ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 単語


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ズムウォルトキュウミサイルクチクカン

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ズムウォルト級ミサイル駆逐艦とは、アメリカ海軍のぼくのかんがえたりそうのミサイル駆逐艦である。

様々な先進技術を注ぎこまれたアメリカ海軍の威信をかけた最新鋭の水上戦闘艦。
ステルス性を確保するために類を見ない奇抜な外見をしている。

艦級名のズムウォルトは米海軍のエルモ・ズムウォルト・ジュニア提督にちなむ。

ちなみに艦種は「駆逐艦」だがそのサイズはタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦を超えるビックサイズ。
駆逐艦とは一体…… 

概要

「21世紀の駆逐艦、というか21世紀の海軍の仕事は何だ!」

「ハッ!火力という火力をしこたま陸上にたたき込むことであります!!」

という思想の元、火力という火力をしこたま陸上にたたき込む「対地駆逐艦」がズムウォルトである。

・従来の艦砲とは比較にならない威力と射程と重量とコストを持つ先進155mm砲2門
・陸に近づいても探知されにくいステルス船体
完成さえすれば画期的な先進的艦上コンピュータシステム
・将来的にレールガンすら搭載可能な電力を確保する統合電気推進システム
・艦隊防空どころか弾道ミサイル迎撃もこなせる大出力レーダーの搭載(するつもりだった) 

これらを搭載し、21世紀の最先端を走る最高峰の水上戦闘艦として完成・量産するはずだった。

難しい要求に応えるべく船体は大型化し、艦種は「駆逐艦」だが排水量は満載でおよそ1万5000トン。
この数字はタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(満載9500トン程度)より遥かに大きい。
まあ太平洋の対岸にはいずもという満載2万7000トンの自称駆逐艦がいるので問題ない 

特徴

ズムウォルト級は「強力な戦闘能力で迫る敵をねじ伏せながら、艦砲とミサイルを陸にたたき込む」
というお前は戦艦の生まれ変わりか何かかと言いたくなる漢らしいコンセプトの元に誕生した。
この無茶をかなえるべく、そして21世紀の次世代戦闘艦の姿を示すべく、先進技術が多数盛り込まれている。


先進的なステルス船体
沿岸に近づいて対地攻撃を行う任務上、その接近を悟られないためにも高いステルス性が要求された。
そこで船体は水線部が一番幅が広く、上にいくほど狭くなる、前から見ると三角形のような形になっている。
これはレーダー波を上に反射して逸らすためのもので「タンブルホーム船形」という。
上部構造物も単純な平面で構成され、各種アンテナもそれに埋め込むことでステルス性を高めている。
結果、レーダー反射断面積(RCS)はアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のわずか50分の1である。

その外見はまさしく浮かぶピラミッド。


統合電気推進の採用
ズムウォルトはエンジンでスクリューを直接回さず、電気を造ってからモーターでスクリューを回す。
電力は推進力にも各種電子機器にも必要に応じて自在に配分できる構造となっている。
これを統合電気推進(IPS)という。
一端動力を電気に変える手間があるが、モーターでスクリューを回すため、水中に響く騒音も少ない。
また、既存の艦艇と桁違いの発電能力故に、大電力を装備する機器の搭載が可能である。
将来的にはレールガンの搭載も想定されており、使用時には艦内電力の50%が必要になるという。
お前は波動砲か何かか。


先進的な艦制御システム「TSCE-1」(全艦コンピュータ環境)
ズムウォルトは艦内の各種システム全てをネットワーク上に連接した先進的な構成となっている。
各機器は標準化したソフトとハードを最大限に活用するため、アップデートも容易。
また、艦内ネットに接続した自動消火システムなども装備され、人員削減に大きく貢献した。
戦闘システムもかのイージスシステムを新たな規格に組み直し、ネットワークに接続する。
結果、ズムウォルトは対地駆逐艦と言いつつも、艦隊防空も弾道ミサイル防衛もこなせるはずだった。


155mm先進砲システム(AGS)の搭載
第二次大戦以降、艦砲は戦闘艦によってサブウェポンでしか無かったが、ズムウォルトでは違う。
ステルス性を配慮した新型砲「155mm先進砲システム」を2門装備している。
従来の127mm砲と比べ、威力射程共に大きく向上しており、強力な対地攻撃が可能である。

また、通常弾の他にロケットアシスト&GPS誘導のLRLAP誘導砲弾(射程154km)が使用可能。


新型ミサイル発射装置(Mk57 PVLS)の採用
大型化する新型ミサイルへの対応と、被弾時の被害極限のため、新型のMk57 PVLSを搭載する。
既存のMk41VLSよりも大型なミサイルが使える上、ハード的には既存の各種ミサイルに対応している。
また、二重構造の船体の装甲の施された内殻と外殻の間に設置されるため、被弾・誘爆しても被害は少ない。

コイツやっぱり駆逐艦じゃなくて戦艦じゃね?

 

現実

ズムウォルト級は間違いなく画期的な戦闘艦であった。
専門誌においても多数の特集が組まれ、その存在は各国海軍の次世代艦構想に大きな影響を与えた。
しかし、夢は夢でしかなかったのである。 
 

レーダー開発の遅れとそれに伴う能力縮小
当初、ズムウォルトにはデュアルバンドレーダーと呼ばれる二種のレーダーが搭載されるはずだった。
しかし、遠距離捜索用の広域捜索レーダー(VSR)が開発段階で出力不足が判明、搭載が取りやめられた。
このため、近距離捜索&火器管制用の多機能レーダーに、広域捜索用ソフトウェアを積んで補っている。


コンピュータシステムの開発の失敗
TSCE-1は艦の戦闘システムから機関制御システム、さらには自動消火システムまで含む大規模な物である。
その開発には困難が予想されたが、案の定開発は難航。
特にソフトウェアのお化けとでもいうべきイージスシステムの膨大なプログラムの統合に失敗。

結果、前述のレーダー開発の失敗もあって艦隊防空ミサイルSM-2と弾道弾迎撃ミサイルSM-3の搭載が中止。
さらにコストダウンのためか対潜用のアスロックの搭載まで中止された。

そのため、ズムウォルトは対地攻撃用のトマホークと個艦防空用のESSMしかミサイルを使えないのである。
どうしてこうなった。



それら諸々によるコストアップ
先進的すぎる技術をつめこみすぎたこと、開発段階での七転八倒の結果価格は高騰。

そのお値段は一隻あたり50億ドル。日本円にして約5000億円である。
これを海自護衛艦に換算すると

あたご型護衛艦3隻 or あきづき型護衛艦6隻 or いずも型護衛艦4隻

を買っておつりが来るレベルである。
また、米海軍のニミッツ級原子力空母1隻にも相当するとされる。
空母と同じ値段の駆逐艦とか……どうしてこうなった。 

結果

ズムウォルト級は当初、スプルーアンス級駆逐艦の後継として30隻以上の大量建造が検討されていた。
が、跳ね上がるコスト故に大量生産の計画はキャンセル。

削減後、当初は2隻のみの建造とされたが、造船所の仕事確保のため、3隻目の建造も決定された。
この展開、かつてのシーウルフ級攻撃型原潜とまんま同じである。

また、ズムウォルト級の船体を活用する予定だった準同型艦の新ミサイル巡洋艦CG(X)もキャンセルされた。

このため、スプルーアンス級とタイコンデロガ級の後継艦がほぼ未定に近いことになっている。
現状のところでは、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のさらなる追加建造で補う模様である。

しかし、アーレイ・バークもいい加減に船体の設計が古く、発電能力や艦内容積の不足が深刻化。
ズムウォルトの遺産である先進技術を使った次世代装備がどこまで搭載できるか怪しいところ。

米海軍の迷走はしばらく続きそうである……。

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