蝦夷梅雨(えぞつゆ)とは、5~7月頃に北海道でぐずついた天気が続く現象である。
まず最初に、一般的な梅雨という気象現象についておさらいしておく。梅雨の時期の日本列島付近には、北に冷たく湿ったオホーツク海気団、南に温かく湿った小笠原気団が存在する。この2つの気団の境界付近に停滞前線(いわゆる梅雨前線)ができると、そこに雨雲が発達して雨を降らす。2つの気団の勢力が拮抗するため、前線はほとんど動かず、悪天候が長期間続くのである。
前述の通り梅雨前線は一旦本州以南で形成されると梅雨明けまでほとんど動かずに停滞するため、この時期の北海道は梅雨前線の直接の影響を受けることは少ない。梅雨前線が北上してくるころには既に勢力が衰えていることが多いため、気象庁も北海道地方の梅雨入り・梅雨明けは宣言しないのが通例となっている。これが「北海道には梅雨がない」と言われる所以である。
では、この時期の北海道は好天が多いかというとそんなことはなく、シーズンにもよるが本州以南における梅雨と同じように悪天候の日が続きやすくなる場合がある。これを俗に蝦夷梅雨という。
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この悪天候をもたらしているのはもちろん梅雨前線ではない。この時期の北海道はオホーツク海気団の勢力下にあることが多いのだが、このオホーツク海気団が運んでくる湿った風により雨雲が発生するのである。したがって、名前に梅雨と含まれてはいるが原理は梅雨とまったく別物である。雨も梅雨ほどは降らず、小雨程度の降水である場合が多い。
また、オホーツク海気団そのものが冷たい気団であることに加えて、悪天候により日照が減ることから、この時期は気温が下がりやすくなる。これがちょうどライラックの花が咲く時期と重なることから、この気温の低下を俗に「リラ冷え」と呼ぶ。
ただ、近年は温暖化の影響もあってか梅雨前線が北海道付近にまで北上してくる例も増えており、蝦夷梅雨ではない本当の梅雨になることも増えつつある。特に本州に近い道南地方でその傾向は顕著である。
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最終更新:2025/12/10(水) 09:00
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