都道府県とは (トドウフケンとは) [単語記事]

都道府県とは、日本国において最大の行政区画とされる47の地方公共団体（自治体）。市町村を包括していることから、「包括的地方公共団体」と位置づけられている。

概要

都道府県の由来は明治4（1871）年の廃藩置県と思われがちであるが、実際には慶応4（1868）年に新政府が樹立され、戊辰戦争が勃発した時点で登場している。この時代の都道府県は府と県しかなく、元幕領・旗本領を政府の直轄領として中央集権的に統治するために、藩の中に混じって設置された。

その状態も廃藩置県で藩が全て県に化けたことで終了した。以降かなり長い間をかけて廃置分合・領域変更を繰り返し、さらに開拓使廃止による北海道の設置により「道」、東京府の都制施行により「都」が出来、現在の47都道府県（1都1道2府43県）になっている。なお、戦前の「道」は自治体ではなく、政府直轄地の北海道（北海道庁）と樺太（樺太庁）を含めた、1都2庁2府43県だった。

都道府県を定義している法律は戦前は「府県制」「都制」であったが、現在は「地方自治法」である。戦前と戦後の都道府県の大きな違いは、立場が戦前は市町村より上であったが戦後は同等、知事が戦前は官選なのに対し戦後は民選という点である。

近年、新たに道州制の導入が検討されており、都道府県は消滅する可能性がある。

県

都道府県の中で一番数が多い、ある意味オーソドックスな区画である。旧字体は「縣」。中国では秦代から行政区画であり、それを移入して日本側でも大化の改新以前に皇室直轄領に対し訓読みの「あがた」の方で使用していた。明治新政府が直轄領にこの区画を導入したのはそのあたりも意識していると考えられる。

府

現在は京都府・大阪府のみである。「府」の原義は「みやこ」であり、その字の意味に沿ってかつては「首都候補の地」として県よりも上位扱いされていた。

当初は元幕領・旗本領のうち、町奉行がおかれていた場所に設置され、日本各地に府があったが、太政官により「府は京都・東京・大阪のみ」とされ、「三府」と呼ばれた。

しかし昭和18（1943）年に東京府が東京都となったため「三府」の体制が崩れ、さらに戦後の道府県制廃止と地方自治法施行により県と同等とされた。

道

北海道のみ該当。「道」の名称は、律令制時代に地域区分として存在した「道」を明治初期に応用して作った「北海道」を、そのまま自治体名に変換して使用したもの。

北海道は明治維新以前は幕府の統治が一部しか及ばない地域であり、明治新政府はここを日本国内に組み入れるために「開拓使」を置いて直轄とした。この「開拓使」が明治15（1882）年に廃止になった後、函館・札幌・根室の3つの県と、農商務省の出先機関である北海道事業管理局が置かれる「三県一局体制」を経て、4年後に北海道となった。

ただしこの時点では北海道は厳密には自治体ではなく、内務省の出先機関・北海道庁の管轄、つまり政府直轄地であった。正式に北海道が自治体となったのは何と、戦後の昭和22（1947）年のことである。

都

東京都のみ該当。都道府県の中ではどこにも由来を持たない、日本独自の行政区画である。

東京には明治22（1889）年以来、東京府と東京市が存在したが、首都であることを理由に都心部における二重行政が早くから問題視された。府庁と市庁が同居していたこともあり、明治末頃からこれを合わせて「都」とすることが提案されたが、この都制案が郊外を切り捨てるものであったため地元の大反発を招き、施行出来ないまま数十年経過する事態となった。

その都制が郊外も含める形で施行出来たのは、施行時期の昭和18（1943）年が戦時中で、地方行政への国の統制が高まっていたことによる。簡単に言えば戦争の勢いで無理矢理厄介ごとを解決した形である。

都制施行は東京府と東京市の合併という形になったが、東京都の認識としては東京市が直接の前身と考えているようである（都民の日は東京市市制施行の日）。当初は知事ではなく「長官」が置かれ国の直轄扱いであったが、戦後の地方自治法施行により知事となり、地位も他の自治体と同等となった。ただし現在も東京都は県庁と市庁を兼ねており、通常の道府県と若干権限が異なる。