天皇賞(春) 単語


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天皇賞(春)
GI・京都競馬場・芝3200m


天皇賞(春)とは、京都競馬場の芝3200mで行われる日本中央競馬会(JRA)主催の国際GI競走である。主な略称は春天。優勝馬には皇室より盾が下賜されることから「春の盾」とも呼ばれる。

曖昧さ回避 この記事では実際の競馬競走について記述しています。
この競走を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するレースについては
天皇賞(春)(ウマ娘)」を参照して下さい。

概要

主催団体 日本中央競馬会 JPN
競馬場 京都競馬場
創設 1938年5月15日
距離 芝3200m
格付け GI
賞金 本賞金2億円
出走条件 サラ系4歳以上
負担重量 定量
牡馬・せん馬58.0kg
牝馬56.0kg

1905年から開催されていた「The Emperor's Cup」(エンペラーズカップ)を前身として、各地で行われていた「帝室御賞典」を集約し、1937年に第1回としての「帝室御賞典」を秋の東京で、1938年に第2回としての帝室御賞典を春の阪神で行ったのが始まりである。
第14回まではそのまま「帝室御賞典」をレース名として使用、15回のみ「平和賞」として開催された。
その後、天皇賞(春)を京都競馬場で、天皇賞(秋)を東京競馬場で開催するようになり、現在に至る。

3200mは国内で、重賞ではステイヤーズS(GII・3600m)、ダイヤモンドS(3400m・GIII)に次ぐ3番目、国内GIでは最も長いレースである。日本競馬では中長距離競走が重視されてきたため、「古馬(4歳以上の馬)として最高の栄誉」と称される伝統の競走でもある。ただ、2000年代以降は全世界的な中距離競走重視の流れにシフトするに伴い、超長距離の本競走を回避する馬も多くなってきている。
かつては、優勝馬は再出走できない勝ち抜け制が導入されていた(1981年まで)。

2017年に大阪杯がGIに昇格し、本競走と宝塚記念を合わせて春の古馬中長距離三冠が設定され、同一年度に連勝した馬には報奨金が与えられるようになった。が、本競走の距離が長すぎること、宝塚記念が馬に厳しい梅雨時に開催されることも相まって、三連戦を狙う陣営自体中々おらず、春古馬三冠馬は(大阪杯の前身・産経大阪杯時代に遡っても)未だ現れていない。

なお、京都競馬場の改修工事に伴う開催休止(2020年10月~2023年3月)のため、第163回・165回(2021年、2022年)は阪神競馬場(3,200m、芝・外回り→内回り)にて代替開催された。

レース傾向

京都競馬場の外回りコースを使用し、向こう正面中央からスタートする。約420mの直線を走ると「淀の坂」が待ち受け、3コーナーへ向けての急坂を駆けのぼり、4コーナーへと続くなだらかな下り坂を下っていくことになる。2回の淀の坂の昇降を含めてコーナーを6回周り、最後の直線が約400m。スタミナや集中力を切らさない精神力など絶対的な長距離適性が必要不可欠である。

最初の直線も最後の直線も十分に長いため、脚質的な有利不利は少ないが、有馬記念と同様にコーナーを6回周るコースのため、内側をロスなく回れる内枠が明白に有利。馬番16番以降の優勝馬は阪神開催であった2022年のタイトルホルダーを除くと1979年のカシュウチカラまで遡る。え? 2015年に馬番1番なのに最後方外に行って淀の坂手前からスパートした挙句大外捲りして勝ったゴールドシップ……?? あいつは色々おかしいので例外中の例外である。

坂に加え距離が距離なので牝馬にとっては非常に厳しいレースであり、優勝牝馬は1953年のレダただ1頭のみである。入着すら2021年にカレンブーケドール(3着)とウインマリリン(5着)が達成するまでは1965年のパスポート(5着)、3200m時代の秋天を含めても1983年のカミノスミレ(2着)まで遡らねばならない。[1]

90年代までは上位人気馬が順当に優勝する比較的堅いレースであったが、2000年代後半以降は長距離路線が重要視されなくなったためか、二桁人気馬が4勝したり上位入線したりしてヒモ荒れするなど、予想が難しいレースになっている。

主な前走・前哨戦

競走名 格付 施行競馬場 施行距離 間隔 優先出走権
阪神大賞典 GII 阪神競馬場 芝3000m 6週 1着馬
日経賞 GII 中山競馬場 芝2500m 5週 1着馬
大阪杯 GI 阪神競馬場 芝2000m 4週

歴代優勝馬

  • 天皇賞は春と秋の2回の開催のため、1回ずつ飛ばして表記されている。戦後から春は奇数開催。
  • 回数についているリンクをクリックすると該当する動画に飛びます。
  • 馬齢表記は現行表記に統一。
  • 競走名は第2回から第14回まで「帝室御賞典」第15回は「平和賞」、第17回以降は「天皇賞」
回数 開催日 競馬場 距離 優勝馬 性齢 勝利騎手 馬場 勝ち時計
第169回 2024年4月28日 京都 芝3200m テーオーロイヤル 牡6 菱田裕二 3:14.2
第167回 2023年4月30日 京都 芝3200m ジャスティンパレス 牡4 C.ルメール 稍重 3:16.1
第165回 2022年5月1日 阪神 芝3200m タイトルホルダー 牡4 横山和生 稍重 3:16.2
第163回 2021年5月2日 阪神 芝3200m ワールドプレミア 牡5 福永祐一 R3:14.7
第161回 2020年5月3日 京都 芝3200m フィエールマン 牡5 C.ルメール 3:16.5
第159回 2019年4月28日 京都 芝3200m フィエールマン 牡4 C.ルメール 3:15.0
第157回 2018年4月29日 京都 芝3200m レインボーライン 牡5 岩田康誠 3:16.2
第155回 2017年4月30日 京都 芝3200m キタサンブラック 牡5 武豊 R3:12.5
第153回 2016年5月1日 京都 芝3200m キタサンブラック 牡4 武豊 3:15.3
第151回 2015年5月3日 京都 芝3200m ゴールドシップ 牡6 横山典弘 3:14.7
第149回 2014年5月4日 京都 芝3200m フェノーメノ 牡5 蛯名正義 3:15.1
第147回 2013年4月28日 京都 芝3200m フェノーメノ 牡4 蛯名正義 3:14.2
第145回 2012年4月29日 京都 芝3200m ビートブラック 牡5 石橋脩 3:13.8
第143回 2011年5月1日 京都 芝3200m ヒルノダムール 牡4 藤田伸二 稍重 3:20.6
第141回 2010年5月2日 京都 芝3200m ジャガーメイル 牡6 C.ウィリアムズ 3:15.7
第139回 2009年5月3日 京都 芝3200m マイネルキッツ 牡6 松岡正海 3:14.4
第137回 2008年5月4日 京都 芝3200m アドマイヤジュピタ 牡5 岩田康誠 3:15.1
第135回 2007年4月29日 京都 芝3200m メイショウサムソン 牡4 石橋守 3:14.1
第133回 2006年4月30日 京都 芝3200m ディープインパクト 牡4 武豊 3:13.4
第131回 2005年5月1日 京都 芝3200m スズカマンボ 牡4 安藤勝己 3:16.5
第129回 2004年5月2日 京都 芝3200m イングランディーレ 牡5 横山典弘 3:18.5
第127回 2003年5月4日 京都 芝3200m ヒシミラクル 牡4 角田晃一 3:17.0
第125回 2002年4月28日 京都 芝3200m マンハッタンカフェ 牡4 蛯名正義 3:19.5
第123回 2001年4月29日 京都 芝3200m テイエムオペラオー 牡5 和田竜二 3:16.2
第121回 2000年4月30日 京都 芝3200m テイエムオペラオー 牡4 和田竜二 3:17.6
第119回 1999年5月2日 京都 芝3200m スペシャルウィーク 牡4 武豊 3:15.3
第117回 1998年5月3日 京都 芝3200m メジロブライト 牡4 河内洋 3:23.6
第115回 1997年4月27日 京都 芝3200m マヤノトップガン 牡5 田原成貴 3:14.4
第113回 1996年4月21日 京都 芝3200m サクラローレル 牡5 横山典弘 3:17.8
第111回 1995年4月23日 京都 芝3200m ライスシャワー 牡6 的場均 3:19.9
第109回 1994年4月24日 阪神 芝3200m ビワハヤヒデ 牡4 岡部幸雄 稍重 3:22.6
第107回 1993年4月25日 京都 芝3200m ライスシャワー 牡4 的場均 3:17.1
第105回 1992年4月26日 京都 芝3200m メジロマックイーン 牡5 武豊 3:20.0
第103回 1991年4月28日 京都 芝3200m メジロマックイーン 牡4 武豊 3:18.8
第101回 1989年4月29日 京都 芝3200m スーパークリーク 牡5 武豊 3:21.9
第99回 1989年4月29日 京都 芝3200m イナリワン 牡5 武豊 3:18.8
第97回 1988年4月29日 京都 芝3200m タマモクロス 牡4 南井克巳 稍重 3:21.8
第95回 1987年4月29日 京都 芝3200m ミホシンザン 牡5 柴田政人 3:20.4
第93回 1986年4月29日 京都 芝3200m クシロキング 牡4 岡部幸雄 3:25.4
第91回 1985年4月29日 京都 芝3200m シンボリルドルフ 牡4 岡部幸雄 3:20.4
第89回 1984年4月29日 京都 芝3200m モンテファスト 牡6 吉永正人 3:22.3
第87回 1983年4月29日 京都 芝3200m アンバーシャダイ 牡6 加藤和宏 3:22.3
第85回 1982年4月29日 京都 芝3200m モンテプリンス 牡5 吉永正人 3:19.2
第83回 1981年4月29日 京都 芝3200m カツラノハイセイコ 牡5 河内洋 3:20.6
1981年より天皇賞の勝ち抜き制度廃止
第81回 1980年4月29日 阪神 芝3200m ニチドウタロー 牡4 村本善之 3:18.7
第79回 1979年4月29日 京都 芝3200m カシュウチカラ 牡6 郷原洋行 3:20.2
第77回 1978年4月29日 京都 芝3200m グリーングラス 牡5 岡部幸雄 稍重 3:20.8
第75回 1977年4月29日 京都 芝3200m テンポイント 牡4 鹿戸明 稍重 3:21.7
第73回 1976年4月29日 京都 芝3200m エリモジョージ 牡4 福永洋一 不良 3:27.4
第71回 1975年4月29日 京都 芝3200m イチフジイサミ 牡5 郷原洋行 稍重 3:22.1
第69回 1974年5月5日 京都 芝3200m タケホープ 牡4 嶋田功 3:22.6
第67回 1973年4月29日 京都 芝3200m タイテエム 牡4 須貝彦三 3:25.0
第65回 1972年5月7日 京都 芝3200m ベルワイド 牡4 加賀武見 3:20.4
第63回 1971年4月29日 京都 芝3200m メジロムサシ 牡4 横山富雄 不良 3:33.5
第61回 1970年4月29日 阪神 芝3200m リキエイカン 牡4 高橋成忠 3:25.8
第59回 1969年4月29日 京都 芝3200m タケシバオー 牡4 古山良司 3:29.1
第57回 1968年4月29日 京都 芝3200m ヒカルタカイ 牡4 野平祐二 3:24.6
第55回 1967年4月29日 京都 芝3200m スピードシンボリ 牡4 野平祐二 稍重 3:24.2
第53回 1966年4月29日 京都 芝3200m ハクズイコウ 牡5 保田隆芳 3:19.4
第51回 1965年4月29日 阪神 芝3200m アサホコ 牡5 加賀武見 不良 3:27.1
第49回 1964年4月29日 京都 芝3200m ヒカルポーラ 牡5 高橋成忠 3:26.8
第47回 1963年4月29日 京都 芝3200m コレヒサ 牡4 森安重勝 3:22.5
第45回 1962年4月29日 京都 芝3200m オンスロート 牡5 山岡忞 3:27.6
第43回 1961年4月29日 京都 芝3200m ヤマニンモアー 牡4 浅見国一 3:22.6
第41回 1960年4月29日 京都 芝3200m クリペロ 牡5 保田隆芳 3:25.0
第39回 1959年4月29日 京都 芝3200m トサオー 牡4 野平祐二 3:23 1/5
第37回 1958年4月29日 京都 芝3200m オンワードゼア 牡4 野平好男 3:23 4/5
第35回 1957年4月29日 京都 芝3200m キタノオー 牡4 勝尾竹男 3:21 3/5
第33回 1956年4月15日 京都 芝3200m メイヂヒカリ 牡4 蛯名武五郎 3:22 3/5
第31回 1955年4月29日 京都 芝3200m タカオー 牡4 古山良司 3:22 3/5
第29回 1954年5月16日 京都 芝3200m ハクリヨウ 牡4 保田隆芳 3:24 2/5
第27回 1953年5月5日 京都 芝3200m レダ 牝4 佐藤勇 3:24 2/5
第25回 1952年5月3日 京都 芝3200m ミツハタ 牡4 渡辺正人 3:23 1/5
第23回 1951年5月5日 京都 芝3200m タカクラヤマ 牡4 橋田俊三 3:24 3/5
第21回 1950年6月4日 京都 芝3200m オーエンス 牡4 土門健司 稍重 3:34 3/5
第19回 1949年4月29日 京都 芝3200m ミハルオー 牡4 土門健司 3:26 3/5
第17回 1948年5月16日 京都 芝3200m シーマー 牡4 長浜彦三郎 3:25 3/5
第15回 1947年5月11日 京都 芝3200m オーライト 牡4 元石正雄 不良 3:34 1/5
太平洋戦争の影響により中止
第14回 1944年5月28日 京都 芝3200m ヒロサクラ 牡4 渋川久作 3:29 0/5
第12回 1943年4月11日 阪神 芝3200m グランドライト 牡4 阿部正太郎 3:28 1/5
第10回 1942年4月19日 阪神 芝3200m ミナミモア 牡4 佐藤邦雄 3:25 1/5
第8回 1941年4月27日 阪神 芝3200m マルタケ 牡5 清水茂次 3:25 4/5
第6回 1940年5月19日 阪神 芝3200m トキノチカラ 牡4 岩下密政 3:25 2/5
第4回 1939年5月14日 阪神 芝3200m スゲヌマ 牡4 伊藤正四郎 稍重 3:31 0/5
第2回 1938年5月15日 阪神 芝2700m ハセパーク 牡5 金者斤奉 2:53 1/5

グレード制導入以降の1番人気馬/勝利馬比較表

年度 出走頭数 1番人気馬 優勝馬 単勝(円)
1985年 15 シンボリルドルフ 130
1986年 16 スダホーク(7着) クシロキング(3番人気) 1,100
1987年 10 ミホシンザン 130
1988年 18 タマモクロス 440
1989年 18 スルーオダイナ(3着) イナリワン(4番人気) 930
1990年 16 スーパークリーク 150
1991年 18 メジロマックイーン 170
1992年 14 トウカイテイオー(5着) メジロマックイーン(2番人気) 220
1993年 15 メジロマックイーン(2着) ライスシャワー(2番人気) 520
1994年 11 ビワハヤヒデ 130
1995年 18 エアダブリン(5着) ライスシャワー(4番人気) 580
1996年 16 ナリタブライアン(2着) サクラローレル(3番人気) 1,450
1997年 16 サクラローレル(2着) マヤノトップガン(2番人気) 370
1998年 14 シルクジャスティス(4着) メジロブライト(2番人気) 230
1999年 12 スペシャルウィーク 230
2000年 12 テイエムオペラオー 170
2001年 12 テイエムオペラオー 200
2002年 11 ナリタトップロード(3着) マンハッタンカフェ(2番人気) 290
2003年 18 ダイタクバートラム(3着) ヒシミラクル(7番人気) 1,610
2004年 18 リンカーン(13着) イングランディーレ(10番人気) 7,100
2005年 18 リンカーン(6着) スズカマンボ(13番人気) 3,510
2006年 17 ディープインパクト 110
2007年 16 アイポッパー(4着) メイショウサムソン(2番人気) 450
2008年 14 アサクサキングス(3着) アドマイヤジュピタ(3番人気) 580
2009年 18 アサクサキングス(9着) マイネルキッツ(12番人気) 4,650
2010年 18 フォゲッタブル(6着) ジャガーメイル(2番人気) 590
2011年 18 トゥザグローリー(13着) ヒルノダムール(7番人気) 1,690
2012年 18 オルフェーヴル(11着) ビートブラック(14番人気) 15,960※1
2013年 18 ゴールドシップ(5着) フェノーメノ(2番人気) 620
2014年 18 キズナ(4着) フェノーメノ(4番人気) 1,150
2015年 17 キズナ(7着) ゴールドシップ(2番人気) 460
2016年 18 ゴールドアクター(12着) キタサンブラック(2番人気) 450
2017年 17 キタサンブラック 220
2018年 17 シュヴァルグラン(2着) レインボーライン(2番人気) 600
2019年 13 フィエールマン 280
2020年 14 フィエールマン 200
2021年 17 ディープボンド(2着) ワールドプレミア(3番人気) 520
2022年 18 ディープボンド(2着) タイトルホルダー(2番人気) 490
2023年 17 タイトルホルダー(競走中止) ジャスティンパレス(2番人気) 430

※1:第145回の単勝払い戻し金額は、天皇賞史上最高額である。

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関連項目

  • 競馬
  • 天皇賞(秋)
  • 八大競走
  • 競馬の競走の一覧

古馬王道中長距離GI
大阪杯 - 天皇賞(春) - 宝塚記念 - 天皇賞(秋) - ジャパンカップ - 有馬記念
競馬テンプレート
八大競走
桜花賞 - 皐月賞 - 優駿牝馬 - 東京優駿 - 菊花賞 - 天皇賞(春) - 天皇賞(秋) - 有馬記念
同格とされた競走
ジャパンカップ
ジャパンカップ創設後に八大競走に準じるとされた競走
宝塚記念 - エリザベス女王杯
競馬テンプレート

脚注

  1. *ちなみに、ヨーロッパでは牝馬が長距離を走れないという風潮は少なく、セントレジャーステークス(14F132y≒2937m)、ゴールドカップ(19F210y≒4014m)、カドラン賞(4000m)などにも牝馬の出走・勝利が近年でも見かける。
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