ライトノベル(和製英語:light novel)とは、「軽小説」を原義とした小説の分類名である。「ラノベ」と略されることが多い(これに関しては、記事中の注意書きを参照のこと)。明確に定義づけられてはいないが、若者向け・読みやすい文体・アニメ絵の表紙や挿絵を持つ作品群がそう呼ばれやすい。
ライトノベルとは、小説の分類のひとつである。しかし、各作品ごとにジャンルも特徴も細かく異なるため、言葉による包括的な定義づけは難しい。
また、ライトノベル以外の小説も含めた「小説作品一覧」も合わせて参照のこと。
従来型ライトノベルの主な(狭義の)特徴としては、中高生から若年層向けに軽めの文体でストーリーが記述されており、通常の小説と違って表紙や随所の挿絵も若者向け漫画・アニメ調のキャラクターで彩られている。また、一冊当たりの値段も500~600円程度と比較的手頃な文庫本形式であることが多い。
ただし、近年はソフトカバーで刊行される例も増えてきており、必ずしも文庫本形式とは限らなくなっている。また、読者の年齢層も30代後半にまで広がり始めている(これは長年に渡ってライトノベル購読を続けている読者層が高齢化し、加えて若年者の活字・読書離れが進んだ結果とも言える)。
ライトノベルの源流が生まれたのは1970年代頃である。当時は、ソノラマ文庫やコバルト文庫などが代表的存在で、これらは現在でも数多くの名作を輩出しているレーベルであり続けている。
しかし、明確に現在のライトノベルの形式を作ったのは、1988年創刊の角川スニーカー文庫および富士見ファンタジア文庫と言われている。また1990年には富士見ファンタジア文庫から『スレイヤーズ』も刊行。この時期において、ライトノベルという分野は最初に大きく注目されたとも言える。
また、この90年代初頭に「ライトノベル」という言葉そのものがパソコン通信において生まれたとされる。
「ライトノベル」という和製英語は、1990年代初め、SFやファンタジー小説ファンが集ったパソコン通信の電子会議室から生まれた。
名付け親は、同会議室のシスオペ(管理人)を務めた神北恵太さん(45)。
「70年代に創刊されたコバルト文庫やソノラマ文庫の少年少女向け小説について、ひとくくりにできる新しい名前が必要だと考えた」と振り返る。
漫画のようにスピーディーな「コミックノベル」、あるいは「ニート(Neat)ノベル」などの案も考えたが、結局「軽やかな=ライト」に落ち着いた。
その後も徐々に、ライトノベルは漫画・アニメ・ゲームなどの既成市場とメディアミックスする形も取りつつ、90年代を縦断するように広まっていった。
その後2000年代に入り状況は一変。従来はオタク層をターゲットにしていたエンターテイメント市場への社会的注目が高まると同時にライトノベルの認知度も以前に比べて広がりを見せ、いくつもの「ライトノベル解説本」が出版されて人気に一役買うという現象も起こった。「ライトノベルの再発見」とされる時期である。また時を同じくして、(その起源や発生時期には諸説あるが)オタク文化発の言葉として「萌え」という単語が急速に普及し始めている。
00年代中盤から後半にかけては、更に多くの漫画・アニメ・ゲームなどの原作としてライトノベルが注目される機会も増えた。長期の連載漫画に対してライトノベルは単巻でキリよく完結する作品が多いため、アニメ化に際しては1クール=3ヶ月でスッキリと終わらせられる利点が(主に半年~1年以上のスパンで放送されていた20世紀のTVアニメと違い、深夜帯や非地上波での放送が常態化した21世紀においては特に)重宝がられたと言える。また近年では、絵やCGの媒体に留まらず実写で映画・ドラマ化された作品も登場してきている。
最近では多数の出版社が参入し、狭義の「ライトノベル」のカテゴリーに入るものだけでもレーベル数は30を超えている。また通常は狭義のライトノベルの範疇には含みにくいが、内容的にはライトノベルのそれに近い作品を多く出版する講談社ノベルスやハヤカワ文庫JA・ライトノベルのスタイルを借りたポルノ小説(多くはいわゆる美少女ゲームのノベライズ)・(これも一般的にライトノベルとは明確に線引きされているものの、読者層は一部重なっていると思われる)女性向け美少年BL小説のレーベル…など、本流傍流まで含めるならばライトノベルの裾野は量・種類ともに広範囲に及んでいると言えよう(詳細は後述)。
前述のとおり、ライトノベルはジャンル・レーベル・作者などあらゆる面で幅が広く、他分野とオーバーラップしており、「何をもってライトノベルとするか」という定義は難しい。そのため、純文学や一般の大衆小説との境界について以前から議論がなされている。代表的な意見としては、
という定義もある。境界線は人により様々であり、いずれにしても未だ決着の出ない議論になっている。それは、ひとつの作品・1人の作家の中に複数のジャンルが混在していることが珍しくないためとも説明出来る。
一般的な扱いとしては前述の各定義を踏まえられてはいるが、実際には更に「SF」「伝奇」「ファンタジー(西洋風・和風・中華風etc.)」「ミステリ」「学園」「ラブコメ」など多様なジャンルが混淆しており、同じ物語内でもシリアス・ダークからパロディ・コメディ・ドタバタギャグまでストーリー展開の振れ幅が大きいため一概に「これはこういう話」という線引き自体が出来ない作品も少なくない。また現在の日本(のポップカルチャー界隈)においては、狭義のライトノベル・美少女ゲームやBL作品・従来型のミステリやSFのようなジャンル小説および一部の純文学に至るまで、連続して維持されている「一定の感性」があり、それらが漠然と「ライトノベル」と名指しされているとも考えられる。
そういうこともあり、ライトノベルと外部の境界領域に位置するという扱いで「ライトノベル的なもの」と呼ばれる作品も多く、それらもやはり「結局、ライトノベルに含まれるのか否か」として議論の対象になっている。これら「ライトノベル的なもの」の代表例としては西尾維新の作品群が挙げられよう。西尾は『クビキリサイクル』でデビュー後、同作より始まる『戯言』シリーズで好評を博し、「このライトノベルがすごい!」2005年度版作品ランキングで1位を獲得している。しかし実際は講談社ノベルス・講談社BOXから多くの作品を刊行し、典型的な狭義のライトノベルレーベルから出版されているものは皆無である。また西尾本人も自作について「イラストと小説のコラボレーションをライトノベルだという意見もあり、そういう意味でライトノベルに含まれるのは間違いない」と答えつつも、「講談社ノベルスが、ライトノベルレーベル扱いされたりするのは他の作家さんにしてみれば違和感があるだろうと思います」と述べている。
これは西尾に限った話ではなく、既に1990年代の森博嗣や清涼院流水においてその源流が見られた。両者の作品は今となってはライトノベルとして括られることも多いが、当時はミステリジャンルとして出版され、特に挿絵としてイラストも添えられてはいなかった(現在においても、イラスト挿絵が付いた作品はほとんど無い)。
西尾の周囲には、同じ講談社ノベルスでデビュー後に文芸誌で活躍した佐藤友哉と舞城王太郎、後に『NHKにようこそ!』の漫画化で人気を博した滝本竜彦、ライトノベル出身であるが近年は活動範囲を広げている乙一、美少女ゲームのシナリオライターとして活躍しつつ小説作品も発表している奈須きのこなど、一般にはライトノベル作家とは呼ばれないが読者層はライトノベルレーベル出版作品群とも重なっているであろう作家陣が多く存在している。
小説に「キャラクター性と作家の個性を持ち込んだ様式の源流」は、西尾と講談社の太田克史が共に「上遠野浩平がその発祥である」と回答しており、東浩紀は上遠野が作ったこの流れを、清涼院のそれとは別に生み出した「もう一つの源流」であるとした。上遠野に影響を受けた作家には西尾の他に前述の佐藤友哉・奈須・時雨沢恵一などがおり、上遠野自身も出版社とレーベルを問わずに作品を執筆している。
『あなたがそうだと思うものがライトノベルです。ただし、他人の同意を得られるとは限りません。』
※なお、前述ライトノベル板住人の一部は当該板に対して「ラノベ板」と略されることを快く思っていない(「“ライトノベル”を“ラノベ”と略す」ことにではなく「“ライトノベル板”を“ラノベ板”と略す」ことに対して)。また、ごく少数だが「ライトノベル」を「ラノベ」と略すこと自体に腹を立てる人々も(ライトノベル板住人に限らず)存在しているので注意が必要である。
ライトノベルの制作においては、新城カズマは「ドラマの結論から人物が規定されるのではなく、キャラクターの性質がドラマに優先していく」と述べている。そこから「キャラクターを素早く伝える方法としてイラストなどを意識し、キャラクターを把握して貰うことに特化してきた」としている。
これはライトノベルに限ったことではないが、それによりキャラクターが自立し、二次創作(ファンアート)が容易になされ、物語に先行して消費の対象になっている。東浩紀が唱えるところの「データベース消費」という現象である。
またこのことはライトノベルと一般小説との差異を決定づけるもので、一般小説の多くが自然主義的に現実の写生を行うのに対し、ライトノベルは虚構的な世界を写生するという点で隔絶するとされている。
以上の点から、東浩紀によれば「物語からキャラクターへの視点移動によって」「キャラクターのデータベースを環境として書かれる小説」と一応は定義される。より詳しく言えば、戦後日本の漫画・アニメが育て上げてきた想像力の環境を前提として、特定のキャラクターの外見的な特徴がどのような性格や行動様式に結び合わされるのか・それらをあらかじめ作者も読者も読み取ることが出来るのかどうかが、この定義の成立条件となっている。
このように「キャラクター小説(化)」はライトノベルの大きな特徴であり、また近代文学などが持つ「大きな物語」と対照的に、キャラクターに依拠した脱物語・小さな物語に限られた世界を、キャラクターデータベースを通じ共有するものであるとされる。
より詳しい論は、東浩紀著『ゲーム的リアリズムの誕生』を参照のこと。
ライトノベルの歴史の上では、角川・メディアワークス・富士見書房といった「角川系列」の出版社が大きな役割を果たしてきたと言える。前述のとおり近年、新たにライトノベルレーベルを立ち上げる社も増えたが、知名度やオーソリティ、メディアミックス作品の量でこの3社は突出している。
ここでは、アニメ化された(もしくはこれからアニメ化予定の)ライトノベル作品を列挙する。OVA、劇場アニメも含む。
2000年代中盤~後半のライトノベルブームを受け、前述の角川系列など大手・老舗以外にも様々なレーベルが登場し、競争は激しくなっている。以下に主な出版社を紹介する。
掲示板
提供: わんころ
提供: 羊羹
提供: インプレゾンビ
提供: sjきいえn
提供: ゆんなの
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最終更新:2025/03/13(木) 20:00
最終更新:2025/03/13(木) 19:00
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