ヨーロッパでペスト(黒死病)が流行していた17世紀頃、ペスト専門の医師が着用していた防護用マスクで、鳥のくちばしのような円錐型の筒がついた、顔全体を覆うガスマスクのような形状をしている。
鳥のくちばしのような筒の中には、アンバーグリスや薔薇、ハーブなどいい香りをするものが詰められており、息をするたびにいい匂いを感じることができる(香水がつけられていることもあったとか)。当時は悪い空気には毒が含まれているとか、悪臭には瘴気があり、それが原因で病気になると考えられていたため、このようにいい香りで空気を浄化することで感染を防ぐ目的で着用されていた。
ペストマスクの着用だけではペスト医師の恰好としては不完全で、ペストマスク+つば広の帽子+黒のロングコート+木の杖+手袋+ブーツが概ね正式な組み合わせ。肌の露出を避けるため、全身を覆うロングコートの上からペストマスクを着用してその上につば広の帽子をかぶっていたという。帽子は当時の医師の正装のようなものだったらしく、頭を何かで覆っていれば病気にならないと思われていたようだ。また、患者との接触を極力避けるため、木の杖を使って診察をしていたそうだが、こんな出で立ちの医者が突然現れ、杖を差し伸べられたらお迎えが来たのかと錯覚する者もいたのではないだろうか。
画像検索とかしたらわかると思うが、まるで死神。昨今の医師の恰好よろしく、患者の精神に与える影響を考慮した服装を着用することの大切さがよくわかる。
しかしながら、この奇妙な雰囲気を醸し出しているマスクが逆にかっこいいと思う人々も一定数いるようで、現代でもハロウィンなど仮装・コスプレができる場で実際に着用されることもあるようだ。
通販サイトで既製品が販売されていたり、作り方を紹介しているサイトもあるようなので、興味のある諸兄はご確認いただきたいが、風邪予防とか花粉症対策とかで着用して普通に街中を歩いてると職質不可避なのでTPOはわきまえなければならないだろう。
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最終更新:2024/05/04(土) 17:00
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