ルイ・アルチュセール(1918~1990)とは、20世紀に活動した哲学者である。
高等師範学校の教員を務め、ミシェル・フーコーやジャック・デリダといったポストモダンの思想家だけではなく、様々な分野における後の大家を育てていった。構造主義をマルクス主義に導入した人物である。
ルイ・アルチュセールが一躍知られるようになったのは、マルクスの思想に前期と後期に分けられる認識論的切断があるとした、『マルクスのために』である。この気づきによってアルチュセールは、マルクス思想の人間主義的な解釈から科学的理解を重視することを主張したのである。
そして彼の思想のうち現在でも用いられるのが「イデオロギー」に関するものである。イデオロギーとはマルクスによって導入された、経済的土台に対する上部構造であるが、その形成過程を明確に提示したのがアルチュセールであった。
アルチュセールによれば、イデオロギーは「大文字の主体」の呼びかけに対し、諸個人である「小文字の主体」が承認することによって成立する、とされる。つまり「小文字の主体」は、「大文字の主体」の呼びかけに自ら進んで服従することで、「主体=臣民」となり、国家は国民の自発的な服従を実現するのだ。
このように構造主義を援用した国家のイデオロギー装置の概念は、ロラン・バルトのテキスト論と並んで、実存主義以来の個々人を自立的で他人と異なる固有の主体とみなす考え、を完全に否定した。人間は国家に無理やり支配されるのではなく、自発的に支配へと組み込まれるのである。
こうして一躍時の人となったアルチュセールであったが、ポストモダンの流行とともに陰りが見え、1980年に発狂して妻を殺害したことでその思想も衰退していった。しかし、今でも意義深いとして、多くの現代思想の本で立項される人物の一人となっている。
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最終更新:2024/12/27(金) 04:00
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