ロックオブジブラルタル(Rock of Gibraltar)は、1999年アイルランド生まれの競走馬・種牡馬である。G1競走7連続出走7連勝の欧州記録を叩き出した21世紀初頭を代表するスーパーマイラー。
主な勝ち鞍
2001年:ジムクラックステークス(G2)、グランクリテリウム(G1)、デューハーストステークス(G1)
2002年:2000ギニーステークス(G1)、アイリッシュ2000ギニー(G1)、セントジェームスパレスステークス(G1)、サセックスステークス(G1)、ムーラン・ド・ロンシャン賞(G1)
父Danehill、母Offshore Boom、母父Be My Guestという血統。
父*デインヒルは十指に余る量の活躍馬を輩出した歴史的種牡馬。詳細は当該項目参照。
母オフショアブームは通算6戦1勝。その伯父にG1競走2勝を挙げ1980・81年の仏リーディングサイアーとなったRivermanがいる。
母父ビーマイゲストは競走馬としては不完全燃焼に終わったが、2世代の産駒だけで1982年の英愛リーディングサイアーを獲得するなど大活躍し「クールモアスタッド建国の父」と称された馬。
エイダン・オブライエン調教師とアンマリー夫人およびその父であるジョー・クロウリー元調教師(後に復帰)の共同生産馬、クールモアの総帥であるジョン・マグナーの所有馬として、オブライエン師の元でデビューした。
馬名は難攻不落の象徴とされるイベリア半島南端の巨岩「ジブラルタルの岩山」からであり、元ネタと同じく「The Rock」と略されることもある。
2歳4月、主戦となるマイケル・キネーン騎手を背にカラ競馬場の5ハロン戦でデビューし2馬身差で楽勝。続けて2ヶ月後にイギリス遠征し、ロイヤルアスコット開催のコヴェントリーS(G3・6ハロン)に出走したが、道中で両側から挟まれ20頭立ての最後方まで下がるアクシデントがあっては如何ともし難く、同厩でその後G1を2勝することになるLandseerの6着に敗戦した。結果的にこのレースが生涯最悪の着順となった。
甚大な不利を被っていたことが勘案されて帰国後中1週のレイルウェイS(G3・6ハロン)は単勝1.5倍となり、僚馬Hawk Wingに2馬身差を付けて快勝した。この約1ヶ月後、マグナーが株を保有していたマンチェスター・ユナイテッドの名監督で彼と個人的な親交もあったサー・アレックス・ファーガソンに権利の半分が無償譲渡された。
さて、続くジムクラックS(英G2・6ハロン)は3馬身差で完勝したものの、次走シャンペンS(英G2・7ハロン)では抜け出したところで最後方追走から飛んできたDubai Destinationに残り約100ヤード地点で交わされ、1馬身差の2着に終わった。
気を取り直してフランスに遠征し、グランクリテリウム(G1・1400m)に出走したが、ここでは抑える競馬をしたキネーン騎手が5頭中4番手から勝負どころで軽く促すと一気に突き抜け、そのまま悠々と走り3馬身差で完勝した。更にイギリスへ向かって出走した2歳戦の最重要クラスの一戦・デューハーストS(G1・7ハロン)では折り合いを欠いた上に進路が塞がるという危機に陥りながらもLandseerを短頭差で退け優勝した。
G1・2勝を含む7戦5勝の成績を残した本馬だったが、フェニックスS(愛)、モルニ賞(仏)、ミドルパークS(英)、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル(米)と4ヶ国の2歳G1を制し7戦7勝でシーズンを終えた*ヨハネスブルグが相手では流石に厳しく、カルティエ賞最優秀2歳牡馬は同馬が獲得した。
3歳時はいきなり2000ギニーステークスから始動した。本馬とレイルウェイSで対戦した後にコースレコードを1.9秒更新して勝ったナショナルS(G1)を含む重賞2連勝を挙げて2歳シーズンを終えたHawk Wingが1番人気となり、本馬は4番人気となった。なお、キネーン騎手が騎乗停止になったためこのレースのみジョニー・ムルタ騎手が騎乗した。
レースでは中団から残り1ハロン地点辺りで抜け出すと後ろからHawk Wingが物凄い勢いで飛んできたが、辛うじて短頭差で先着して勝利した。
続くアイリッシュ2000ギニーは相手が大幅に薄くなったこともあり単勝1.57倍の1番人気に推され、殆ど追われることなく2着Century Cityに1馬身半差をつけ快勝。セントジェームズパレスS(G1・1マイル)でもプール・デッセ・デ・プーラン(仏G1)を勝ってきたLandseerに1馬身3/4差をつけ勝利した。英愛2000ギニー勝利は1992年の*ロドリゴデトリアーノ以来10年ぶり5頭目、英愛2000ギニー+セントジェームズパレスS勝利は1969年のRight Tack以来33年ぶり2頭目となった。
次走サセックスS(G1・1マイル)が古馬との初対戦となり、前年の勝ち馬である4歳馬Noverreが相手筆頭となった。それでも5頭立てということもあって単勝1.62倍の断然人気に推されると後方からNoverreを差し切って2馬身差で勝利し、Mill Reefが保有するG1競走6連続出走6連勝の欧州記録に並んだ。
続くムーラン・ド・ロンシャン賞も7頭立てだったが、そのうち1頭は前年のブリーダーズカップ・フィリー&メアターフ、コロネーションSとこの年のジャック・ル・マロワ賞を勝ち前年にはカルティエ賞最優秀3歳牝馬・エクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞していた名牝Banks Hillであった。レースはBanks Hillが先に抜け出す展開となったが、同馬を残り100m地点で捉えた本馬が半馬身差で勝利し、欧州におけるG1連続出走・連勝の記録を更新した。
秋シーズンはアメリカに遠征し、ブリーダーズカップ・マイルに挑戦した。ここでも単勝1.8倍の人気に推されたが、スタートで後手を踏んだ上に後方から上がっていく途中で僚馬Landseerが故障した影響を受けてバランスを崩し、一気に追い込んだものの先に抜け出した7番人気のDomedriverに3/4馬身届かず2着に終わった。先に遠征してシャドウェルターフマイルS(GI)を勝っていたLandseerも予後不良となり、オブライエン厩舎にとっては踏んだり蹴ったりの結末となった。
このレースを最後に現役を引退した。通算成績は13戦10勝2着2回(うちG1競走7勝)だった。2002年のカルティエ賞では年度代表馬・最優秀3歳牡馬を受賞している。
ところで、元々単独所有していたマグナーが共同所有者となるファーガソンに権利の半分を譲渡した際、この「権利」に種牡馬としての権利が含まれているのかがはっきりと取り決められていなかった。本馬が大活躍し、日本円にして約100億円近い種牡馬価値を得るようになると、マグナーとファーガソンの間でこの曖昧な所有権を巡って争いが起きた。
本馬が引退した後の年明けの2003年1月、ファーガソンがとうとう提訴し、周りにも飛び火する騒動が始まった。この騒動はマグナーがマンチェスター・ユナイテッドの株式を買い増して発言権をより強大にしようとしたり、それに反発するユナイテッドのファンがチェルトナムフェスティバルの開催当日に競馬場でデモを起こしたりと競馬界に留まらない問題に拡大しながら1年以上にわたって続き、2004年3月に「種牡馬としての所有権をマグナーが保持する代わりに、毎年ファーガソンに一定の種付け権を提供する」という条件で和解が成立したことでようやく終息した。なお、マグナーはこの一件からしばらく経った2005年5月にユナイテッドの株を全て売却している。
さて、一方の本馬は2003年から種牡馬入りし、父*デインヒルの急死もあって一定の需要を確保した。オーストラリアでのシャトル供用も行われている。日本でも2007年にワンシーズンだけ供用された。
G1馬もそれなりに出して安定して活躍しており、2010年代後半からは*ポエティックフレアなど母父としての活躍馬も散見されていたが、2022年10月23日に心不全のため23歳で死亡した。
*デインヒル 1986 鹿毛 |
Danzig 1977 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | ||
Petitioner | |||
Razyana 1981 鹿毛 |
His Majesty | Ribot | |
Flower Bowl | |||
Spring Adieu | Buckpasser | ||
Natalma | |||
Offshore Boom 1985 栗毛 FNo.10-a |
Be My Guest 1974 栗毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
What a Treat | Tudor Minstrel | ||
Rare Treat | |||
Push a Button 1980 黒鹿毛 |
Bold Lad | Bold Ruler | |
Barn Pride | |||
River Lady | Prince John | ||
Nile Lily |
クロス:Northern Dancer 3×3(25.0%)、Natalma 4×4×4(6.25%)
掲示板
1 あ
2022/06/03(金) 03:22:17 ID: qs5wyN8YYs
安田記念
エアロロノアは(母の父:ロックオブジブラルタル)
カテドラルは(母の父:Rock of Gibraltar)
なぜ、日本語表記と英語表記に分かれているのか。
2 ななしのよっしん
2022/06/03(金) 08:01:12 ID: 1v3fl7Wen8
>>1
ロックは日本での供用実績があるので、日本の血統表に書かれるときはカタカナ表記が普通かな
3 ななしのよっしん
2022/07/28(木) 16:54:22 ID: jqTdimykBO
>>1
エアロロノアの母は日本で種付けして日本で生まれた仔
カテドラルの母は海外で種付けして海外で生まれた仔
という違いからでしょう
提供: ロードカナロア
提供: one
提供: タカハリ
提供: 彷徨う猫
提供: 夏侯勇
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最終更新:2025/03/23(日) 17:00
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