サトノダイヤモンドとは、2013年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。
主な勝ち鞍
2016年:菊花賞(GI)、有馬記念(GI)、神戸新聞杯(GII)、きさらぎ賞(GIII)
2017年:阪神大賞典(GII)
2018年:京都大賞典(GII)
この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「サトノダイヤモンド(ウマ娘)」を参照してください。 |
デビュー~3歳春
父は言わずと知れたディープインパクト、母はアルゼンチンのGIを3勝しているマルペンサという超良血。セレクトセールにて「サトノ」の冠名で知られる高額GII馬コレクター里見治氏に2億4150万円にて落札され、デビュー前から注目を集める。
デビューは11月の京都芝2000mで鞍上はクリストフ・ルメール。2億5200万で落札された同じディープ産駒のロイカバードとの「5億円対決」として話題を集める。結果は直線にてロイカバードを突き放し完勝。
続く2戦目も、後の重賞馬であるマイネルハニー他を相手に楽勝。続くきさらぎ賞ではロイカバードとの再戦となったが、鞍上のルメールが「鞭は要らなかった」と語るほどの3馬身半の圧勝。勝ちタイム、ラップ、着差どれをとっても優秀だったため、今年のクラシックはこの馬で決まり!と普通はなるはずなのだが……。
3月の皐月賞トライアルの弥生賞では、良血馬エアスピネル・2歳王者リオンディーズ・出世レースの若駒ステークスを快勝したマカヒキが激突し、鞍上ルメールのマカヒキがレースレコードで勝利してクラシックの有力候補に躍り出る。ルメールがどちらを選ぶかが注目されたが、本人曰く「新馬戦から乗り続けた馬で、ダービーを見据えて」サトノダイヤモンドを選ぶ。
そして皐月賞。きさらぎ賞からの直行での参戦は皐月賞での結果が伴っていない(直行での優勝は阪神2000mで行われた90年のハクタイセイまで遡り、以降は前年まで12頭が参戦して全て4着以下に敗戦)のだが、ファンはこの馬のポテンシャルを信じてエアスピネル・リオンディーズ・それらを破ったマカヒキらを抑えての1番人気。しかしゴール前でリオンディーズがヨレたことによる不利を受けたこともあり、共同通信杯の勝ち馬ディーマジェスティ、マカヒキに敗れる3着。
続く日本ダービーでは、皐月賞より絞って-4kgの究極仕上げ。1番人気をディーマジェスティに譲るも、前走では先着されたマカヒキより上位の2番人気。陣営もファンもダービーこそは……の思いで見ていたのだが、最後の直線先頭に躍り出たと思ったところに内からルメールが乗り代わった馬でありダービー未勝利の川田将雅の乗るマカヒキが強襲を仕掛け、さらにマカヒキに馬体を合わせられた後に外側に膨れるロスもあり、再び追い上げるも8cm差の2着。レース後には後ろ足の蹄鉄を落鉄していたことが判明。皐月賞・ダービーいずれも消化不良の内容に終わり(鞍上にとっては「乗り代わった馬に自身が勝った事のないダービーを勝たれる」という皮肉な結果に)、悔しい春となる。
3歳秋・至高の輝き
秋は凱旋門賞へ向かうプランもあったそうだが、ダービーの落鉄で痛めた爪の不安もあり国内に留まって菊花賞へと向かう。トライアルの神戸新聞杯では内に潜んでいたミッキーロケットに出し抜かれそうになる場面もあったが、それをクビ差交わして後続には3馬身差の勝利。
迎えたクラシック最終戦の菊花賞。皐月賞馬ディーマジェスティと人気を分け合う形になったが、1番人気に支持される。レースは初めは中団に位置していたが、ディーマジェスティが並びかけてくると2頭合わせて位置取りを上げていき4コーナーを回る。しかしサトノダイヤモンドはまだ持ったまま、対するディーマジェスティは4角からムチを入れているほど手ごたえに差があり、直線でディーマジェスティ以下を瞬く間に突き放す。そのまま勢いは止まらず、追い込んできたレインボーライン、エアスピネルらを抑え、2馬身半差の完勝。この馬にとっても初のGIタイトル、鞍上のルメールにとっても初の中央競馬クラシックのタイトル、そして、凄まじい勢いで良血馬を集めながらどういうわけかGIを勝てず「そういう運命」とさえ言われた[1]「サトノ」の里見オーナーにとっても初のGIタイトルとなった(余談だが、この後里見オーナーは憑き物が取れたかのようにGIタイトルを取ることとなる)。
次走は有馬記念にて初の古馬との対戦。2016年の古馬戦線を牽引してきたキタサンブラック、前年の覇者ゴールドアクター・宝塚記念を制したマリアライト・最強の2勝馬サウンズオブアースら実績のあるメンバーの中、発走直前に1番人気となる。キタサンブラック、ゴールドアクターが好位につける中、レース序盤はいつもの中団待機だが、鞍上はペースが遅いと読んで3コーナー前で早くも2頭に並びかける。そのまま最終コーナーを回った3頭は直線での叩き合いとなり、一度は突き放されたと思われたが、坂を上り切った辺りから再度加速。ゴールドアクター・そして粘りに粘っていたキタサンブラックをクビ差競り落としてGI2勝目を挙げる。レース後のインタビューでは、新馬戦から乗り続け、春の苦戦を味わい、自身初のクラシックタイトルをもたらした馬で勝利したルメールは涙し「競馬は時々難しいけど、今日は素晴らしいです」と語った。この勝利が評価され、2016年のJRA賞最優秀3歳牡馬に選出された。
4歳~
翌2017年は秋の大目標・凱旋門賞でのスタミナ勝負を視野に入れて阪神大賞典から始動。大阪杯のGI昇格等で有力馬が少なかったこともあり、単勝1.1倍の断然人気に支持される。序盤から先行馬の出入りが激しくリズムを崩す場面もあったが、前年同レースの覇者シュヴァルグランのすぐ後ろから最終コーナーを周り、残り1ハロン過ぎでこれを交わして1馬身半の完勝。ナリタトップロードが記録したレースレコードにコンマ1秒差に迫る好タイムで古馬初戦を勝利で飾った。
迎えた天皇賞(春)。GI昇格した大阪杯を完勝してきたキタサンブラックと再び激突。外枠15番が嫌われたか2番人気となるが、キタサンブラックとの差は僅かで、メディアが喧伝した通りの2強対決。ヤマカツライデンが刻んだあり得ないハイペースの中、2番手のキタサンを見つつ中団でどっしり構える。しかし枠が災いして終始外を回らされる嫌な展開。それでも淀の坂を越えた先で仕掛け、直線入り口ではキタサンブラックから2、3馬身の位置まで押し上げる。しかしそこから差が詰まらない。それどころか、キタサンに引き離される一方。残り200mで周りと脚色が同じになり、最後は長距離巧者シュヴァルグランも捕まえられず3着。一方のキタサンブラックはその2馬身余り前で日本レコードを打ち立てる圧勝。ルメールが「キタサンが強すぎた」と言えば、池江師も「どう転んでも勝てなかった」と振り返った、完敗というほかない結果に終わってしまった。しかしこの馬も最速上がりでレコードタイムを大きく更新する走りは見せた。陣営がかねてから「3200mは適距離ではない」と語っていたし、仕方ない。
凱旋門賞を見据えて宝塚記念は回避して調整。僚馬サトノノブレスと共にフランスへ飛ぶ。
初戦はお馴染みの前哨戦となったGIIフォワ賞。6頭立ての少頭数となったこともあり十分勝てる……と思われたが、重馬場に加えレース中に軽傷を負いまさかの4着。凱旋門賞に暗雲が立ち込める。
若干人気を落としたが、それでも上位馬として迎えた凱旋門賞。しかし運の悪いことに、フォワ賞に続いて重馬場でレースを迎えることになってしまう。それでもいつも通りの中団から、手応えはよく追走。4角では外から先団を捉える位置まで押し上げる。しかしそこから全く伸びず、逆にズブズブと後退。結局18頭立て15着に敗れ、悲願は成らなかった。馬群から突き抜けた勝ち馬エネイブルとの力の差を見せつけられる結果となった。
その後は長期休養に入り、明け5歳となった翌年の金鯱賞で復帰。不振だった欧州遠征からの休み明けということで1番人気を4歳世代のスワーヴリチャードに譲る。レースは中団から進むも直線では反応鈍く、先行したスワーヴリチャードや逃げたサトノノブレスに追いつけず3着となったが、出走馬中最速の上がり33.7秒で(欧州遠征では見せられなかった)末脚を久々に見せた。しかし続く大阪杯では3番人気ながら7着と大きく負けてしまう。宝塚記念にはファン投票1位で選ばれ出走を決めるも、陣営からはしっかりとした強気なコメントが出ず、「もう燃え尽きたのでは?」との声も囁かれたりした。レース当日は復活を願うファンの声援を受け1番人気。第4コーナーでは中団から進出しにかかるも、直線では伸びず6着に破れてしまった。
秋は京都大賞典から始動。このレースでは久々に切れ味が復活し、上がり最速の末脚で半馬身差し切り1年半ぶりの勝利を挙げる。その後予定通り秋天はパスしてJCに出走。ルメールはアーモンドアイの騎乗が決まっていたので絶好調のジョアン・モレイラが騎乗する。3番人気には支持されたが、今度は前走の切れ味がなくアーモンドアイの世界レコードを眺めるだけの6着に敗れる(一応レースレコードより早いタイムではあった)。ラストランとなった有馬記念は自己最低の6番人気まで転落し、レース結果もその通りの6着。最後まで3歳時の輝きを取り戻せずに引退、種牡馬入りすることとなった。
種牡馬として
競走馬引退後は社台スタリオンステーションで種牡馬入り。初年度産駒は2022年からデビューしたが勝馬率0.179、重賞勝利数0と既に飽和気味のディープインパクト系種牡馬としては厳しい結果に終わる。
年が明け2023年5月の京都新聞杯でサトノグランツが勝利して産駒初の重賞勝利を挙げたが、いささか遅かったかそれまで年間140頭前後を維持していた種付け頭数が2023年度には58頭にまで減少。2024年度からはブリーダーズ・スタリオン・ステーションにて繋養されることとなった。
血統表
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
Lady Rebecca | |||
Burghclere | Busted | ||
Highclere | |||
*マルペンサ 2006 鹿毛 FNo.1-w |
Orpen 1996 鹿毛 |
Lure | Danzig |
Endear | |||
Bonita Francita | Devil's Bag | ||
Raise the Standard | |||
Marsella 1997 黒鹿毛 |
*サザンヘイロー | Halo | |
Northern Sea | |||
Riviere | Logical | ||
Talonada | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Halo 3×4×5(21.88%)、Northern Dancer 5×5×5(9.38%)
父ディープインパクトは日本の三冠馬にして日本のみならず世界で産駒が活躍している大種牡馬。
母マルペンサはアルゼンチンのGIを3勝。
母父Orpenはフランスの2歳GIモルニ賞優勝馬。
半妹マルケッサの産駒にホープフルステークス勝ち馬のドゥラエレーデがいる。
主な産駒
関連動画
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関連項目
脚注
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