国際保護馬名(International list of protected names)とは、国際競馬統括機関連盟(IFHA)によって登録されている馬名であり、競馬においてサラブレッドへの命名が禁止されている。
馬名の命名についてのルールはこちら → 競走馬の命名規則 / 珍名馬
概要
サラブレッドの始祖ともいえる三大始祖は18世紀に登場しており、そこから300年以上に亘り、世界各地で様々な名前を持つ馬がレースに出走している。当然ながら、過去に使われた馬名が現代で使われるケースは珍しくない。
しかしそれが名馬だった場合、馬名がどの馬か区別がつきにくくなる可能性が高い。もし、世界的名種牡馬ノーザンダンサーの子孫にノーザンダンサーという名前がいたとして、その馬も種牡馬として活躍した場合血統的にややこしい事態になりかねない。
IFHAは国際的に保護すべき馬名を国際保護馬名としてリスト化、アルファベットで登録・管理することで、国・地域を問わず使用出来ないようにしている。
なお、対象はあくまでサラブレッドであるため、サラブレッド以外の品種に対して国際保護馬名を使用するのは問題ない。実際、繋驚速歩(トロット)でディープインパクトの名前が使われている。
以降、本項では登録馬の馬名に対してのみアルファベットを併記する。
例:ディープインパクト(DEEP IMPACT)
登録基準
現在の国際保護馬名の登録基準は以下の通りである。
本項ではリストに則ってアルファベットで登録された馬名を併記する。
- 主要な国際11レースの勝ち馬(2005年以降)
- ジャパンカップ
第15回勝ち馬からほぼ全ての勝ち馬が登録されており、日本馬多数のため割愛。
但し、第14回以前の勝ち馬でも日本馬3頭が登録、うちダービー勝ち馬のシンボリルドルフ(SYMBOLI RUDOLF)・トウカイテイオー(TOKAI TEIO)を除けば該当する日本馬はカツラギエース(KATSURAGI ACE)のみ。
- 香港カップ
日本馬ではエイシンヒカリ(A SHIN HIKARI)以降の勝ち馬5頭が該当。
- メルボルンカップ
日本馬ではデルタブルース(DELTA BLUES)が該当。
- ドバイワールドカップ
日本馬ではヴィクトワールピサ(VINTOIRE PISA)、ウシュバテソーロ(USHBA TESORO)が該当。
- 凱旋門賞
- キングジョージVI世&クイーンエリザベスステークス
- アイリッシュチャンピオンステークス
- ブリーダーズカップ・クラシック
- ブリーダーズカップ・ターフ
- ブラジル大賞
- カルロスペレグリーニ大賞
- 産駒にGⅠ(パートI国の競走のみ)勝ち馬が15頭以上いる種牡馬
日本馬ではクモハタ(KUMOHATA)、アグネスゴールド(AGNES GOLD)、キングカメハメハ(KING KAMEHAMEHA)が該当。
- 産駒にGⅠ(パートI国の競走のみ)勝ち馬が2頭かつ他に1頭以上の重賞(リステッド競走含む)勝ち馬がいる繁殖牝馬
日本馬ではビワハイジ(BIWA HEIDI)、シーザリオ(CESARIO)、ハルーワスウィート(HALWA SWEET)など6頭が該当。
- 競馬統括機関が申請した優秀な成績の競走馬
直近の日本馬では以下3頭が該当
- オルフェーヴル(ORFEVRE):2011年の三冠馬
- ロードカナロア(LORD KANALOA):香港スプリント連覇をはじめスプリント・マイルでGⅠ6勝
- コントレイル(CONTRAIL):2020年の三冠馬(翌年ジャパンカップを勝利)
- ロンジン・ワールド・ベストレースホース・ランキングに基づいた、ロンジンワールドレーシングアワードにおける受賞馬(2019年以降)
2023年2月現在、受賞した日本馬は存在しない。
また、2005年以前の競走馬においても以下の例に該当する馬がリストに登録されている。
- 1973~1990年の東京優駿(日本ダービー)勝ち馬
- タケホープ(TAKE HOPE)からアイネスフウジン(INES FUJIN)までが該当。
- 著名な競走馬
- シンザン(SHINZAN):1964年の三冠馬
- スピードシンボリ(SPEED SYMBOLI):有馬記念連覇などGⅠ4勝
- ハイセイコー(HAISEIKO):競馬ブームを引き起こしたアイドルホース
競走馬以外では、日本に輸入された種牡馬としてノーザンテースト(NOTHERN TASTE)などが該当する。デインヒル(DANEHILL)のように一時的に輸入された種牡馬も存在するため、詳細は割愛する。
備考
- リストに登録されている馬名は2021年版の時点で3000頭以上存在する。一応、2009年にリストの整理が行われており、1950年までの競走馬など約3分の1の名前が外れている。
- 登録されている日本馬について見てみると、大半はジャパンカップ・日本ダービー(1973~1990年)の勝ち馬であり、本記事で割愛している日本馬は対象レース勝ち馬や繁殖牝馬のみ。総数で見ると約60頭と非常に少ないことが伺える。
- 過去に活躍した競走馬について見てみると、ハイセイコー(HAISEIKO)同様競馬ブームを引き起こし、顕彰馬にもなったオグリキャップは登録されていない。また、三冠馬ではセントライトやナリタブライアンも登録されていない。
関連リンク
関連項目