優駿牝馬とは (ユウシュンヒンバとは) [単語記事]

3歳牝馬限定クラシック競走・「樫の女王」
優駿牝馬(オークス)
東京競馬場・芝2400m

優駿牝馬(ゆうしゅんひんば)とは、日本中央競馬会(JRA)が主催するGI競走で3歳牝馬限定のクラシック競走である。通称は「オークス」で、JRAのCMでもオークスの名称が使われている。

概要

1938年イギリスのオークスステークスを手本に、3歳牝馬限定重賞「阪神優駿牝馬」(鳴尾競馬場土2400m)として創設。1946年からの競馬再開に伴い、東京競馬場に移設されると同時に名称を「優駿牝馬」に変更。1953年から東京優駿(日本ダービー)の前週に行なわれるのが恒例となり現在に至っている。

3歳牝馬クラシック第一戦の桜花賞が「桜の女王決定戦」と呼ばれるのに対し、オークスが"樫"と訳せることから「樫の女王決定戦」と呼ばれる(但し元ネタであるオークスステークスの「オークス」は開催地の地名である。またイギリスには樫は生えておらずoakとは楢のことである)。

エリザベス女王杯が短縮されてからは、牝馬限定競走で最も距離が長い競走となっている。この競走より前に施行される2～3歳牝馬限定重賞の殆どが1600m以下であり(2000m重賞もフローラステークスのみ)、前走から800mもの距離延長となる馬も多い。そのため他の牝馬限定重賞と傾向が異なり、ここでの勝利が最後となったり、何かの波乱が起きたりすることが多い。

例えば、

95年優勝馬ダンスパートナーは翌週のダービーのタヤスツヨシの走破時計よりも早いことで話題になったり、
96年にはエアグルーヴの母子2代制覇の偉業を達成するが、影でノースサンデーの大斜行も問題視されたり、
97年には手ごたえ良く上がってきたヤマニンザナドゥが落馬したり、
98年にはノーザンテースト最後の大物といわれた名脇役エアデジャヴーがしっかりと2着に食い込んだり、
99年には距離不安といわれたウメノファイバーが大外一気でハナ差しきったり、
00年には山内厩舎がワンツーフィニッシュだったり。
01年にはケント・デザーモが外国人騎手初のクラシック競走を制したり、
02年にはスマイルトゥモローが15番手からの追い込みを決めたり、
03年には母子3代制覇をかけて出走したアドマイヤグルーヴが凡走したり、
04年には府中の怪物がダンスインザムードを沈めたり、
05年にはシーザリオ・エアメサイア・ディアデラノビアの三つ巴の決戦になったり。
06年にはキングヘイロー産駒が無敗で優勝したり、
07年にはウオッカとダイワスカーレット不在になり、初の芦毛馬の優勝馬が誕生したり、
08年には池添の進路の取り方でなが～い長い審議になったりしてネットでも色々と議論したり揉めたりしたり、
09年には放馬したワイドサファイアが競馬場を約2周して4000メートルくらい激走して除外になり、そして馬じゃない生き物が勝ったり、
10年にはGI史上初の同着1位が起こったり、
11年にはエリンコートの2着に柴田善臣騎乗のピュアプリーゼが粘り込み、同騎手は“牡馬牝馬三冠完全二着制覇”という偉業を成し遂げたり、
12年には騎乗停止による鞍上交代や距離不安説などから3番人気となっていたジェンティルドンナが、それらを嘲笑うかのような5馬身差のレースレコードで完勝したり、
13年には鞍上がかつて日本ダービーで騎乗した馬の娘で騎手は7年ぶり、馬主も6年ぶり、生産者は33年ぶり、厩舎に至っては開業25年目にして初めてのGI(級)勝ちを収めたり(なお、調教師本人は入院中により表彰式に出席できなかった…)、
14年にはぶっちぎり1番人気のハープスターをヌーヴォレコルトが破り、父・兄に続き強者殺しの血を見せつけたり。

やはり何かが起こる。このレース。

主な前走・前哨戦

競走名	格付	施行競馬場	施行距離	間隔	優先出走権
忘れな草賞	L	阪神競馬場	芝2000m	6週
桜花賞	GI	阪神競馬場	芝1600m	6週	5着内
フローラステークス	GII	東京競馬場	芝2000m	4週	2着内
スイートピーステークス	L	東京競馬場	芝1800m	3週	1着内

優駿牝馬と写真判定

1983年　優勝馬／ダイナカール

1着から5着までが横並びになり入線。1着から5着まで写真判定という大混戦になった。着差はハナ、アタマ、ハナ、アタマ。白黒のスリット写真から、カラーのスリット写真に変わるキッカケになったという噂もある。

2010年　優勝馬／アパパネ・サンテミリオン

アパパネとサンテミリオンが同時入線。12分の写真判定の結果、同着により2頭の優勝馬が誕生した。しかし、インターネット上ではサンテミリオンが何センチか勝っていた！という疑惑の判定説も囁かれている。
なお、GIでは同着は初めてのことである。

歴代優勝馬

回数についているリンクをクリックすると該当する動画に飛びます。
馬齢表記は現行表記に統一。
競走名は第1回から第6回まで「阪神優駿牝馬」、第7回より「優駿牝馬」。

回数	開催日	競馬場	距離	優勝馬	性齢	勝利騎手	勝ち時計
第85回	2024年 5月19日	東京	芝2400m	チェルヴィニア	牝3	C.ルメール	2:24.0
第84回	2023年 5月21日	東京	芝2400m	リバティアイランド	牝3	川田将雅	2:23.1
第83回	2022年 5月22日	東京	芝2400m	スターズオンアース	牝3	C.ルメール	2:23.9
第82回	2021年 5月23日	東京	芝2400m	ユーバーレーベン	牝3	M.デムーロ	2.24.5
第81回	2020年 5月24日	東京	芝2400m	デアリングタクト	牝3	松山弘平	2.24.4
第80回	2019年 5月19日	東京	芝2400m	ラヴズオンリーユー	牝3	M.デムーロ	R2.22.8
第79回	2018年 5月20日	東京	芝2400m	アーモンドアイ	牝3	C.ルメール	2.23.8
第78回	2017年 5月21日	東京	芝2400m	ソウルスターリング	牝3	C.ルメール	2.24.1
第77回	2016年 5月22日	東京	芝2400m	シンハライト	牝3	池添謙一	2.25.0
第76回	2015年 5月24日	東京	芝2400m	ミッキークイーン	牝3	浜中俊	2.25.0
第75回	2014年 5月25日	東京	芝2400m	ヌーヴォレコルト	牝3	岩田康誠	2.25.8
第74回	2013年 5月19日	東京	芝2400m	メイショウマンボ	牝3	武幸四郎	2.25.2
第73回	2012年 5月20日	東京	芝2400m	ジェンティルドンナ	牝3	川田将雅	2.23.6
第72回	2011年 5月22日	東京	芝2400m	エリンコート	牝3	後藤浩輝	2.25.7
第71回	2010年 5月23日	東京	芝2400m	アパパネ	牝3	蛯名正義	2.29.3 (同着)
第71回	2010年 5月23日	東京	芝2400m	サンテミリオン	牝3	横山典弘	2.29.3 (同着)
第70回	2009年 5月24日	東京	芝2400m	ブエナビスタ	牝3	安藤勝己	2:26.1
第69回	2008年 5月25日	東京	芝2400m	トールポピー	牝3	池添謙一	2:28.8
第68回	2007年 5月20日	東京	芝2400m	ローブデコルテ	牝3	福永祐一	2:25.3
第67回	2006年 5月21日	東京	芝2400m	カワカミプリンセス	牝3	本田優	2:26.2
第66回	2005年 5月22日	東京	芝2400m	シーザリオ	牝3	福永祐一	2:28.8
第65回	2004年 5月23日	東京	芝2400m	ダイワエルシエーロ	牝3	福永祐一	2:27.2
第64回	2003年 5月25日	東京	芝2400m	スティルインラブ	牝3	幸英明	2:27.5
第63回	2002年 5月19日	東京	芝2400m	スマイルトゥモロー	牝3	吉田豊	2:27.7
第62回	2001年 5月20日	東京	芝2400m	レディパステル	牝3	K.デザーモ	2:26.3
第61回	2000年 5月21日	東京	芝2400m	シルクプリマドンナ	牝3	藤田伸二	2:30.2
第60回	1999年 5月30日	東京	芝2400m	ウメノファイバー	牝3	蛯名正義	2:26.9
第59回	1998年 5月31日	東京	芝2400m	エリモエクセル	牝3	的場均	2:28.1
第58回	1997年 5月25日	東京	芝2400m	メジロドーベル	牝3	吉田豊	2:27.7
第57回	1996年 5月26日	東京	芝2400m	エアグルーヴ	牝3	武豊	2:29.1
第56回	1995年 5月21日	東京	芝2400m	ダンスパートナー	牝3	武豊	2:26.7
第55回	1994年 5月22日	東京	芝2400m	チョウカイキャロル	牝3	小島貞博	2:27.5
第54回	1993年 5月23日	東京	芝2400m	ベガ	牝3	武豊	2:27.3
第53回	1992年 5月24日	東京	芝2400m	アドラーブル	牝3	村本善之	2:28.9
第52回	1991年 5月19日	東京	芝2400m	イソノルーブル	牝3	松永幹夫	2:27.8
第51回	1990年 5月20日	東京	芝2400m	エイシンサニー	牝3	岸滋彦	2:26.1
第50回	1989年 5月21日	東京	芝2400m	ライトカラー	牝3	田島良保	2:29.0
第49回	1988年 5月22日	東京	芝2400m	コスモドリーム	牝3	熊沢重文	2:28.3
第48回	1987年 5月24日	東京	芝2400m	マックスビューティ	牝3	田原成貴	2:30.9
第47回	1986年 5月18日	東京	芝2400m	メジロラモーヌ	牝3	河内洋	2:29.6
第46回	1985年 5月19日	東京	芝2400m	ノアノハコブネ	牝3	音無秀孝	2:30.7
第45回	1984年 5月20日	東京	芝2400m	トウカイローマン	牝3	岡冨俊一	2:31.9
第44回	1983年 5月22日	東京	芝2400m	ダイナカール	牝3	岡部幸雄	2:30.9
第43回	1982年 5月23日	東京	芝2400m	シャダイアイバー	牝3	加藤和宏	2:28.6
	1981年 5月24日	東京	芝2400m	テンモン	牝3	嶋田功	2:29.5
第41回	1980年 5月18日	東京	芝2400m	ケイキロク	牝3	岡部幸雄	2:32.3
第40回	1979年 5月20日	東京	芝2400m	アグネスレディー	牝3	河内洋	2:29.6
第39回	1978年 5月21日	東京	芝2400m	ファイブホープ	牝3	横山富雄	2:30.2
第38回	1977年 5月22日	東京	芝2400m	リニアクイン	牝3	松田幸春	2:28.1
第37回	1976年 5月23日	東京	芝2400m	テイタニヤ	牝3	嶋田功	2:34.4
第36回	1975年 5月18日	東京	芝2400m	テスコガビー	牝3	菅原泰夫	2:30.6
第35回	1974年 5月19日	東京	芝2400m	トウコウエルザ	牝3	嶋田功	2:29.1
	1973年 5月20日	東京	芝2400m	ナスノチグサ	牝3	嶋田功	2:28.9
第33回	1972年 7月2日	東京	芝2400m	タケフブキ	牝3	嶋田功	2:28.8
第32回	1971年 6月6日	東京	芝2400m	カネヒムロ	牝3	岡部幸雄	2:36.0
第31回	1970年 5月17日	東京	芝2400m	ジュピック	牝3	森安重勝	2:40.6
第30回	1969年 5月18日	東京	芝2400m	シャダイターキン	牝3	森安重勝	2:32.4
第29回	1968年 6月30日	東京	芝2400m	ルピナス	牝3	中野渡清一	2:31.6
第28回	1967年 5月13日	東京	芝2400m	ヤマピツト	牝3	保田隆芳	2:29.6
第27回	1966年 5月22日	東京	芝2400m	ヒロヨシ	牝3	古山良司	2:36.2
第26回	1965年 5月23日	東京	芝2400m	ベロナ	牝3	加賀武見	2:31.3
第25回	1964年 5月24日	東京	芝2400m	カネケヤキ	牝3	野平祐二	2:31.1
第24回	1963年 5月19日	東京	芝2400m	アイテイオー	牝3	伊藤竹男	2:32.4
第23回	1962年 5月20日	東京	芝2400m	オーハヤブサ	牝3	藤本勝彦	2:31.9
第22回	1961年 5月21日	東京	芝2400m	チトセホープ	牝3	伊藤修司	2:32.5
第21回	1960年 5月22日	東京	芝2400m	スターロツチ	牝3	高松三太	2:33.4
第20回	1959年 5月17日	東京	芝2400m	オーカン	牝3	清田十一	2:33 4/5
第19回	1958年 5月18日	東京	芝2400m	ミスマルサ	牝3	八木沢勝美	2:33 0/5
第18回	1957年 5月19日	東京	芝2400m	ミスオンワード	牝3	栗田勝	2:32 0/5
第17回	1956年 5月27日	東京	芝2400m	フエアマンナ	牝3	佐藤嘉秋	2:33 4/5
第16回	1955年 5月28日	東京	芝2400m	ヒロイチ	牝3	岩下密政	2:32 4/5
第15回	1954年 5月22日	東京	芝2400m	ヤマイチ	牝3	八木沢勝美	2:39 0/5
第14回	1953年 5月17日	東京	芝2400m	ジツホマレ	牝3	杉村一馬	2:36 3/5
第13回	1952年 10月5日	東京	芝2400m	スウヰイスー	牝3	八木沢勝美	2:31 2/5
第12回	1951年 11月18日	東京	芝2400m	キヨフジ	牝3	阿部正太郎	2:33 4/5
第11回	1950年 11月19日	東京	芝2400m	コマミノル	牝3	渡辺正人	2:38 0/5
第10回	1949年 11月13日	東京	芝2400m	キングナイト	牝3	高橋英夫	2:38 0/5
第9回	1948年 11月14日	東京	芝2400m	ヤシマヒメ	牝3	佐藤嘉秋	2:32 0/5
第8回	1947年 10月19日	東京	芝2400m	トキツカゼ	牝3	佐藤嘉秋	2:40 2/5
第7回	1946年 11月24日	東京	芝2400m	ミツマサ	牝3	新屋幸吉	2:46 2/5
太平洋戦争の影響により中止
第6回	1943年 10月3日	京都	芝2400m	クリフジ	牝3	前田長吉	2:34 0/5
第5回	1942年 10月11日	阪神	芝2450m	ロツクステーツ	牝3	玉谷敬治	2:39 0/5
第4回	1941年 10月5日	阪神	芝2450m	テツバンザイ	牝3	稲葉幸夫	2:43 1/5
第3回	1940年 10月6日	阪神	芝2450m	ルーネラ	牝3	近藤貞男	2:38 0/5
第2回	1939年 10月1日	阪神	芝2450m	ホシホマレ^[1]	牝3	佐々木猛	2:55 3/5+大差
第1回	1938年 11月23日	阪神	芝2700m	アステリモア	牝3	保田隆芳	2:57 2/5

八大競走
桜花賞 - 皐月賞 - 優駿牝馬 - 東京優駿 - 菊花賞 - 天皇賞(春) - 天皇賞(秋) - 有馬記念
同格とされた競走
ジャパンカップ
ジャパンカップ創設後に八大競走に準じるとされた競走
宝塚記念 - エリザベス女王杯
競馬テンプレート

中央競馬の世代別GI
五大クラシック
桜花賞 - 皐月賞 - 優駿牝馬 - 東京優駿 - 菊花賞
その他の世代別GI
2歳	朝日杯フューチュリティステークス - 阪神ジュベナイルフィリーズ - ホープフルステークス
3歳	NHKマイルカップ - 秋華賞
廃止・変更された競走
2歳	阪神3歳ステークス
3歳	ビクトリアカップ - エリザベス女王杯
競馬テンプレート

脚注

*ヒサヨシ(鞍上武田文吾)1位入線後失格による繰り上がり。

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