ピースオブワールド(Peace of World)とは、2000年生まれの日本の競走馬。鹿毛の牝馬。
スティルインラブvsアドマイヤグルーヴの2003年牝馬三冠は、本当はこの馬とのSS産駒三強対決になるはずだった、2003年クラシック世代の天才少女。
主な勝ち鞍
2002年:阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)、ファンタジーステークス(GⅢ)
父*サンデーサイレンス、母*ビバムール、母父Caerleonという血統。
父は説明不要、日本競馬を根底から変えた大種牡馬。
母はアイルランド産のマル外で、芝の短距離を走って12戦2勝。ピースオブワールドは第2仔。
母父カーリアンは2度の英愛リーディングサイアーに輝いた欧州の名種牡馬だが、産駒は日本にも適応し、シンコウラブリイ、ビワハイジ、フサイチコンコルドなどを送り出した。
いとこに「最強マイラー」*タイキシャトルがいる(母の全姉*ウェルシュマフィンの仔)。
2000年2月18日、静内町の千代田牧場で誕生。そのまま牧場の所有として、牧場の先代代表・飯田正の名義で走ることとなった。SS産駒は総じて気性が荒いことで有名だが、ピースオブワールドは素直で落ち着いた性格だったそうな。
馬名意味は「世界の平和」。当時、千代田牧場はホームページで馬名募集を行っており、応募の中から「ピースオブドリーム」で申請したが通らなかったため、少し変えて「ピースオブワールド」となった。千代田牧場によると「社長がセリのため渡米中に同時多発テロが起こった経験と、預かって下さる坂口師のお人柄に相応しい馬名」とのこと。
マヤノトップガンやキングヘイローで知られる栗東・坂口正大厩舎に入厩したピースオブワールドは、福永祐一を鞍上に、2002年10月5日、京都・ダート1400mの新馬戦にてデビュー。単勝1.2倍という支持に応え、すんなり先手を取ると、福永がほとんど追うこともなく6馬身差の圧勝デビューを飾る。以後、引退まで福永が一貫して騎乗することになる。
続いて中1週で芝に切り替え、京都・芝1400mのかえで賞(500万下)に向かうと、ここも前目の好位から抜け出して2馬身差で完勝。
さらに中1週で同条件のファンタジーステークス(GⅢ)へ。なかなかの過密ローテだがガレることもなく、単勝1.4倍の支持を集めると、ここも好位から楽な手応えで抜け出して、後の重賞5勝馬シーイズトウショウに危なげなく勝利。しばし重賞制覇から遠ざかっていた坂口師にとっては、福永にとっては苦い思い出でもあるキングヘイローの2000年高松宮記念以来の中央重賞勝利となった。
無傷の3連勝で乗りこんだ阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)。ここには女帝エアグルーヴの仔アドマイヤグルーヴが出走を表明していたが、あえなく抽選漏れとなったため、これといったライバルもいなくなったピースオブワールドは単勝1.5倍、2番人気トーホウアスカが10.4倍という完全な一本被りの支持を集める。
レースはゲート内で待たされたことでやや出遅れてしまい、中団から3・4コーナーでは大外を回らされることになってしまう。しかしそんな距離ロスなどものともせず、そのまま直線大外から鋭く脚を伸ばしたピースオブワールドは前を並ぶ間もなく撫で切りにし、あとは突き放して1馬身半差で完勝。無傷の4連勝で2歳女王に戴冠した。キングヘイローで悔しい思いを重ねた福永は、坂口師に「少しは恩返しできたかな」と語り、坂口師も「よくぞここまで成長してくれた」と目を細めた。
もちろんJRA賞最優秀2歳牝馬は満票で受賞。危なげなく強い勝ちっぷりと、連戦でも使い減りしないタフさから、少なくとも桜花賞では絶対的大本命になることは間違いなかった。
だが……。
明けて3歳となり、トライアルを叩いて桜花賞へと向かうことになったピースオブワールド。だが、2月15日、悲報が舞い込んだ。右橈側手根骨の骨折、全治3ヶ月。桜花賞は無念の回避となってしまう。
それでも彼女の素質を信じた陣営と坂口師は、故障明けのぶっつけで優駿牝馬(GⅠ)へと彼女を送り出した。断然人気は桜花賞で出遅れながら猛然と3着に突っ込んだアドマイヤグルーヴ、2番人気は桜花賞馬スティルインラブ。ピースオブワールドは故障明けながらも2歳時の強さから、単勝10.1倍ながらも3番人気に支持された。しかしレースは何の見せ場もなく13着撃沈。ただでさえ3歳牝馬には過酷な2400mのオークスは、故障明けの彼女にはあまりにもしんどかったのかもしれない。
秋はローズステークス(GⅡ)から始動、二冠牝馬となったスティルインラブと、2戦とも1番人気で悔しい思いをしたアドマイヤグルーヴとまた再戦となったが、スティルインラブ(5着)には先着したものの、アドマイヤグルーヴには突き放されて4着。
そして最後の一冠・秋華賞(GⅠ)ではやはりアドマイヤグルーヴとスティルインラブに次ぐ3番人気に支持されたが、オッズはアドグル2.5倍、スティル3.2倍に対して11.8倍。「三強」になれなかった悔しさを晴らさんと、この2頭よりも前のインでレースを進めたが、あえなくスティルインラブとアドマイヤグルーヴにかわされ4着。スティルの牝馬三冠達成を見送ることしかできなかった。
年末の阪神牝馬ステークス(GⅡ)ではファインモーションに次ぐ5.7倍の2番人気に支持されたが、馬群を縫って鋭く追い込んだもののファインモーションには届かず3着。
明けて4歳となり、2月の京都牝馬ステークス(GⅢ)、3月の中山牝馬ステークス(GⅢ)とともに1番人気に支持されたが、6着、12着。母*ビバムールが2月に死亡してしまったこともあってか、中山牝馬Sの翌日に、同じレースに出ていた1歳上の同郷オークス馬スマイルトゥモローとともに現役引退が決定。故郷の千代田牧場で繁殖入りすることとなった。通算10戦4勝 [4-0-1-5]。
故障がなければ、少なくとも桜花賞は間違いなくスティル・アドグルとの「三強対決」になっていたはずで、スティルインラブvsアドマイヤグルーヴという形でしか語られない2003年牝馬三冠のドラマはもっと別の形になっていたかもしれない。結局2歳時の輝きを取り戻せないまま終わってしまったが、単なる早熟2歳女王で片付けるには惜しい馬であった。
繁殖牝馬としては12頭の仔を生み、国内では直仔に目立った産駒は出なかったものの、うち2頭が海外に買われていき、豪州で走った9番仔WolfeがあちらのG3クーンジーカップを勝利した。また4頭の牝馬がいずれも繁殖入りして牝系の血を繋いでいる。
ピースオブワールド自身は2020年限りで繁殖を引退。以後は千代田牧場で功労馬として繋養されている。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/chiyoda_farm/status/1746143476574564468
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
*ビバムール 1992 黒鹿毛 FNo.4-d |
Caerleon 1980 鹿毛 |
Nijinsky II | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
Foreseer | Round Table | ||
Regal Gleam | |||
Muffitys 1982 鹿毛 |
Thatch | Forli | |
Thong | |||
Contrail | Roan Rocket | ||
Azurine |
クロス:Hail to Reason 3×5(15.63%)
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
提供: nakamasa
提供: 漆黒の射手リタ
提供: 緋晶
提供: ハサ
提供: メノウ
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/25(火) 19:00
最終更新:2025/03/25(火) 18:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。