情報処理技術者試験の歴史 単語

ジョウホウショリギジュツシャシケンノレキシ

4.7千文字の記事
これはリビジョン 3280563 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

情報処理技術者試験の歴史では、日本の国家資格である「情報処理技術者試験」の歴史について解説する。

概要

そもそも情報処理技術者試験とは、日本で最も有名な情報技術(IT)に関する国家試験である。

この試験ではITという技術の進歩が著しい領域を取り扱っているため、各試験区分の名称や出題範囲などの制度の変更が何度か行われており、特に1994年、2001年、2009年には試験区分の再編などの大規模な制度変更が行われている。

年表

1969年〜1994年4月

1969年

プロトタイプとして以下の2つの区分の試験を実施。

  • 第一種情報処理技術者認定試験
  • 第二種情報処理技術者認定試験

1970年

本格的に情報処理技術者試験がスタートする。最初からある区分は以下の2つ。

当時は2つとも年1回のみの実施だった。また、午前科目は多肢選択式、午後科目は記述式だった。当時は2つともプログラマー向けの試験だったため、午後にはプログラミング言語の選択問題もあった。

学歴による受験資格の制限はないものの、レベルの目安としては第一種が大卒相当、第二種が高卒相当とされていた。

  • 第一種情報処理技術者試験…大卒レベル、上級プログラマー向け
  • 第二種情報処理技術者試験…高卒レベル、一般プログラマー向け

1971年

以下の区分が追加された。

  • 特種情報処理技術者試験…初のシステムエンジニア向けの区分で、主に設計・開発分野に特化していた。25歳以上じゃないと受けられないという年齢制限があった。また、論述式の科目があった。

1986年

以下の区分が追加された。

  • 情報処理システム監査技術者試験…監査、法務に特化した区分。年齢制限あり(受験資格:27歳以上)、論述問題あり

また、第二種情報処理技術者試験を以下のように変更。

  • 特に人気の高い区分だったため、この年から4月と10月の年2回実施されるようになった。
    • 第二種情報処理技術者試験以外の区分は従来通り10月のみ実施。
  • 選択問題のアセンブリ言語をCAP-XからCASLに変更。

1988年

以下の区分が追加された。

  • オンライン情報処理技術者試験…ネットワークエンジニア向けの区分

1989年

第一種情報処理技術者試験が4月実施に変更された。

1992年

10月から基本情報技術者試験の選択問題にC言語が追加された。

1994年10月〜2000年

1994年10月

試験区分が再編される。以下の区分が実施されるようになった。

  • 4月のみ実施
    • プロジェクトマネージャ試験(追加)…受験資格:27歳以上、論述問題あり
    • プロダクションエンジニア試験(追加)…主に設計に特化した区分。
    • データベーススペシャリスト試験(追加)
    • システム運用管理エンジニア試験(追加)…受験資格:25歳以上、論述問題あり
    • 第一種情報処理技術者試験…内容をシステムエンジニア向けに変更したため、1995年からプログラミング言語の問題を削除。
  • 10月のみ実施
    • システム監査技術者試験…受験資格:27歳以上、論述問題あり
    • システムアナリスト試験(追加)…経営戦略に特化した区分。受験資格:27歳以上、論述問題あり
    • アプリケーションエンジニア試験…特種情報処理技術者試験から名称変更。
    • ネットワークスペシャリスト試験…オンライン情報処理技術者試験から名称変更。
    • 初級システムアドミニストレータ試験(追加)…一般ユーザー向けの区分。午前・午後共に多肢選択式。1995年までは「システムアドミニストレータ試験」として実施されていた。
  • 年2回実施
    • 第二種情報処理技術者試験…午後科目を多肢選択式に変更。1995年からプログラミング言語の選択問題がある唯一の区分となった。

まとめると、以下の通りである。

  • 試験区分の数が今までより大幅に増えた。
  • ITエンジニアではなく一般ユーザーを対象とした区分が初めて追加された。
  • 第二種情報処理技術者試験と初級シスアドは午前・午後共に多肢選択式。それ以外の区分は午後が記述式である。

1996年

以下の区分が追加された。

  • マイコン応用システムエンジニア試験…4月実施。組み込みシステム専門の区分
  • 上級システムアドミニストレータ試験…10月実施。ユーザー向けだが難易度は非常に高い。受験資格:27歳以上、論述問題あり

1999年

この年から、人気の高い初級システムアドミニストレータ試験が年2回実施されるようになった。

2001年〜2008年

2001年4月

試験区分が再編され、以下の区分が実施されるようになった。

  • 4月のみ実施
    • システム監査技術者試験…論述問題あり
    • テクニカルエンジニア(データベース)試験
    • テクニカルエンジニア(システム管理)試験…システム運用管理エンジニア試験から名称変更。論述問題あり
    • テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験…マイコン応用システムエンジニア試験から名称変更
    • ソフトウェア開発技術者試験…第一種情報処理技術者試験から名称変更。午後科目が午後Iと午後IIの2つに分割される。
  • 10月のみ実施
    • システムアナリスト試験…論述問題あり
    • プロジェクトマネージャ試験…論述問題あり
    • アプリケーションエンジニア試験…論述問題あり
    • テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験
    • 上級システムアドミニストレータ試験…ユーザー向けだが難易度は非常に高い。論述問題あり
    • 情報セキュリティアドミニストレータ試験…新規追加。ユーザー向けのセキュリティ専門の区分。
  • 年2回実施
    • 基本情報技術者試験…第二種情報処理技術者試験から名称変更
    • 初級システムアドミニストレータ試験…ユーザー向け
  • 廃止
    • プロダクションエンジニア試験…ただし、出題内容の一部はソフトウェア開発技術者試験やアプリケーションエンジニア試験に引き継がれた。

まとめると、以下の通りである。

  • 一部の区分(システム監査技術者試験、システムアナリスト試験など)の年齢制限が無くなった。
  • セキュリティに特化した区分が初めて追加された。
  • 基本情報技術者と初級シスアドは午前・午後共に多肢選択式。それ以外の区分は午後が記述式である。
  • システムアナリスト試験、プロジェクトマネージャ試験、アプリケーションエンジニア試験の3つの区分は午前科目が共通問題となった。
    • この3つの区分のうちのどれかに合格した人は、2年以内ではあるが他の2つの区分の午前科目(共通問題)が免除されるという特典があった。
    • また、ソフトウェア開発技術者試験の合格者も2年以内であればこれら3つの区分の午前免除を使うことができた。

2001年10月

基本情報技術者試験の選択問題にJavaが追加された。

2002年

10月から電卓の持ち込みが禁止されるようになった。

2005年

この年からソフトウェア開発技術者試験が年2回実施されるようになった。

基本情報技術者試験と初級システムアドミニストレータ試験に午前科目の免除制度が導入された。(※詳細は「基本情報技術者試験の科目免除制度」の項目をご覧ください)

2006年

以下の区分を追加。

  • テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験…4月実施。セキュリティエンジニア向けの区分

2009年以降

2009年4月

試験区分が再編され、以下の区分が実施されるようになった。

  • 4月のみ実施
    • システム監査技術者試験…論述問題あり
    • プロジェクトマネージャ試験…論述問題あり
    • データベーススペシャリスト試験
    • エンベデッドシステムスペシャリスト試験
    • 初級システムアドミニストレータ試験…2009年4月に最後の試験を実施
  • 10月のみ実施
    • ITストラテジスト試験…システムアナリスト試験から名称変更。論述問題あり
    • システムアーキテクト試験…アプリケーションエンジニア試験から名称変更
    • ネットワークスペシャリスト試験
    • ITサービスマネージャ試験…テクニカルエンジニア(システム管理)試験から名称変更。論述問題あり
  • 年2回実施
    • 情報セキュリティスペシャリスト試験…テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験から名称変更
    • 応用情報技術者試験…ソフトウェア開発技術者試験から名称変更。ビジネス系の内容を追加。午後IIが廃止され、午後Iに統合される。
    • 基本情報技術者試験…初級シスアドの内容の一部(ビジネス系など)を追加。プログラミング言語に表計算ソフトを追加
    • ITパスポート試験…新規追加。初級シスアドに代わる一般ユーザー向けの区分
  • 廃止
    • 上級システムアドミニストレータ試験…ただし、出題内容の一部はITストラテジスト試験に引き継がれた。
    • 情報セキュリティアドミニストレータ試験…ただし、出題内容の一部は情報セキュリティスペシャリスト試験に引き継がれた。

まとめると、以下の通りである。

  • 名称に「アドミニストレータ」を含むユーザー向けの区分は全て廃止。ただし、初級シスアドに限り2009年4月にも試験が実施された。
  • 新たなユーザー向けの初級区分として、ITパスポート試験が追加された。
  • 基本情報技術者試験と応用情報技術者試験に、今までシスアドに出題されていたような内容(ビジネス系など)が追加された。
  • ITパスポート、基本情報技術者、(後に追加された)情報セキュリティマネジメントは全ての問題が多肢選択式。それ以外の区分は午前は多肢選択式、午後は記述式である。

2009年10月

初級システムアドミニストレータ試験が廃止された。

2011年

11月からITパスポート試験がCBT方式の随時試験に変更される。

2014年

この年からセキュリティに関する内容の出題が強化される。具体的には以下の通り。

  • 全ての区分の午前科目でセキュリティの問題が必ず出題されるようになった。
  • ITパスポート試験、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験の午前科目ではセキュリティの問題数が今までより増えた。
  • 基本情報技術者試験および応用情報技術者試験の午後科目でセキュリティが選択問題から必須問題に変更された。

2016年

以下の区分が追加された。

  • 情報セキュリティマネジメント試験…年2回実施。ユーザー向けのセキュリティ専門の区分。午前・午後共に多肢選択式。

2017年

情報セキュリティスペシャリスト試験が情報処理技術者試験から独立し、情報処理安全確保支援士という別の国家資格になった。

2020年

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響で4月の試験が中止となった。

10月から再開したが、年1回のみ(4月または10月)実施の区分に関してはここから4月と10月が入れ替わった。

※例えばシステム監査技術者試験などは10月実施に、逆にITストラテジスト試験などは4月実施に変更された。

この年から情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験はCBT方式に変更された。また、基本情報技術者試験の選択問題からCOBOLが削除され、代わりにPythonが追加された。

2023年

4月からの変更点は以下の通り。

  • 情報セキュリティマネジメント試験と基本情報技術者試験が随時実施となった。
  • 基本情報技術者試験の午後科目のプログラミング言語の選択問題が削除された(午後はアルゴリズムとセキュリティに特化した科目になった)。

10月からの変更点は以下の通り。

  • エンベデッドシステムスペシャリスト試験の午後に論述問題が追加された。
  • 情報処理安全確保支援士試験の午後IIが廃止され、午後Iに統合された。

2024年

ITストラテジスト試験とシステムアーキテクト試験から、組み込みシステムに関する内容が削除された。

関連動画

関連静画

関連項目

  • 情報処理技術者試験
  • IT資格
  • 国家資格
  • 難関資格
  • 経済産業省
  • 情報処理推進機構(IPA)
  • システムエンジニア
  • プログラマー
関連記事

親記事

子記事

兄弟記事

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/06(土) 17:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/06(土) 17:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP