メトロポリスとは、2001年に公開されたSFアニメ映画である。
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概要
2001年5月26日公開。りんたろう監督、大友克洋脚本。アニメーション制作会社はマッドハウス。
手塚治虫の同名の漫画「メトロポリス」を原作として制作された。ただし原作とは主要登場人物の設定等に大きな変更があり、ストーリーもかなり異なったものとなっている。
人間とロボットの対立や、ロボットが人間に自分勝手に利用される存在であることの悲哀などをテーマとして描いている。
本作の知名度はさほど高くはない。しかし、緻密に書き込まれた非常にハイクオリティなセルアニメ、さらにそれらをCGと融合させた美しい映像表現については高い評価を得ている(反面、映画レビューサイトなどでは脚本についてやや辛口な感想を目にすることもある)。
映画自体は悲劇的な最後を迎える。しかし、2007年に発売されたBlu-ray & DVDセットのボックスジャケットの絵を見ると、その後の少し救いのある顛末も暗示されている。
ストーリー
高層ビルが立ち並ぶ未来的な巨大都市国家、メトロポリス。この街は、新たに建造された巨大建築物「ジグラット」の完成により、祝賀ムードに包まれていた。
だが、この街ではロボットを蔑視する攻撃的な武装組織「マルドゥク党」も暗躍していた。また華やかな地上と異なり、地下にある下層貧民街ではロボット労働力によって職を奪われた失業者たちが、現体制にたいする不満とロボットに対する反感を募らせていた。
そんな中、ジグラットの建造を主導した権力者「レッド公」はマッドサイエンティスト「ロートン博士」に命じて、自らの後継者とするべき「超人」を密かに制作させていた。ところが、これを察知して不満に思ったレッド公の配下「ロック」によって、ロートン博士の研究所は焼き払われてしまう。
指名手配犯であるロートン博士を追って日本からメトロポリスにやってきていた私立探偵「伴俊作」とその甥の少年「ケンイチ」は、その火事に巻き込まれてしまった。その時に迷い込んだ先で、ケンイチは不思議な美少女「ティマ」と出会う。
ケンイチに保護されたティマだが、二人に徐々にロックやレッド公の追手に追い詰められていく。
登場人物
大半のキャラクターは、手塚治虫の漫画に登場したキャラクターを元にしている。登場漫画は「メトロポリス」に限らず、幅広い作品から借用されている。
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以下の内容にはネタバレが含まれています。 |
- ティマ
- 作中で「天使みたい」とも表現される、美しい少女。言葉もわからない赤子のような状態でケンイチと出会い、保護される。正体はレッド公の指示によってロートン博士が人工物によって作り上げた「超人」、すなわちロボットである。しかし、人間にそっくりな外見を持ついわゆるアンドロイドであるため自らは自分がロボットであるという事実を知らない。ケンイチとともに追手から逃げるも捕まってしまい、ジグラットの頂上部に位置するシステムの中枢とされてしまう。その際に人間的な感情をも失い、悲劇的な最期を遂げる。手塚治虫の原作漫画では「ミッチィ」というキャラに相当するが、名前だけでなく外見や性格、設定も大きく異なる。
- レッド公
- メトロポリスの有力者。政治家ではないものの、政治結社マルドゥク党の支援者であることは公然の秘密となっている。過去に娘を亡くしており、ティマの外見はその亡き娘をモデルとして制作されている。ロボットを見下しているにも関わらず、自らの後継者に「ロボットなどではなく超人である」という理屈でティマを据えようとする。
- ロック
- レッド公の部下の青年で、マルドゥク党のリーダー。ルール違反を犯したロボットを公衆の面前でも容赦なく破壊したり、果ては自らの指示に背いた役人を躊躇いなく銃殺するなど、冷徹で危険な性格。レッド公の養子であり、公を「おとうさん」と呼んで異常なまでの敬愛を寄せているが、当の公からは「息子などではない。拾ってやっただけ」と邪険に扱われている。ティマの存在を知り、ロボットがレッド公の後継者となることに強く反発。レッド公に無断で、ティマを排除しようと暗躍する。元になった手塚治虫キャラは「ロック・ホーム」。
- ケンイチ
- 叔父である伴俊作の助手としてともにメトロポリスにやってきた少年。ティマと出会い、保護する。少女の姿をしたティマに惹かれていたようだが、ティマからは親のように思われているだけであった。ティマを懸命に救おうとしたが、果たせなかった。
- 伴俊作
- 指名手配犯であるロートン博士を追って日本からメトロポリスにやって来た私立探偵。ロートン博士の今際の際に立会って研究手帳を受け取ったことでティマの正体を知るが、ティマ本人にはそのことを伏せる思いやりを持つ。手塚治虫作品ではおなじみの、「ヒゲオヤジ」。
- 「803-D、R-P、D.M.497-3のC」
- メトロポリスの警察に所属するロボット刑事。伴俊作への協力者で、人間に忠実。アトラスたちの率いるクーデターデモに一人で対峙して解散を求め、破壊される。「人間のような名前を付けることは許されてない」として上記の番号で名乗るが、伴からは「犬の名前ならいいだろう」と、伴の飼い犬の名前である「ペロ」と呼ばれる。元となった手塚治虫キャラは「鉄腕アトム」に登場している、ヒゲオヤジの飼い犬から作成されたサイボーグ。
- アトラス
- メトロポリスの下層部にある貧民街に暮らす青年で、現体制に不満を持つ反体制組織のリーダー。ランプの甘言に乗り、仲間を率いてレッド公らに対するクーデターを起こす。しかし失敗してクーデターは鎮圧されてしまい、自らも倒れる。外見や名前の元となった手塚治虫キャラは「鉄腕アトム」に登場したロボット「アトラス」。
- ブーン大統領
- メトロポリスの大統領。報道陣の前ではレッド公と親しげにするが、実際にはアトラスたちのクーデターに乗じてレッド公を排除する計画を持っていた。スカンク長官に裏切られ、殺害される。
- スカンク長官
- メトロポリスの政府軍を指揮する立場にあるブーン大統領の部下で、クーデターが発生した際に軍を動かしてレッド公を打倒する手筈となっていた。だがブーン大統領を裏切る。
- ランプ
- ブーン大統領の側近の一人。レッド公を失脚させる計画の一つとして、アトラスを唆してクーデターを起こさせる。スカンク長官の裏切りの際、ブーン大統領とともに射殺される。元になった手塚治虫キャラは「アセチレン・ランプ」。
- ロートン博士
- 生体実験や臓器密輸売買の罪で指名手配中の犯罪者、マッドサイエンティスト。レッド公に命じられ、秘密研究所でレッド公の後継者となる「超人」すなわちティマを制作する。ティマの完成後にはレッド公を裏切ってティマとともに逃げるつもりだったようだ。ティマの事を知ったロックの独断によって銃で撃たれ、研究所も破壊されてしまう。
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関連項目
- アニメ作品一覧
- アニメ映画の一覧
- 2001年のアニメ作品一覧
- りんたろう
- 大友克洋
- マッドハウス
- 手塚治虫
- ロック・ホーム
- ヒゲオヤジ
- アセチレン・ランプ
- メトロポリス
- SF
- ロボット
- アンドロイド
- ジグラット
- バベルの塔
外部リンク