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この記事は、現在進行形の事象を取り扱っています。
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本記事では、2022年2月より開始された、ロシアによるウクライナに対する侵略について記載する。
概要
2022年2月24日にロシアの地上部隊がウクライナ領内に侵入し、各地で戦闘が発生した。ウクライナの反撃により、同年3月末にロシア軍はキーウを含むウクライナ北部から撤退したが、ロシア軍はまだウクライナの東部と南部を占領しており、戦闘が続いている。
※厳密には2014年からロシアはクリミアを併合し、ウクライナ東部で紛争を起こしているが、これについては本記事では扱わない。
戦争の名称
この戦争には統一された呼称がないため、ニコニコ動画でもこの戦争を扱った動画に使われるタグはばらばらで、特に統一されていない。一番多いのは「ウクライナ侵攻」になる。※ロシアではこの戦争を「特別軍事作戦」と呼んでいる。
戦況(2023/6/25更新)
プリゴジンの乱・第二次ロシア内戦・ワグネルの反乱
6/25にワグネル代表プリゴジンがロシア軍に対する実質的な反乱を宣言。直ちにウクライナ東方の市でありウクライナ侵攻における巨大な拠点であるロストフを占拠。そのまま北上を続けモスクワを目指している。
まだ事が起きてから数日とウクライナ戦線に目立った影響は起きていないが、ロストフの兵站が阻害されればロシア軍のウクライナ戦線全体に影響が出る可能性が高く、さらにこのまま大規模な内戦に突入したりクーデターの成功となれば、軍の混乱や政変によりウクライナ侵略どころではなくなる可能性が高い。
前線
1月や2月初めにロシア軍による比較的苛烈な攻勢が行われていたが、5月末に至るまでに低調となりつつあった。
6月上旬にはウクライナ軍による西側兵器を使用した反攻が行われたが、ロシア軍の苛烈な反撃を受け現在はスローペースになっている。
- ルハンスク州 …ほとんどの地域が占領されている。
- クレンミナ
- ボスパナ …東端ボスパナではでは激しい砲撃戦が展開される。ここはバフムト侵攻に際するロシア軍の拠点となっている。
- ドネツク州 …州都ドネツク市はロシア軍に占領されている。ウクライナ軍はドネツク州の3割程度を保持しており、ドネツク市に近接している。
- バフムト …ドネツク北部バフムトの街中は8カ月の激戦の末にロシア軍により占領された。しかしバフムト郊外はウクライナ軍が反攻を実行。バフムト自体は長期の激戦により拠点としての機能を喪失している。
- リマン …2月のドネツク北端リマンでは単発的に砲撃戦が行われるに留まる。東方のルハンスク州クレンミナが占領されたので、今後次の戦場となる可能性がある。
- ザポリージャ州 …6月上旬に反転攻勢を開始。ロシア軍よりは遥かに長く進軍するも苛烈な待ち伏せ攻撃を受けウクライナ軍攻勢はペースを落とした。
- ウクライナ南部 …相変わらずドニプロ川を挟んで両軍が近接しており、にらみ合いが続く。
6月上旬にカホフカのダムが爆破され、川東部のロシア軍陣地が丸ごと流されるような事態が起きた。
民間人も被害を受けており、ウクライナ軍はロシア軍の砲撃を受けながら救助を行っている。
- ウクライナ北部 …キーウにはたびたびミサイル攻撃が行われ民間人が被害に遭っている。
原発占領
ザポリージャ原発は現在も占領されており、ロシアによる悪用が懸念される。
6月上旬には原発が冷却に使用する水を溜めるカホフカダムが破壊された。直ちに事故が起こる可能性は低いが、一年放置すれば危険な状態に陥る可能性がある。
西側による供与
NATO加盟国らによる多数の兵器供与が現在も行われている。特に注目すべきは1月の歩兵戦闘車供与であり、現在も訓練が行われている。1月末には次の段階として主力戦車供与も行われたが、これは前者の数週間後に発表された上訓練期間もさらに掛かるため本格運用は3月以降となる。
ウクライナ軍の一部は供与された兵器に適応するためドイツやイギリスなどで訓練を行っており、2月中旬にはゼレンスキー大統領が視察訪問した。
停戦状況
ロシアは当初の無条件降伏要求を崩していない。ウクライナはクリミアを含めた失地回復を目指す。
1月のアメリカによる仲裁は両方から断られており、停戦は見えない。もっともロシアが無条件降伏要求を崩していない以上停戦が結ばれたとしても守られる見込みは少ない。
外交
3月下旬には我が国の岸田文雄首相がウクライナ首都キーウを訪問。6月上旬にはゼレンスキーがG7広島サミットに参加し共同声明を出したりと、西側とウクライナの結束が高まっている。
一方ロシアといえばCSTOにそっぽを向かれ、ベラルーシは参戦要請に応じず無理やり核配備したりと徐々に悪化の一途をたどっている。しかも身内であるワグネルの扱いを酷くした結果反乱を起こされたりと国内に対する外交も失敗している。
経過
| 月 日
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略歴
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| 2022年2月24日~ |
- ウクライナ時間4時(日本時間11時)、からロシア軍がウクライナの東部・南部・北部から全面的に侵攻開始。ウクライナ各地で攻撃被害。ウラジーミル・プーチンが特別軍事作戦の開始を発表。
- これ以降、ウクライナの地名をロシア語読みではなくウクライナ語読みに変更するという運動が始まる。
- ロシアは大部隊をキーウへ送り込んで一気に陥落させるという「短期決戦」を企てていたが、ウクライナの反撃によりこれが頓挫、戦争は長期戦に移行することが確定した。
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| 3月 |
- ヘルソン州の州都へルソン陥落。
- テクノハウスの戦い(2022)
- ロシア軍が欧州最大の原発であるザポリージャ原子力発電所を攻撃。
- 3月25日、セルゲイ・ルドスコイ第1参謀次長が「作戦の第1段階はおおむね完了し、ドンバスの解放という主要目標の達成に注力することが可能になった」と発表、ウクライナ北部に居たロシア軍が撤退を開始。
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| 4月 |
- 4月8日、イギリス情報当局が、ロシア軍がウクライナ北部から完全に撤退したとの分析結果を公表。後にキーウ近郊ブチャでロシアによる虐殺が発覚。
- 4月14日、ロシア海軍スラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」がウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」により撃沈される。
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| 5月 |
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| 9月 |
- 9月11日、ウクライナによるハルキウ電撃戦でハルキウ州全土解放。
- 9月21日、ロシアが部分的動員開始。
- 9月26日、ロシアからヨーロッパに天然ガスを送るパイプライン「ノルド・ストリーム」が何者かによって爆破される。
- 9月29日、黒海上空を飛行していたイギリスのRC-135がロシアの戦闘機にミサイル2発を発射された。幸いRC-135は撃墜を免れたが、ロシア側のパイロットは地上からの指令を攻撃許可と解釈したのだという。[1]
- 9月30日、プーチンがウクライナ4州(ドネツク州、ルハンシク州、ザポリージャ州、ヘルソン州)をロシアに併合すると宣言。
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| 10月 |
- 10月2日、ウクライナ軍が東部攻勢でドネツク州リマンを奪還。
- 10月8日、ケルチ海峡にかかっているクリミア大橋で大爆発が起き、道路と鉄道両方が不通となった。翌年にウクライナが爆薬を搭載したトラックによって実行したことを表明。
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| 2023年1月 |
アメリカやヨーロッパ各国が、ウクライナに対して主力戦車、軽戦車、歩兵戦闘車等を供与することを決定する。 |
| 3月 |
- 国際刑事裁判所(ICC)が、ロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナでの戦争犯罪の責任を問う逮捕状を発行。
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| 4月 |
- 戦争に関する情報が記載された米国とNATOの軍事機密文書がインターネット上に流出したことが発覚、後に21歳の米空軍州兵が逮捕された。
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| 5月 |
- 武装集団がウクライナ側からロシア領に侵入して攻撃を実施。
- ロシアが欧州通常戦力(CFE)条約から脱退。
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| 6月 |
- 6月6日、ウクライナ南部のカホフカダムが破壊され、決壊。洪水で甚大な被害をもたらす。
- 6月上旬にウクライナ軍は反転攻勢を開始するも大規模な突破には至らず。
- 6月24日、プリゴジンの乱が発生。
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詳細なタイムライン
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関連リンク
関連項目
用語
- 特別軍事作戦 … ロシアは今回の侵攻を戦争と認めておらず、特別軍事作戦と呼称している。
- Z …ロシア側が使用している戦闘車両に識別コードとして「Z」のマークがペイントされていた。それがのちにロシアが用いているシンボルと化す。Zそのものが元々何を意味するのかは西側でも意見が分かれており、はっきりしていない。他にも「V」「O」などあるが、ロシア語に存在しない「Z」のみがシンボルと化した。
- ストームZ … ロシア軍の懲罰部隊。軍紀違反により処罰された正規軍兵士や囚人で構成され、通常は前線の最も危険な場所に派遣される。[2]
国家・地域・組織
- ウクライナ(宇)
- キーウ(露語:キエフ)
- ハルキウ(露語:ハリコフ)
- マリウポリ
- リヴィヴ
- バフムト
- ウクライナ語
親プーチン
- ロシア(露)
- ベルゴロド
- クリミア
- ロストフ
- ロシア連邦軍
- ロシア空挺軍
- ワグネル・グループ
- ベラルーシ(白)
- 朝鮮民主主義人民共和国 (朝)
- 沿ドニエストル共和国
西側援助国
- 北大西洋条約機構(NATO)
- アメリカ(米)
- 欧州連合(EU)
- イギリス(英)
- フランス(仏)
- ドイツ(独)
- ポーランド(波)
- イタリア(伊)
- ルーマニア(羅)
- チェコ(捷)
- モルドバ(摩)
- トルコ(土)
- カナダ(加)
- バルト三国
- リトアニア(里)
- ラトビア(良)
- エストニア(愛 ※アイルランドと被る。)
- 日本(日)
- 韓国(韓)
- NATOのグローバルパートナー。
- 主力戦車の欧州輸出を積極的に行っている。
- オーストラリア(豪)
- スウェーデン(瑞)
- フィンランド(芬)
- スイス
中立
- インド(印)
- ロシア兵器を輸入していたが売約済み兵器を奪われた。
- 中華人民共和国(中)
- ウクライナにロシア寄り講和を打診するも軽くあしらわれる。
人物
ロシア・親プーチン
- ウラジーミル・プーチン露大統領
- セルゲイ・ショイグ露国防大臣
- ゲラシモフ露軍参謀総長
- セルゲイ・スロヴィキン前航空宇宙軍総司令官
- エフゲニー・プリゴジン
- ラムザン・カディロフチェチェン共和国首長兼準軍事組織カディロフツィの所有者
- アレクサンドル・ルカシェンコ白大統領(呼びかけに応じない)
ウクライナ及び協賛国
- ウォロディミル・ゼレンスキー宇大統領
- ジョー・バイデン米大統領
- ボリスジョンソン英元首相
- リシ・スナク英首相
- エマニュエル・マクロン仏大統領
- アンジェイ・ドゥダ波大統領
- 安倍晋三元首相
- 岸田文雄首相
宇露各軍と兵器(記事があるもののみ)
- ロシア連邦軍
- ワグネル(傭兵)
- ロシア陸軍
- T-54/55主力戦車
- T-62主力戦車
- T-64主力戦車
- T-72主力戦車
- T-80主力戦車
- T-90主力戦車
- T-14主力戦車
- BMP-2歩兵戦闘車
- BMP-3歩兵戦闘車
- TOS-1自走多連装ロケットランチャー
- ロシア空軍
- MiG-29戦闘機
- Su-27戦闘機
- Su-24戦闘爆撃機
- Su-25攻撃機
- An-26輸送機
- II-76輸送機
- Mi-8輸送ヘリコプター
- S-300長距離自走対空ミサイル
- S-400長距離自走対空ミサイル
- ロシア海軍
- ウクライナ軍
- 陸軍 全て見たい場合→wiki
- T-64主力戦車
- T-72主力戦車
- T-80主力戦車(鹵獲)
- T-84主力戦車
- T-90主力戦車(鹵獲)
- BMP-2歩兵戦闘車
- BMP-3歩兵戦闘車
- M113自走榴弾砲(アメリカ供与)
- ブッシュマスター装輪装甲車(オーストラリア供与)
- PzH2000自走榴弾砲(ドイツ供与)
- カエサル 155mm自走榴弾砲(フランス供与)
- HIMARS高機動ロケット砲システム(アメリカ供与)
- MLRS多連装ロケットシステム(イギリス供与)
- BM-21自走多連装ロケットランチャー
- TOS-1自走多連装ロケットランチャー(鹵獲)
- NLAW携行式対戦車ミサイル(スウェーデン・イギリス供与)
- FGM-148ジャベリン携帯型対戦車ミサイル(アメリカ供与)
- ミラン対戦車ミサイル(イタリア・スペイン供与)
- ゲパルト対空戦車(ドイツ供与)
- FIM-92スティンガー携帯型対空ミサイル(ドイツ・デンマーク・ラトビア・リトアニア供与)
- ミストラル携帯型対空ミサイル(フランス供与)
- スターストリーク据え置き対空ミサイル(イギリス供与)
- 9K330トール自走対空ミサイル
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- AMX-10装輪装甲車(フランス供与予定)
- M2ブラッドレー歩兵戦闘車(アメリカ供与)
- マルダー歩兵戦闘車(ドイツ供与)
- チャレンジャー2主力戦車(イギリス供与)
- エイブラムスM1・M1A1主力戦車(アメリカ供与)
- レオパルト2主力戦車(オランダ・ポーランド・カナダ・ドイツ供与)
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- S-400長距離自走対空ミサイル
- An-225ムリィーヤ輸送機(正確には民間貨物機)
- 海軍
- スラヴァ級ミサイル巡洋艦(未完成)
- ネプチューン対艦ミサイル
- ウクライナへ供与予定
その他
- ウクライナ人道支援募金
- キエフの幽霊
- アゾフちゃん
- 面積は最大だが道徳は最小の国
- おそロシア
- でかい北朝鮮
- プリゴジンの乱
- ロシア軍閥(hoi4 tno)
脚注
- *ロシアの戦闘機、英偵察機にミサイル発射し「撃墜寸前」だった……関係筋がBBCに語る 2023.9.15
- *焦点:ロシア軍懲罰部隊「ストームZ」、弾薬も食料もなく前線投入 2023.10.6