宇宙戦国時代とは、機動戦士ガンダムシリーズにおける宇宙世紀の時代区分。
初出は「機動戦士Vガンダム」。宇宙世紀0140年以降の連邦政府(中央政府)の弱体化とそれに伴うコロニーのなし崩し的な独立、そしてコロニー間の紛争の多発と激化を比喩した言葉とされる。
それ以前の時代との最大の違いはアースノイドとスペースノイドの対立軸が消滅したと言うことである。これには後述する連邦政府の弱体化とスペースノイド側の価値観の変化(自然環境をむしろ敬遠し、コロニーでの生活を当然とする考えに)が遠因となっている。
そして、それに反比例するかのようにコロニー間での争いが増加。むしろ、連邦の介入さえ求められる事態となっているが、連邦は無関心であり全く戦闘に参加しようとはしない傾向にあると言う点も特徴として挙げられる。
情勢ではマリア主義を奉じたサイド2(ザンスカール帝国)が有力になるが、指導者層の死亡で急速に衰えるなど栄枯盛衰も激しかった。兵器などもサイド2サナリィを接収し独自の兵器を持っていた前述のザンスカールもあれば、連邦軍のおさがりを接収したマケドニアなど比較的雑多である。
旧来のニュータイプ概念は完全に後退または変化しており、ついには地球生まれ・地球育ちのニュータイプであるウッソ・エヴィンを迎えることになる。
0096年、ネオ・ジオンの指導者ミネバ・ラオ・ザビがラプラスの箱の正体(『宇宙に適応した新人類』というニュータイプとも読み取れるようなスペースノイドの政治への参加を約束した条文が記された本物の宇宙世紀憲章)を世界に公表する。これにより良くも悪くもスペースノイドにも政治が出来るという認識を多くの人達が持つ事になる。
0100年のジオン共和国消滅から連邦と他のコロニーにとっての共通の敵(ジオニズムを標ぼうする勢力)は消滅し、その緩い紐帯にはほころびが生じ始めていた。これと前後して紛争も一服し、人口は増大しコロニーの数も爆発的に増加。一年戦争で壊滅して放棄されていた旧サイド5(新サイド6またはフロンティア)宙域にまで再建の手が及んだ。
0123年、この間隙をついてブッホコンツェルン(ロナ家)率いるクロスボーン・バンガード軍がフロンティアⅣを占拠。コスモバビロニアを名乗り地球連邦政府と交戦状態に突入する(コスモバビロニア建国紛争)。
この紛争自体はクロスボーン・バンガード内の内紛により数年程度で沈静化するが、これまでのジオニズムを標ぼうした勢力とは一線を画しており、新たな動乱の幕開けを告げるものであった。事実、この紛争を機に再びコロニー間での自治権獲得運動は再活発化。0130年代には各サイドやコロニーに自治政府が置かれ始め、現地行政や司法を拘束し始めて行く。
もっとも、コスモバビロニア建国紛争前後までは衰えたとは言え、連邦政府にも力はありコロニー住民にも連邦国民と言う意識は存在した。しかし、宇宙世紀0133年に木星を拠点とするクラックス・ドゥガチが地球圏に侵攻(木星戦役)すると事態は一変。この戦役自体はトビア・アロナクスやキンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)ら新生クロスボーン・バンガード、そしてスペースコロニーの自治政府軍が活躍して鎮圧されるが、彼らに頼らざるを得なかったことは地球連邦の無力さを内外に知らしめる結果となってしまう。
また、木星戦役における主敵は木星人と言う連邦の力が及ばない新興勢力であったこと、同様に把握出来ていないコロニーも増えたことから連邦もかつて一年戦争前に行ったジオンへの締め付け政策は取れず、コロニーへの干渉政策はしだいに放棄されて行った。
0140年には連邦政府の干渉もほぼなくなり、各コロニーには政庁と呼ばれる自治政府が置かれスペースノイドたちの理想は実現されたかに見えた。しかし、サイドまたはコロニー間にも経済格差や資源をめぐる争いが本来的に存在し、自治権獲得はむしろこの火種に油を注ぐ形となってしまう。いくつかのコロニーは木星戦役時代にも見られたように武装化しており、実際に散発的ではあるが戦火も交え、ここから宇宙世紀は宇宙戦国時代へと突入していく。
ことここに至り、皮肉にもコロニー住人または民間組織(この中にのちのリガ・ミリティアもあった)の中に連邦への軍事介入を望む声が高まったが、連邦の無力化は加速度的に悪化し、アースノイドの地位低下と宇宙への無関心もあり有効な手立ては全くと言ってよいほど取れなかった。
この混乱と紛争による経済停滞によりコロニーも貧窮化。各サイドの中でも老朽化コロニーや難民収容コロニーを抱え、もとより貧しかったサイド1出身のマリア・ピァ・アーモニアはアルバニアンコロニーにおいて売春をしながら弟(クロノクル)を育てると言う極貧生活を送っていた。ついには父をも知れない子供(のちのシャクティ)を妊娠し、絶望の極致に陥る。しかし、妊娠と出産を機にヒーリングを中心とした霊能力に目覚め、0141年にアルバニアンにおいて人生相談所を設立。0144年には出版された書籍が話題を生み、同年に組織はクロノクルや支援者の手により宗教団体「マリアの光の教団」に発展解消する。
主張としては、宇宙移民開始~自治権獲得と言う出来事を経験してもなお争いを止められない人類に猛省を促すと共に、この原因を男性社会に求めて批判、女系社会への回帰とその象徴である母なる地球を大事にすると言うモノだった。これ自体はジオニズムの一つであるエレズムを女性視点で焼き直したに過ぎず、教団も単にマリアのカリスマによって立つモノに過ぎなかった。
しかし、0145年に木星公団の重役であったフォンセ・ガカチがマリアに接触すると状況は一変。世俗政治に参入を開始し、0146年にはガチ党が結成され、サイド2アメリア政庁の第三勢力にまでのし上がる。0147年には贈収賄に関与したグループをギロチンにかけ殺害。この私刑に震え上がった人々は次々に口をつぐみ、同年には政権を奪取することに成功する。
一連のマリア主義の理想と行動の激しいギャップに抵抗感を抱いた人々は0148年、ジン・ジャハナム(複数人いるが実質はハンゲルク・エヴィン)を中心にリガ・ミリティアを結成。一方、ガチ党は0149年マリア主義を支持するコロニーを糾合してサイド2にザンスカール帝国建国を宣言。0152年には地球に降下し、連邦の無関心をよそに制圧作戦を展開して行く。これに呼応し、リガ・ミリティアも抵抗を本格化させヨーロッパを中心に激しいゲリラ戦が展開される。
0153年、この紛争は最終的にウッソ・エヴィン、マリアの娘であるシャクティ・カリンらの活躍により終結を見る。ザンスカール帝国はマリアとカガチの死により空中分解し消滅した。
このザンスカール戦争は宇宙戦国時代でも最大規模の戦闘であったが、連邦の消滅までには至らなかった。しかし、連邦政府が力を回復することもなく、依然として宇宙戦国時代は続き、連邦内での騒乱も後を絶たなかった(代表格は0203年のマハの反乱)。
旧連邦軍のノウハウを引き継いだ国家議会軍という強大な軍事力は顕在だった。一方、退役軍人やジャーナリストなど幅広い層で構成されるプライベートクラブを前身とした秘密結社・イルミナーティは、秩序の維持を目的として秘密裏に活動を行い世界のバランサーになっていた。
0217年、ついに連邦政府は各サイドへの不干渉政策を改め、強硬策をとり各サイドへの進攻を開始した。しかし、この乾坤一擲の賭けは各コロニーの抵抗と大規模な内戦を呼び込み失敗。翌年、0218年に連邦政府は事実上の消滅を迎えてしまう。
明確に判明している140年の開始時期と違い、終焉の年代をどれとするかは諸説あり定かではない。Vガンダム以降、Gセイバーの小説版で連邦が崩壊した後も、地球と地球派サイドの集合体である『セツルメント国家議会』とそれ以外のサイド(サイド6,8は除く)と月、小さな共同体の集合体である『セツルメント自由同盟』の対立は続き、その終焉は描かれなかったためどの作品でも結末は明示されていない。
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最終更新:2025/12/12(金) 12:00
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