在日特権を許さない市民の会とは、日本の右派系市民団体である。略称は在特会。
在日韓国・朝鮮人(以下「在日」と表記)が各種の特権(在日特権)を不当に享受していると主張し、それらの撤廃を目的に掲げる団体。また反リベラル・反左翼団体としての性質も有しており、民主党・日教組・朝日新聞・反原発運動などを筆頭に、あらゆるリベラルないし左翼的な組織・個人・政策・言論に対する糾弾活動を手広く展開している。
公式には「在日と他の外国人が平等に扱われる社会」を目指すとしているが、創設者である桜井誠(本名:高田誠)[1]会長を始めとする会員らは「在日の国外追放・殺戮(ジェノサイド)」など在日の劣後的取扱を主張することが多く、さらに在日や韓国人・朝鮮人そのものを蔑むような言動(ヘイトスピーチ)もたびたび見られることから、国内外の公的機関やマスコミからは排外主義団体、あるいは人種差別団体の一種として扱われているのが実情である[2]。
2ちゃんねるなどを中心にネット上で活動する右派系ネットユーザー(いわゆる「ネット右翼」)を支持基盤としており[3]、街宣やデモといった街頭活動の様子をニコニコ動画などで配信し、活動への参加を募る手法で急速に勢力を拡大。2014年8月末時点で公称約14,600人の会員を擁する国内最大級の右派系市民団体へと成長を遂げている。
1990年代に生じた革新勢力の衰退と自由主義史観の伸長、そして2002年の日韓W杯を機に直面した韓国の反日ナショナリズムの影響を受け、00年代前半から日本のネット上では韓国・朝鮮への強い嫌悪感を軸に、強固な右派的思想を抱えるネットユーザーが多数現れるようになった。いわゆるネット右翼の台頭である。
| 彼らはネット上の各所で嫌韓思想を喧伝していたが、その中の一人に「ENJOY Korea」(エンコリ)などの日韓翻訳掲示板を主戦場とする"Doronpa"というコテハンがいた。後の在特会会長・桜井誠その人である。 桜井は嫌韓コテハンとして活動する傍ら、エンコリなどでの投稿文をまとめたサイト「不思議の国の韓国」を開設してネットでの知名度を高めると、2005年1月には日本テレビの「ジェネジャン」に出演。この頃から日本文化チャンネル桜でも起用されるようになり、次第にひとかどの嫌韓活動家として知られる存在となっていった。 |
| 2005年、桜井は"みや東亞"こと宮本圭介や、ジェネジャン収録前の模擬討論で知り合った御影草志[4]らと共に「日韓歴史問題研究会」を結成。翌2006年2月には会名を「東亜細亜問題研究会」(東亜研)と改めた。 東亜研では嫌韓をテーマにしたシンポジウムを三度に渡って開催したほか、嫌韓・嫌中を論じた本の執筆や雑誌への寄稿、ネットラジオの配信など多角的な活動を展開した。他方でこの頃はまだ街宣やデモといった街頭活動には乗り出していなかった。 |
また東亜研には御影を始め米田隆司・花御堂久子など、後に在特会幹部として桜井を支えるメンバーが参加しており、在特会を結成するにあたって母体のような役割を果たすことになった[5]。
2006年、在日無年金問題[6]の報道に接した桜井は「保険料を払わない在日のたかり行為だ」と激怒し、在日糾弾に特化した組織の結成を決意する[7]。同年12月2日に開かれた準備会合において新団体の名称を「在日特権を許さない市民の会」とすることが決定され、桜井が会長に、御影が副会長にそれぞれ就任した。
既に嫌韓活動家として名を上げていた桜井による新団体の結成とあって発足前から高い注目を集め、翌2007年1月20日に行われた発足集会の時点で会員数は502人、当日の集会参加者は163人に上った。また集会の様子はチャンネル桜のスタッフによって録画され、後日動画として公開されている。
活動規模の拡大を図るべく同年中に関西・福岡・名古屋・北海道の4支部が開設されたが、初期の在特会は東亜研時代のカラーを引き継いだ勉強会中心の活動スタイルを採っており、活動頻度もまばらだった。同年11月頃から東京・小平市の福祉給付金[8]問題に取り組み始め、同月27日には会主催の初街宣、翌2008年3月2日には初のデモを開催したが、今日見られるような過激な言動は少なく、むしろ行政や保守系議員への働きかけを重視していた。
こうした比較的穏当な活動スタイルは2008年の後半頃から徐々に後退し、街宣やデモなどの街頭抗議行動を多用する現在のスタイルに取って代わられた。桜井会長は彼が左派的とみなした福田康夫首相(当時、自民党)の存在が活動スタイルの変化を促したとしているが[9]、ジャーナリストの安田浩一は当時「行動する保守」界の中心人物として在特会と共闘を演じていた西村修平の影響が大きかったのではないかと指摘している[10]。
いずれにせよ変化の兆しを見せ始めた在特会に大きな転機をもたらしたのが、2009年4月11日のカルデロン一家追放デモである。これは不法滞在中のフィリピン人一家に対する支援活動や、日本生まれの娘に在留特別許可を与えたことに抗議するとして、娘の通う学校近辺で一家追放などを訴えるデモに及んだものだった。
このデモはネット右翼から圧倒的な支持を受け、在特会の急成長を促す原動力となった[11]。デモ後の1年間は在特会史上最も会員が増加した時期であり、毎月平均して約280人もの新規会員が入会していた。安田の取材に応じた活動家の中にもこのデモをきっかけに入会した者が多数いたという[12]。
他方で「行動する保守」界の盟主だった極右政党「維新政党・新風」の勝手連組織「新風連」は、デモ翌日に党が出した「民族差別を許さない」と題する声明[13]に失望、同年9月には活動を休止する(2012年12月に活動再開)。これにより在特会は「行動する保守」界の新たな盟主として運動の主導権を握ることになった。
勢力の拡大を続ける在特会は2010年1月に支部を都道府県単位で再編成し、新規運営を大量に登用するなど組織力強化を推し進めた。また知名度の向上に伴って寄付金も増加し、2009年度の寄付金額は前年度比110%増の約713万円に上るなど、在特会は黄金時代を迎えつつあった。
だがこの頃になると活動の先鋭化は法的に危険なレベルにまで近づきつつあり、2009年9月には秋葉原での外国人参政権反対デモにおいて沿道で抗議プラカードを掲げた男性を集団で暴行するという事件が発生。また関西では同年12月の京都朝鮮学校公園占用抗議事件(京都事件)や、翌2010年4月の大阪水曜デモ妨害事件・徳島県教組業務妨害事件(徳島事件)など、度を越して過激な抗議活動が立て続けに行われた。
その後関西での三事件に参加した会員が同年の7月から9月にかけて相次いで逮捕され、在特会の名は不名誉な形で大きく報道されることになった。また同年末から公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」において毎年その動向を掲載されるようになるなど、公安警察による監視の目が一層強まる結果となった。
| 逮捕劇が一段落した2010年10月から丸1年間、在特会はかつてない停滞期を迎える。この時期の会員数の伸びは月当たりわずか66人と最盛期の1/4にも満たず、結成以来最低の水準に落ち込んだ。 さらにチャンネル桜や「主権回復を目指す会」(主権会)・「日本を護る市民の会」(日護会)など、これまで共闘していた右派系組織との関係が悪化。「行動する保守」界の盟主としての地位までは失わなかったものの、以後これらの団体から投げかけられる「右からの在特会批判」に悩まされることになる。 |
加えて内部抗争や先鋭化路線への反発から、副会長・支部長・支部運営らスタッフの辞任・退会も相次いだ[14][15]。会を離れたスタッフの中には、日護会との抗争(在特・日護抗争)において日護会側を支援する動きを見せる者や[16]、在特会的なスタイルを否定した独自の右派系市民団体を立ち上げる者[17]も見られた。
こうした状況を打破すべく在特会が選んだ道は言動の更なる先鋭化だった。特に桜井会長は2011年5月に京都で開催した集会で「在日朝鮮人や反日極左を皆殺しにしなければならない日が必ず来る。その覚悟が我々に問われている」と会員らに熱弁を振るい、同年11月には朝鮮大学校を訪れて「我々は朝鮮人を殺しに来た」と叫ぶなど、公然と在日や左翼の殺害をほのめかす発言に及ぶようになっていった。
また先鋭化と同時に活動領域の拡大にも努めた。東日本大震災と原発事故を機に電力不足を奇貨とした反「反原発」運動や反パチンコ運動に乗り出したほか、同年8月6日には広島で核武装推進デモを挙行。反核運動や平和運動に取り組む被爆者やその支援者を糾弾し、原爆ドームの解体を訴えるという前代未聞の行動に出た[18]。
こうした先鋭化・多角化路線がネット右翼層の評価を得たか、2011年10月頃になってようやく会勢に回復傾向が現れ始めた。同月から2013年8月までの月平均会員増加数は136人と、全盛期の半分程度ではあるものの、一時の底はどうにか脱した形となった。
最近では桜井会長ら幹部メンバーだけでなく、一般の街宣・デモ参加者までその言動をエスカレートさせており、抗議先企業の製品や太極旗(韓国の国旗)を踏み付ける、韓国要人の人形を引きずり回して首を切断するなどの光景まで見られるようになっている。
また2012年6月から在特会を中心とする「行動する保守」陣営が共同で開催している日韓断交デモやコリアタウンでの嫌韓デモでは、「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」「朝鮮人の女はレイプしてもいい」「鶴橋大虐殺を起こす」などの過激な文言を散りばめたコールやプラカードが頻出し、物議を醸している。
こうした状況を受けて2013年頃からヘイトスピーチ規制の是非が社会問題として争点化し、大手マスコミや政界でも在特会の活動が取り沙汰されるようになった。翌2014年には国連などの勧告もあってヘイトスピーチ規制法の制定が本格的に検討される段階に至っており、更なる会勢拡大を狙っていく上での懸念事項となっている。
また「レイシストをしばき隊」などの対立勢力がカウンター活動を展開するようになってからは、街宣やデモの現場におけるトラブルや小競り合いが増えており、2013年6月には桜井会長自身が暴行容疑で逮捕されるに至った[19]。さらに同年10月には京都事件に関する民事訴訟で約1226万円もの賠償を命じられる(2014年7月に控訴を棄却され、現在上告中)など、法的リスクの顕在化が進行しつつある。
2013年9月から2014年8月までの月平均会員増加数は82人と停滞期に近い水準まで落ち込んでいるものの、これ以上の先鋭化は法的リスクの観点から難しいため、今後は活動領域の更なる多角化や、活動が停滞している地域へのテコ入れなどによって、支持者の発掘と活動の活発化を図るものと思われる。
結成時より「7つの約束」と称する活動指針を掲げている[20]。
- 在日による差別を振りかざしての特権要求を在特会は断じて許しません。
- 公式サイトの拡充、各地での講演会開催などを様々な媒体を通じて在日問題の周知を積極的に行っていきます。
- 各所からの講演要請があれば在特会は可能な限り応じ、集会の規模を問わず講師の派遣を行います。
- 「在日特権に断固反対」「在日問題を次の世代に引き継がせない」意思表示として在特会への会員登録を広く勧めていきます。
- 当面の目標を登録会員数一万人に定め、目標に達し次第、警察当局や法務当局、各地方自治体、各政治家への在日問題解決の請願を開始します。
- 在日側からの希望があれば、放送・出版など様々なメディアにおいて公開討論に応じます。
- 不逞在日の犯罪行為に苦しむ各地の実態を知らしめ、その救済を在特会は目指していきます。
具体的な「在日特権」としては特別永住許可や通名使用などを挙げている。ただし桜井会長は在特会結成前から「在日全員送還論」を唱えており、公式サイト上で行われたアンケートでも全員送還論の支持率が68%に上る一方で「他の外国人と同等に取り扱う」はわずか26%しか支持を得ていないなど、実際には「特権の剥奪」ではなく「追放」が主たる訴えとなっている[21]。なお同様の「特権」を有する在日台湾人については特段批判を向けていない。
活動のテーマを見ると、会の表向きの目的である「在日特権」を直接取り上げるものは少数に留まっている。徳島大学の樋口直人准教授が調査したところによると、在日コリアンを対象に取るイベントは最も多い年でも活動全体の3割程度であり、シェアの最も多い「韓国・中国などの近隣諸国糾弾」に「自由主義史観の喧伝」「リベラル・左翼の糾弾」を含めると例年活動全体の5割以上を占めるようになるという。
また「正論」「諸君!」「Will」の右派論壇誌3誌が扱うテーマの推移と在特会が扱うテーマの推移を比較したところ、両者におおむね一致した傾向がみられることから、在特会は右派論壇の言説の機会構造に反応し、在日特権以外のテーマも積極的に取り入れることで勢力拡大を図っていると指摘されている[22]。
活動時にはデモや街宣などの集団示威行動を多用する傾向が見られる。示威行動の対象は多岐に渡っており、
といった団体・機関の施設周辺や、人通りの多い都市中心部でデモや街宣を行うことが多い。
示威行動前にはネット上で参加の呼びかけが行われ、終了後は撮影班により活動の様子を収めた動画がYoutubeやニコ動にアップされるのが通例である。在特会関係者によってアップされた動画はニコ動政治カテゴリでも一定の割合を占めており、ランキングに顔を出すことも珍しくない。他方で、宣伝のためにアップした動画が裁判で違法行為の証明に使われるという皮肉な事態も引き起こしている。
2014年8月31日時点の執行役員は以下の通り。
| 役職 | 名前 | 会員番号 | 着任日 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 会長 | 桜井誠 | A0000001 | 07/01/20 | ||
| 副会長 | 筆頭 全国地区統括 | 八木康洋 | A0000527 | 08/04/07 | 茨城支部長兼任 |
| 北海道地区 | 藤田正樹 | A0002330 | 10/10/01 | 北海道支部会計兼任 | |
| 東北地区 | 菊地内記 | A0006533 | 13/11/23 | 宮城支部長兼任 | |
| 関東地区 | 大久保王一 | A0005296 | 10/04/09 | 群馬支部長兼任 休養中 | |
| 中部地区 | 長尾旭 | A0008414 | 12/06/19 | ||
| 関西地区 | 神功正毅 | A0002173 | 13/03/26 | 滋賀支部長兼任 | |
| 中国・四国地区 | 先崎玲 | A0000033 | 10/10/01 | ||
| 九州地区 IT関連統括 | 藤井義行 | A0001086 | 11/11/08 | ||
| 事務局 | 局長 | (空席) | |||
| 次長 | 吉田正美 | 不明 | 08/02/10 | ||
| 広報局 | 局長 | 米田隆司 | A0000068 | 08/02/10 | 関東地区統括代行 |
| 次長 | 小林徳鷹 | A0000005 | 09/06/08 | ||
事務局長のポストは2012年1月に桜ゆみこ(現なでしこアクション代表・山本優美子)が退任して以来、長らく空席状態が続いている。
在特会の支部は都道府県単位で編成されており、2014年8月31日時点で35都道府県に支部を設置している。以下に支部の一覧表を掲載する。
| 地域 | 都道府県 | 活動 | 支部長 | 運営 | 会員 | 地域 | 都道府県 | 活動 | 支部長 | 運営 | 会員 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北 海 道 ・ 東 北 |
☆北海道 | B | 加藤祐平 | 8 | 676 | 関 西 |
滋賀 | C | 神功正毅 | 2 | 141 |
| 青森 | D | 菊池晃 | 2 | 78 | 京都 | D | 秋津島七恵 | 1 | 393 | ||
| (岩手) | - | 68 | 大阪 | B | 天宮流輝 | 4 | 1309 | ||||
| ☆宮城 | C | 菊地内記 | 5 | 209 | ☆兵庫 | C | 北原白秋 | 3 | 693 | ||
| (秋田) | - | 64 | 奈良 | D | 風間大助 | 1 | 163 | ||||
| 山形 | E | 鈴本大和 | 4 | 84 | 和歌山 | D | 梅本修平 | 1 | 84 | ||
| 福島 | C | 鈴木りこ | 3 | 118 | 中 国 ・ 四 国 |
鳥取 | E | 室博之 | 1 | 56 | |
| 関 東 |
茨城 | E | 八木康洋 | 1 | 260 | 島根 | D | 大嶋聡 | 2 | 46 | |
| (栃木) | - | 167 | (岡山) | - | 191 | ||||||
| 群馬 | E | 大久保王一 | 1 | 143 | 広島 | C | 直江武 | 2 | 237 | ||
| 埼玉 | D | 道添隆寛 | 2 | 822 | ☆山口 | D | - | 1 | 120 | ||
| 千葉 | C | 田村宗長 | 5 | 711 | (徳島) | - | 67 | ||||
| ☆東京 | A | 堀切笹美 | 7 | 2632 | (香川) | - | 90 | ||||
| 神奈川 | D | 川井誠二郎 | 4 | 1173 | 愛媛 | F | 上野裕子 | 1 | 110 | ||
| 中 部 |
新潟 | F | - | 1 | 148 | (高知) | - | 56 | |||
| (富山) | - | 103 | 九 州 |
☆福岡 | C | - | 5 | 629 | |||
| 石川 | F | - | 0 | 102 | 佐賀 | E | - | 1 | 62 | ||
| (福井) | - | 81 | 長崎 | F | - | 0 | 105 | ||||
| (山梨) | - | 62 | 熊本 | F | - | 1 | 134 | ||||
| 長野 | F | - | 1 | 135 | 大分 | D | - | 1 | 94 | ||
| 岐阜 | E | 鈴木まさひろ | 2 | 194 | (宮崎) | - | 77 | ||||
| 静岡 | D | - | 2 | 301 | 鹿児島 | F | - | 1 | 94 | ||
| ☆愛知 | B | 美藤一樹 | 2 | 758 | 沖縄 | - | 98 | ||||
| 三重 | D | 諏訪鉄幹 | 2 | 161 | 海外 | - | 329 | ||||
過去1年間全く活動していない支部が7つあり、実質的には28支部体制となっている。
三大都市圏での活動が最も活発であり、次いで北海道(札幌周辺)・南東北と続く。広島・福岡では以前は活動が盛んに行われていたが、2013年末から2014年にかけて幹部同士の方針の相違から役員が一斉辞任して新団体を設立したため、在特会としての活動は停滞している。北陸・四国ではほとんど活動実態がない。
会員種別は「メール会員」「会員」「特別会員」の3種類からなる。メール会員は街宣等への参加・協力を義務付けられず、特別会員は年会費1万円を徴収されるという違いがある。いずれの種別も基本的にメールアドレスとハンドルネームのみで登録できる[23]。会員の大半はメール会員である[24]。会員の男女比は6:1と圧倒的に男性が多く、地方支部を含めても女性役員は10人程度に留まっている。
桜井会長を筆頭にほとんどの会員はハンドルネームや偽名を用いて活動している。本部・支部の運営に就任すると公式サイトに会員名が掲載されるが、その際には改めて本名を使わない方がよいとのアドバイスを送られるという。こうした秘密主義的な方針について在特会側は「在日・サヨクの襲撃を受けるおそれがあるため」と主張しているが[25]、ナンバー2の八木康洋筆頭副会長を始め、実名を名乗って活動を続ける会員も一定数存在する。
2014年8月31日時点で本部・地方支部いずれかの役員に就任している会員は90人である。内訳は本部執行役員12人、同運営補助3人、地方支部長24人(うち4人は執行役員兼任)、同支部長代理1人、同会計3人(うち1人は執行役員兼任)、同運営52人。最盛期には100人を超えていたが、近年は特に地方での人材難に悩まされている。
集会を開くのに必要な費用や事務所・サーバー等の維持費用、訴訟費用、幹部の出張費などは
などによって賄われている。現在のところ1の寄付が収入の大半を占めている。近年は大口のパトロンの離反や支出の増大による財政難に苦しんでおり、京都事件の民事訴訟で約1226万円の賠償を命じられる(現在最高裁に上告中)など財政的なリスクも抱えている。
こうした事態に対して在特会側では、全会員に1000円以上の寄付を求める、友好勢力に呼びかけて裁判支援用の団体を立ち上げ改めて寄付を募るなどの対策に乗り出している。京都事件の控訴審敗訴後に賠償金を一括弁済していることから、現在も一定の集金力は維持しているものと思われる。
各年度ごとの年度末時点での会員数(推計含む)・設置支部数・寄付金額・予算額は以下の通り。
| 年度 | 会員数 | 設置支部数 | 寄付金額 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2006 | 1,235 | 1 | 1,563,920 | 12月以降のみ |
| 2007 | 3,272 | 4 | 1,723,738 | |
| 2008 | 5,073 | 4 | 3,391,819 | |
| 2009 | 8,482 | 23 | 7,131,603 | 4月にカルデロン一家追放デモ |
| 2010 | 9,983 | 32 | 15,439,853 | 京都事件・徳島事件に関する裁判費用の増大 |
| 2011 | 11,408 | 34 | 7,121,729 | |
| 2012 | 12,798 | 34 | 7,922,653 | |
| 2013 | 14,311 | 35 | 11,107,189 | 京都事件民事訴訟で賠償命令 |
なお2013年度中に仮執行停止に必要な供託金の半額(約500万円)に相当する寄付金を集めたとされているが、これは会計に組み込まれていないため上記データにも加えていない。そのため2013年度中に集めた寄付金額は実際には約1600万円程度だったものと推測される。
初期の在特会は地方議員レベルであれば既存の右派政界から協力を得られることもあり、2009年1月の全国大会では吉田康一郎東京都議会議員(当時)がゲストとして登壇し、活動への賛意を示していた。
しかし先鋭化に伴い国内外で排外主義組織として扱われるようになると、彼らは次第に在特会から距離を置くようになっていった。最近では吉田が「抗議の域を超えた誹謗・中傷・攻撃に走るようになった」として会への賛意を撤回したほか、「行動する保守」系活動家らが開催したデモに参加した片山さつき参議院議員が在特会との関係については強く否定するなど、むしろ右派の政治家からは切断操作の対象とみなされている節すらある。
維新政党・新風とは鈴木信行代表が嫌韓路線をメインに切り替えたこともあって友好関係を再構築しているが、新風自体が党籍地方議員数名程度の弱小勢力に過ぎないこともあり、有力な政治的後ろ盾とはなっていない。
在特会の公式サイトで定期的に行われている政党支持調査の結果は以下の通りである。
| 右派 | 中道・左派 | その他 | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 自民 | 維新系 | 国民新 | みんな | その他 右派 |
共産 | 民主 | その他 中道 左派 |
その他の 政党 |
支持なし 棄権 |
|||
| たち日 石原新党 |
日本維新 | |||||||||||
| 2008年 | 5月 | 39.9 | - | - | 4.2 | - | 0.2 | 1.9 | 11.0 | 4.7 | 33.1 | 4.9 |
| 9月 | 59.9 | - | - | 2.7 | - | - | 3.6 | 11.3 | 1.0 | 19.0 | 2.5 | |
| 2010年 | 5月 | 40.5 | 32.8 | - | 2.0 | - | 0.7 | 2.4 | 3.9 | 6.7 | 8.8 | 2.3 |
| 2011年 | 2月 | 39.4 | 36.6 | - | 1.9 | 7.9 | - | 4.2 | 2.1 | 2.4 | 5.4 | - |
| 2012年 | 3月 | 34.2 | 33.7 | - | 1.4 | 5.2 | 0.1 | 2.5 | 1.9 | 1.3 | 4.1 | 15.6 |
| 11月 | 58.6 | 27.9 | 3.4 | - | 0.9 | - | 2.2 | 2.1 | 2.0 | 3.0 | - | |
| 12月 | 76.1 | 11.2 | 0.2 | 1.0 | - | 2.9 | 2.5 | 1.6 | 4.6 | - | ||
| 2014年 | 6月 | 50.8 | 10.3 | - | - | - | 4.4 | 1.7 | 2.5 | 11.7 | 18.7 | |
自民党が常に支持率1位をキープしており、たちあがれ日本の結成後は同党と合流先の日本維新の会が2位に続いている。ただし日本維新の会との合流には否定的な声が多く、合流後は支持率が激減することになった[26]。
なお樋口が「行動する保守」系活動家34人(うち在特会員は25人で、21人は本部・地方支部の役員)から投票行動に関する聞き取り調査を行ったところ、活動に身を投じる前から自民党に投票してきたという層が24人と多数を占め、活動参加後は旧たちあがれ日本と維新政党・新風に投票しているとの回答が増加したという[27]。
右派系市民団体の中には在特会で執行役員や地方支部長の職にあった活動家が、いわば「独立」する形で結成したものが数多く存在する。これらの団体と在特会の関係は独立の経緯によるところが大きく、人間関係のトラブルで離脱したケースなどではお互い没交渉になったり、時には在特会に批判的な立場に転じる場合もある。
| 団体名 | 活動地域 | 設立時期 | 指導者 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 名前 | 在特会での地位 | ||||
| なでしこアクション | 全国 | 2011年 | 山本優美子 | 本部事務局長 | 在特会時代は「桜ゆみこ」名義 |
| クリーンかわさき連絡会 | 関東 | 2009年 | 高橋賢一 | 本部事務局長 | |
| 愛国啓蒙会 | 関東 | 2013年 | 奥田洋平 | 千葉支部長 | 旧名「拡声器友の会」 |
| 山城乃圀企画 | 関西 | 2011年 | 西村斉 | 京都支部長 | 収監のため活動停止中 |
| 国家主権を考える会 | 関西 | 2011年 | 中野亘 | 奈良支部長 | |
| 国を支える保守の会 | 関西 | 2012年 | 成瀬要平 | 大阪支部長 | |
| 凛風やまと・獅子の会 | 関西 | 2012年 | 獅子座なお | 大阪支部長 | |
| 反日と闘う会 | 中国 | 2014年 | 川上直四郎 | 広島支部長 | 日本保守同盟_チーム零所属 |
| 正しい日本をつくる市民の会 | 山口 | 2011年 | 高山正憲 中島隼 |
山口支部長 福岡支部長 |
活動停止中 |
| 敷島の風 | 長崎 | 2012年 | 小川茂樹 | 長崎支部長 | 在特会時代は「晴朗波高」名義 |
| 日本人が本気で怒る会 | 福岡 | 2014年 | 沢村直樹 | 福岡支部長 | 日本保守同盟_チーム零所属 |
| 早乙女会 | 福岡 | 2014年 | 石上ねねこ | 福岡支部運営 | 日本保守同盟_チーム零所属 |
| トンスラー撲滅委員会 | 大分 | 2014年 | 松原政義 | 大分支部長 | 日本保守同盟_チーム零所属 |
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