ディクテオン(Diktaean)とは、2018年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の騸馬。
主な勝ち鞍
2023年:浦和記念(JpnⅡ)、名古屋グランプリ(JpnⅡ)
2024年:白山大賞典(JpnⅢ)
概要
父キングカメハメハ、母メーデイア、母父キングヘイローという血統。
父は言わずと知れた非サンデー系筆頭の大種牡馬で、ダートでもホッコータルマエやチュウワウィザードを輩出している。
母は牝馬限定交流重賞で6戦無敗を誇り、2013年のJBCレディスクラシックを単勝元返しで勝った名牝。ディクテオンは第2仔。
母父は1998年クラシック世代で、11度目のGⅠ挑戦で高松宮記念を勝った不屈の超良血馬。近年母父としての活躍が目覚ましく、世界最強馬イクイノックスを筆頭にディープボンドやピクシーナイト、ダートでもキングズソードなどの活躍馬を続々と輩出している。
2018年3月10日、社台系の追分ファームで誕生。オーナーは追分ファーム生産馬を主に扱う一口馬主クラブのG1レーシング。一口150万円×40口(=6000万円)となかなかのお値段で募集された。
馬名意味は「全知全能の神ゼウスの生まれた場所。母名より連想」。
王と王女より生まれしもの
3歳~4歳(2021年~2022年)
エイシンフラッシュやストレイトガールなどで知られる栗東の名門・藤原英昭厩舎に入厩したディクテオンだったが、よほど気性がアレだったのか、3歳の5月になってようやくデビューしたとき、彼はもう去勢されて騸馬になってしまっていた。それなりの良血馬なのに……。
しかもその阪神・芝1800mの未勝利戦はタイムオーバーの最下位。いや、母メーデイアもデビュー戦はタイムオーバーの最下位だったけどさあ……。続く未勝利戦でダート1800m、芝2000mと試すものの9着、10着に沈み、あえなく3戦未勝利で地方送りとなってしまった。
さて、名古屋競馬場の角田輝也厩舎に移籍したディクテオンだったが、10月の移籍初戦、ダート1400m戦を中団から3コーナーで一気に捲って7馬身差で圧勝。中1週で向かった2戦目も同様のレースで楽勝し、無事に中央復帰の権利を手にした。
というわけで中央に戻ってきたディクテオンは、2020年に開業したばかりの栗東・吉岡辰弥厩舎の所属となった。小倉・ダート1700mの復帰初戦こそ後方から良い脚を見せたものの7着に終わったが、2400mに距離延長した平場の1勝クラスを中団から直線で他馬をちぎり捨て5馬身差で完勝。これで完全にダートに専念することになった。
その後は後方から差し届かず、先行すると後方から差され、と2勝クラスで5着→3着→10着→3着と足踏みが続いたが、10月の昇級5戦目、伊勢佐木特別(東京・ダート2100m)を最後方から直線大外一気で差し切ると、続く同条件の3勝クラス・晩秋ステークスもダノンラスターとの熾烈な追い比べを制して連勝、オープン入りを果たして4歳を終えた。
5歳(2023年)
明けて5歳、東海ステークス(GⅡ)で重賞初挑戦となったディクテオンだったが、後方からあまり見せ場なく9着。続く同条件の名古屋城ステークス(OP)も後方からいい脚は見せたものの4着まで。
1800だとやっぱりちょっと短い、ということで条件戦で連勝した東京2100mのブリリアントステークス(L)に向かうと、また最後方からダノンラスターとの熾烈な追い比べとなったが、今度もアタマ差制してオープン初勝利を挙げる。
しかし続く同条件のスレイプニルステークス(OP)ではダノンラスターのリベンジの後ろで11着撃沈。一休みして10月のブラジルカップ(L)も後方から上がり最速の脚を見せるが4着まで。
なかなか思うようにいかない中、浦和記念(JpnⅡ)に参戦することになったディクテオン。鞍上にはライアン・ムーアを迎える予定だったのだが、落馬負傷のため急遽乗り替わりに。代打として船橋の本田正重を迎えることになった。日本テレビ盃2着で前走ブラジルCを勝ったテンカハル、重賞戦線でぼちぼち好走しているメイショウフンジン、日本テレビ盃6着から立て直しを図るミトノオー、地方3歳馬の雄ヒーローコールが人気を分け合う中、重賞実績なし・地方騎手テン乗りのディクテオンは11.0倍の5番人気だった。
レースは出足がつかず最後方からとなってしまったが、吉岡師からも「前半あまり急がせない方が最後の脚を使う」と言い含められていた本田騎手は落ち着いてじっくり最後方を追走し、2周目の向こう正面から進出開始。一気に先行集団まで捲っていくと、4角で逃げるミトノオーを捕まえ、粘るミトノオーを直線で力強く振り落として2馬身半差で完勝。待望の重賞初制覇を飾った。
勢いに乗り、続いて年末の名古屋グランプリ(JpnⅡ)へ。鞍上は地元名古屋の岡部誠を迎えた。今回もミトノオーやメイショウフンジンと一緒のレースとなったが、牝馬グランブリッジと人気を分け合い、2.4倍の2番人気に支持される。
逃げ馬のミトノオーとメイショウフンジンに地方の牝馬マテリアルガールが3頭で競り合ってハイペースの流れとなり、その後ろで捲り逃げのステージギミック・テリオスベルをグランブリッジが内に封じ込めようとがっちりブロック。ディクテオンはその後ろを外目で追走する。向こう正面でようやくテリオスベルが進出を開始するのに合わせてディクテオンも進出開始。テリオスベルが3角でミトノオーとメイショウフンジンをかわすと、ディクテオンも外から一気にその2頭を置き去りにし、内のグランブリッジとともにテリオスベルを捕まえにかかる。4角で先にテリオスベルをかわすと、追いすがるグランブリッジを悠々と振り切って鮮やかに重賞連勝。充実期を迎えて5歳シーズンを終えた。
6歳(2024年)
明けて6歳は鞍上に再び本田正重を迎え、ダイオライト記念(JpnⅡ)から始動。新鋭セラフィックコール、堅実派ハギノアレグリアスと人気を分け合い3.1倍の3番人気。レースはいつもより前目の中団から進める、引退レースのテリオスベルがいつものようにホームストレッチで捲り逃げの態勢に入るのを2周目の向こう正面から追いかけにかかるが、反応悪く上がっていけず、勝ったセラフィックコールからは7馬身以上離された4着といささか不安な滑り出し。
続いて引き続き本田騎手と、この年から4月開催となった川崎記念(JpnⅠ)でGⅠ級初挑戦。前走の負けで18.9倍の6番人気まで評価を落とした。レースは例によって最後方から進め、2周目の向こう正面から進出を開始するも、ライトウォーリアの淀みのないペースの逃げに追いつくにはいささか後ろすぎたか、ライトウォーリア、グランブリッジ、アイコンテーラーの3頭横並びの激闘に1馬身届かず4着。
5月開催に変わった名古屋グランプリ(JpnⅡ)ではまた岡部誠を迎え、ノットゥルノと人気を分け合って2.3倍の2番人気に支持された。しかしノットゥルノに悠々と大逃げを決められては、捲りのディクテオンにはあまりにも分が悪い。レース自体も前残りで決着し、ノットゥルノには3秒近くちぎられてまたまた4着。強い逃げ馬にペースを握られると厳しいのは追込馬の宿命ではあるが……。
そんなこんなで大目標の帝王賞(JpnⅠ)では新たに横山和生を迎えたが、46.3倍の9番人気まで評価を落とした。しかし今回はライトウォーリアが逃げるも道中ペースが緩み、馬群が固まった展開。例によって出足がつかず最後方からのディクテオンは大外ブン回しで捲っていくと、先に抜け出したキングズソードとウィルソンテソーロを外から猛追するが、振り切られて3着。敗れはしたものの、ここ3走は展開が向かなかっただけで不当に舐められすぎたということは示したと言えるだろう。
秋は引き続き横山和生と白山大賞典(JpnⅢ)から始動。前走で評価も回復し、2.2倍の1番人気に支持された。レースはダイシンピスケスとメイショウフンジンが競り合って2頭で後ろを離して逃げ、ディクテオンと横山和生は3番手でそれを追走……えっ、3番手!? お前先行できたの!? そしてディクテオンはそのまま向こう正面で内からぬるりと前2頭を捕まえ3コーナー前でもう先頭。あとはそのまま後続を悠々と突き放し、終わってみれば2着ダイシンピスケスに5馬身差の圧勝で久々の重賞3勝目を挙げた。捲りの追込馬が先行していつもの脚使ったらそら勝つわな。ちなみに母メーデイアが勝ったJBCレディスクラシックは金沢開催。母仔で金沢の交流重賞制覇となった。
新パートナー・横山和生と新味を見せたディクテオン。距離適性を考えれば佐賀のJBCクラシックを狙いたい所だったがこちらには向かわず、連覇の懸かる浦和記念(JpnⅡ)へ向かう事になった。キングズソードが浅屈腱炎で回避して補欠一番手のディクテオンは繰り上がる可能性があったが、JBC本番直前の発表だったためタイミングが悪かったか。だが、アウトレンジが圧勝する後ろで逃げたメイショウフンジンを捕まえることすらクビ差かなわず4着に終わった(1着アウトレンジ、2着ライトウォーリアともに自分より前目で競馬を進めていて上がりも早いのだからどうしようもなかった)。
今後は東京大賞典がビッグタイトル獲りへ大目標となるだろう。キングヘイローのダート牝馬代表である母メーデイアに、「母父キングヘイロー」でもダート代表という冠を捧げることを目指してディクテオンの戦いは続く。
血統表
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
Miesque | Nureyev | ||
Pasadoble | |||
*マンファス 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン | *トライマイベスト | |
Mill Princess | |||
Pilot Bird | Blakeney | ||
The Dancer | |||
メーデイア 2008 鹿毛 FNo.2-b |
キングヘイロー 1995 鹿毛 |
*ダンシングブレーヴ | Lyphard |
Navajo Princess | |||
*グッバイヘイロー | Halo | ||
Pound Foolish | |||
*ウィッチフルシンキング 1994 鹿毛 |
Lord Avie | Lord Gaylord | |
Avie | |||
Halloween Joy | Exuberant | ||
Halloween |
クロス:Northern Dancer 5×5×5(9.38%)
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