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この記事は第735回の今週のオススメ記事に選ばれました! 第74回隔週の私的オススメ記事、第641回今週のクソ記事にも選ばれているので三冠達成です! |
ゆるキャン△前の山梨とは、都道府県対抗シリーズにおける2017年以前のアニメ紹介動画(日本のアニメ舞台リンク集)での山梨県についてのタグである。
時は戦国時代、甲斐国を治める武田信玄はある日、家臣を集めこう述べた。
人は、石垣や城と同じくらい、戦の勝敗を決するのに大切だということを家臣に伝え、
家臣達もそれを理解し、教えに倣い兵士を大事にし、後世に伝えたのである。
さらに信玄は続けてこう述べている。
家臣がどういう意味かわからず尋ねると、信玄はこう答えている。
「今川の領地を見てみろ、舞台があっても伝える術が少なく『アニメ不毛の地静岡』と言われている。
今川ですら苦しんでいるのだから、人が少ない甲斐国だとなお苦しむことになるだろう。
それならば我々は初めからアニメは捨て、地の利を生かしドラマに力を入れるべきである。」
信玄のこの言葉に家臣たちは納得し、甲斐国から山梨県に改称した後も住民はドラマを重視し、
アニメについては舞台を設けても無意味ということを後年に伝えていったのである。
その姿勢はケーブルテレビが発達し、アニメを伝える術が構築されても変わらなかった。
『甲陽軍鑑』を基に要約
都道府県対抗シリーズのアニメ紹介の動画において、2017年以前は山梨県を舞台として作品はほとんどなく、すぐ紹介が終わってしまうというオチがついていた。しかも紹介されていたアニメは実際は山梨県が舞台ではない作品であり(後述)、実際はアニメの主要舞台がない県となっていた。
一方で2018年に『ゆるキャン△』がアニメ放送されると劇的な変化が見られるため、ここでは『ゆるキャン△』のアニメ放送が開始される前と開始された後について説明する。
2017年までに放送や公開がされたアニメのうち、山梨県が舞台または主要モデル地がある作品は以下の通り。・・・あれ?結構あるぞ?アニメの主要舞台がないというのは誇張か?と思うラインナップである。
アニメ作品名 | 公開年 | メディア | 配給・放送 |
最臭兵器(MEMORIES内) | 1995年 | 映画 | 松竹 |
ハングリーハート WILD STRIKER | 2002年 | テレビ | フジテレビ |
イリヤの空、UFOの夏 | 2005年 | OVA | 東映アニメーション |
あさっての方向。 | 2006年 | テレビ | TBSなど |
ななついろ★ドロップス | 2007年 | テレビ | AT-X、バンダイチャンネルなど |
Persona4 the ANIMATION | 2011年 | テレビ | TBS、TOKYOMXなど |
迷家-マヨイガ- | 2016年 | テレビ | TBS(アニメイズム)、BS-TBSなど |
しかし実情は後述の理由により山梨県が明確に主舞台とされる単独アニメ作品は2016年放送の『迷家-マヨイガ-』まで存在せず、『迷家-マヨイガ-』も山梨県が舞台と気づかれにくかったことが明らかになっている。
まず『最臭兵器』は実在の知名や施設、さらに甲州弁ネタまで披露するなど元祖山梨のご当地アニメともいえる作品であるが、この作品は親作品『MEMORIES』に包括されており、オムニバス形式の小作品という扱いである『最臭兵器』単体では紹介できない(一緒に包括されている『彼女の思いで』『大砲の街』は山梨県はまったく関係なし)。また、高橋陽一作品の『ハングリーハート WILD STRIKER』は設定上は山梨県が舞台となっているが、施設や風景はすべて架空で、山梨県内にモデル地が存在しない(高橋陽一は別の作品でも作者の出身地の地名を当時サッカーが盛んという理由だけで縁もゆかりもない他の県に移動させることをやったため、後年聖地巡礼で混乱が起きているから…)。
このため上記2作品はアニメ紹介動画から除外されている。また、『ハングリーハート WILD STRIKER』は勿論のこと『最臭兵器』も知名度や公開時期などからモデル地は特定されているが、聖地巡礼での紹介もほとんどされていない。
2005年にOVAとして発売された『イリヤの空、UFOの夏』は夏も身延線市川大門駅や甲斐市のボウリング場跡地などが、2011年にアニメ化された『Persona4 the ANIMATION』(以下『ペルソナ4』)も中央本線の石和温泉駅や富士吉田市の商店街が有志によってモデル地として確認されており、アニメ紹介動画での紹介は勿論のことファンによる聖地巡礼も行われている。
しかし『イリヤの空、UFOの夏』も『ペルソナ4』も公式が舞台地はおろかモデル地としても認めておらず、あくまで「非公式」という扱いである。
まず『イリヤの空、UFOの夏』は原作者の秋山瑞人が山梨県出身ということもありモデルらしき風景や施設が山梨県に集中しているが、秋山瑞人から舞台地についての発言は確認されておらず、アニメ制作サイドも山梨県をモデルにしているという話が一切ないため、ファンによる認定の域を脱していないのが現状である。そもそも秋山瑞人による雑誌のインタビューもほとんどなく、SNSも利用していない謎の人なので聞き出そうにも聞き出せないであろう。というか執筆している作品の半分が未完だから…
なお、『イリヤの空、UFOの夏』はたとえ公式が認めていたとしても、媒体がOVAのみという問題が発生する。(確かに聖地巡礼の発端となった『究極超人あ~る』や『天地無用!魎皇鬼』もOVAであるが)OVAのみの場合は年齢や宣伝形態の制約でご当地化されにくく(実際に後述で触れる「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」でもOVAのみの作品は選ばれていない。)、発売された時期が丁度OVAから独立UHFでの放送へ移行され始めた過渡期であったため、タイミングが悪すぎたともいえる。
『ペルソナ4』も山梨県に限らず全国各地にモデル地があり、ゲーム版『ペルソナ4』では確かに山梨県をモデルにした施設は確認できるが、『Persona4 the ANIMATION』ではこれらがほぼ消されている(国鉄時代の中央線特急らしき列車が登場するが、シーンを見た鉄道ファン曰く「あれは千葉県の房総半島で走っていた特急」とのこと。違いがわからないけど)。こうなった理由としてゲームでは実際プレイしないとわからないので山梨県をはじめとするモデル地を無断で取り入れても気づかれにくかったが、アニメ(ましてTBS系列)だと目立ってしまい色々と権利の問題が発生するため、原作や制作サイドも「特定の地域がない架空の舞台」としており、山梨県であることは触れていない。
このため、Wikipediaでも『イリヤの空、UFOの夏』と『ペルソナ4』は「山梨県が舞台のアニメ作品」との分類や記述がされていたが、出典がないという理由で消され、さらに出典を明記するようにとの注意書きまでされている。
そもそもこの2作品、山梨県の自治体や企業・団体とコレボレーションやイベントを一切実施しておらず、ご当地グッズも販売していない。つまり現地へ行ってもモデルらしき風景と施設を見物・撮影して終わりというがっかり巡礼になりかねないのでそこを考慮すること。その巡礼地も石和温泉駅は2014年に改築されて駅舎が変わってしまい、ボウリング場跡地も2019年に解体されるなど次第にモデル地が消えていっており、巡礼者も大幅に少なくなっていると思われる。
『イリヤの空、UFOの夏』『ペルソナ4』が非公式ながらもいち早くファンによる聖地巡礼が行われた一方、「実は山梨県にモデル地がある」「実は山梨県が舞台でした」として作品が『あさっての方向。』と『ななついろ★ドロップス』である。
まず『あさっての方向。』であるが、原作の漫画を読むと小淵沢駅らしき建物や駅前商店街らしきものがあり、確かに山梨県にモデル地がある。しかしアニメのほうはというと『Persona4 the ANIMATION』同様それらが消されている。理由はやはり『ペルソナ4』と同じ権利云々であろう、TBS系列だし。
さてこの作品であるが、2006年に放送されアニメでは山梨要素が排除されたので都道府県対抗シリーズにも聖地巡礼サイトにも挙げられていなかったが、2019年になって突如山梨県が舞台として名前が挙がるようになった。漫画を知っている人が思い出したためと思われるが、13年の時を経て突然のリストインに動画視聴者は戸惑いを隠せなかったのは当然であろう。尤も公式は認めていないので非公式である。
また『ななついろ★ドロップス』の原作(ゲームおよび漫画版)の舞台は大阪府枚方市であるが、2007年に放送されたアニメでは漫画と異なり山の麓の田舎町が舞台となった。多分アニメ監督の意向であっただろうが、当初は「架空の舞台」ということで特に舞台地云々はなく放送されていた…それから6年後の2013年、そのアニメ監督がTwitter上でこんなことをツイートしたのである。
(事実上の)公式による「山梨が舞台でした」カミングアウトである。さすがに6年のブランクがあっては盛り上げようがなく、また原作は大阪が舞台であることや放送局が限定的であったこと、さらに色々混ぜているとのことでモデル地が特定しにくく、イベント等も行われていないのでご当地としては非常に薄いと思われる。
時が過ぎ、2016年に放送された『迷家-マヨイガ-』は作品内の納鳴村のモデル地が道志村としており、実際村内の道の駅などの施設も登場する。また、放送後の5月に開催された村内イベント「Natural High! 2016」では『迷家-マヨイガ-』も参加し、出展ブースや声優のトークショーも行われ、ニコニコ生放送の特番として「TVアニメ『迷家-マヨイガ-』スペシャルニコ生~本当に道志村役場からお届けします~」が放送されるなど、山梨県がモデル地であることが(当初から)公式認定されている。
但しこの『迷家-マヨイガ-』、放送前はクラウドファンティングで集めた資金をもとに『ガールズ&パンツァー』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『艦隊これくしょん』の主要スタッフが携わっていたという話題性はあったものの、円盤売上がゴニョゴニョだったり肝心の山梨では地上波で観れなかったり(後述)で声を大にしてPRできる状況とは言い難く、また道志村イベント以降特に作品に関した動きはされておらず、ご当地アニメ紹介でも『迷家-マヨイガ-』の反応は非常に薄いものとなっている。
なお、2021年に岩手県を舞台にしたアニメーション映画『岬のマヨイガ』が公開され、以降知名度の面から単純に「マヨイガ」というと本作より『岬のマヨイガ』を指すことが多い(なにせ『岬のマヨイガ』は毎日映画コンクールアニメーション映画賞を受賞している)。そのため「『迷家-マヨイガ-』の舞台は山梨県」といっても「何言ってるんだ岩手県だろ」と作品違いに気づかず突っ込まれるケースも発生している。
また、「山梨では地上波で観れなかった」であるが、これはテレビ山梨が原因である。というのも「アニメイズム」枠はローカルセールス(全国ネットではない)であり、同局は同作を含めこれまで同枠のアニメをこれまで一切放送しておらず、更にテレビ山梨があるおかげでTBSからケーブルテレビなどでの再送信ができないというアニメファンからすれば嫌がらせとも捉えかねない環境だったことが挙げられる。まあ山梨県のケーブルテレビはオプションでBS-TBSが映るしニコニコ動画でも流していたので山梨県民で観ている人はそっちで観ていただろうけど。勿論、「スーパーアニメイズム」枠は全国ネットなのでテレビ山梨でも普通に流しているのでそれで許していただきたい。
このように「都道府県対抗シリーズですら紹介されない」「紹介されても公式が認めていない」「やっと認めたがゴニョゴニョ」という状況であるため、2018年に発表された「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」では山梨県は1つも登録されなかった。山梨県以外にも選ばれていない県はあるが、山梨県の周辺都県は登録されたアニメ舞台地が多く、山梨県とどれぐらいの差が発生しているかは下記の表の通りである。ぶっちゃけいじめだよこれ。
都県名 | 登録数 | 主な作品(自治体) |
東京都 | 25 | 「君の名は。」(新宿区) 「刀剣乱舞」(台東区) 「とある科学の超電磁砲」(立川市)など |
埼玉県 | 6 | 「らき☆すた」(久喜市) 「ヤマノススメ」(飯能市) 「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(秩父市)など |
神奈川県 | 5 | 「ハイスクール・フリート」(横須賀市) 「新世紀エヴァンゲリオン」(箱根町) 「弱虫ペダル」(箱根町)など |
長野県 | 2 | 「おねがい☆ティーチャー」(大町市) 「サマーウォーズ」(上田市) |
静岡県 | 5 | 「あまんちゅ!」(伊東市) 「ラブライブ!サンシャイン!!」(沼津市) 「ちびまる子ちゃん」(静岡市)など |
この通り周辺は活況に満ち溢れている中ぽっかり穴が開いている状態で、「ご当地アニメ不毛の地山梨」「やまなしいみなしおちなし」「(イリヤの空に絡んで)おっくれってるうーーーーーーっ!!!」と言われても仕方ない惨状であった。東京都に隣接していればいいということではないことがおわかりであろう、逆に「東京に隣接しているのに…」と言われる事案である。
この惨状を気にしているのはアニメファンだけで、山梨県民もメディアも特に気にしていない…と思ったら産経新聞が「ご当地アニメ不毛の地山梨」について以下の通り嘆いていた。
強豪に囲まれて…
なにしろ同県にはメジャーなアニメの“聖地”がないとされる。聖地は増加する訪日外国人観光客を含む観光誘致の大きな武器だが、一般社団法人「アニメツーリズム協会」が発表した「2018年版 日本のアニメ聖地88」では、山梨県からのランクインはゼロだった。
一方、近隣は『ラブライブ!サンシャイン!!』を擁する静岡県、『サマーウォーズ』の長野県、『らき☆すた』の埼玉県と“強豪県”ぞろい。それぞれ「聖地88」では、静岡(5作品)、長野(2作品)、埼玉(5作品)(※)が選ばれ、差が際立っている。
※『心が叫びたがってるんだ。』が2つの自治体で別々に登録されているため、登録数が作品数を上回っている。
上述の通り全国紙にも認定されるほどの不毛さがおわかりいただけたであろう。
ちなみに2014年に放送された『ヤマノススメ セカンドシーズン』は富士吉田市など山梨県の自治体を舞台にしている。『ヤマノススメ』自体は埼玉県飯能市が主舞台であるが、『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台として北海道函館市も登録されていることから1つの作品で複数の自治体が登録される場合もある。しかし『ヤマノススメ セカンドシーズン』は地元企業の富士急行がPRしていたが、時期が限定的だったのが影響してか「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」にて山梨県は登録されていない(「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」はファン投票を参考にしているが、中間投票の段階で名前すら出てきてなかったので選ばれないのは当然である)。
「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の場合、ご当地の人気があっても権利者の都合で選ばれない場合もある(たとえばスタジオジブリは全作品で認可しておらず、けいおん!や響け!ユーフォニアム、Free!などご当地が活況なはずの作品も選外である)が、上述を見てもわかるとおり山梨の場合は「作品がない」「あってもイベントをやっていない」「イベントをやっても認知されていない」という状況で、普通に声がかからないだけであったため、なお惨めさが伝わっていた。
上述のネガティブな説明に対し、「舞台にしたアニメがないぐらいでそんなに悲観しなくても」と思う人もいるだろうが、実はそのアニメの舞台不在により悲惨なことになっている。
まず、2010年に竣工したものの1年もたずにピエリ守山状態になった甲府市中心部にある複合ビル「ココリ」の商業施設をサブカルチャー化し、アニメイトやらしんばんが入居したのであるが、山梨を舞台にしたアニメ作品がないので売りにするものがない。で、目玉として置いたオブジェが「スバル360に乗りながら叫んでいる武田信玄」である。このオブジェ出来栄えがよくてココリに置いておくのが勿体ないぐらいではあるが、やはり信玄頼りから脱却できないというジレンマを抱える事態になった。ちなみにサブカルチャー化による効果はというと…気になる人はココリの記事を見てほしい。
また、2012年3月7日にNHKのクローズアップ現代で放送された「アニメを旅する若者たち “聖地巡礼”の舞台裏」を見た県民によって「山梨でもアニメを使ったPRをすべき」との提言が山梨県庁へなされたが、山梨県庁の回答は「ドラマの舞台地がこんなにあるんですよ」というアピール(あの、アニメ関連の提案をしているにドラマがどうとか言われましても)で、アニメそのものについては「山梨を舞台とした作品が制作されるよう、今後も引き続きロケの誘致・支援活動を強化して参ります。」の一文で済ませるというご当地をアピールするアニメそのものがないことを県庁が認めてしまう惨状であった。
さらに、2013年に「クールジャパン山梨」という山梨県から各方面へ文化産業を発信しようとしたイベントが開催されたが、山梨県として紹介できるアニメが存在せず、代わりに山梨とは無関係の『ハヤテのごとく!』と『境界の彼方』の声優によるトークショーが開催されたが、県内最大の展示場で開催されたのにもかかわらず2日間の総入場者数が500人という惨状になってしまい、その少なさにSNSだけでなくアニメイベントを取り扱うポータルサイトでもネタにされるという赤っ恥イベントであった。国のゴリ押しでやってるクールジャパンそのものが失敗企画という話もあるけど。ただこのイベントについては色々と問題があり(場所の問題や宣伝不足、コンセプトが不明など)、山梨県が舞台のアニメが存在しそれが紹介されたとしても客入りが増えたかは微妙であるが、少なからず影響していることは否定できない。
理由は様々あるが、ここで一例を挙げていく(※主観が入っている部分があるので注意)。
このような理由が挙げられる一方、アニメの舞台や聖地は運命の巡り合わせの要素が強く、舞台の数よりそれをうまく活かせるかが重要である。実際に舞台となっている作品は少ないが『ガールズ&パンツァー』の大ヒットでご当地アニメが盛況とされている茨城県の例があるのに対し、舞台や聖地は多いがそれをうまく活かせずご当地アニメ過疎地域扱いされているところも多い。山梨県の場合その作品がなかなか出てこなかっただけで悲観視することはなく、きっかけとなる作品が現れるまでの準備を整えておくことが重要である。
ただきっかけとになる作品が現れても「クールジャパン山梨」を見る限り「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」と失敗するのは明白であったため、山梨県はそれに向けての準備やノウハウ蓄積を開始した。
まず2016年に上述のハローキティをはじめとするサンリオとのコラボレーション実施を契機にサブカルチャー関連のイベントを次々と開催。山梨県主導で開催した「山梨マンガ・アニメラボ×まるごとやまなし館 コラボカフェ」では山梨県出身の声優である三澤紗千香のトークショーや山梨県出身の漫画家によるイラスト展示などを行なっている。
また同じ時期に山梨放送の親会社である山日YBSグループ系列のデジタルデビジョンの企画で『アイドルマスターSideM』とのコラボレーション「アイドルマスターSideM×山梨」を開催。メンバーに山梨県出身の冬美旬がいることもあり実現した企画で、山梨特産の水晶細工や甲州印伝を使った関連商品やイベント、さらにメディアを使っての宣伝やバスツアーの実施など作品とのコラボレーションについてのノウハウを蓄積していった。
そして程なくその作品が現れ、「ゆるキャン△前の山梨」は終了することになる。
2017年7月に山梨県を舞台にした『ゆるキャン△』の2018年冬アニメ化が発表され、さらに制作段階から芳文社などの『ゆるキャン△』サイドは作品のリアリティを求めるため山梨県にロケ協力を要請。山梨県も先述の準備がほぼ整った状態であったためこれを快諾し、全面協力を打ち出した。
しかし、『ゆるキャン△』を取り巻く環境は険しいものであった。ます2018年冬アニメのラインナップであるが、類を見ない「激戦区」となってしまったのである。
作品名 | 出版・制作 | 備考(受賞など) |
ヴァイオレット・エヴァーガーデン | 京都アニメーション | 第5回京都アニメーション大賞 大賞 ※2021年時点で10回開催して唯一の大賞作品 |
宇宙よりも遠い場所 | KADOKAWA | ニューヨークタイムズ 「The Best TV Shows of 2018」 |
ポプテピピック | 竹書房 | ドワンゴ&ピクシブ「ネット流行語100 2018」 |
続『刀剣乱舞-花丸-』 | DMM GAMES | 前作は円盤売上1.9万枚(DVDとBDの合算) |
要約すると「京アニの最高傑作」と「KADOKAWA久々の大成功日常系」と「竹書房のエース」と「ブームを作ったアプリゲームの第二期アニメ」が同一クールに集まり、「2018年冬アニメの覇権アニメはこの中から決まる」という評価で、ほかにも 『からかい上手の高木さん』や『りゅうおうのおしごと!』といった事前評価の高い作品や、(2クールアニメのためクール別覇権対象外であるが)ゲームダウンロード数400万の『アイドリッシュセブン』やかつて週刊少年ジャンプで長期連載をしていた『覇穹 封神演義』など見たいアニメが多すぎて『ゆるキャン△』まで見る人はいないのでは?という状況であった。
さらに『ゆるキャン△』であるが、発表当初の反応は薄いものであった。というのも第1巻の初動はわずか765部、その後も単行本売上も他のきらら上位と比較してもよろしくなく(放送直前に発売された第5巻も初動売上は1万部程度)と部数だけ見たらアニメ化された理由が不明で、きららファンの評価は「(まんがタイムきらら系としては)同じクールの『スロウスタート』のほうが期待できる」や「こんなのより『がっこうぐらし!』の二期やれよ」と惨憺な評価で、他のアニメファンも「見た感じ(同じクールの)『ラーメン大好き小泉さん』と被っている」や「『ヤマノススメ セカンドシーズン』には届かない(大体3000枚)だろうけど、それに近い数字が出ればいいね」と原作を見ていない人を中心にあまり期待されていなかった。この状況と作品自体の評価に山梨県のアニメファンも「『迷家-マヨイガ-』の二の舞になるのでは」と心配され、「山梨にご当地アニメは無理」と半ば諦めムードもあった。
しかしこれらの心配をよそに山梨県はガチだった。2017年11月にやまなし観光推進機構がアニメサイドの許可のもとゆるキャン△の特設サイトを開設。公式イラストのモデル地を紹介し、現地撮影のうえ公式イラストとの比較を掲載。また同月15日のコラボカフェでも『ゆるキャン△』をPRするなど、まだアニメが放送されていないのにもかかわらず舞台や聖地を山梨県がアピールしていった。この噂とキービジュアルのクオリティの高さからとりあえず観てみようという人が次第に増えていったのである。
また、『ゆるキャン△』は山梨県内の放送開始時の視聴環境も万全の準備を行っている。テレビ放送はケーブルテレビを介すれば視聴可能なTOKYO MXやBS11での放送(これだけで県内の8割以上をカバー)、さらにニコニコ生放送やdアニメストア、Amazonプライムなど多くのアニメチャンネルで視聴可能である。つまり「ケーブルテレビもインターネットもない」という状況でない限り容易に視聴でき、山梨県も「TOKYO MX・BS11などで放送」とPRすることができたため、これが山梨県民の認知度を上昇するきっかけとなった。
2018年1月4日に『ゆるキャン△』第1話が放送されるとその翌日に特設サイトにて第1話のモデル地が紹介され、その後も山梨県内が話の舞台であれば翌日には更新されるという早さで支援が行われる。作品自体もクオリティの高さが話題を呼び、アニメチャンネルでは回を追うごとに視聴者が急伸していった。その後もやまなし観光推進機構は山梨県内の舞台地では翌日、長野県や静岡県がモデル地の場合も2~3日後にモデル地紹介を更新し、『ゆるキャン△』をバックアップ。丁度キャンプブームのさなかであったこともあり、作品を見たファンが山梨県内のモデル地に殺到し、山梨県民も『ゆるキャン△』の話題でもちきりとなり、普段は冬場になると閑散としている山梨県内のキャンプ場は予約で一杯、少数生産だった舞台地の饅頭屋は売り切れが続出しフル生産しても追いつかない状況とうれしい悲鳴を上げていた。
肝心のアニメであるが、公式生放送終了後アンケートでは評価1(とてもよかった)が軒並み95%オーバー、6話までの振り返り放送では98.4%を叩き出して2018年冬アニメの覇権レースに参戦。最終的には『宇宙よりも遠い場所』と競う状況となったが、円盤売上では1万3千枚を超え、単行本も最終回終了時点で250万部を突破、結果2018年冬アニメのクール別覇権アニメに認定されている。
この予想をはるかに超える大ヒットで山梨県は「信玄公の再来」「オツオリ以来の衝撃」とお祭り騒ぎ。こうなったら観光県を自負する山梨県、『ゆるキャン△』というご当地アニメをアピールするため、斜め上のPRを次々と展開していったのである。
それではご覧いただきましょう、『ゆるキャン△』に熱狂した山梨県の姿を。
このように今までアニメの舞台がなかった分の反動が凄く、さらに『ゆるキャン△』はアニメもドラマも成功するという類稀な作品となり、山梨県(特に舞台となっている身延町周辺)は活況に満ちた状態となっている。まさに「ゆるキャン△様様」である。
さらに山梨大学などが試算した『ゆるキャン△』の経済効果を受けて山梨県知事は2019年8月にアニメを使った町おこしを宣言し、観光特別予算を組み山梨を舞台にしたアニメを積極的にアピールすることになった。
その結果、2019年度版「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」では『ゆるキャン△』が山梨県で初めて選定され、それに続けといわんばかりの山梨絡みのアニメが次々と誕生することになる。
『ゆるキャン△』効果と山梨県のアニメ全面バックアップ宣言の影響もってか、2020年秋アニメでは山梨県が舞台またはモデル地があるアニメ作品が3つも放送された。『ゆるキャン△』が放送される前は1年に1作品程度モデル地として登場すればよかったレベル[2]で、1クール3作品同時は(山梨県にとって)異例である。
作品名 | 山梨県の舞台 | 本来の舞台 | 山梨での放送局 | 山梨の主な聖地 |
アサルトリリィ BOUQUET | 甲州市[3] | 神奈川県鎌倉市 | テレビ山梨 | 祝橋、勝沼ぶどう郷など |
神様になった日 | 山梨市[4] | テレビ山梨[5] | 万力公園など | |
まえせつ! | 笛吹市・山梨市 | 埼玉県さいたま市 | 山梨放送 | 石和温泉など |
実は『アサルトリリィ BOUQUET』と『まえせつ!』は2020年夏アニメの放送予定であったが、新型コロナウイルスの影響で2020年秋アニメへスライド。元々秋アニメとして放送の『神様になった日』とバッティングし、このような事態になったのである。
この状況について、地元紙の山梨日日新聞はウッキウキで以下の記事を掲載している。
今秋、山梨県内が作品に登場するアニメが放送され、アニメファンから熱視線が注がれている。 お笑い芸人を目指す女の子が登場する『まえせつ!』には石和温泉など峡東地地域が描かれる。 観光関係者は、一大ブームとなった『ゆるキャン△』のように、作品を通して地域の魅力が発信され、誘客効果に繋がることを期待している。
『まえせつ!』は『らき☆すた』で知られる美水かがみさんが原作イラストを手掛けるオリジナルテレビアニメ。周囲を笑顔にさせ、 癒やしを与えるために奮闘する登場人物の日常を描く。生活の舞台は埼玉県という設定だが、地方営業として笛吹・石和温泉を訪れる物語が展開される。 YBS山梨放送で10月18日から放送が始まり、11月8日放送予定の4話以降、県内の風景がたびたび登場するという。
『まえせつ!』の企画プロデューサー伊藤敦さんは「これまでは東京近郊が舞台となる作品が多かったが、飽和気味。オリジナル作品の場合、 都心から2時間で行ける距離で、自治体のサポートも手厚い山梨を舞台にする動きが増えている」と説明。「地元住民も温かく取材しやすい。 足を運ばないと分からない魅力もたくさんあると感じている」と話す。
映画やドラマなどの撮影、誘致する県内自治体のフィルムコミッションには近年、アニメ関連の相談が増えているという。県のフィルムコミッション担当者は「作品を通して、その地域の魅力を知り、訪れてもらう効果を期待してサポートしている」と話す。
一方、『神様になった日』(TOKYO MXなどで放送)をはじめ、複数のアニメ番組を見た一部ファンが作品中の場面に似ているとして、県内を 「聖地巡礼」する動きも出ている。
ちなみに『まえせつ!』が大多数を占めている理由は記事を書いた山梨日日新聞と放送している山梨放送が同じ山日YBSグループであり、『神様になった日』が少し触れられているのは山日YBSグループ系列のケーブルテレビ局である日本ネットワークサービスを介して放送しているからである。『アサルトリリィ BOUQUET』は県内で放送しているのがライバル局のテレビ山梨だから…お察しください。
なお、2020年秋アニメではないが、テレビ東京で放送されている『ミュークルドリーミー』の35話「流れ星にお願い☆」(2020年12月27日放送)にてメンバー一行がふたご座流星群を見るため山梨を訪れている。つまり2020年秋クールの期間、4作品も山梨絡みのアニメが放送されたことに…サンリオさんもしや狙った?
2021年に入ると『スーパーカブ』という「実際の山梨の地名や実在する施設が使われてる」「主人公がバイクに乗っている」など『ゆるキャン△』と被るところが多々ある作品が現れ、2021年春アニメとして放送が開始された。
さてこの作品、2020年5月にアニメサイトが発表されたものの半年以上放置されたり、主人公の声優がYouTuberだったり、あげくプロモーションビデオで道路交通法違反やらかしたりと放送前からざわ・・ざわ・・な状態で心配されたが、いざ放送が開始されるとゆるキャン△に負けず劣らずの独特な作画で注目を集めることになった。ただ途中から違った意味で注目を浴びる展開になり、『ソードアートオンライン』の川原礫やハライチ岩井を巻き込んでの騒動に発展し、ついには「ワイドナショー」で取り上げられて松本人志が騒動に言及するなど違った意味で『ゆるキャン△』以上にはなっている。
舞台となった北杜市は「うちもアニメの舞台地になったずら」とやはり狂喜乱舞で、舞台地のスーパーはキャラメルやクッキー作って売り出したり、市内のあちこちで作品に関連した展示コーナーができたり、表紙を飾った広報誌がメルカリに出品されたり(※違反です)で1億台記念バイクアニメにふさわしい『ゆるキャン△』のライバルを大々的にアピールしている。『スーパーカブ』が一方的に絡んでる?気のせいだ。
さらにこの『スーパーカブ』、円盤売上や配信再生数こそ『ゆるキャン△』には及ばないが、舞台巡礼者は『ゆるキャン△』に匹敵している状況である。2022年4月に開催されたアニメ放送開始1周年イベントでは公共交通機関が乏しい場所でほぼバイクでの来場限定ということもあり「50人来れば上出来」と踏んでいた主催者の予想を大きく上回る300人以上の参加者が押し寄せ、会場に入りきれず主催者が謝罪する事態になり、またイベントからゴールデンウィークの期間に実施されたスタンプラリーもコロナ禍の規制がほとんどなかったこともあり多くの人が巡礼している。なお、『スーパーカブ』も『ゆるキャン△』と一緒に2022年度版「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に選定され、山梨県内では『南のゆるキャン△、北のスーパーカブ』とまでなっている。
これら山梨が舞台の作品が次々と放送される中、2021年冬アニメとして『ゆるキャン△ SEASON2』が放送され、さらに2021年春にはドラマ版第2期『ゆるキャン△2』の放送が立て続けに始まるなど、『ゆるキャン△』の勢いも止まる気配がない。でも『ゆるキャン△ SEASON2』および『ゆるキャン△2』は静岡県のほうが乗り気で「静岡県はゆるキャン△県」という言葉も…おや、誰か来たようだ。
2022年7月1日より映画の上映も開始。山梨県内では昭和町のTOHOシネマズ1箇所のみ(というか「どうしてこうなった…」で述べた通りハード的に上映できる場所がここしかない)であるが、初日の最初の上映で満員御礼、その後も他所と比べても動員は上々である。なお、上映開始日が偶然にも山梨日日新聞の創刊150周年と同じ日であるが、それを記念してかこの日の同紙では2面で150周年をPRする広告が2面ぶち抜きで掲載されたが、それに使用されたのは武田信玄でもハローキティでも『スーパーカブ』でもなく『ゆるキャン△』である。映画の宣伝も兼ねているだろうが、やはり山梨県と『ゆるキャン△』は切っても切れない関係ということが表されている。
1つのアニメ作品のヒットによりご当地状況が大きく変化した都道府県の例をここで取り上げる。
茨城県もニコニコ動画にアニメ舞台地紹介が紹介された当初は「アニメ不毛の地」で、2010年の動画では「主人公が美浦トレーニングセンターに所属しているから」という理由で『みどりのマキバオー』が半ば強引に茨城県のアニメとされたり、1970年代のアニメが紹介されたりと「ご当地アニメ不毛の地」っぷりはなかなかで、さらに茨城県には『水戸黄門』という国民的歴史ドラマがあったことから状況は山梨県に非常に似ていた。
2012年に『ガールズ&パンツァー』の放送が開始され、その後舞台地である大洗町がどういう状況かは説明不要で、本作が公開されて10年が経つ2022年でも大洗町のあちこちでグッズが販売されてイベントも行われており、聖地巡礼が止まることがない時点で「ガルパン前の茨城」と「ガルパン後の茨城」の差は本記事以上である。尤も『ガールズ&パンツァー』はご当地アニメというジャンルができてから早い時期に放送されたため山梨県と異なり「アニメ不毛による悲劇」は少なかったのであるが、一方で「ガルパンが強すぎて他が出てこない」という別の問題も発生している(実際「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」でも『ガールズ&パンツァー』以外は選定されていない)。
『ゆるキャン△』のもう一つの舞台地で、他にも「東の埼玉、西の岐阜」にひけを取らないほど舞台地が豊富にある静岡県であるが、実は『ラブライブ!サンシャイン!!』の前まではご当地に関しては非常に苦労しているので取り上げる。
まず『ラブライブ!サンシャイン!!』より前に静岡県を舞台にしたアニメは以下の通りで、ぶっちゃけ言うと「富士山の南と北でなぜここまで差があるの?」と思うラインナップであったのは確かである。
アニメ作品名 | アニメ放送開始年 | 舞台地 | 備考 |
キャプテン翼 | 1983年 | 南葛市 | 当時の静岡市と清水市の間にある架空の地域 |
ちびまる子ちゃん | 1990年 | 静岡市清水区 | 放送開始時は清水市 |
シュート! | 1993年 | 掛川市 | 実写映画もあり。ちなみに主要キャストがSMAP |
苺ましまろ | 2005年 | 浜松市 | |
夏色キセキ | 2012年 | 下田市 | |
勇しぶ。* | 2013年 | 掛川市 |
*:『勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。』の略称。タイトルが長いので以下『勇しぶ。』と表記する。
このうち『キャプテン翼』『ちびまる子ちゃん』『シュート!』は20世紀の作品のため、巡礼者は多いがご当地アピールとしてはわりとひっそりしている(『ちびまる子ちゃん』はどちらかといえば国民的アニメというのもあるし、『キャプテン翼』については『ハングリーハート WILD STRIKER』でも触れた通りである)。
21世紀となり、まず『苺ましまろ』という『らき☆すた』よりいち早くご当地アニメとして確立されたアニメがある…のだが、アニメ放送中にファンが大挙して押し寄せ、これに対し地元住人からの苦情が殺到。浜松市も看破できないことからKADOKAWAに申し入れ、ついには漫画の掲載紙であるコミック電撃大王が(2006年3月号にて)巡礼自粛を呼びかける事態になってしまった。こうなった理由は「ご当地アニメの草創期でルール整備や現地との調整が行われておらず、結果治安面で問題が発生した」ことが挙げられている。その後KADOKAWAが浜松市と協議を重ねて和解し、改めて痛タクシーなどをしたが2011年になってからで、もし騒動がなければ『らき☆すた』より先にご当地アニメを確立できたはずで、今でも非常に悔やまれる例である。
続いて『夏色キセキ』であるが、こちらも伊豆急行が専用列車を仕立てるなど放送中は官民挙げて派手にアピールをしていたが、(諸事情により)アニメが終了した途端「そんなものはない」となってしまい、イベントの終了はもとよりあれだけ貼られてたポスターも撤去、あげく舞台となった足湯が老朽化を理由に市議会の賛成多数により存続運動無視で解体してしまった。この対応にファンからは「自治体は作品を理解せずに観光目的ありきでアピールし、効果が少ないとなるやさっさと撤収した」と捉えられてしまい、副題でご当地アピールをしすぎて国営放送で吊し上げを喰らったアニメや、年齢制限があるのを知らずにイベントをやろうとして制作サイドからお断りを喰らったアニメと並ぶ「ご当地アニメの失敗例」として現在でも名が挙げられることがある(断りを入れておくがあくまでご当地として失敗しただけで作品が悪いわけではない)。
このようにご当地の失敗が相次いだことから『勇しぶ。』でも静岡を代表するハンバーグ店の「炭焼きレストランさわやか」などが協力しているが限定的となり、一時期「静岡は禁足地」「巡礼者に厳しい静岡県」というイメージがついてしまったが、「助けて、ラブライブ!」という当時の静岡の悲鳴を具現化したフレーズと共に沼津の地に降臨した『ラブライブ!サンシャイン!!』がこれまでの失態を吹き飛ばすほどの盛況となり、今ではご当地アニメでも先進県となっている。そのため山梨県とは違った意味で過去の状況を「ラブライブ!サンシャイン!!前の静岡」ということがいえるであろう。
ちなみに静岡県には「アニメ不毛の地静岡」というものがあるが、これは2010年頃までの静岡県のアニメ視聴環境を表したものであり、ご当地アニメで使用されるものではない。その視聴環境もネット配信の発達で有名無実化されているので、使用には注意されたし。
日本三大都市の名古屋市や世界のトヨタ自動車を抱え、人口第4位かつ県民総生産第2位という全国でも優良な自治体である愛知県であるが、ご当地アニメについては不毛である。
アニメ視聴環境については5大系列すべて整っており、特にテレビ東京系列のテレビ愛知はTOKYOMXのアニメも多く放送している(東海三県のアニメ視聴・アニラジ聴取事情を参照)という恵まれた環境であるが、愛知県を舞台にしたアニメは意外と少ない。一応愛知県を舞台にしたアニメは『うさぎドロップ』『電波女と青春男』『信長協奏曲』などがあるが、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」2018年版は「世界コスプレサミット」が選定されたがこれはイベントであり、アニメ作品としてはまさかの
という結果になった。(ちなみに同じご当地アニメ不毛の地である山梨県は2019年以降『ゆるキャン△』が選定されたことで愛知県が名実ともに中部地方屈指のご当地アニメ不毛の地になってしまった)。しかも北隣には『君の名は。』『聲の形』『僕は友達が少ない』『ひぐらしのなく頃に』『氷菓』という西の横綱こと岐阜県があるため当然ネタにされたのは言うまでもない。岐阜県に「『のうりん』分けてやろうか?」とか言われた日にはプライドがゲシュタルト崩壊したであろう。
但し愛知県は「世界コスプレサミット」にて愛知県知事や名古屋市長が仲良くコスプレをして参加したり(その後対立してるけど)、2022年には「愛・地球博」会場跡地にスタジオジブリ公認の「ジブリパーク」がオープン予定など、サブカルチャーに関しては武田信玄とテレビドラマ偏重だった山梨県と違い当初から積極的である。つまり愛知県も作品に恵まれていなかっただけで、「そんな装備で大丈夫か?」と言われても「一番いいのを頼む」と即答できるほど受け入れる準備は整っていた。
そして2019年春アニメにて『八十亀ちゃんかんさつにっき』という名古屋市を大々的にアピールした作品が放送されると愛知県総出でコラボレーションを展開。先に述べた通り元々自治体規模がでかい地域のため『ゆるキャン△』や『ゾンビランドサガ』にも劣らない(下手すればそれ以上)状況になっている。また、アニメも2020年冬アニメでは第2期、2021年冬アニメでは第3期が放送されるなど続いており、愛知県については「八十亀前の愛知」「八十亀後の愛知」に分けられる。
琵琶湖がある滋賀県であるが、ご当地アニメのジャンルが確立されて間もなくあるアニメのヒットで不毛の地は脱出しているとされている。
2009年に放送された『けいおん!』の桜が丘高校のモデルは豊郷町立豊郷小学校の旧校舎で、実際放送後はファンが大挙して巡礼を行なっている。さらに受け入れ側の商工会側も旧校舎に『けいおん!』を意識した軽音楽器を設置し一般公開を行なうなど協力的で、時期が早いが「けいおん!前の滋賀」「けいおん!後の滋賀」と明確な分岐点がある。
しかし「けいおん!の舞台地は滋賀県」ということに関して様々な異論があり、分岐として成立していないという意見もある。まず『けいおん!』の原作では旧校舎は出てきておらず、この設定はアニメ版からある。さらにアニメ版を製作していた京都アニメーションが2009年9月22日の中日新聞で「モデルは豊郷町立豊郷小学校ではない」と否定している。実際作品を見ると修学旅行で京都へ向かう際は東海道新幹線に乗って富士山が見えると盛り上がっており(舞台が滋賀県であればこの描写はありえない)、豊郷町立豊郷小学校はあくまで非公式のモデル地という扱いとなっている。その影響もあり「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」でも『けいおん!』は京都アニメーションが否定していることもあり選定されていない。
但し滋賀県を舞台とした作品は他に『中二病でも恋がしたい!』と『ちはやふる』があるが、前者は大津市にモデル地があり京阪電鉄石山坂本線もラッピング列車を走らせたものの現地でイベントをあまりやっておらず(千葉市で開催されたニコニコ超会議で『悪魔のリドル』とコラボを実施したり、10周年イベントも東京都立川市や八王子市で開催するなど『けいおん!』とは逆に関東に集中)、後者もモデル地が分散しており明確に滋賀県と言えない。一方で『けいおん!』で盛り上がっているの確かで、先述の通り描写的に関東あたりが舞台と思われるが、公式では「明確な舞台地はない」としていることから「(自治体的には)『けいおん!』は滋賀県に異論を言うところはない状態」のため、やはり分岐は成立していると思われる。
山梨県と人口がほぼ同じで、ローカル局はサガテレビの1局のみである佐賀県も山梨県同様舞台としたアニメが少なく、2014年に紹介されたのが『河童五代目』のみ(しかもこの作品、ニコニコ大百科は勿論wikipediaにも項目がない)とアニメ舞台過疎地であった。
しかし2016年に放送された『ユーリ!!! on ICE』が唐津市で、唐津城や虹ノ松原など唐津市の風景がふんだんに登場。さらに円盤売上が6万枚を超える大ヒットとなり、2016年の年間覇権アニメとなった。当然2018年版「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」でも登録され、これだけ見れば「ユーリ前の佐賀」「ユーリ後の佐賀」に分けられる…と思われた。
ところが、『ユーリ!!! on ICE』からわずか2年後の2018年に『ゾンビランドサガ』が放送開始されるとこちらも大ヒット。当初は別の作品で制作されていたが、『ユーリ!!! on ICE』での唐津市の盛り上がりを見た佐賀県からアニメ舞台の依頼がありロケを行なったところ次第に佐賀県の魅力に取り込まれ、改題し佐賀県を強く推した作品に仕上がった。この『ゾンビランドサガ』も大ヒットすると聖地である「旧三菱合資会社唐津支店本館」や「ドライブイン鳥」の巡礼者が急増。地元和菓子店がコラボ菓子を販売すると当初予想より50%増の売り上げを記録したり、JR九州とコラボレーションを実施しラッピング列車を運行するなど熱狂状態となり、2018年の年間覇権アニメとなっている。
この状態で「佐賀県のアニメの転換点はユーリかゾンサガか」と意見が分かれることになる。というのも『ユーリ!!! on ICE』は唐津市に限られるのに対し『ゾンビランドサガ』はほぼ県全域で、しかもタイトル的には後者のほうが佐賀であることを強調している(そもそも『ユーリ!!! on ICE』はフィギュアスケートをテーマにしているが、唐津市はおろか佐賀県には1999年に「佐賀スポーツセンター」が閉鎖されて以降アイススケート場がない。ちなみに『ユーリ!!! on ICE』のアイススケート場のモデルは福岡県飯塚市にある)。そのため「佐賀県全体を基準にすれば「ゾンサガ前の佐賀」「ゾンサガ後の佐賀」で区切られるのでは」という横槍が入り、アニメ不毛の地からすれば贅沢な悩みを抱えることになる。
なお、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」の2019年版では『ユーリ!!! on ICE』が除外され、また『ゾンビランドサガ』も選定されていない(つまり佐賀県からは1つも選ばれていない)。どちらも聖地巡礼はいまだ活況で、人気面では間違いなく選定される作品同士であるため、諸般の事由が発生してしまっていると思われる。
山梨が舞台云々ではゆるキャン△の前後で多い少ないの話になるのに対し、(作品は山梨が舞台ではないが)山梨県出身の主人公が多いのも山梨県関係のアニメの特徴である。
主人公 | 声優 | 作品名 | 公開年 | メディア |
真田遼 | 草尾毅 | 鎧伝サムライトルーパー | 1988年 | テレビアニメ(テレビ朝日)、OVA |
ゆの | 阿澄佳奈 | ひだまりスケッチ | 2007年 | テレビアニメ(TBS) |
凡田夏之介 | 落合福嗣 | グラゼニ | 2018年 | テレビアニメ(BSスカパー!) |
一柳梨璃 | 赤尾ひかる | アサルトリリィ BOUQUET | 2020年 | テレビアニメ(TOKYOMX) |
天鷲葵 | 瀬戸麻沙美 | BIRDIE WING -Golf Girls' Story- | 2022年 | テレビアニメ(テレビ東京) |
その他主人公ではないが主要キャラクターとして輿水幸子と柊志乃(アイドルマスターシンデレラガールズ)、冬美旬(アイドルマスターSideM)、安西ときわ(ミュークルドリーミー)、芹沢千香瑠(アサルトリリィ)、灰原二郎(DAYS)、早乙女イチナ(BIRDIE WING -Golf Girls' Story-)などがいる。
一方で山梨が舞台であるが主要人物が山梨出身でない作品も多い。『ゆるキャン△』では各務原なでしこは静岡県浜松市出身(犬山あおいは親戚が岐阜県高山市だったり関西弁だったり紛らわしいが、一応山梨)、『スーパーカブ』でも小熊と礼子、恵庭椎と主要人物3人とも高校入学時に東京から移住してきたという設定で(小熊は埼玉県生まれ)、『迷家-マヨイガ-』にいたってはバスツアーの参加者が30人もいながら地元民ゼロであることなど、出身地と舞台地が一致しない作品が多い。
山梨県出身の声優も結構おり、代表的な人物は『アイドルマスター シンデレラガールズ』前川みく役の高森奈津美と『ウマ娘 プリティーダービー』サクラバクシンオー役の三澤紗千香がいる。この2人は普段から甲州弁を多用しており、また音泉で放送されているインターネットラジオ「はくばく Presents 高森奈津美・三澤紗千香の山梨応援ラジオ」でもパーソナリティを務めている。ちなみに「○○だニャー」「バクシーン!」とキャラになりきるわけではないのでそこは期待してはいけない、というかそれで放送したら事故になってしまう。
他には『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の金丸淳一、『北斗の拳』サウザー役の銀河万丈、『魔法先生ネギま!』長谷川千雨役の志村由美も山梨県出身である。
基本的に当該タグは2017年以前の都道府県対抗シリーズのアニメ紹介にて使用され、2018年以降はゆるキャン△後の山梨タグを使用となる。
たとえば2014年版で上述で紹介されているアニメ作品は先にも述べた通り非公式の『イリヤの空、UFOの夏』と『ペルソナ4』である。もっともこうしないと山梨県で紹介できるアニメが存在しないので、動画作成者の苦肉の策ではあるが、この2作品は山梨県にモデル地があるので紹介そのものは完全に間違いではなく、それを指摘する必要もないと思われる。
それから7年後の2021年版、先述の2作品から7作品まで急増である。もちろん正真正銘れっきとした山梨が舞台の『ゆるキャン△』と『スーパーカブ』、舞台ではないがモデル地としてご当地化されている『迷家-マヨイガ-』と『神様になった日』、原作だけは山梨にモデル地がある『あさっての方向。』もリストインである。
なお、『ペルソナ4』は動画投稿者によっては関連性が薄すぎるということで除外されることもある。
掲示板
100 ななしのよっしん
2023/09/25(月) 23:14:45 ID: AH7hzXDF+r
冥王計画ゼオライマーが触れられてない件。当時のアニメとしては珍しくロケハンを行った作品で
河口湖や青木ヶ原樹海が主な舞台だし富士吉田市内や富士急ハイランドも出てくる
101 ななしのよっしん
2023/10/22(日) 09:35:54 ID: T/TPDGpWrm
102 ななしのよっしん
2023/11/11(土) 23:07:22 ID: l7bD7N+K9M
>>95
スーパーカブはバイク通学に寛大な山梨だからできる作品
適当な地域でやっても「バイク通学許されてないんだけど」とツッコミが入る
急上昇ワード改
最終更新:2023/11/30(木) 01:00
最終更新:2023/11/30(木) 01:00
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