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概要
顎口虫の生活史では、淡水中で孵化した初期幼虫がミジンコに感染(第一中間宿主)し、そのミジンコを食べた魚や両生類、爬虫類(第二中間宿主)、そしてそれらを食べた豚やイヌ、ネコ(最終宿主)といった順番で動物に感染し、動物の腸内で成虫となって産卵する。そして、糞に混じった卵が雨に流されるなどして淡水へと戻るといったサイクルを繰り返していく。まれに第二中間宿主からヒトにも感染することがある。本来の最終宿主は動物で、ヒトの体内では成虫になることができない。
ヒトに感染した場合、腸壁を食い破って移動した幼虫が皮膚の下を這いまわる寄生虫爬行という非常に気味の悪い症状を見せる。幼虫が這いまわった跡は皮膚を強く引っ掻いた跡のように赤く腫れあがるため、簡単に目視できる。幼虫は二か月以上と長く生き、特に有刺顎口虫の感染では、眼球や中枢神経系に入り込んで失明や麻痺を引き起こす可能性もあり、脳にまで到達した際には大きな障害を残すことになる。手遅れになると死ぬこともある。
種類
- 日本顎口虫
一般にイヌやネコ、イタチといった野良生物、ブタの上部消化器官に寄生する。ヒトでは、ウグイ・ナマズ・ドジョウ・ブラックバス・ヘビなどの生食によって感染した事例がある。
一例として、2002年にブラックバスの刺身を食べた愛知県の女性(当時60歳)が感染・発症した。
2022年11月末には、青森県で例年を大幅に超えるおよそ130件もの感染報告があり、多くはシラウオの生食を行っていた。 - 有刺顎口虫
イヌやネコの腸壁に寄生する。戦後、ソウギョ等の生食で感染が流行した。 - 剛棘顎口虫
東南アジアでブタの胃壁に寄生する。豚肉の生食やドジョウの踊り食いで感染例がある。 - ドロレス顎口虫
主にブタやイノシシの胃壁に寄生する。日本ではマムシの生食で感染例がある。
予防法・治療法
- 予防法
淡水魚、爬虫類、豚肉の生食を避け、充分に加熱することと、調理器具をしっかり洗うことが感染予防になる。特に刺身やタタキには注意が必要で、冷凍しても死滅しないため、充分加熱するしか予防法はない。 - 治療法
皮膚の浅いところにいる場合は外科的に摘出することができる。その他、駆虫効果のある内服薬で駆除することもできなくはないが、内服薬では確実性に欠けるという。
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関連項目
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