『アフターダーク』とは、村上春樹による第11の長編小説である。
明確な主人公が不在であり、目線が複雑に錯綜した群像劇の体裁をとっている。またミステリー小説における詐術トリックのそれに近く、展開されていくシーンを「誰が」語っているのかあるいは見ているのかが不明瞭で、単純な三人称小説にはなっていない。あくまで物語としては特に事件性のない日常シーンが基調になっている。どうやら長い間昏睡状態に陥っている「エリ」という人物には特に目線が集中しているようだが……
作中において監視社会の恐怖を謳ったディストピアSF映画『アルファヴィル』が引用されているが、見ようによっては物語全体に巨大な監視カメラのようなモチーフが見受けられなくもない。この監視社会・ディストピア・SFといった要素は後続作『1Q84』(ジョージ・オーウェルのディストピアSF『1984年』のパロディでもある)で壮大に展開されていくことになる。
時計の針が午後0時を指そうとしている。「私たち」の目の前には都市に生きる「普通の人々」の生活する風景が次々と展開される。ファミレス、コンビニ、風俗街––––午前7時を迎えるくらいまでに「私たち」の目に映る人々の間に映る物語の背後には何が蠢いているのか––––
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最終更新:2025/12/06(土) 03:00
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