ゆるキャン△前の山梨 単語


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ユルキャンマエノヤマナシ

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都道府県対抗シリーズ > ゆるキャン△前の山梨
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Q.アニメで「山梨県を舞台とした作品」と言えば何を連想しますか?

A.ゆるキャン△しか思いつかないです。

Yahoo!知恵袋のある質問より

ゆるキャン△前の山梨とは、都道府県対抗シリーズにおける2017年以前のアニメ紹介動画での山梨県についてのタグである。

前史

時は戦国時代、甲斐国を治める武田信玄はある日、家臣を集めこう述べた。

「人は城、人は石垣、人は堀」

人は、石垣や城と同じくらい、戦(いくさ)の勝敗を決するのに大切だということを家臣に伝え、
家臣達もそれを理解し、教えに倣い兵士を大事にし、後世に伝えたのである。

さらに信玄は続けてこう述べている。

「ドラマは味方、アニメは敵なり」

家臣がどういう意味かわからず尋ねると、信玄はこう答えている。

「今川の領地を見てみろ、舞台があっても伝える術が少なく『アニメ不毛の地静岡』と言われている。
今川ですら苦しんでいるのだから、人が少ない甲斐国だとなお苦しむことになるだろう。

それならば我々は初めからアニメは捨て、地の利を生かしドラマに力を入れるべきである。」

信玄のこの言葉に家臣たちは納得し、甲斐国から山梨県に改称した後も住民はドラマを重視し、
アニメについては舞台を設けても無意味ということを後年に伝えていったのである。

その姿勢はケーブルテレビが発達し、アニメを伝える術が構築されても変わらなかった。

『甲陽軍鑑』を基に要約

概要

都道府県対抗シリーズのアニメ紹介の動画において、2017年以前は山梨県を舞台として作品はほとんどなく、すぐ紹介が終わってしまうというオチがついていた。しかも紹介されていたアニメは実際は山梨県が舞台ではない作品であり(後述)、実際はアニメの主要舞台がない県となっていた。

一方で2018年に『ゆるキャン△』がアニメ放送されると劇的な変化が見られるため、ここでは『ゆるキャン△』のアニメ放送が開始される前と開始された後について説明する。

ゆるキャン△前の状況

2017年までに放送や公開がされたアニメのうち、山梨県が舞台または主要モデル地がある作品は以下の通り。・・・あれ?結構あるぞ?アニメの主要舞台がないというのは誇張か?と思うラインナップである。

アニメ作品名 公開年 メディア 配給・放送
最臭兵器(MEMORIES内) 1995年 映画 松竹
ハングリーハート WILD STRIKER 2002年 テレビ フジテレビ
イリヤの空、UFOの夏 2005年 OVA 東映アニメーション
Persona4 the ANIMATION 2011年 テレビ TBS、TOKYOMXなど
迷家-マヨイガ- 2016年 テレビ TBS(アニメイズム)、BS-TBSなど

しかし実情は後述の理由により山梨県が明確に主舞台とされる単独アニメ作品は2016年放送の『迷家-マヨイガ-』まで存在せず、『迷家-マヨイガ-』も山梨県が舞台と気づかれにくかったことが明らかになっている。

都道府県対抗シリーズで紹介されない『最臭兵器』と『ハングリーハート』

まず『最臭兵器』は実在の知名や施設、さらに甲州弁ネタまで披露するなど元祖山梨のご当地アニメともいえる作品であるが、この作品は親作品『MEMORIES』に包括されており、オムニバス形式の小作品という扱いである『最臭兵器』単体では紹介できない(一緒に包括されている『彼女の思いで』『大砲の街』は山梨県はまったく関係なし)。また、高橋陽一作品の『ハングリーハート WILD STRIKER』は設定上は山梨県が舞台となっているが、施設や風景はすべて架空で、山梨県内にモデル地が存在しない(高橋陽一は別の作品でも作者の出身地の地名を当時サッカーが盛んという理由だけで縁もゆかりもない他の県に移動させることをやったため、後年聖地巡礼で混乱が起きているから…)

このため上記2作品はアニメ紹介動画から除外されている。また、『ハングリーハート WILD STRIKER』は勿論のこと『最臭兵器』も知名度や公開時期などからモデル地は特定されているが、聖地巡礼での紹介もほとんどされていない。

実は山梨が舞台ではない『イリヤの空』と『ペルソナ4』

2005年にOVAとして発売された『イリヤの空、UFOの夏』は夏も身延線市川大門駅や甲斐市のボウリング場跡地などが、2011年にアニメ化された『Persona4 the ANIMATION』(以下『ペルソナ4』)も中央本線の石和温泉駅や富士吉田市の商店街がモデル地として登場しており、聖地巡礼の紹介も行われている。

しかし『イリヤの空、UFOの夏』は他にも東京都や群馬県に、『ペルソナ4』にいたっては全国各地にモデル地があり、原作や制作サイドは「特定の地域がない架空の舞台」としているため正確には『イリヤの空、UFOの夏』も『ペルソナ4』も山梨県が舞台ではない。『イリヤの空、UFOの夏』は原作者の秋山瑞人が山梨県出身であること、『ペルソナ4』については原作であるゲームの主要スタッフに山梨県出身者がいた可能性があることからそれぞれ地元の建物や風景が取り入れられ、作品を見たファンによって舞台の印象が強調され、山梨県が舞台と誤認されたというのが自然である。

この2作品はwikipediaの当該項目にて「山梨県が舞台のアニメ作品」との分類がされていたが、その後出典がないという理由で記述が消され、さらに出典を明記するようにとの注意書きまでされている。

『迷家-マヨイガ-』でようやく山梨が舞台の作品が登場したが…

先述の4作品は紹介できなかったり実際は舞台でなかったのに対し、2016年に放送された『迷家-マヨイガ-』は作品内の納鳴村のモデル地が道志村で、実際村内の道の駅などの施設も登場する。また、放送後の村内イベント「Natural High! 2016」では『迷家-マヨイガ-』も参加し、出展ブースや声優のトークショーも行われ、ニコニコ生放送の特番として「TVアニメ『迷家-マヨイガ-』スペシャルニコ生~本当に道志村役場からお届けします~」が放送されるなど、山梨県が舞台のアニメとして公式から認定されている。

但しこの『迷家-マヨイガ-』、放送前はクラウドファンティングで集めた資金をもとに『ガールズ&パンツァー』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『艦隊これくしょん』の主要スタッフが携わっていたという話題性はあったものの、山梨県民からもアニメファンからも山梨が舞台ということはあまり知られていない。

原因としてまず挙げられるのはこの作品に対する山梨県内での視聴環境で、一言でいえば「山梨県内でこのアニメ観るのハードル高すぎ」といえる状況である。


  • 『迷家-マヨイガ-』はTBSのアニメイズム枠での放送で、山梨県にはTBS系列としてテレビ山梨があるが、テレビ山梨はアニメイズム枠の作品を一切放送していなかった(同局が放送するようになったのはスーパーアニメイズムになってから)。
    • 山梨県内で多く普及しているケーブルテレビを使えば在京テレビ局の番組が視聴できるのであるが、TBSに関しては「テレビ山梨がある」という理由でTBSはチャンネルカットされている(詳細は「山梨県のケーブルテレビ事情」を参照)。なおこの悲劇は『Persona4 the ANIMATION』でも起きている。もっとも当時のアニメイズムの状況がアレだったこともあり、けっしてテレビ山梨をアニメ嫌いとか恨んではいけない。『マクロスF』や『けいおん!』は放送していたんだし。
  • アニメイズム枠はBS-TBSでも放送されていたことから、山梨県内ではケーブルテレビに加入しBSデジタルチューナー内蔵テレビと分波器があれば一応見ることはできる。但し地元新聞紙で県内シェアの6割を占める山梨日日新聞のテレビ欄はBS放送の扱いは小さく、この作品が山梨で観ることができることに気づいた人がどれだけいたか…である。
  • 舞台地である道志村はケーブルテレビ局そのものがなく、視聴するにはアンテナを用意してBS-TBSかWOWOWプライムで見るしかない。しかも村全体が山奥なので費用や工事という手間をかけても視聴できるかが未知数である。神奈川県境の集落では調整すればTBSが映るみたいだけど。
  • 「テレビで観れなくてもネットがあれば大丈夫!」と思うだろうが、『迷家-マヨイガ-』はインターネットのアニメチャンネルでの放送・配信が一切行われなかったのである。
    • アニメイズム枠でも前クールの『ファンタシースターオンライン2 ジ アニメーション』ではニコニコ生放送やdアニメストア、GYAO!などでも配信されていたが、『迷家-マヨイガ-』はなぜかこれらでの配信を一切行っていない。
    • 山梨県が舞台でないことが判明した『Persona4 the ANIMATION』もニコニコチャンネルで放送しており、山梨県民もプレミアム会員であれぱ時間を気にすることなく視聴可能で、モデルとなった駅舎などを確認している(ちなみに『Persona4 the ANIMATION』は『迷家-マヨイガ-』の約4年前で、当時はインターネットでのアニメチャンネルは黎明期である)。
    • インターネットのアニメチャンネルのメリットは「見逃してもフォローできる点」である。仮に深夜遅くに放送してテレビで観れなくても配信期間内であればどの時間帯や回数を気にせず見ることができるのである。なお、これによって「アニメ不毛の地静岡」は有名無実化した。
    • そのため放送された2016年時点では配信サービスも増加し、ネットでも観れるようにしているのは当然という状況で、逆に深夜アニメにもかかわらずネット未配信は致命的である。制作会社が『艦隊これくしょん』と同じだから疎いということはないんだけどなあ…あっちは『迷家-マヨイガ-』より前の放送でニコニコチャンネルやdアニメストアで配信されていたし。
    • ちなみに山梨県は道志村を含めフレッツ光がほぼ全エリアで提供されており、携帯電話も可住地域では4G・LTEでの通信が普通に提供されている。まして山梨県民はドコモユーザーが多く(=dアニメストアの加入が容易)、大型店が極端に少ないのでamazomといったネット通販も盛ん(=お急ぎ便狙いでamazonプライムに加入すればもれなくamazonプライム・ビデオが付いてくる)なため、むしろネットでのアニメチャンネルはケーブルテレビ以上に重宝されている。

このようにテレビでは自慢のケーブルテレビを使っても視聴困難、ネットでは未配信という山梨県民涙目の環境で放送したアニメとコラボやりましょうなんて言われても「BS使わないと視聴できないのは…」と敬遠されるであろう。これもあり『迷家-マヨイガ-』の県民認知度は非常に低く(ぶっちゃけ言うと『イリヤの空、UFOの夏』と『Persona4 the ANIMATION』のほうが認知度がある)、県外の来訪者目当てで道志村のイベントに参加したが来場した県民の反応は「お察しください。」である。

さらにスタッフの得意分野無視のホラー系、32人という1クールアニメでは多すぎる登場人物、これだけいて山梨県出身のキャラクター皆無も影響してか作品自体が爆死(DVD/BD売上が第1巻のみ300枚程度、第2巻以降は売上が出なかった)してしまい、結果盛り上がりは非常に限定的で、先述のイベント以降特に作品に関した動きはされていない。そのためご当地アニメ紹介でも『迷家-マヨイガ-』の反応は非常に薄いものとなっている。

その結果

このように知名度の問題や実は舞台地でなかった作品しかなかったため、2018年に発表された「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」では山梨県は1つも登録されなかった。山梨県以外にも選ばれていない県はあるが、山梨県の周辺都県は登録されたアニメ舞台地が多く、山梨県とどれぐらいの差が発生しているかは下記の表の通りである。ぶっちゃけいじめだよこれ。

都県名 登録数 主な作品(自治体)
東京都 25 「君の名は。」(新宿区)
「刀剣乱舞」(台東区)
「とある科学の超電磁砲」(立川市)など
埼玉県 6 「らき☆すた」(久喜市)
「ヤマノススメ」(飯能市)
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(秩父市)など
神奈川県 5 「ハイスクール・フリート」(横須賀市)
「新世紀エヴァンゲリオン」(箱根町)
「弱虫ペダル」(箱根町)など
長野県 2 「おねがい☆ティーチャー」(大町市)
「サマーウォーズ」(上田市)
静岡県 5 「あまんちゅ!」(伊東市)
「ラブライブ!サンシャイン!!」(沼津市)
「ちびまる子ちゃん」(静岡市)など

この通り周辺は活況に満ち溢れている中ぽっかり穴が開いている状態で、「やまなしアニメ舞台なし」「ご当地アニメ不毛の地山梨」と言われても仕方のない惨状であった。東京都に隣接していればいいということではないことがおわかりであろう、逆に「東京に隣接しているのに…」と言われる事案である。

但しこの惨状を気にしているのはアニメファンだけで、山梨県民もメディアも特に気にしていない…と思ったら産経新聞が「やまなしアニメ舞台なし」について以下の通り嘆いていた。


強豪に囲まれて…

なにしろ同県にはメジャーなアニメの“聖地”がないとされる。聖地は増加する訪日外国人観光客を含む観光誘致の大きな武器だが、一般社団法人「アニメツーリズム協会」が発表した「2018年版 日本のアニメ聖地88」では、山梨県からのランクインはゼロだった。

一方、近隣は『ラブライブ!サンシャイン!!』を擁する静岡県、『サマーウォーズ』の長野県、『らき☆すた』の埼玉県と“強豪県”ぞろい。それぞれ「聖地88」では、静岡(5作品)、長野(2作品)、埼玉(5作品)()が選ばれ、差が際立っている。

心が叫びたがってるんだ。』が2つの自治体で別々に登録されているため、登録数が作品数を上回っている。

『産経新聞』ウェブ版2018年4月9日記事より一部抜粋


上述の通り全国紙にも認定されるほどの不毛さがおわかりいただけたであろう。

ちなみに2014年に放送された『ヤマノススメ セカンドシーズン』は富士吉田市など山梨県の自治体を舞台にしている。『ヤマノススメ』自体は埼玉県飯能市が主舞台であるが、『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台として北海道函館市も登録されていることから1つの作品で複数の自治体が登録される場合もある。しかし『ヤマノススメ セカンドシーズン』は地元企業の富士急行がPRしていたが、時期が限定的だったのが影響してか「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」にて山梨県は登録されていない(「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」はファン投票を参考にしているが、中間投票の段階で名前すら出てきてなかったので選ばれないのは当然である)。

アニメ不在が招いた悲劇

上述のネガティブな説明に対し、「舞台にしたアニメがないぐらいでそんなに悲観しなくても」と思う人もいるだろうが、実はそのアニメの舞台不在により過去に悲惨なことになっている。

話は戻り、2013年に「クールジャパン山梨」という山梨県から各方面へ文化産業を発信しようとしたイベントが開催されたが、山梨県として紹介できるアニメが存在せず、代わりに山梨とは無関係の『ハヤテのごとく!』と『境界の彼方』の声優によるトークショーが開催されたが、県内最大の展示場で開催されたのにもかかわらず2日間の総入場者数が500人という惨状になってしまい、その少なさにSNSだけでなくアニメイベントを取り扱うポータルサイトでもネタにされるという赤っ恥イベントであった。国のゴリ押しでやってるクールジャパンそのものが失敗企画という話もあるけど。

ただこのイベントについては色々と問題があり(場所の問題や宣伝不足、コンセプトが不明など)、山梨県が舞台のアニメが存在しそれが紹介されたとしても客入りが増えたかは微妙であるが、少なからず影響していることは否定できない。

どうしてこうなった・・・

理由は様々あるが、ここで一例を挙げていく(※主観が入っている部分があるので注意)。


  • 山梨県のコンテンツがアニメに不向きな点が挙げられる。基本的に山梨県は山に囲まれた地域で、かつ他と比較して突出したものがない(富士山なら静岡県もあるしあっちは海もあるから)。つまりわざわざ山梨を舞台にする必要がない。
    • あえていうなら山や湖が多くもアウトドア系の舞台としては最適であるが、このジャンルのアニメが脚光を浴びるようになったのは『ヤマノススメ』がヒットした2013年以降と2007年頃にご当地アニメが確立してからだいぶ後になる。
    • 一方で武田信玄をはじめとする戦国時代ネタや、東京から日帰りできる範囲内に果樹園や一軒家が多いロケーションであることからテレビドラマの撮影は盛んである。大河ドラマは『武田信玄』や『風林火山』、連続テレビ小説も『花子とアン』があるのをはじめ、民放ドラマの地方撮影でよく使われている。実際富士の国やまなし・フィルムコミッションでは撮影支援の実績が多数ある。
    • 但しこれらはテレビアニメとして展開するのには扱いが難しい。戦国時代に関連したテレビアニメは少なく、地方ロケの制約もテレビドラマと比較して少ないためわざわざ山梨を舞台にする必要がない(足りない部分があってもアニメでは実写と比較してわりと簡単に付け足しができる)。
    • この傾向は漫画にもいえることで、山梨県を舞台にした漫画作品は非常に少ないかあっても短期打ち切りとなる(山梨県出身の漫画家として『美少女戦士セーラームーン』の武内直子や『干物妹!うまるちゃん』のサンカクヘッドがいるが、山梨県を舞台にした漫画を描いていないことでもその難しさがわかると思われる)。この状況でアニメ化まで持ってこれる作品を輩出するのは限られてしまい、山梨県を舞台にしたアニメを作るのは難しくなってしまう。
  • 民放が2局(山梨放送とテレビ山梨)しかないため、ビデオリサーチによる視聴率調査の対象外となっており、山梨県民の視聴傾向が掴みにくい。
    • 資料がないうえ上述の通り少子高齢化が進んでいる地域のため、広告代理店やテレビ局は「山梨県は高齢者が多いからコンテンツにするならアニメよりドラマのほうが受けるだろう」という先入観が強かった。実際視聴率調査の対象外となっている福井県・徳島県・佐賀県・宮崎県もご当地アニメ過疎県として名前が挙がる地域である。
    • 古くからケーブルテレビが発達しているため、東京のテレビ局の番組を視聴できる(テレビアニメの多いテレビ東京やTOKYOMXも視聴可能)が、ケーブルテレビの再送信は視聴率調査から除外されている。
  • 山梨県がご当地アニメについて理解に乏しかったことも挙げられる。上でも述べた通り「クールジャパン山梨」で山梨県に関連したアニメ紹介がなかったほか、地元紹介ビデオも実写形式(大抵武田信玄絡み)ばかりでアニメでの紹介は一切なかった。
    • 「クールジャパン山梨」を見る限り山梨県はアニメに限らずサブカルチャー全体に疎かったといえる。その例として山梨県にはかつて山梨シルクセンターというのがあり、そこからサンリオが独立してハローキティなどのキャラクターが誕生しているが、創生地ともいえる山梨県がサンリオとコラボレーションを実施し、ハローキティを県のイメージキャラクターとして使い始めたのは2016年からである。県内の観光地や土産物店に以前からハローキティのグッズはあったし「クールジャパン山梨」でもサンリオ関連は一応出展していたけど個別契約だったからね…。
    • 上述の通りアニメ過疎地であったため自治体との協力実績がなく、制作サイドとしては二の足を踏む状況で、自治体側もアニメとのコラボやイベントについてどうやればいいのかまったくわからなかったと推測される。
    • この状況の理由として山梨県知事も関係していると思われる。山梨県がアニメをはじめとするサブカルチャーに積極的になったのは2015年に就任した後藤斎知事(当時)からで、その前はというとWikipediaの記事を見る限りどう考えてもアニメ(およびハローキティ)を使って山梨県をアピールするという考えのない昭和の頑固オヤジ的な知事であった…これでは仕方ない。尤も他県ではコスプレイベントで自らコスプレして参加しているが某企画展で騒動を起こした知事や、地元が舞台の大河ドラマの視聴率が悪いからとNHKに色々ケチをつける知事がいたりするので、アニメやサブカルチャーの有無で知事の有能無能を判断してはいけないと注記しておく。
    • 但しこれらはアニメやゲームなどの二次的サブカルチャーに限った話で、テレビドラマ(特に武田信玄絡み)だと逆に理解しすぎてやる気を出していた。2006年に大河ドラマ『風林火山』が放送された際はNHKと山梨県がタッグを組み、大河ドラマひとつでここまで熱狂していた。
      • ロケ地に1億7000万円かけてオープンセット「風林火山館」を建設(みなさまからの受信料に加え山梨県の税金3000万円で賄われています。)なお大河ドラマ終了後は来場者がいなくなって閉鎖され、5年程度で解体。間違ってもガリバー王国の再来とか言ってはいけない。
      • 甲府駅前のイベント施設では「風林火山博」を開催。
        • 期間中山梨県の税金を投じ臨時特急「風林火山号」を毎週週末に運行。運行区間は新宿駅~甲府駅、新宿駅~松本駅などである。それ「あずさ」や「かいじ」でよくね?はタブー。
        • 5月にはまったく縁もゆかりもない安倍晋三総理大臣(当時)を招待。何のために呼んだの…
      • 山梨最大の祭りである「信玄公まつり」ではそれまで一般公募だった山本勘助役も俳優を起用。
      このように多額の税金を使って大々的にPRした結果、「風林火山博」を当初見込20万人に対し48万人が訪れている。これを見ても当時の山梨県がテレビドラマ偏重でサブカルチャー軽視であったことがわかると思われる。

このような理由が挙げられる一方、アニメの舞台や聖地は運命の巡り合わせの要素が強く、舞台の数よりそれをうまく活かせるかが重要である。実際に舞台となっている作品は少ないが『ガールズ&パンツァー』の大ヒットでご当地アニメが盛況とされている茨城県の例があるのに対し、舞台や聖地は多いがそれをうまく活かせずご当地アニメ過疎地域扱いされているところも多い。山梨県の場合その作品がなかなか出てこなかっただけで悲観視することはなく、きっかけとなる作品が現れるまでの準備を整えておくことが重要である。

「ご当地アニメ不毛の地」解消へ向けて

ただきっかけとになる作品が現れても「クールジャパン山梨」を見る限り「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」と失敗するのは明白であったため、山梨県はそれに向けての準備やノウハウ蓄積を開始した。

まず2016年に上述のハローキティをはじめとするサンリオとのコラボレーション実施を契機にサブカルチャー関連のイベントを次々と開催。山梨県主導で開催した「山梨マンガ・アニメラボ×まるごとやまなし館 コラボカフェ」では山梨県出身の声優である三澤紗千香のトークショーや山梨県出身の漫画家によるイラスト展示などを行なっている。

また同じ時期に山梨放送の親会社である山日YBSグループ系列のデジタルデビジョンの企画で『アイドルマスターSideM』とのコラボレーション「アイドルマスターSideM×山梨」を開催。メンバーに山梨県出身の冬美旬がいることもあり実現した企画で、山梨特産の水晶細工や甲州印伝を使った関連商品やイベント、さらにメディアを使っての宣伝やバスツアーの実施など作品とのコラボレーションについてのノウハウを蓄積していった。

そして程なくその作品が現れ、「ゆるキャン△前の山梨」は終了することになる。

ゆるキャン△中の山梨

伝説の始まり

2017年7月に山梨県を舞台にした『ゆるキャン△』の2018年冬アニメ化が発表され、さらに制作段階から『ゆるキャン△』サイドは作品のリアリティを求めるため山梨県にロケ協力を要請。山梨県も先述の準備がほぼ整った状態であったためこれを快諾し、全面協力を打ち出した。

しかしこの『ゆるキャン△』であるが、発表当初はあまり評判がよろしくなかった。というのも第1巻の初動はわずか765部、その後も単行本売上も他のきらら上位と比較して売上がよろしくなかったのである。きららファンからも「これやるぐらいなら『がっこうぐらし』の2期やれよ」とまで言われてたし。さらに売り豚による2018年冬アニメ事前予測は単行本バカ売れの『ポプテピピック』とロサンゼルスのアニメエキスポで好評だったKADOKAWA期待の『宇宙よりも遠い場所』が注目され、『ゆるキャン△』は円盤(DVD/BD)の数字出ればいいねと言われる始末。山梨県のアニメファンもあまりの事前評価の悪さに「『迷家-マヨイガ-』の二の舞になるのでは」「山梨にご当地アニメは無理」と半ば諦めさえあった。

しかし山梨県はガチだった。2017年11月にやまなし観光推進機構が許可のもとゆるキャン△の特設サイトを開設。公式イラストのモデル地を紹介し、現地撮影のうえ公式イラストとの比較を掲載。また同月15日のコラボカフェでも『ゆるキャン△』をPRするなど、まだアニメが放送されていないのにもかかわらず舞台や聖地を山梨県がアピールしていった。この噂とキービジュアルのクオリティの高さからとりあえず観てみようという人が次第に増えていったのである。

2018年1月4日に『ゆるキャン△』第1話が放送されるとその翌日に特設サイトにて第1話のモデル地が紹介され、その後も山梨県内が話の舞台であれば翌日には更新されるという早さで支援が行われる。作品自体もクオリティの高さが話題を呼び、アニメチャンネルでは回を追うごとに視聴者が急伸していった。その後もやまなし観光推進機構は山梨県内の舞台地では翌日、長野県や静岡県がモデル地の場合も2~3日後にモデル地紹介を更新し、ゆるキャン△』をバックアップしていった

また、『ゆるキャン△』は山梨県内の放送開始時の視聴環境も万全の準備を行っている。テレビ放送はケーブルテレビを介すれば視聴可能なTOKYOMXでの放送(これだけで県内の8割以上をカバー)、さらにニコニコ生放送やdアニメストア、Amazonプライムなど多くのアニメチャンネルで視聴可能である。つまり「ケーブルテレビもインターネットもない」という状況でない限り容易に視聴でき、山梨県も「TOKYOMXなどで放送」とPRすることができたため、これが山梨県民の認知度を上昇するきっかけとなった。

そしてキャンプブームのさなかであったこともあり、この作品を見たファンが山梨県内のモデル地に殺到し、山梨県民も『ゆるキャン△』の話題でもちきりとなり、普段は冬場になると閑散としている山梨県内のキャンプ場は予約で一杯、少数生産だった舞台地の饅頭屋は売り切れが続出しフル生産しても追いつかない状況とうれしい悲鳴を上げていた。円盤売上も初動で数字が出るどころか1万枚を超え、単行本も最終回終了時点で250万部を突破、結果2018年冬アニメの覇権アニメに認定されている。

狂喜乱舞する山梨県

この予想をはるかに超える大ヒットで山梨県は「信玄公の再来」「オツオリ以来の衝撃」とお祭り騒ぎ。こうなったら観光県を自負する山梨県、『ゆるキャン△』というご当地アニメをアピールするため、斜め上のPRを次々と展開していったのである。

それではご覧いただきましょう、『ゆるキャン△』に熱狂した山梨県の姿を。


  • この状況を踏まえ、地元テレビ局の山梨放送も4月より放送を開始(山梨放送が日本テレビ系列以外の深夜アニメを放送するのは非常に稀)。これにより「ケーブルテレビもインターネットもない」山梨県民も視聴可能となり、山梨県民の認知度はさらに上昇することになる。
    • 最初は日曜深夜1時と子供は寝ている時間であったが、7月に家族でも楽しめるよう日曜昼間13時に再放送。その後も随時放送を繰り返しており、時間帯も時間帯も土曜朝9時30分開始に移動されているつまり山梨県では学校が休日の朝や昼間から犬山あおいをはじめとしたJKの入浴シーンが流れたという…BPO?なにそれ?おいしいの?
  • 山梨放送のライバル局であるテレビ山梨も『ゆるキャン△』の特集を実施。本来テレビ山梨は山梨放送案件について相手にしない姿勢なので(その逆も然り)、この特集は山梨県民から驚かれた。
  • アニメ放送終了後、主要人物が通学する本栖高校のモデル地周辺の住民によって『五条ヶ丘活性化推進協議会』が結成される。推進協議会によって最寄りの身延線甲斐常葉駅から本栖高校までの案内標識が設置され、本栖高校のイベントにも全面協力。地域内にある薬局や郵便局にもグッズが置かれる。
  • アニメで紹介された商品や企業も全面協力を実施。「ラッキードリンクショップ」のモデルとなったハッピードリンクショップが『ゆるキャン△』とコラボレーションを実施し聖地近くにラッキードリンクショップを出店したり、犬山あおいのバイト先のスーパーもゆるキャン△グッズの特設コーナーを設置し、その充実ぶりから「アニメイト身延店」と称されるようになる。また大垣千明のバイト先は閉店しているが、所在地である身延町とデベロッパーによって建物の外装を「酒の川本」仕様に改装している。
  • これだけに留まらず、聖地とされている場所のキャンプ場や土産物店だけでなく、その近くのコンビニや薬局でもグッズを販売。現地で「ゆるキャン△グッズはどこにありますか?」と聞くと「そこらの店にあるよ」と返される事態になっている(但し期間限定だったり品揃えにばらつきがあったりするので事前確認はしたほうがよい)。
  • 作品内の架空のアイテムを次々と商品化。「しまりんだんご」が実際に郷土土産品として販売を開始。さらに犬山あおいのウソ話「蕎麦鵜丼」も地元ホテルが期間限定で提供を開始。虚構新聞がネタにしていたら誤報で謝罪していたレベルのこともやり始める
  • さらに鳥羽美波の酒癖までイベントのネタとし、2019年2月には「グビ姉の利き酒会」を甲府市の式場で開催。鳥羽美波(と志摩リン)の中の人も参加し、地元の日本酒が振る舞われた。ちなみにこのイベントは1回のみにもかかわらず600人が参加している。あれ?2日間かけて開催していたクールジャパン山梨より人が多い…
  • 舞台である身延町には日蓮宗の総本山である久遠寺があり、聖地巡礼を奪われている状況である…と思ったら久遠寺も『ゆるキャン△』とコラボレーションを実施。交通安全祈願祭を実施したり交通安全ステッカーを販売したりしている。元寇を予言した日蓮もこれは予言できなかったであろう。
  • 舞台地である身延町は2019年に町制15周年を迎えたのを機に町歌「おかえりなさい、少年たちを」を作成したが、宣伝PVで歌っているのはアニメ版『ゆるキャン△』のエンディング「ふゆびより」を歌っている佐々木恵梨である。ちなみに佐々木恵梨は身延町の名誉町民となっている。
  • 2020年1月にテレビドラマが放送されると、それまで架空だった本栖高校の校舎や商業施設が実際の施設や店舗名で登場。当然作中に登場した各キャンプ地もすべて実際の施設で撮影が行われている(さすがに架空であるキャンプ用品店は再現できなかったが、代わりに甲府市内にある店舗で撮影)。
  • 2020年2月に山梨県はJR東海と共同で「ゆるキャン△梨っ子号」を運行。JR東海と山梨県の本気っぷりにアニメファンだけでなく鉄道ファンまで驚愕する。なおこの列車、全列車が発売開始1分で満席になるという販売座席数は違うけど新幹線開業時の一番列車クラスの人気であった。
  • そして『ハローキティ』との夢のコラボで山梨県の舞台案内を展開。ちなみにハローキティは上でも述べた通り山梨県と深い関わりがある。

このように今までアニメの舞台がなかった分の反動が凄く、さらに『ゆるキャン△』はアニメもドラマも成功するという類稀な作品となり、山梨県(特に舞台となっている身延町周辺)は活況に満ちた状態となっている。まさに「ゆるキャン△様様」である。

さらに山梨大学などが試算した『ゆるキャン△』の経済効果を受けて山梨県知事は2019年8月にアニメを使った町おこしを宣言し、観光特別予算を組み山梨を舞台にしたアニメを積極的にアピールすることになった。

その結果、『ゆるキャン△』に続けといわんばかりの山梨絡みのアニメが次々と誕生することになる。

ゆるキャン△後の山梨

2020年秋アニメ

『ゆるキャン△』効果と山梨県のアニメ全面バックアップ宣言の影響もってか、2020年秋アニメでは山梨県が舞台またはモデル地があるアニメ作品が3つも放送された。『ゆるキャン△』が放送される前は1年に1作品程度モデル地として登場すればよかったレベル*1で、1クール3作品同時は(山梨県にとって)異例である。

作品名 山梨県の舞台 本来の舞台 山梨での放送局 山梨の主な聖地
アサルトリリィ BOUQUET 甲州市 神奈川県鎌倉市 テレビ山梨 祝橋、勝沼ぶどう郷など
神様になった日 山梨市 テレビ山梨※注 万力公園など
まえせつ! 笛吹市 埼玉県さいたま市 山梨放送 石和温泉など

※注:神様になった日は秋クールではTOKYOMXで放送し、3か月遅れでテレビ山梨でも放送。

実は『アサルトリリィ BOUQUET』と『まえせつ!』は2020年夏アニメの放送予定であったが、新型コロナウイルスの影響で2020年秋アニメへスライド。元々秋アニメとして放送の『神様になった日』とバッティングし、このような事態になったのである。

各作品の舞台概要は以下の通り。

  • 『アサルトリリィ BOUQUET』:主人公・一柳梨璃の出身地が甲州市勝沼町付近。第1話では戦場地として、第5話では白井夢結が梨璃への誕生日プレゼントを得るため訪れている。放送終了後の2021年1月より甲州市観光協会が鎌倉市を差し置いて本作品とのコラボレーションを実施。評価やDVD/BD売上も上々のようなので今後もコラボレーションが期待できる作品である。(ちなみに主人公の山梨出身設定は原作の『アサルトリリィ』からあり、アニメ化に合わせて設定変更されたわけではないと断りを入れておく。)
  • 『神様になった日』:当初は舞台地は非公式ではあったが、第1話から山梨市の各風景や施設が散見・特定され、keyファンが聖地巡礼を実施。11月に山梨市観光協会と舞台地スタンプラリーを実施したことで山梨県が主要モデル地であることが公式化されている。ちなみに山梨市は3作品の中で一番熱心にPRしていたが、肝心の作品の評価は…割愛しておこう。
  • 『まえせつ』:山梨県のフィルムコミュッションがロケ支援を行ない、第4・5・10話にて登場。第5話ではほったらかし温泉へ行く場面で「前にやってたキャンプアニメ(ゆるキャン△)」として各務原なでしこが一瞬登場している*2なお評価やDVD/BD売上、ファンの巡礼状況は…お察しください。モデル地の笛吹市はやる気なし、山梨放送も打ち切りはしなかったがこっそり深夜に枠移動させてるし。

この状況について、地元紙の山梨日日新聞はウッキウキで以下の記事を掲載している。


今秋、山梨県内が作品に登場するアニメが放送され、アニメファンから熱視線が注がれている。 お笑い芸人を目指す女の子が登場する『まえせつ!』には石和温泉など峡東地地域が描かれる。 観光関係者は、一大ブームとなった『ゆるキャン△』のように、作品を通して地域の魅力が発信され、誘客効果に繋がることを期待している。

『まえせつ!』は『らき☆すた』で知られる美水かがみさんが原作イラストを手掛けるオリジナルテレビアニメ。周囲を笑顔にさせ、 癒やしを与えるために奮闘する登場人物の日常を描く。生活の舞台は埼玉県という設定だが、地方営業として笛吹・石和温泉を訪れる物語が展開される。 YBS山梨放送で10月18日から放送が始まり、11月8日放送予定の4話以降、県内の風景がたびたび登場するという。

『まえせつ!』の企画プロデューサー伊藤敦さんは「これまでは東京近郊が舞台となる作品が多かったが、飽和気味。オリジナル作品の場合、 都心から2時間で行ける距離で、自治体のサポートも手厚い山梨を舞台にする動きが増えている」と説明。「地元住民も温かく取材しやすい。 足を運ばないと分からない魅力もたくさんあると感じている」と話す。

映画やドラマなどの撮影、誘致する県内自治体のフィルムコミッションには近年、アニメ関連の相談が増えているという。 県のフィルムコミッション担当者は「作品を通して、その地域の魅力を知り、訪れてもらう効果を期待してサポートしている」と話す。

一方、『神様になった日』(TOKYOMXなどで放送)をはじめ、複数のアニメ番組を見た一部ファンが作品中の場面に似ているとして、県内を 「聖地巡礼」する動きも出ている。

『山梨日日新聞』2020年11月8日11面「アニメに山梨 ファン熱視線」より


ちなみに『まえせつ!』が大多数を占めている理由は記事を書いた山梨日日新聞と放送している山梨放送が同じ山日YBSグループであり、『神様になった日』が少し触れられているのは山日YBSグループ系列のケーブルテレビ局である日本ネットワークサービスを介して放送しているからである。『アサルトリリィ BOUQUET』は県内で放送しているのがライバル局のテレビ山梨だから…お察しください。

なお、2020年秋アニメではないが、テレビ東京で放送されている『ミュークルドリーミー』の35話「流れ星にお願い☆」(2020年12月27日放送)にてメンバー一行がふたご座流星群を見るため山梨を訪れている。つまり2020年秋クールの期間、4作品も山梨絡みのアニメが放送されたことに…サンリオさんもしや狙った?

山梨を舞台にしたアニメはまだ続く

上述の2020年秋アニメ後も山梨を舞台にしたアニメは続く。まず上でも述べた通り、2021年冬アニメとして『ゆるキャン△ SEASON2』が放送され、さらに2021年春にはドラマ版第2期『ゆるキャン△2』の放送が立て続けに始まる。その為2021年は上半期に掛けて、『ゆるキャン△』の勢いがしばらく続きそうである。でも『ゆるキャン△ SEASON2』およびドラマ2期は静岡県のほうが乗り気…おや、誰か来たようだ。

その他2020年5月には北杜市を舞台とした『スーパーカブ』のアニメ化が発表され、散々待たされたけど2021年4月より放送が開始されるなど(名目上は「ホンダ・カブ1億台突破記念」)、かつてのアニメ舞台の不毛っぷりは過去のものになりつつある。


*1:『傷物語』の山梨文化会館、『世紀末オカルト学院』の四方津駅、『弱虫ペダル』の富士五湖など。他所ならなんてことがないシーンも山梨では「地元が出てきたー」と騒ぎになっていた。なお『弱虫ペダル』はこれに関連して山梨県と共同でスタンプラリーをやっている。 
*2:この第5話あるが、他にも現地で温玉揚げを食べたり、桔梗信玄餅ネタをやったりとさながら「まえせつ!」が「ゆるキャン△」の聖地巡礼をやっている事態となっている

類似する他都道府県

山梨県と同じ時期に1つのアニメ作品のヒットにより状況が大きく変化した都道府県は他にもあるため、ここで取り上げる。

佐賀県

人口がほぼ同じ佐賀県も山梨県同様舞台としたアニメが少なく、2014年に紹介されたのが『河童五代目』のみ(しかもこの作品、ニコニコ大百科は勿論wikipediaにも項目がない)とアニメ舞台過疎地であった(但し佐賀県の場合は福岡県は除き隣接県もアニメ舞台が少なく、また2016年に放送された『ユーリ!!! on ICE』の舞台である唐津市が2018年版「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に登録されており、この時点で山梨県よりはまだマシな状況である。また佐賀県は山梨県と違い独自に『佐賀県を巡るアニメーション』を作ったりと山梨県よりはやる気があった)。

そして2018年には『ゾンビランドサガ』が放送開始。当初は別の作品で制作されていたが、佐賀県からアニメ舞台の依頼がありロケを行なったところ次第に佐賀県の魅力に取り込まれ、改題し佐賀県を強く推した作品に仕上がった。この『ゾンビランドサガ』も大ヒットすると聖地である「旧三菱合資会社唐津支店本館」や「ドライブイン鳥」の巡礼者が急増。地元和菓子店がコラボ菓子を販売すると当初予想より50%増の売り上げを記録したり、JR九州とコラボレーションを実施しラッピング列車を運行するなどこちらも熱狂状態となり、ゆるキャン△前後の山梨県同様「ゾンビランド前の佐賀」「ゾンビランド後の佐賀」に分けられ、また『ゆるキャン△』と『ゾンビランドサガ』は同じ2018年放送のため、アニメ紹介動画でも同じ反応になる。

愛知県

日本三大都市の名古屋市や世界のトヨタ自動車を抱え、人口第4位かつ県民総生産第2位という全国でも優良な自治体である愛知県であるが、実はご当地アニメについては不毛であった。

アニメ視聴環境については5大系列すべて整っており、特にテレビ東京系列のテレビ愛知はTOKYOMXのアニメも多く放送している(東海三県のアニメ視聴・アニラジ聴取事情を参照)という恵まれた環境であるが、愛知県を舞台にしたアニメは意外と少ない。一応愛知県を舞台にしたアニメは『うさぎドロップ』『電波女と青春男』『信長協奏曲』などがあるが、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2018年版は「世界コスプレサミット」が選定されたがこれはイベントであり、アニメ作品としてはゼロである。そして2019年版にて「世界コスプレサミット」も除外された結果、愛知県が選定された作品およびイベントはまさかの

ゼロ

という結果になった。(ちなみに同じご当地アニメ不毛の地である山梨県は『ゆるキャン△』が選定されており、名実ともに中部地方屈指のご当地アニメ不毛の地になってしまった)。しかも北隣には『君の名は。』『聲の形』『僕は友達が少ない』『ひぐらしのなく頃に』『氷菓』という西の横綱こと岐阜県があるため当然ネタにされたのは言うまでもない。岐阜県に「『のうりん』分けてやろうか?」とか言われた日にはプライドがゲシュタルト崩壊したであろう。

但し愛知県は2018年版では選定された「世界コスプレサミット」では愛知県知事や名古屋市長が仲良くコスプレをして参加したり(その後対立してるけど)、2022年には「愛・地球博」会場跡地にスタジオジブリ公認の「ジブリパーク」がオープン予定など、サブカルチャーに関しては武田信玄とテレビドラマ偏重だった山梨県と違い当初から積極的である。つまり愛知県も作品に恵まれていなかっただけで、「そんな装備で大丈夫か?」と言われても「一番いいのを頼む」と即答できるほど受け入れる準備は整っていた。

そして2019年春アニメにて『八十亀ちゃんかんさつにっき』という名古屋市を大々的にアピールした作品が放送されると愛知県総出でコラボレーションを展開。先に述べた通り元々自治体規模がでかい地域のため『ゆるキャン△』や『ゾンビランドサガ』にも劣らない(下手すればそれ以上)状況になっている。また、アニメも2020年冬アニメでは第2期、2021年冬アニメでは第3期が放送されることから、愛知県についても「八十亀ちゃんかんさつにっき前の愛知」「八十亀ちゃんかんさつにっき後の愛知」に分けられる(ちなみに第3期は『ゆるキャン△ SEASON2』と同じクールのため、かつてのご当地アニメ不毛の地の争いになる)。

余談

山梨が舞台云々ではゆるキャン△の前後で多い少ないの話になるのに対し、(作品は山梨が舞台ではないが)山梨県出身の主人公が多いのも山梨県関係のアニメの特徴である。

主人公 声優 作品名 公開年 メディア
真田遼 草尾毅 鎧伝サムライトルーパー 1988年 テレビアニメ(テレビ朝日)、OVA
ゆの 阿澄佳奈 ひだまりスケッチ 2007年 テレビアニメ(TBS)
凡田夏之介 落合福嗣 グラゼニ 2018年 テレビアニメ(BSスカパー!)
一柳梨璃 赤尾ひかる アサルトリリィ BOUQUET 2020年 テレビアニメ(TOKYOMX)

その他主人公ではないが主要キャラクターとして輿水幸子と柊志乃(アイドルマスターシンデレラガールズ)、冬美旬(アイドルマスターSideM)、安西ときわ(ミュークルドリーミー)、灰原二郎(DAYS)などがいる。

関連動画

基本的に当該タグは2017年以前の都道府県対抗シリーズのアニメ紹介にて使用され、2018年以降は「ゆるキャン△後の山梨」タグを使用となる。

たとえば2014年版で上述で紹介されているアニメ作品は先にも述べた通り本来山梨県が舞台ではない『イリヤの空、UFOの夏』と『ペルソナ4』である。もっともこうしないと山梨県で紹介できるアニメが存在しないので、動画作成者の苦肉の策ではあるが、この2作品は山梨県に主要モデル地があるので紹介そのものは完全に間違いではなく、それを指摘する必要もないと思われる。

但し『ペルソナ4』についてはモデル地の石和温泉駅舎が改築で取り壊されたということもあり、2020年版では除外されている。かわりに原作では小淵沢駅などモデル地があったがアニメ版ではそれが消されている『あさっての方向。』がリストインされているが…。

関連商品

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関連項目

  • 山梨県
  • ご当地アニメ
  • 都道府県対抗シリーズ
  • アニメ不毛の地静岡
  • 子供に優しい東京都
  • 人も街も崩壊する神奈川
  • 新聖地埼玉
  • key半島
  • 西の強豪兵庫
  • 懇願する長野
  • 山エロ県とドH木県
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