120億円事件

2015年、宝塚記念。

前人未到の三連覇に挑む絶対王者が背負った66123の期待。
それを阻止せんと、一頭の馬が立ち上がった。

愚者(フール)か、 英雄(ヒーロー) か。
悪夢か、喜劇か。

その馬の名は...

（読み人知らず）

120億円事件とは、競走馬・ゴールドシップ最大のやらかしである。

昭和の有名な未解決事件のひとつ「三億円事件」とは何の関係もない。

概要

2015年6月28日に開催された、第56回「宝塚記念」。1番人気、かつパドックで好調だったゴールドシップに突如起こったあるトラブルによって、レース開始直後に約120億円の馬券が紙屑になり、彼に夢をかけた人たちの悲鳴や、客観的にレースを見守っていたファンたちの爆笑によって阿鼻叫喚が巻き起こった。

圧倒的1番人気

2015年の宝塚記念。人気はゴールドシップに集中していた(ファン投票1位・単勝1.9倍)。気性難で有名な馬に人気が集中していた理由は以下の通りである。

宝塚記念及び同一平地GⅠ3連覇がかかっていた

ゴールドシップは2013年と2014年に宝塚記念を史上初めて連覇し、このレースに3連覇がかかっていた。

また「平地GⅠ3連覇」は2023年現在でも成しえた馬がいない”前馬未到”の記録であり、母父メジロマックイーンの”置き土産"でもあった^[1]。

他にも様々な記録がかかっていた

前述の大記録以外にも、宝塚記念をとれば以下の記録も達成となっていた。

• GⅠ7勝（達成すれば当時最多タイ）
• 平地JRA 重賞12勝（達成すれば最多タイ）
• 阪神競馬場 連対率100％（達成すれば8戦7勝2着1回）

仁川の申し子

上記の通り、「阪神競馬場 連対率100％」の記録を継続中であり、中でも阪神大賞典は3連覇していた。

調子が絶好調だと思われていた

この年はアメリカジョッキークラブカップで敗戦したものの、続く阪神大賞典・天皇賞(春)と連勝。調子は絶好調とみられていた。

そして事件へ…

パドックは好調。ゲート入りは目隠しをされながらもすんなりと入った。ここまでは良かった。

しかしゲート入り後に、左隣のトーホウジャッカル（7枠14番 鞍上・酒井学）の様子が気になったか、ゴールドシップは突然立ち上がってしまう。

ゴールドシップの三連覇か？
それとも他馬が待ったをかけるのか？

ゴールドシップが立ち上がった！？

実況・川島壮雄（カンテレ）

関西テレビでゲート前リポーターを務めていた細江純子は悲鳴を上げた。しかし、ゴールドシップは一旦足を下ろして通常の体制になった。係員は馬が落ち着いたと判断し、ゲートを開けた。

しかしゲートが開いた瞬間、
ゴールドシップはまた立ち上がってしまったのである。

おおっと 立ち上がった ゴールドシップ！！

出ない 出ない！ 6万大観衆からどよめきー！

ゴールドシップが ゲートを出ませんでしたー！！

実況・川島壮雄（カンテレ）

その瞬間、6万人の観客からはどよめきが沸き、細江純子は再び悲鳴を上げた。

当然大きく出遅れてしまい、最初の直線は1頭ポツンと置かれる状態となった。何とか後方集団に追いつきここからいつもの末脚が…と思われたがやる気を失ったのか全く伸びなかった。最後はアドマイヤスピカを抜き何とかビリは免れたものの16馬中15着と大惨敗。記録うんぬんどころでは無くなってしまった。

この時紙屑になった馬券は約120億円(正確には枠連8-8含んで117億7190万6200円)。過去最大級の飛びっぷりとなったこの結果を人々(主に被害者を中心に)は三億円事件をもじって「120億事件」と呼ぶようになり、今でもJRA最大級の事件として語り継がれている。

なお、勝利馬はゴールドシップの右隣から立ち上がって暴れるゴルシから逃げるように好スタートを決めたラブリーデイ（8枠16番 鞍上・川田将雅）であった。一方レース後のゴルシは、須貝尚介調教師がやって来ると気まずそうに顔を背けた。

『ウマ娘 プリティーダービー』での再現

ウマ娘のゴールドシップはアニメではチームスピカの古株として、ゲームアプリでは初期キャラの1人として登場している。

なお、実馬のゴールドシップとのコラボは「240億円」と呼ばれる事がある。

OVA EXTRA R「BNWの誓い」

Season1では「宝塚記念を連覇した」で止まっていたウマ娘のゴールドシップの活躍。「120億円事件は再現されないのか…」と思われたが以外な形で再現された。

BNWの誓い③で行われた大阪杯にゴールドシップが出場。ゲート入り直後に「負ける気がしねぇ！」と発したところ隣のエアシャカールも同時に同じ発言をし「「真似すんじゃねぇよ！」」と喧嘩に。次の瞬間、ゴールドシップはゲートにしがみついてしまった。と同時にゲートが開いてしまいエアシャカールと共に大きく出遅れることに。実況も恒例のフジテレビネタとして再現（元ネタは勿論、関西テレビ川島壮雄アナ）された他、奇しくも解説のCVが細江純子であったため、悲鳴も再現されてしまった。スペシャルウィークとサイレンススズカも悲鳴を上げている。「やべっ。」と言って必死に走っている姿を見て「実馬のゴルシよりはマシ」との声も上がった。

なお、実馬のゴールドシップは大阪杯を走った事がない。前述の通り阪神大賞典をローテーションに組んでおり、大阪杯はその2週間くらい後に設定されるのが通例である。後の大舞台を目指す馬にとってそんな連闘は酷だと言える。なお、アプリでは同じターンに設定されているため阪神大賞典→大阪杯の連闘は不可能である。

ゲームアプリ

初期メンバーとして実装されているゴールドシップ。シニア級の宝塚記念が目標レースに登録されているが、追加でクラシック級の宝塚記念も制して連覇すると、連覇後に「ゲート難」が付与されるイベントが発生。詳しくはゲート難(ウマ娘)を参照。完全に120億円事件を意識したイベントである。もう1年はないのが救いか。

また2022年のゴールデンウィーク期間には、ゴールドシップをメインキャラクターに据えた「ゴルシウィーク」というイベントを実施。その中で、育成モードに「ゴルシちゃんモード」が追加された（2022年5月10日まで）。同モードでは、レースでのライバルが「ちょっとだけ」強くなる代わり、追加でマニーが手に入る。その額、最大120万マニー。完全に120億円事件を意識した数字である。

関連動画

ウマ娘での再現

関連静画

案の定というべきか、ほとんどウマ娘のゴルシに関するものが大半である。

関連項目

• 競馬
• 宝塚記念
• ゴールドシップ
• ゲート難 / 出遅れ
• 横山典弘
• 細江純子
• ウマ娘プリティーダービー
  • ゴールドシップ(ウマ娘)
  • ゲート難(ウマ娘)
• 競馬の伝説のレース集
• 阪神大笑点
• 京王杯スリリングカップ
• ネット流行語100 - 2021年のノミネート100単語で43位にランクイン（当時はゴールドシップの大百科記事にリダイレクトされていた）

脚注

1. *対象は天皇賞(春)。1991年・1992年と連覇するも1993年はライスシャワー相手に敗戦