剝とは、はがす、はぐ、などを意味する字である。また、以下のことを表す。
- 剝(はぎ) - カワハギの別名。
- 剝(ハク) - 『周易』の六十四卦のひとつ。
- 剝 - カリウムの英名ポタシウムの当て字「剝荅叟母・剝篤叟母」の略。塩素酸カリウムの略称「塩剝(えんぽつ・えんぼつ)」、沃化カリウムの略称「沃剝(ようぽつ・ようぼつ)」などに用いる。
漢字として
- 意味
- はがす、むく、はがれる、はげる、皮を取り去る、奪い取る、落とす、削る、割る、傷つく、という意味がある。
〔説文解字・巻五〕に「裂くなり」、〔玉篇〕に「削るなり」、〔広韻〕には「落つるなり。割るなり。傷害するなり」 とある。 - 字形
- 会意兼形声で声符は彔。彔は剝がれ落ちる象形。
- 音訓
- 音読みはハク(漢音)、ホク(呉音)、訓読みは、はがす、はぐ、はがれる、はげる、むく、すく、へぐ、へずる、むくれる、など。
- 規格・区分
- 剝は常用漢字である。JIS X 0213第三水準。当用漢字、1981年の常用漢字にはなく、2010年の改定で新しく常用漢字に追加された。
- 剥は常用漢字表で「情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で,(中略)使用することは差し支えない。」などとされている字体である。JIS X 0213第一水準。
- 語彙
- 剝削・剝製・剝啄・剝脱・剝奪・剝落・剝離・剝蝕
異体字
- 𠚪は〔字彙補〕に「古き剝の字」とある字。〔集韻〕には「從と同じ」とある。
- 𠚩は〔集韻〕にある異体字。また、〔説文〕の重文。
- 𠛧は〔集韻〕にある異体字。
- 𠚬は〔字彙補〕に「𠚩と同じ」とある字。
- 簡体字では剥。
常用漢字の字体
常用漢字表には、以下の記述がある。([ ]内は付け足した)
情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で,本表の通用字体とは異なる字体(通用字体の「頰・賭[点付き]・剝」に対する「頬・賭[点無し]・剥」など)を使用することは差し支えない。
また、「剝」と「剥」の差は「印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差」としており、「筆写の楷書字形と印刷文字字形の違いが,字体の違いに及ぶもの」として挙げている。以下の記述がある。
括弧内は印刷文字である明朝体の字形に倣って書いたものであるが,筆写の楷書ではどちらの字形で書いても差し支えない。なお,括弧内の字形の方が,筆写字形としても一般的な場合がある。
つまり、手書きでは「剥」が一般的だが「剝」でもよいということ。
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