世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 単語

セカイノオワリトハードボイルドワンダーランド

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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドとは、第四の長編小説である

ハードボイルド・ワンダーランド(エレベーター、無音、概要)

「でも本当のことを言うと、私には心がどういうものなのかがよくわからないの。それが正確に何を意味し、どんな風に使えばいいかということがね。ただことばとして覚えているだけよ」
「心は使うものじゃないよ」と僕は言った。「心というものはただそこにあるものなんだ。風と同じさ。君はその動きを感じるだけでいいんだよ」

80年代の村上文学を代表する長編の一つ。

高い壁に囲まれた時間の流れが死んだような世界(世界の終り)で暮らす「僕」。老博士の開発をめぐって世界の秩序を取り戻すために性と暴力に溢れた世界(ハードボイルド・ワンダーランド)に冒険に出かける「私」。この交わりそうにない二つの世界にはとある共通点があるのだが––––

村上春樹の長編小説でも幻想的、空想的な要素が特に大きいのが本作であろう。凡百の書き手が書いてしまえば陳腐なものになりそうな剣と魔法の?ファンタジー世界が春樹流に料理されており独特な味わいが漂っている。いわゆる伝統的な文学・文芸の枠組みを超えてサブカルチャーの世界に与えた影響もうかがうことができる。特に新海誠、麻枝准あたりはその典型で、彼らが中心となってかつて隆盛を迎えた「セカイ系」の元ネタ的な要素も本作に見受けれる。

世界の終り(金色のエピソード)

  • 数十年の時を経て、令和になり本作の精神的続編とも言える『街とその不確かな壁』が発表される。こちらでは「世界の終り」サイドの世界のその後?的な物語を確認できる。
  • 「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公は暗号を取り扱う「計算士」という職業についている。「私」はその計算士が行う技でも特に高度な技「シャフリング」(人間の潜在意識を利用して数値を変換する)という技巧を使える。おそらくこれらのモチーフは80年代には徐々に隆盛を迎えつつあったコンピューターやプログラミングの世界を春樹なりに解釈してできたものだと思われる。

関連項目

  • 村上春樹
  • 世界の終り
  • ハードボイルド・ワンダーランド
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最終更新:2025/12/15(月) 12:00

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