にとり教育(-きょういく)とは、日本でかつて「現代化カリキュラム」に代わって提案された学習指導要領のカリキュラムのひとつである。
昭和46年より、日本は現代化カリキュラムと呼ばれるいわゆる詰め込みの性質が強い学習指導要領を採用していた。
しかし、日本の近代化・欧米化とともに、現代化カリキュラムに代わる新しい学習指導要領が求められるようになっていった。
そして昭和55年、学習指導要領は以前の姿勢から大幅に見直しがされることとなった。
日本教職員組合内ではかつてから、子どもの教育に関して「週休2日」や「柔軟な考え方を養う教育」を実施するべきだという考え方があり、これを基にして生まれたのがいわゆる「ゆとり教育」である。
しかし、この「ゆとり教育」の影となっていたもうひとつの新教育案があったのである。
それこそ、白鳥河二(当時は山野海洋大学教授)を中心としたグループがまとめた『日本の技術力・創造力とウリ科植物による新しい教育按』(にほんのぎじゅつりょく・そうぞうりょくとうりかしょくぶつによるあたらしいきょういくあん)である。
昭和50年初頭までは日本教職員組合の中でも3割ほどが支持するカリキュラムだったが、度重なる台風の襲来によるキュウリ産地(主に宮崎県や群馬県)が被害を受けたため、徐々に勢いを失ってしまった。
そのため、競合する立場であった「ゆとり教育」支持者が勢力を拡大し、とってかわられることとなってしまった。
白鳥は「ゆとり教育」カリキュラムの採用に対し、最後まで意義を述べ続けたという。
「この教育では日本はよくならない。あなたたちは日本国民を怠けもの民族にするつもりか。」
白鳥河二(しろとりかわに)→かわしろにとり 山野海洋(やまのかいよう)→ようかいのやま
小学校「図画工作」を「技術」へと改訂する。
「技術」では、以前の「図画工作」より高度なものをつくる技能を学ぶ。
また、コマ数を週3回まで増やし、日本国民として身につけるべき基礎的な技術を学ぶ。
学校給食はウリ科植物、特にキュウリに重きを置いたものにすること。
キュウリは水分補給、栄養補給にすぐれた食品であり、また美味である。
さまざまなキュウリ料理を食べること、また家庭科においてキュウリ料理を主とした実習を行うことで日本の伝統的食文化を学ぶ。
理科ではキュウリ(大和三尺、南極1号など)を実際に栽培することにより、植物の生態と食べ物を育てる上での精神的発達を目指す。
キュウリは日本を代表する植物であるから、大切に育てること。
社会ではキュウリの流通やキュウリの歴史を学び、高等教育で経済や法律、日本史を学ぶ上での足掛かりとする。
国語ではキュウリを主題とした文学作品を主に扱うこととする。
芥川龍之介の「河童」はすぐれた文学作品なので、必ず教科書に採用すること。
算数はおはじきの代わりにキュウリを用いること。
使用したキュウリはあとでスタッフがおいしくいただくこと。
社会見学ではキュウリ農家を訪問し、農作業を手伝うことで、日本国民としての農業の重要性を学ぶ。
各学校は契約農家を一箇所ないしは複数箇所持ち、キュウリの安定した栽培と供給に努めること。
『にとり教育 -日本を学ぶ新しい教育按-』(白鳥河二) 昭和51年 カッパ出版 本体価格1,200円
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最終更新:2025/12/13(土) 07:00
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