オオバンブルマイ(Obamburumai)とは、2020年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2022年:京王杯2歳ステークス(GⅡ)
2023年:アーリントンカップ(GⅢ)、ザ・ゴールデンイーグル(重賞・格付けなし)
概要
父*ディスクリートキャット、母ピンクガーベラ、母父ディープインパクトという血統。
父はアメリカG1シガーマイルハンデキャップの勝ち馬。アメリカで種牡馬入りの後、日本ではマル外として走ったエアハリファが2015年の根岸Sを勝利。2017年から日本のダーレー・ジャパンで供用され、オオバンブルマイは輸入後3世代目の産駒である。しかしオオバンブルマイが活躍しだして間もなく、2023年5月に病気のため死亡した。
母は11戦未勝利だが、全姉に短距離重賞2勝のブランボヌール、全弟にフォレ賞2年連続3着のエントシャイデン、半弟(父キズナ)に短距離重賞3勝のビアンフェがおり、叔父にも新潟大賞典勝ち馬ダコールがいる。そして3代母*アジアンミーティアはあの大種牡馬Unbridled's Songの全妹という良血である。
母父は説明不要だろう。
2020年2月26日、新ひだか町のサンデーヒルズで誕生。オーナーは白地に赤バッテンの勝負服、アカイイトやヨカヨカでおなじみの岡浩二。サンデーヒルズは岡オーナーが2018年に開業した生産牧場で、オオバンブルマイはサンデーヒルズ産の2世代目にあたる。
馬名意味は「大盤振る舞い。ファンに配当金を盛大に振る舞えるように」。
大盤振る舞い
2歳(2022年)
クイーンズリングなどを管理した栗東・吉村圭司厩舎に入厩し、2022年9月14日、中京・芝1400mの新馬戦で角田大河を鞍上にデビュー。14.9倍の5番人気とそれほど高い評価ではなかったが、好スタートからすんなり先行すると、直線では最内を突いて抜け出し、1.7倍の断然人気だった牝馬スプルの追撃を寄せ付けず快勝デビューを飾る。
続いて東京に遠征し、横山武史を鞍上に迎え、同じ1400m戦の京王杯2歳ステークス(GⅡ)に挑戦。1番人気は小倉2歳S勝ち馬ロンドンプラン(2.7倍)で、オオバンブルマイは51.0倍の10番人気という完全な人気薄だった。しかし今回も好スタートからすんなり先行すると、逃げる11番人気フロムダスクを見ながら内ラチ沿いの経済コースを確保。直線で粘る前のフロムダスクと5番人気スピードオブライトに対し、外に出して進路を確保すると、鋭く差し切って勝利。見事に穴を開ける。
さらに2着にフロムダスク、3着にスピードオブライトがそのまま粘り込んだため、10番人気-11番人気-5番人気での決着となり、馬連65,910円、馬単13万3430円、3連単222万1830円というまさに名は体を表す大盤振る舞いの馬券となった。
この2連勝で鞍上にクリストフ・ルメールを迎えて朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)に乗りこんだが、スタートで後手を踏んでしまい最後方からのレースになり、特に見せ場なく7着。ルメールは「ゲートの中でチャカチャカしていて、スタートがあまり良くなく、後ろから忙しかったです。まだ若いので、だんだん良くなると思います。1600mはOKです」とのコメント。
3歳(2023年)
明けて3歳はNHKマイルカップを目標に定め、トライアルのアーリントンカップ(GⅢ)から始動。鞍上には新たに武豊を迎えた。混戦ムードの中、7.0倍の5番人気。
レースは1番人気のユリーシャが大逃げする展開を中団グループで追走。武豊は「道中の行きっぷりは思ったより良くなかったので少し心配した」というが、直線に入って外に持ち出し、武豊のステッキが入ると鋭く反応。ユリーシャを先行勢が呑み込んでそのまま押し切る流れを、大外から一気の末脚で呑み込み、ゴール板でアタマ差かわして勝利。重賞2勝目を挙げる。
この豪快な末脚で、本番のNHKマイルカップ(GⅠ)では大混戦ムードの中ながら、カルロヴェローチェとエエヤンに次ぐ3番人気(6.1倍)に支持される。雨で稍重の馬場の中、前走もあってか武豊は後方に構えて末脚勝負を選択。直線でスムーズに大外の進路を確保し鋭く追い込んだが、シャンパンカラーに振り切られ、さらに最後方から猛然と突っ込んできたウンブライルにもかわされて3着。武豊は「直線に向いてスムーズに外に出て勝ったかと思いましたが、スムーズに伸びた分、最後一杯になってしまいました」とのコメント。ちなみに勝ったシャンパンカラーは9番人気、2着ウンブライルは8番人気だったので3連単は26万760円とまた結構ついた。自分が人気になったら馬券内に人気薄を連れてくるのか……。
しばらく休み、秋はなんとオーストラリアへと遠征。格付けなしの重賞[1]ながら、1着賞金525万オーストラリアドル(約5億円)という超高額賞金レースの芝1500m戦、ザ・ゴールデンイーグル(南半球産4歳・北半球産3歳限定戦)に挑戦することになった。鞍上は引き続き武豊の予定だったが、前週に騎乗馬に蹴られて負傷してしまったため、地元のジョシュア・パー騎手が騎乗することになった。
レースは内枠のスタートから内ラチ沿いの中団に構え、経済コースで脚を貯める。直線入口では完全に馬群に埋もれて進路がない状態だったが、冷静に仕掛けのタイミングを待つと、前にいた馬たちが逃げ馬をかわそうとして外に振ったことで最内に綺麗に進路が開いた。すかさずそのスペースに突っ込んだオオバンブルマイは貯めた末脚を鋭く伸ばし、ゴール板手前で狙い澄ましたように差し切って1着でゴール板へと飛び込んだ。
果敢な挑戦で見事5億円をゲットし、馬主へ馬名通りの大盤振る舞いを実現したオオバンブルマイ。ザ・ゴールデンイーグルは賞金の10%がチャリティーとして福祉団体に寄付されるシステムであり、寄付先の障害者乗馬協会にも5000万円の大盤振る舞いとなった。さらにこの賞金で獲得賞金の総額が一気に約5億9000万円となり[2]、ダービー馬タスティエーラ(約5億7000万円)や牝馬三冠馬リバティアイランド(約5億4300万円)を上回ってこの時点での獲得賞金額世代トップに躍り出た。GⅠ未勝利なのに。ザ・ゴールデンイーグルは格としては実質GⅠみたいなもん?それはそう。
この後は年内を休養に回し、4歳は再び豪州へ向かい4月第1週のドンカスターマイルに参戦。鞍上は当初パー騎手を予定していたが、当日のハンデを考慮して昨年の日本ダービーを制したダミアン・レーン騎手に乗り替わりとなる。その後は転戦して香港のチャンピオンズマイルへ参戦予定で、引退レースを迎えるゴールデンシックスティとの対決となる。ゴールデンイーグルとは違いドンカスターマイルはGⅠ格付けがあるので、勝てば正真正銘のGⅠ馬となる。
名は体を表す活躍を見せるオオバンブルマイ。さらなる大盤振る舞いを求めて戦いは続く。
血統表
*ディスクリートキャット 2003 鹿毛 |
Forestry 1996 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird |
Terlingua | |||
Shared Interest | Pleasant Colony | ||
Surgery | |||
Pretty Discreet 1992 鹿毛 |
Private Account | Damascus | |
Numbered Account | |||
Pretty Persuasive | Believe It | ||
Bury the Hatchet | |||
ピンクガーベラ 2014 芦毛 FNo.4-m |
ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
*ウインドインハーヘア | Alzao | ||
Burghclere | |||
ルシュクル 2006 芦毛 |
サクラバクシンオー | サクラユタカオー | |
サクラハゴロモ | |||
*アジアンミーティア | Unbridled | ||
Trolley Song |
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関連項目
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- 珍名馬
- ディスクリートキャット
- ショウガタップリ - 名は体を表す同期の珍名馬
脚注
- *オーストラリアでは州ごとに競馬を統括する団体がある、日本でいう地方競馬方式で、格付けの取得には全州の全会一致が必要なのだが、ザ・ゴールデンイーグルが開催されるローズヒルガーデンズ競馬場のあるニューサウスウェールズ州(シドニーのある州)と、その南のビクトリア州(メルボルンのある州)が死ぬほど仲が悪いため、拒否権を行使されて格付けを取得できないでいる。ジ・エベレストが格付けなしなのと同じ理由。
- *JRA公式によるとザ・ゴールデンイーグルの勝利で獲得賞金には4億7052万8400円が加算された。2023年1月1日時点でのレートで換算されたものと思われる。
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