粂野匡近とは「鬼滅の刃」の登場人物である。
そして同時に、不死川実弥にとってかけがえのない人物の一人でもある。
概要
顔に深く刻まれた傷跡を二つ持つが、それ以上に少年そのものな明るい笑顔が印象に残る鬼殺隊隊士。最終的な階級は「甲(きのえ)」。実弥が単独で鬼を狩っていた頃に出会い、彼に育手を紹介する形で鬼殺隊に誘う。
マンガ本編では、実弥の回想という形でそれからの顛末まで軽く触れられる程度であったが、その詳細が明らかになったのは小説「鬼滅の刃 風の道しるべ」にて。
性格は、その人懐っこい笑顔そのままの底抜けに明るく、善性の塊としか思えない人物。その上、誰に対しても親し気に接することもしばしば。そうした行状のためか、鬼に対する憎悪などとは無縁という第一印象を抱くに違いない。実際、実弥もやたらと馴れ馴れしく話しかけたり、何かにつけて兄弟子風を吹かせる匡近に対して悪印象が強まるばかりであった。簡単に言えば、彼との立ち位置を逆転もしくは対等にするとこんな感じになる、といったところ。
とはいえ、彼とて鬼殺隊の一員。その単純そうな笑顔が時として哀しみを帯びた陰のあるものになったり(実弥の印象だと“笑っているのに、なぜか目の前の男が泣いているような気がした(原文ママ)”らしい)、また鬼の非道に対して激しい怒りを見せることもあり、断じてそれだけの男ではないことも確か。
鬼殺の剣士としての彼の実力は、実弥同様風の呼吸の使い手で彼との手合わせで207戦159勝42敗6引き分けで圧勝。実弥がね。何にしても、実弥とタメを張れるだけの実力の持ち主であることは確か。ちなみに、カブト虫相撲では無事勝ち越している。兄弟子の威厳ェ・・・・・・。前述のように呑気そうな性格でありながら、冷静かつ判断力に優れており、滅多なことでは激情に呑まれるようなことはない(仮にそうなったとしても、少なくとも作中では我を見失うような愚挙は犯していない)。その人当たりの良い性格も情報収集をする上でも十分に有益に働いているため、調査能力にも長けている。
以上のように鬼殺隊の一員として優秀な部類に入ることは間違いない。
ともあれ、以降もお節介を焼く匡近に絆されてきたのか、実弥も段々と彼に気を許すようになり、いつの間にか苗字ではなく下の名前で呼ぶようになった(当の呼ばれた本人はあまりにびっくりしすぎたものの、やっぱり嬉しそうに笑ったそうな)。以降、彼と共にいる時間に安らぎを覚えると共に、その実力に信を置くようにもなった。
なお、実弥が匡近を疎んでいた頃より、なおかつその匡近から一方的にではあるものの、二人にはどちらが先に柱になるかという競争をしている。ちなみに、負けた方が牛鍋を奢ることに。結果は知っての通り、実弥が風柱となっている。
だが、その競争の決着の形は実弥の最も望まぬ形で着いてしまったのだった。
この世で一番やさしい笑顔
実弥と匡近に指令が下され、二人による共同任務となった。その内容とは、とある無人の屋敷にて子供が消える事件が発生していた。しかも、調査に赴いた隊員までもが不可解な形で行方不明となってしまっている。
そうして、件の屋敷に赴いた実弥と匡近だったが瞬く間に実弥が消えてしまうという形で分断されてしまう。残された匡近は賢明な調査を行った結果、事の真相に辿り着く。
そして、この神隠しの仕掛人である下弦の壱・姑獲鳥の術を破り、実弥と合流。その下劣な本性に怒りを露にしつつも、実弥と連携を取りこの悍ましくも恐るべき悪鬼に挑む。十二鬼月の一角だけあり苦戦を強いられながらも、二人で力を合わせた末にいよいよ匡近の手で悪鬼滅殺が成される。
ーーーそのはずだった。
だが、姑獲鳥によって囚われその支配下に置かれてしまった一人の少女が姑獲鳥を庇ったことで状況は一変。姑獲鳥の魔手から子供を守るべく、匡近はその身を盾とする。
姑獲鳥は実弥によって討たれたものの、匡近の命は尽きようとしていた。そんな中にあっても、彼は自身が守った少女を、そして何よりも実弥を案じながらその息を引き取った。
こうして、下弦の壱の討伐は実弥の慟哭によって幕を下ろした。
それから、柱となった実弥はその激情を産屋敷耀哉に向けるも、返ってきたのは謝罪の言葉と亡き母を思わせる優しい眼差し、そして匡近の遺書であった。その後には柱三人によるありがたいお叱りの言葉を賜りました。あとついでに冨岡さんの視線。そこに記されていたのは、それまで知らなかった匡近の顔であった。
匡近の目の前で弟が鬼に殺されてしまったこと。
そのことを両親から責められることはなかったものの、それを許せず自分自身を責め続けたこと。
泣いて止める母親を振り切って鬼殺隊へと入隊したこと。
そして、実弥の姿を亡き弟に重ねていたこと。
そんな悲壮な人生を歩み凄絶な怒りを秘めながらも、確かな優しさと本当の強さを持っていた友。その墓前にて自身の弟が鬼殺隊に入ったことを伝える実弥。彼ならばそれを受け入れられない自分を窘めるだろうこと。それでも、自分には拒絶し遠ざける以外に弟を守る術を知らないこと。そんな胸の内を明かした実弥は、再び悪鬼滅殺の戦いに明け暮れる日々に戻っていった・・・・・・。
関連項目
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