アクアライナー(列車)とは (アクアライナーとは) [単語記事]

アクアライナーとは、かつて山陰本線で運行されていた快速列車である。JR九州・香椎線の「AQUA LINER」との関連はない。

概要

2001年に島根県内における山陰本線高速化が完了したことに伴い運行が開始された快速列車で、運行区間は米子駅～浜田駅～益田駅間。かつてはキハ58系を使用して同区間に快速列車が運行されており、「しまねライナー」→「石見ライナー」という名称であった（後述）。
使用される車両はすべて後藤総合車両所所属のキハ126系で、基本的には2両編成となっている（増結される場合もある）。

全区間において「やくも」や「スーパーまつかぜ」「スーパーおき」といった特急の補完という役割を担っている。また、快速列車ではあるが米子駅～出雲市駅間では速達の役割を特急が担っており「とっとりライナー」同様に各駅に停車する。
なお、キハ126系は同時期にデビューしたキハ187系とは違い振り子機構を搭載していない関係から快速運転を行う出雲市駅以西では最高速度は90km/hに抑えられている（その分を加速性能でカバーしている）。

2022年3月のダイヤ改正で山陰本線出雲市駅以西では快速と普通を統合する形で運用効率化が図られ、アクアライナーは廃止となった。廃止直前では上下3本が運行されていた。

※ちなみに、「アクアライナー」という単語でウェブ検索を行うと大阪市内で運航されている水上バスのほうが多くヒットするが、ニコニコ動画でタグ検索を行うと当列車の動画のみヒットする。

準急「石見」から快速「石見ライナー」まで

「アクアライナー」の源流は1961年3月に鳥取駅～益田駅（当時：石見益田駅）間で運転を開始した準急列車「石見」で、全区間乗り通した場合の所要時間は5時間超えであった（翌1962年12月には鳥取駅～米子駅～境港駅間に準急「美保」が運転開始となっている）。使用車両はキハ55系。
1965年には「石見」と米子駅～益田駅間で区間重複する形で急行「やえがき（準急「やくも」を改称、熊本駅発着）」「しまね（博多駅発着）」と準急「なかうみ（小倉駅発着）」が設定され、「石見」も翌1966年に急行列車に「美保」「なかうみ」とともに格上げされた。あわせて、鳥取駅～米子駅間は急行「かいけ」との併結運転となった。

1968年に「やえがき・しまね・なかうみ」が「さんべ」に再編されたが、山陰エリアで完結していた「石見」は残置。一方で、鳥取県内完結の「美保」が1970年10月1日に出雲市駅まで延伸する形で米子駅～出雲市駅間が増発された。その後、「美保」は1972年3月15日に福知山駅発着に再変更し、米子駅～長門市駅間に急行「はぎ」を新設して米子駅～出雲市駅間の急行が再度増発された。

1975年3月10日のダイヤ改正で「石見」は「伯耆（→みささ）」との併結運転を終了し運転区間を米子駅～益田駅間に短縮する一方で浜田駅行きを新設し1.5往復に増発。なお、同改正で「はぎ」は名称を陰陽連絡バスに取られたため「ながと」に改称している。

しかし、この体制も長くは続かず、まず1980年に「美保」が福知山駅発着を取りやめ鳥取駅発着に戻ると、伯備線電化に伴う1982年7月1日改正で「美保」を廃止。「ながと」もエル特急「やくも」に追われる形で出雲市駅～長門市駅間に短縮した。この時点で「石見」は下りのみ鳥取駅発として運行したが、1985年3月14日にキハ58系快速「しまねライナー」に格下げする形で廃止された（「ながと」も浜田駅発小倉駅行き、下関駅発益田駅行きに変更）。
「しまねライナー」の運転区間は米子駅・出雲市駅～浜田駅・益田駅とほぼ「石見」を踏襲。1997年3月22日に「石見ライナー」に改称し「石見」の名称が復活するも、高速化に伴う使用車種変更にあわせて「アクアライナー」へ再度改称となった。