夏の日に陽炎が映す景色が揺れてる。破けたアスファルト。
夕暮れに日暮が奏でる侘しい音から、代え難い情緒。
なぜだろう。いつか見た感情が、また顔を出した。
半袖のパーカー着始めて、「もう一年たったか」と言って、時の流れにまた驚いて、蝉の声に耳を傾けて、
夜に窓開けたら涼しくて、網戸の穴から虫が来て、去年の夏を思い返す。やっぱり虫は苦手なままだ。
夏の日々の所作を見つめて、過ぎた日を懐古している。
夏の日に陽炎が揺れる道を歩いてる。汗で濡れた服。
どこからか花火の音がかすかに聞こえる。宵の月が浮かぶ。
遠い昔のことを思って、あの頃は何も知らなくて、黄昏れたような気になって、夏の声を聞き物思う。
それでも答えなど出やしない。僕は何も知らないままで、知れないことまで知りたくて、いつまでもここでもがいている。
今年も変わらずに夏が来て、夏の匂いの中で眠って、そんなことしてたら秋が来て、草木が赤色に染まってく。
その頃は夏に恋焦がれ、それでもこの僕はこのままで、自堕落な生活を送って、気づけばまた次の夏が来る。
そうだ、去年と同じ夏が今年も来た。夕焼けの向こう側の僕も、きっと今日と同じ。同じ顔。
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