機能的非識字とは、三行以上読めないことである。
実際には、簡単な読み書きはできても、文章の内容や意味を理解することができない状態である。
機能的非識字とは、簡単に言うと複雑な文章を理解できない、高度な計算ができない状態にあることを言う。
日常生活において読み書きや計算を満足に使いこなせない状態で、文字を読むことはできても文章の意味や内容を理解することが難しい。
簡単な読み書きや単純な四則演算はできるため日常生活を送る上でさほど困ったことにはならないが、新聞を満足に読めない、取扱説明書が理解できない、契約書の内容がわからない、医薬品の注意書きが読めないなど、少し高度な社会的行動を起こす前提となる論理的思考ができない。
複雑な文章を読み書きできないということは複雑な思考ができないということに直結する。論理的思考ができなくなるため、人の話を理解できない、共感できないといったコミュニケーション上の問題も孕む。
学習能力や知的能力に問題があったり、学習の機会そのものが無く、会話はできても簡単な読み書きすらできない状態を「非識字」という。しかし機能的非識字ではそういった簡単な読み書きは問題なく行うことができ、日常生活上の文字や文章を読み書きすることはできるが、その内容を正しく理解することができない。
これはひらがなだけ読める等といったことではなく、個別の単語の意味はわかるが文章が理解できないという、読解能力の欠如を指す。結果として前述の通り,取説を見ても使い方がわからない、本を読んでも内容がわからない、新聞を読んでも意味がわからないといった事になり、政治や社会への参加が難しかったり、ひどい場合には日常生活でも人の話を理解できない等の問題が起きてくる。
機能的非識字であっても、周囲や本人ですら見かけ上の識字能力には問題が無く見えるため、機能的非識字によって支障が出ていることに気づけないという問題を抱え、教育水準の高い先進国であっても一定以上の者が機能的非識字の問題を抱えていることが指摘されている。
アメリカでは21世紀初頭、1500万人の機能的非識字者が職に就いていた。全米では3000万人が該当すると言われ、2003年のとある統計調査では全米の機能的非識字者は成人の14%に上るともされた。おそろしいことに同調査によれば2020年代に入ってアメリカの機能的非識字率は上昇し、20%(約4300万人)を超えたと言われている。
2006年にはイギリスの新聞で「英国成人の6人に1人が、小学生以下のリテラシー能力である」とされた。また、同年の別調査では、16歳までに46%の人が基礎レベルの機能的計算能力を獲得できず、また、42%が英語を機能的に使用できるだけの基礎能力を身に着けられていないとされた。大雑把には、英国では毎年10万人の生徒が機能的非識字のまま卒業していくことになる。
フランスでの同様の調査によれば、機能的非識字率は7-9%とされた。
2013年のOECDによる国際成人力調査では、イタリアでは約28%がレベル1以下の読解力しか持たない機能的非識字者とされ、欧州で最も高い割合であった。
アジアにおいては韓国の2001年の調査で、韓国では読み書きができない文盲率は1%程度まで抑えられたものの、19歳以上の成人人口の約25%が読み書き・計算に困難があるとの結果が出ている。しかし2013年のOECDの調査では約13%に留まっている。
日本ではOECDの調査結果にも表れているように、機能的非識字者の割合は約6%となっていた。World Literacy Foundationが2015年に行った調査によれば、日本の機能的非識字者による社会的損失は1兆円にも上るという。2017年の新聞記事で「中学生の15%は主語がわからない等文章理解の第一段階もできていなかった」と報道されたことがある。
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最終更新:2024/05/02(木) 08:00
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