セフト(競走馬)とは (セフトとは) [単語記事]

セフト(Theft)とは、1932年アイルランド生まれ、イギリス調教の競走馬である。

概要

父Tetratema、母Voleuse、母父Volta。
父Tetratemaは2000ギニーとキングジョージS(5ハロン)、キングススタンドS(5ハロン)、ジュライC(6ハロン)などを優勝した快速馬。
母Voleuseは5戦3勝。母父VoltaはジュライCなどの優勝馬。
かなりスピードが勝った血統である。

セフトはイスラム改革運動の英雄で世界的富豪でもあったアガ・カーン殿下によって生産・所有された。
調教ではよく走る素直な馬だったので、アガ・カーン殿下と調教師のバターズ氏はかなり期待をかけていた。

デビュー戦のウィンザーキャッスルSでは人気薄ながらもオークス馬Tobogganの子Bobsleighを2馬身下し優勝した。
そして2戦目のナショナル・ブリーダーズ・プロデュースS、このレースにはもう1頭同馬主・同厩舎の競走馬も出走していたのだが……調教で全く走らなくて「怠け者」と言われていたその馬は、後の三冠馬Bahram。この時点では当然セフトのほうが人気であり、期待も高かったが、蓋を開けるとBahramにアタマ差交わされて敗北してしまった。まあここでは9ポンドのハンデ差があったししょうがないかもしれない。
気を取り直してハムS、ブリーダーズフォールプレート、バッケナムSを3連勝して2歳時の成績を5戦4勝で終える。一方Bahramも順調に勝ち進んで5戦5勝でシーズンを終えた。

3歳時にはBahramが熱発で順調さを欠いた一方、セフトはグリーナムSを順調に勝利した。
そして2000ギニーステークス、Bahramと2度目の対決となったが、ここでも体調不良だったはずのBahramに追い抜かれ2着に敗れた。つまり、Bahramと同じ世代でなければセフトの方が無敗の2000ギニー馬として歴史に残っていたかもしれないのである。

次走、ダービーステークスではスプリンター血統の限界からか4着に敗れた。
適正距離と思われるジャージーS(7ハロン)では2馬身のセーフティーリードで勝利したが、続くエクリプスSでは古馬最強馬のWindsor Ladに3/4馬身差で敗れた。その後は重ハンデを避けたのか陣営の意向なのか今となっては不明だが短距離路線には行かずに10ハロン前後のレースに使い続け、ローズベリーSというマイナーレースを1勝したのみで4歳で引退した。

通算16戦7勝。

種牡馬として

引退後は日本に輸入され、官営日高種畜場で供用されることとなった。この時代の日本ではすでに激しいサラブレッド改良が始まっていて、*シアンモア、*プリメロ、*トウルヌソル、*ダイオライトなどライバルは多かったが、2年目の産駒から京都農林省賞典四歳呼馬(現・菊花賞)を制したハヤタケが出た。戦後になると毎年のように重賞優勝馬を輩出し、特に朝日杯3歳ステークス、阪神3歳ステークスに強いなど仕上がりの早さが目立ったが、中にはシーマーやタカクラヤマといった天皇賞の優勝馬も現れた。1947年から1951年の5年リーディングサイアーとなった。産駒の中でも特筆すべきなのは10戦無敗のダービー馬トキノミノルであろう。
セフトは1950年に心臓麻痺で19歳で死亡したが、1953年にボストニアンが皐月賞・ダービーの二冠に輝いている。

血統表

Tetratema 1917 芦毛	The Tetrarch 1911 芦毛	Roi Herode	Le Samaritain
			Roxelane
		Vahren	Bona Vista
			Castania
	Scotch Gift 1907 鹿毛	Symington	Ayrshire
			Siphonia
		Maund	Tarporley
			Ianthe
Voleuse 1920 鹿毛 FNo.26	Volta 1912 鹿毛	Valens	Laveno
			Valenza
		Agnes Velasquez	Velasquez
			Agnes Galliard
	Sun Worship 1912 鹿毛	Sundridge	Amphion
			Sierra
		Doctrine	Ayrshire
			Axiom