イリューヒンとは、漫画『キン肉マンII世』に登場するピロシキ野郎キャラクターである。
飛行機遺伝子(エアクラフトジェネティック)によってあらゆる航空機に変形できる能力を持つロボ超人。両腕を鋭利な刃を持った翼やプロペラに変形させて敵を切断する攻撃が得意。自らの身体を飛行機に変形させ、対戦相手を次々に抹殺していく姿から「赤き死の飛行機(ママリオート)」という異名が付いている。また、胸部に内蔵されているジャイロ・コンパスによってどんな場所でも安定した姿勢をキープすることができ、重力に逆らった立体的なレスリングも可能。
飛行機超人の家系らしく、父親はプロペラ機を模した超人。正義超人にカテゴライズされてはいるものの、当初は自分の妨害をするものや、祖国(のボルシチ)を罵倒したものを躊躇無く冷酷無比に殺害しており、どちらかというと残虐超人に近いファイトスタイルを用いている。その背景には、祖国からの期待を一身に背負う彼の愛国心の強さがあり、どんなことをしても勝つのが自分の務めだという割り切った考えがある。ただし、元悪行超人のチェック・メイトですら通過できなかったジェネラル・パラストのゲート・バリヤを通過できたことを考えると、ボルシチを罵倒されたのとは別に悪意を持って凶行に及んだのかもしれない。
彼を語るうえで欠かせないのはミートとの交流である。当初は役に立ちそうという理由でミートを無理矢理協力させたが、ケビンマスク戦で助けてもらったことに対して恩義を感じ、改心するようになる。万太郎というどうしようもない問題児のためにお目付け役として献身的に働くミートの仕事人っぷりに、祖国から馬車馬のように扱われる自分とどこかシンパシーを感じたのかもしれない。悪魔の種子編では、ミートを救出するために命がけのミッションに挑んでおり、初めて自分の感情に基づいて戦っている。もっとも、心が正義に目覚めた後も目的のために手段を選ばない考え方に変わりはなく、そういった意味では生粋の職業超人といえる。
ロシア出身のロボ超人で、当初は冷酷な残虐ファイトを繰り広げることなどから、どこかウォーズマンを連想させる超人となっている。(あるいは、四次元殺法を得意とすることからペンタゴンのイメージも含まれているかもしれない。)父親がロボ超人という共通点もあるが、ウォーズマンが生身の身体と機械が合わさったサイボーグであるのに対し、イリューヒンは純粋な機械超人であるという違いがある。
ロシア予選ではザ・クラブマンやザ・イーグルを血祭りにあげて優勝し、ロシア代表となる。開会式では旗手を務めた。本予選も順調に突破していき、第三競技の「ビーチフラッグスでイェイ!」では同じ組のコマンドー・ジョーとマッド・ペンギンが共謀して妨害してきたことで出遅れるも、デス・ママリオートで逆に2人をぶった切って予選を突破。「人間を救うためには たとえ同じ正義超人をも殺めざるをえない」という冷酷さを見せつけた。のちに究極の超人タッグ編にてタイムシップを建造する際、傷跡に継ぎ目のついたコマンド・ジョーや頭部が機械的になったマッド・ペンギンの姿が確認できる。(マッド・ペンギンの方は胸に02と書かれていることから彼を基にした別人かもしれない。)
最終競技の「二人三脚でZEI!ZEI!」では、イリューヒンはキン肉万太郎のお目付け役であるミートを強制的にパートナーにした。ミートを選んだのには、正義超人のためなら敵味方関係なく頭脳を出し惜しみしないだろうという思惑があり、実際ミートは反発しながらも的確なアドバイスによってイリューヒンを予選突破に導いている。競技後、ミートに握手を求めるが、その手を払いのけられている。
本大会ではシード権を得たため2回戦から参戦、イラク代表のデストラクションと対戦した。1回戦でプリクランを惨殺したデストラクションも残虐超人の色が強い超人であり、残虐超人同士の試合となる。序盤はパワーファイトを売りにするデストラクションに押されるが、ステルス機に変身し姿を消して攻撃することで優位に立つ。デストラクションは自身の3本の触角のうち1本を自らへし折り、それで胸を割いて血を浴びせることで姿を暴いたが、触角をへし折ったことで逆にパワーダウン。最後はイリューヒンが必殺技ザ・タービュレンスで勝利した。
準決勝ではイギリス代表のケビンマスクとスカイ・キューブリング(空中にせり出した立方体のリング)で対戦する。胸部のジャイロ・コンパスによる直立能力によって落下激突技を無効化してしまい、難攻不落の必殺技であるビッグベン・エッジさえも破ってしまう。さらに、ケビンのセコンドであるクロエ(=ウォーズマン)が同じロシア出身のイリューヒンを相手にケビンへのアドバイスをためらってしまい、ますます優位に立つ。飛行機遺伝子を活かした変形により猛攻を加えていくが、ケビンはクロエのわだかまりを失くすためにあえて攻撃を受け続ける。ついには立ち直ったクロエのアドバイスによって、ジャイロ・コンパスを逆回転させられたイリューヒンは直立能力を失ってしまい、ここからは大渦パワーを発動させたケビンの猛反撃を受けることに。ビッグベン・エッジをまともに喰らうと、最後はOLAPによって両腕をもぎ取られ敗北した。
試合後、ケビンによってスカイ・キューブリングから投げ落とされてしまうが、危機を察知していたミートが身を挺してイリューヒンの体を受け止め、命を救われる。しかし、小さな体でイリューヒンの巨体を受け止めたミートは重傷を負い、決勝戦の万太郎のセコンドにつくことができなくなってしまった。
超人オリンピックの後、「No.1の超人外科の最高権威(?)」による手術を受け、ケビンにもがれた両腕が治っただけでなく、以前よりもパワーアップするよう改良された。悪魔の種子によって体をバラバラにされたミートや戦いによって傷ついた万太郎を救うために、スカーフェイス、ケビンマスク、ハンゾウ、バリアフリーマンらと共にアイドル超人軍を結成。命の恩人であるミートを助けるため、人一倍高いモチベーションで悪魔の種子との戦いに挑んだ。
イリューヒンは島根県に出現した犬神家「ジェネラル・フット」において悪魔の種子No.3、バイクに変形する能力を持った超人・バイクマンメルトダウンと対戦。煮え滾る湯の上にミートの右腕が不安定に吊られた状態での試合となった。オリンピックから3ヵ月、まだケビンマスク戦の傷が癒えていない腕を執拗に攻撃されるが、イリューヒンも新たに搭載されたネオ遺伝子を用いてプロペラ機に扮して反撃。メルトダウンのバイク形態を解除させるが、衝撃の強い技を繰り出す度に吊られたミートの右腕不安定に揺れ動き、思うように戦えず苦戦を強いられる。ならばとステルス戦闘機に変形して姿を消して攻撃しようとするが、メルトダウンの持つ超人ナビゲーションシステム(所謂カーナビ)によって位置を特定され、さらには古傷や弱点の箇所を徹底的に洗い出されて追い詰められる。しかし、意識がないはずのミートの胴体に激励されたことで再び立ち上がると、レニングラードの黒いトゥネーリによって即席のトンネルを作り、ナビゲーションシステムの電波を遮断。自分は機械に頼らない第六感を信じてシベリアンタラルーナで奇襲をしかけ、最後はザ・タービュレンスを決めて勝利した。
ミートの右腕の奪還に成功したものの、恐怖の将の罠によってジェネラル・フットが地中へと埋没を始め、メルトダウンに道連れにされそうになる。ジェット噴射によってミートの右腕だけは救ったものの、そのまま地底へと沈んでいき、消息不明となった。
その後、他のアイドル超人たちと共に悪魔の胎内にある正義超人の骸で出来た大黒柱骨の一部にされ、リングへ登る万太郎たちの足場になるが、折れかけていた首を足場に差し出したことで頭部が取れてしまう。最終的には万太郎たちが恐怖の将の復活を阻止。リボーンダイヤモンドによって首も元通りになり、他のアイドル超人たちと一緒に復活した。
悪行・時間超人(ライトニング&サンダー)が過去に渡って歴史改変を起こしたことで、ケビンマスクの肉体が消滅を始める。新世代超人たちはケビンを救うべく、20世紀へのタイムワープを敢行。イリューヒンはタイムマシンの建材となるジャンボサイト(ビッグサイト)の巨大三角形の切り出しに参加したり、ジェット噴射による溶接を担当した。タイムワープに臨む決死隊にも立候補し、万太郎を始めとする新世代超人たちと共に20世紀に渡った。
20世紀では新たな強豪超人の出現によって究極の超人タッグトーナメントが開催されることになり、悪行・時間超人の野望を阻止すべく、新世代超人たちも出場することに。イリューヒンはバリアフリーマンとタッグチーム「火の玉飛爺隊」を結成。どう考えても余りもの同士で組まされた感が…。
開催当日、予定より参加チームが多くなったため突如全チームによる間引きバトルロイヤルが開始された。飛爺隊は世界五大厄(ライトニング&サンダー)に襲われていたザ・マシンガンズ(キン肉マン&テリーマン)を救出する活躍を見せるが、肝心のツープラトン技であるTOKKO・ATACKはサンダーには通用せず、逆にダウンさせられる。そんな中、周囲から泣き虫のヘタレだと軽視されていた万太郎のパートナー・キン肉マングレートⅢ(カオス)の隠された才能を垣間見た飛爺隊は、ダメージを負いながらも立ち上がると、意を決して「ファイナルTOKKO・ATACK」を敢行。ヘル・イクスパンションズ(ネプチューンマン&セイウチン)によって窮地に立たされていたマッスルブラザーズ・ヌーボー(万太郎&グレートⅢ)を助けるために文字通りの特攻をかけ、身代わりとなってオプティカル・ファイバー・クロスボンバーを喰らい顔の皮を剥がされ敗退した。
自分勝手な行動ばかりを繰り返していた他の新世代超人たち(主に万太郎)と比べて本来の使命を真面目にこなそうとしていた火の玉飛爺隊だったが、間引かれる最後の一組となり、本戦を前に脱落。試合後、イリューヒンから飛び出した遺留品ブラックボックスに2人の"最期の瞬間"が遺されており、イリューヒンはバリアフリーマン(ジージョマン)を自身の死んだ父親に重ねていることを明かし、回想シーンを見る限り顔も性格もあんまり似てなさそうだったが・・・。その父親から友情(ドルジーバ)の大切さを教わったこと、グレートⅢに正義超人界の未来を託せるだけの希望を感じて命を懸ける決意をしたことを語った。
このブラックボックスは、のちにスペシャルリザーブマッチで世界五大厄と戦うザ・テガタナーズ(ブロッケンJr.&ジェロニモ)を助けており、意識が朦朧とするジェロニモの精神に語りかけて意識を引き戻したり、ジェロニモのアパッチの断末魔にブラックボックスから放たれた超音波を共鳴させることによってサンダーの持つ「伝説破壊鐘」を破壊するなどした。これにより破壊鐘が呼び起こす過去のトラウマに苦しめられていた伝説超人たちを救っている。
さらに、ヘルズ・ベアーズ(ウォーズマン&マンモスマン)vsヘル・イクスパンションズ戦では、ネプチューンマンのマントのコレクションにされていた顔の皮を通じて他の新世代超人たちと共にセイウチンへ呼びかけ、魔道の道へと落ちたセイウチンを正義超人に戻す一助をしている。
その後、決勝戦を前に亡くなってしまったカオスが遺したピラリアの花が奇跡を起こし、剥がされた顔の皮が元に戻って回復している。
飛行機遺伝子(エアクラフトジェネティック)
イリューヒン最大の個性である、様々な飛行機に変形する能力。
以下の変形以外にも、一般の旅客機やイリューヒン独自の航空機形態へも変形可能。
ステルス遺伝子(-ジェネティック)
ステルス機(F-117ナイトホーク)に変形。保護色によって姿を消すことができる。
デストラクション戦、メルトダウン戦で使用。
スピットファイアー遺伝子(-ジェネティック)
イギリスの戦闘機・スピットファイアへ変形し、機首のプロペラで相手を切り裂く。
デストラクション戦、ケビンマスク戦で使用。
ミグ遺伝子(-ジェネティック)
ロシアの戦闘機・MiG-29(フルクラム)に変形。鋭い機首で突撃し、相手を突き上げる。
ケビンマスク戦、間引きバトルロイヤルで使用。
ヴィタルリオート遺伝子(-ジェネティック)
戦闘ヘリ(AH-64アパッチ)に変形し、プロペラの回転によって相手を攻撃する。
ケビンマスク戦、メルトダウン戦で使用。
B-29遺伝子(-ジェネティック)
アメリカの爆撃機・B-29(スーパーフォートレス)に変形。強力なエンジンを搭載しており、
相手を高く持ち上げるだけの強大なパワーを持っている。メルトダウン戦で使用。
フロッガー遺伝子(-ジェネティック)
ロシアの戦闘機・MiG-23フロッガーに変形。
メルトダウン戦で使用。
0戦遺伝子(-ジェネティック)
第二次世界大戦における大日本帝国海軍の主力機であった零戦(零式艦上戦闘機)へ変形。
間引きバトルロイヤルで使用。
ネオ遺伝子(-ジェネティック)
ケビンマスク戦ののちに得た、新しい力。
エンジン部の前面から鋭い凶刃を持ったプロペラが出現するようになった。
メルトダウン戦で使用。
デス・ママリオート
イリューヒンを代表する技。航空機に変形し、鋭い刃のようになった翼で、相手を切り裂く。
エアプレンアタック
航空機に変形した状態で、空から体当たりを仕掛ける技。
ザ・タービュレンス
イリューヒン最大のフェーバリット・ホールド。作中ではデストラクションとメルトダウンをKOした。
航空機に変身した状態で相手の両腕を翼にかけて上昇。フルネルソンの形で元の姿に戻り、回転しながら急降下し、相手の頭を地面へ叩きつける。
ちなみに、「タービュレンス(turbulence)」とは英語で「乱気流」という意味である。
あえてロシア語に直すなら「トルブリェンナスト(турбулентность)」だろうか。
シベリアンタルラーナ
ヴィルタリオート遺伝子により戦闘ヘリに変形した状態から、
そのプロペラで相手の背中を切り裂いて抉る残虐な技。
通常はうつぶせにダウンしている相手に仕掛ける技だが、
メルトダウン戦では上空から奇襲を仕掛けることで背中を切り裂いている。
(この「タルラーナ」の語源はよくわかっていないんです。そこでこれはひとつの仮説なんですが…
もしかしたらロシア語で「航空機での体当たり」を意味する「タラーン」が訛ったのでは…?)
地獄の世界一周
ケビンマスク戦で使用した、スカイ・キューブリングの側面のリングを次々と渡っていくように
オースイ・スープレックスを連発する技。
キン肉アタルが立方体リングで使用したローリングキューブスープレックスに似ている。
レニングラードの黒いトゥネーリ
ヴィルタリオート遺伝子により戦闘ヘリに変形しプロペラの回転で岩盤を掘削、
その破片でトンネルを作り出す技。
メルトダウン戦ではこれによって超人ナビゲーションシステムの機能を停止させ、
逆転勝利のきっかけをつかんだ。
ちなみに、「トゥネーリ」はロシア語でトンネルの意味。
ジェットコーティング
肘のジェットエンジンから炎を吹き出す技。作中では時空船ケビンマスク号建造の際に
溶接作業として使用していたのみで、試合中では使っていない。
掲示板
2 ななしのよっしん
2021/04/03(土) 21:16:25 ID: cmyIsK5VAa
21世紀ウォーズマンを登場させるのなら、普通にウォーズマンと組ませても面白かったよな
変形ギミックとか、ロボアニメのノリで面白かったし、味方としても個性を出せたと思うんだが
究極の超人タッグでの扱いは正直ガッカリだった(万太郎とケビン以外の新世代超人はみんなそんな扱いだったけど)
3 ななしのよっしん
2021/05/13(木) 07:18:11 ID: ym40bfM41I
こいつに限った話ではないが仲間になると残念になるタイプだった。敵の時の方がまだ魅力的だったし。
そして単純に試合がつまらないメルトダウン戦でいろいろ台無しにしてる。
4 ななしのよっしん
2022/02/20(日) 14:52:38 ID: doEfRxfmma
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最終更新:2025/03/31(月) 02:00
最終更新:2025/03/31(月) 02:00
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