菐とは、わずらわしいという字である。
漢字として
- 意味
- 煩瑣という意味がある。〔説文解字〕には「瀆菐(トクボク)なり」とあるが、その意味は明らかではない。段玉裁は〔説文解字注〕で、瀆は煩瀆、菐は煩猥で[1]、瀆菐は煩雑の意味としている。
- 〔正字通〕には「丵字の譌」とある。
- 字形
- 丵+廾の会意。丵を両手で持つという字だが、丵がどういう字なのかについて諸説あり、菐の字形解釈にも諸説ある。
- 〔説文解字〕で丵は草むらという意味で、草を抜くのは煩瑣であるとする説(〔部首訂〕)がある。また〔説文解字〕の徐鉉の注に「一の本の注に云はく、丵は衆多なり。兩手に之れを奉る。是れ煩瀆なり」とある。
- 白川静は、丵を掘鑿に使う道具としており、菐はそれを持って打つ意味で、撲の初文だとしている。菐を用いて工作することから煩瑣の意味が生まれたのではないか、という。
- 音訓
- 音読みはホク、ボク、訓読みは、うつ、わずらわしい。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0213第四水準。JIS X 0212補助漢字。
- 部首
- 菐は、〔説文解字〕や〔玉篇〕で部首である。〔説文〕はほかに僕、𠔯を収める。
- 声符
- 菐を声符とする漢字には、撲、僕、墣、幞、樸、轐などがある。
脚注
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