサーに寄りかかられるシーンもあったものの脚を伸ばし続け、大外から追い込むケイデンスコールを押さえきって勝利。GI2勝目を挙げ、令和最初のGI馬という栄誉を得た。
秋シーズンは香港マイルを最大の目標に定め、ステップとして富士Sから始動。1番人気に推されたものの直線で反応が弱く9着に敗戦。マイル戦初黒星となった。
富士Sからおよそ1月後。アドマイヤの冠名で知られる近藤利一オーナーが77歳で癌で死去。当年のセレクトセールでストロングタイタンの半弟を4億7000万円で落札するなど相変わらずの姿を見せたが、実は以前から抗がん剤治療を行っており、セレクトレール前に治療を終えたものの転移が見つかり、11月17日にそのまま帰らぬ人となった。
次走は予定通りに香港マイルへ登録し、無事選出。三連覇のかかる香港のマイル王Beauty Generationも出走したが近2走を3着に敗れており、日本からは当年の春秋マイル王者インディチャンプ、ヴィクトリアマイル覇者ノームコア、2017年マイルCS覇者ペルシアンナイトが参戦。Beauty Generationの他にも前走マイル戦で彼に先着したWaikukuやKa Ying Starなど新星も現れていた。日本では単勝13.4倍の5番人気も、香港現地では単勝32倍の伏兵人気。これまで3歳馬が香港マイルを勝ったことは無く、3歳馬といっても古牡馬との斤量差は僅か1ポンドと3歳馬のアドバンデージも無かったのである。
本番、鞍上にはデムーロから乗り変わってクリストフ・スミヨン。レースでは好位の後ろを追走し、直線に入ると進路の開いた外へと持ち出し、逃げるBeauty Generationを追いかける。Beauty Generationを交わす所に、大外からWaikukuが猛追するがアドマイヤマーズはもう一度伸びてWaikukuを抜かせない。一度抜け出せば並ばれても一切抜かせない勝負根性、これこそアドマイヤマーズの真骨頂か。残り100mから半馬身差を維持したまま粘りきりゴール。GI3勝目を香港の地で挙げた。この勝利は日本調教馬としては史上初の3歳での海外古馬GI制覇という快挙である。
このレースに際し、友道師は近藤利一オーナーが香港へ行くために仕立てたスーツを着てレースを見守り、アドマイヤマーズがゴールすると関係者と何度も抱き合い涙ぐむ。アドマイヤ総帥の弔い合戦は大勝で終わった。口取りの際にアドマイヤマーズが、関係者が抱えていた近藤利一オーナーの遺影に顔を向けるシーンもあり、全くの偶然かもしれないが、近藤オーナーが背を押してくれたのか、と思いたくなる勝利であった。
しかし、この年(2019年度)のJRA賞においては短距離部門でマイル春秋制覇をしたインディチャンプに3歳部門に至っては有馬記念で2着と好走した皐月賞馬サートゥルナーリアに僅差で敗れる結果となった。
明けて4歳となりドバイターフから始動の予定だったものの、輸送直後に新型コロナウイルス感染拡大の影響によりドバイミーティングが中止となり、出走する事なく帰国し、間を空けて安田記念から始動。
これまで鞍上を務めたデムーロが関西で騎乗する為に(友道とデムーロに何があったし)新たに川田将雅とコンビを組み、アーモンドアイやインディチャンプ等が出走する中本馬は6番人気に推された。好発から3~4番手を追走したが直線で思ったほど伸びはなく6着となった。
夏を休養に充てた後にスワンSから復帰。京都巧者サウンドキアラに1番人気を譲ったものの差の無い2番人気に支持され、レースでは逃げたカツジの番手を追走するものの、直線に入って尚カツジの脚色は衰えず、ゴール前でステルヴィオに差され3着となった。
続いて阪神開催となったマイルCSへと出走。自身含めマイルGI勝ち馬が8頭集まる豪華メンバーの中で単勝11.1倍の5番人気に推され、レースではレシステンシア、ラウダシオンに続く3番手を追走。ペースが緩やかに流れた事もあり直線に入って伸び続け、抜け出したインディチャンプに追いすがっていたものの更に外からグランアレグリアに差されまたも3着となった。
その後香港マイルへ出走。日本馬として唯一同レースに出走し、相手には香港三冠馬Golden Sixtyの他Waikuku, Beauty Generation, Ka Ying Starといったお馴染みの面子、欧州からはBCマイルを最低人気で勝ったOrder of Australiaなどが出走し10頭立てとなる。ヴァーズ、スプリントを両取りしたライアン・ムーア鞍上で挑み、好発から2番手を追走し直線入口では先頭に立つ。しかし後方待機していたGolden SixtyとSouthern Legendに交わされまたも3着。しかし直線では並びかけてきたBeauty GenerationとWaikukuを競り落としており、勝負根性は健在であることを示した。
帰国後、友道調教師より今シーズン限りでの引退、種牡馬入りが発表され、12月23日を以て競走馬登録を抹消。引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬となる。
種牡馬としてはオーストラリアへのシャトル種牡馬としても供用され、2024年に初年度産駒がデビュー。2025年のクイーンカップをエンブロイダリーが勝って産駒の重賞初勝利を挙げている。
ダイワメジャー 2001 栗毛 |
*サンデーサイレンス 1986 鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
スカーレットブーケ 1988 栗毛 |
*ノーザンテースト | Northern Dancer | |
Lady Victiria | |||
*スカーレットインク | Crimson Satan | ||
Consentida | |||
*ヴィアメディチ 2007 栗毛 FNo.4-l |
Medicean 1997 栗毛 |
Machiavellian | Mr. Prospector |
Coup de Folie | |||
Mystic Goddess | Storm Bird | ||
Rose Goddess | |||
Via Milano 2001 黒鹿毛 |
Singspiel | In The Wings | |
Glorious Song | |||
Salvinaxia | Linamix | ||
Salve |
クロス:Halo 3×5×5(18.75%)、Northern Dancer 4×5(9.38%)
掲示板
49 ななしのよっしん
2025/02/15(土) 21:37:24 ID: Z9NU9tZByr
50 ななしのよっしん
2025/03/09(日) 07:15:30 ID: xldmqMQwmU
早熟、距離短め、牝馬>牡馬、と親父の適性引き継いでるな
この時点で重賞とリステッド勝ち居るし当分は大丈夫だろう
51 ななしのよっしん
2025/03/22(土) 01:33:39 ID: 9tpx+HbPlO
「完成が早くて、向いてる距離帯が分かりやすい」
っていうのが種牡馬ダイワメジャーのめちゃくちゃ強いウリだったから、その部分を踏襲してくれるなら本当に何一つ疑いようなく後継として根強い人気を博すと思う
あとは根本的な受胎率さえ改善されたら言う事なしなんだけど、こっちはスタッド側で何とか出来るんだろうか…?
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最終更新:2025/04/05(土) 15:00
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