文在寅とは、韓国の政治家である。
大学在学中に朴正煕政権に反対する民主化運動に関与した容疑で逮捕、1980年には「光州事件」にともなう戒厳令の全国拡大措置による予備検束での逮捕という、2度の逮捕歴がある。その後弁護士になり、同じく弁護士だった盧武鉉と合同で法律事務所を設立。盧政権(2003-2008)では大統領政務特別補佐官や大統領秘書室長などを務めた、側近中の側近だった。[1]
第18代韓国大統領の朴槿恵が崔順実ゲート事件によって罷免された後、2017年5月に第19代大統領に就任。
盧武鉉政権のやり残しを片付けると宣言しており、言葉通りなら「アメリカ軍からの戦時作戦統制権の返還」「在韓米軍の追放」「財閥解体および財閥資産の国有化」「北朝鮮主導での朝鮮半島統一」「日本との国交断絶」などを実現することになる。[2]
文在寅大統領の強いリーダーシップの下で大きな成果をあげたのが新型コロナウイルス対策である。
2020年に入り、中国の湖北省武漢市で新型コロナウイルスの感染爆発が発生すると、韓国に発生するのも時間の問題と見なした韓国政府は中国のコロナ対策を研究したうえで国内のコロナ対策の整備を行った。2020年2月に韓国でも新型コロナウイルスの感染者が出始めると、文在寅自ら『K防疫』(Kはコリア、韓国の意味)と名付けてアピールし、韓国民への徹底した感染予防対策に乗り出した。
2020年2月中旬、韓国大邱市の新興宗教である新天地の集会に60代女性のコロナ感染者が発熱しているにもかかわらず検査を拒否して参加、密集した人混みの中で韓国初の大規模クラスターが発生し大邱市内だけで2100人余りに及ぶ大規模感染爆発が起きた。韓国政府は素早く動き、大邱市内における強力な移動制限を指導し、住民の外出禁止と大邱市への人の出入りに厳しい規制を行った。現地取材をした日本人ジャーナリストの吉崎エイジーニョ氏は全くの人の気配が消えたゴーストタウンのような雰囲気にゾッとしたと言う。しかしこれは安全であり正しいことであった。
大邱市の移動制限を完了させた韓国政府は直ちに国内の検査隔離体制の整備に入り、大邱市の感染爆発から僅か1ヶ月の3月中旬に国内635ヶ所にPCR検査場を設置し、国民に無償で検査を受けられるようにした。4月上旬の段階で1日2万件のPCR検査及び検査結果を出せる研究所を国内118ヶ所整備して検査体制を確立、5月に入ると車に乗ったまま検査が受けられるドライブスルー検査の検問が全国71ヶ所に設置され、さらに検査漏れが起きにくい態勢が整えられた。
なお大邱市の大規模感染爆発は文在寅大統領のK防疫によって4月末には感染が収まり収束した。
PCR検査を徹底的に行って感染者をあぶり出せば、相対的に感染の発覚率が上がることで感染者数は増えることになる。次に問題になるのは感染者をどうするかであるが、MARSで17000人の感染者と38人の死者を出した苦い経験から、感染者の即時隔離と隔離治療を行える体制を整備した。
主に感染者の状況によって3種類の隔離先を整備し、中等症~重症者は政府が用意した専門の隔離入院施設か感染症指定病院へ隔離して入院、軽症者には政府の整備した生活治療センターで隔離、その他に感染しているかもしれない呼吸器系の病状がある患者は一般の疾病患者も受け入れる国民安心病院で隔離して入院し、新型コロナウイルスへの感染が確認され次第で隔離入院と言う形をとる。
韓国では自宅療養は極力避ける方針を取り、徹底的にPCR検査を行うことで感染者をあぶり出し、感染者が出たら即隔離と言う体制をとったことで感染経路が不明でも対処できるようにバックの医療体制を徹底的に整えたことで、一度感染爆発が起きても早期に収束させられることが出来るようになったのである。
韓国のK防疫で注目されるのはSMSショートメールによる徹底した感染情報管理と情報公開である。
韓国では感染者および感染が疑われる人の情報は政府によって徹底的に収集され、感染拡大防止のために必要に応じて公開されたり政府の情報として利用されたりする。こうした政府による個人情報への介入は韓国の法律で2015年に施行された『感染症予防管理法』に基づいている。この法律は2015年に韓国で流行したMARSで苦い経験が元になっており、感染者や感染が疑われる者の住所氏名、住民コードや電話番号、さらには移動情報やクレジットカードや電子マネーの使用歴まで、あらゆる情報を政府や地方自治体の長が入手することができ、飲食店などに入店した際には店員に電話番号を確認付きで登録することが義務付けられるなど、感染者の特定に関しての素地は徹底している。その情報はコロナをはじめとする特定の感染症の予防管理の目的に応じて使用することが出来るとしている。
この情報管理能力はすさまじいものがあり、実例を挙げるとこんな例がある。
外国からの入国者は必ず2週間の隔離措置を受け、自主隔離が義務付けられている。
この隔離の管理振りは徹底されており、スマホの位置情報システムで厳格に管理されている。なんと自主隔離の施設から1歩出ただけで罰則対象となり、スマホを置いて外出するのを防ぐために定期的に抜き打ちで所在確認の電話が入るほどの徹底ぶりで、これを違反すれば警察によって逮捕拘留されて罰金刑が待っている。
「あまりに息苦しく、明け方にこっそり近所を散歩した」という40代男性会社員もいる。
文在寅大統領肝いりのK防疫は徹底した検査体制と感染者の隔離が整備され、前述の大邱市での感染爆発の早期収束をはじめ、コロナ対策としては大きな効果をあげている。現に韓国の2021年4月26日時点での韓国におけるコロナの死亡者数は1817人と主要国の中では台湾に次ぐ驚異的な感染予防実績をあげており、K防疫は世界中から注目されてコロナ対策のモデル政策として世界各国から感染症予防の専門家が勉強しにやってくるほどである。
一方でこれほどまでに個人情報に対して韓国政府が介入して徹底的に情報を管理する管理社会と厳しい罰則に対する不満は少なからずあり、これまでに1100人が起訴されていることも決して快くは思われていない。現にこれほどまで徹底的にコロナ対策が敷かれて少ない感染者数と死者数に抑えられているにもかかわらず、韓国の世論調査機関の韓国ギャラップの調べではK防疫の評価は適切が43%に対し、不適切が49%と反発が強く、成果は認めるも厳しすぎるという評価が国民の多くの評価である。
2009年(李明博政権)に韓国はUAEから原子力発電所の建設を受注していたが(2012年からバラカ原子力発電所として建設開始)、この時に「原発が攻撃されたり、UAEがイラン等から攻撃を受けた場合は韓国軍が自動参戦する」という秘密軍事協定が結ばれていた。文在寅政権は協定の存在を一方的に暴露し、これは無効であると言い出した。原発建設の遅延に加え密約を暴露するなどの行為に怒ったUAEは、韓国に備蓄していた非常用の原油(600万バレル)を引き揚げてしまった。[12]
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最終更新:2025/12/12(金) 21:00
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