反対俥(はんたいぐるま)とは、近代以降に作られた落語の演目である。上方ではいらち俥という演目で、元々は上方落語の演目だったが、反対俥として東京に輸入されてからは、江戸落語の方がメジャーとなっている。
俥(くるま)とはその解字の如く、人+俥、すなわち人力車のことである。そして、名の通り全く正反対の車夫が登場し、その両極端なやりとりは落語というよりコント的な面白さがある。また、ストーリーよりアクションを重視した噺であるので、主人公のシチュエーションに対し、ふんだんに想像力を掻き立てられる噺となっている。
一方、二人目の車夫の動作では座布団に座ったまま飛び跳ねるなど非常に激しい動きが要求されるため、噺家としては体力を消費する、名の通り体を張った仕事となる。
男が終電前までに上野に辿り着こうと、車屋を探している。そして、すぐ捕まったはいいが、最初の車屋は何ともボロボロ、提灯も近くの神社から盗んだ代物(つまり、白タクみたいな状態)、車夫も心臓病を患ってるのに、医療費を稼ぐために働いているという有様だった。無論、動きものんびりしており、こんな俥に乗っていてはいつ到着するか分からないので、車賃だけを渡してさっさと降りてしまう。
気を取り直して別の俥を探すと、何とも威勢のいい若者が。彼はその俥に乗ったはいいが、威勢の良さを通り越して乱暴そのもの、線路の上を跳ね回るわ、人にぶつかり弾き飛ばすわ、小屋を突き破るわ、完全に暴走俥であった。それでも上野に着くのもすぐだろうと我慢して乗っていると、到着先は何と上野とは遠くかけ離れた場所、男が文句を言うと
「大丈夫です、始発までには帰れますから」
※下げのバリエーションは色々ある。一度遠路に行って上野に戻り、終電が出払った後に「始発には間に合います」という下げや、上野に出戻った後、一度行った遠路が、実は男の目的地だったという下げなど。
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最終更新:2024/06/01(土) 21:00
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