独占禁止法とは、独占を禁止し公正かつ自由な競争を守るための法律である。
概要
正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」。法律番号は昭和22年法律第54号(要するに昭和22年に公布された54番目の法律という意味)である。「独禁法」とも。
私的独占、不当な取引制限(カルテル、入札談合等)、不公正な取引方法などの行為を禁止し、事業活動の基本的なルールを定めている。
ニュースで談合が発覚したなどを聞くことがあるが、そのときは本法律に違反していたことになる。
転じてゲーム内で何かを独占したりした場合等に「独占禁止法に違反している」等書かれたりする。
独占の何がいけないのか
事業者視点
自由競争をしている場合、ライバル事業者と競い合って消費者にとって魅力的な商品を開発していく。その中で技術革新による性能向上や機能追加などが発生し、勝ち抜いた事業者は売り上げが伸び経済の活性化にも貢献できる。
しかし、独占しているとライバルが存在しないため商品開発の必要性が低くなり技術革新が行われなくなる。それにより市場は成長せず企業の売り上げも上がらなくなる。
消費者視点
自由競争をしている場合、多くの事業者が消費者に選ばれるために多岐に渡る商品を提供する。消費者はその中からより自身の要求にあっている商品を選択することができる。
しかし、独占していると少ない事業者の幅の狭い商品しか提供しなくなる。消費者は自身の要求にあまり合っていなくても選択せざるを得なくなる。
禁止されている行為
私的独占の禁止
排除型私的独占
排除型私的独占は競争相手の排除や新規参入者を妨害する行為で以下の4つになる。
- 低価格販売・・・・・・・・・採算を度外視した低価格を設定する
- 排他取引・・・・・・・・・・取引拒否で取引先を見つけにくくする
- 抱き合わせ・・・・・・・・・セット販売する
- 取引拒絶・差別的取り扱い・・商品の材料となる商品の市場で取引拒絶や差別する
誤解を生みかねないので補足するとセット販売したら即違反ではなく、それにより他の事業者が事業を継続できなるような事態となることが含まれている。
支配型私的独占
支配型私的独占は他の事業者の自己決定等を縛ることでその事業活動を支配させる行為である。
不当な取引制限
カルテルは事業者同士が連絡を取って本来自主的に決めるべき商品の価格・数量等を共同で決めることである。商品価格がどれも変わらなくなるなど一般消費者に直接関係してくる可能性がある。
入札談合は公共工事等の入札で入札参加者同士があらかじめ受注事業者・入札価格等を決めてしまうことである。土木建築等で聞かれることが多い。
事業者団体の規制
事業者団体は結束力が強い場合があり、その場合はカルテルや入札談合になってしまうこともある。
企業結合規制
株式の保有や合併等で今まで独立していた事業者が結合した場合の規制である。この規制によりその事業者または他の事業者と協調することで市場を操作できるようになる場合は企業結合を禁止している。
その条件に合致する場合は公正取引委員会に届出・報告を行う必要がある。
独占的状態の規制
50%超のシェアを持つ事業者のいる市場等で発生する規制である。需要の低下等で価格が下がるはずの状態で下がらないという事態が発生した場合、その事業者に営業の一部譲渡を命じる等して市場の競争を回復させる。
不公正な取引方法の禁止
不公正な取引方法というのは以下の観点から判断される。
その方法について全業種が対象の「一般指定」と特定の業種が対象の「特殊指定」がある。一般指定には以下のようなものがある。
- 不当廉売
- 取引妨害
- 取引拒絶
- 不当高価購入
- 排他条件付取引
- 拘束条件付取引
- 欺瞞的顧客誘引
- 再販売価格の拘束(著作物を除く)
- 差別対価・差別取り扱い
- 優越的地位の濫用
- 競争事業者の内部干渉
- 抱き合わせ販売・・・人気商品と不人気商品をセットにして販売するなど
罰則
公正取引委員会が監視しており、違反した場合は違反内容によって以下の罰則がある。
罰則の類型 | 個人 | 法人 |
私的独占、不当な取引制限、 事業者団体の禁止行為違反 |
5年以下の懲役・500万円以下の罰金 | 5億円以下の罰金 |
国際的協定等、事業者団体の禁止行為違反 | 2年以下の懲役・300万円以下の罰金 | 300万円以下の罰金 |
確定排除措置命令違反 | 2年以下の懲役・300万円以下の罰金 | 3億円以下の罰金 |
銀行又は保険会社の議決権保有の制限違反等の罪 | 1年以下の懲役・200万円以下の罰金 | 200万円以下の罰金 |
届出等に関する規定違反 | 200万円以下の罰金 | 200万円以下の罰金 |
立入検査妨害等 | 1年以下の懲役・300万円以下の罰金 | 2億円以下の罰金 |
これに追加で課徴金を払う必要がある。
なお、課徴金と罰金両方を払う場合は罰金の半額が課徴金から控除される。
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関連項目
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