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ファーストパーソン・シューター(First-Person Shooter)とは、プレイヤーもしくは主人公の視点(一人称視点、主観視点)でゲーム内の世界を任意で移動することができる3Dのアクションシューティングゲームのこと。
ニンテンドウ64世代の人なら「64のゴールデンアイみたいなゲーム」と説明するとだいたい通じるかもしれない。
基本的には銃器を扱ったシューティングゲームを指す言葉であるが、そのほかシューティングが中心ではなくても、近接武器による格闘を導入したものや、一人称視点による独自の演出を利用したアクションやアドベンチャー主体のゲームでも、単に一人称視点であれば「FPS視点」のように呼ぶこともある。なお、車両や航空機の操縦を扱うゲームの操縦席視点も広義では一人称視点のゲームと捉えることもできるが、一般的にそれらはシミュレーターと呼ばれている。
※狭義ではシューターのみがFPSに該当しますが、本稿では便宜上限定せずFPS視点といった具合で一人称視点に特化したゲーム全般をFPSという括りで扱います。
ジャンルの発祥元がPCタイトルであったことと、独自の操作方法から、かつてはPCゲームタイトルが主流であったが、現在では様々なプラットフォームで販売されており専用タイトルも数多い。
海外のゲームの中では一般的なゲームジャンルのひとつであるが、日本国内では国産タイトルがほとんどなく、他のジャンルと比べるとまだまだマイナーかもしれない。普段ゲームをよくプレイする人たちの間ですらもFPSというジャンルが正しく理解されず、他のジャンルのTPSやガンシューティングと混同されてしまっていることも珍しくはない。
そういった理由のためか、国内のコンソール(据え置き機)タイトルやアーケードゲームタイトル、オンラインゲームタイトルでは「3Dガンアクション」「ミリタリーアクション」などといった独自の呼び方をしている場合もある。ちなみに一部の国内のメディアやコミュニティで使われることのある「ファースト・パーソン・シューティング」は和製英語である。
現代的なFPSの画面構成。「Farcry4」に登場する武器の射撃とリロードをまとめたゲームエフェクト集の動画。銃器の細かいアニメーションはFPSの特徴のひとつとも言える。 初期のFPS「DOOM」の画面構成。中央に主人公の武器、下段にはDoomguyの顔アイコン。詳細な銃器のアニメーションはこの頃から導入されている。 |
現代的なFPSは画面右下に武器を持った主人公の腕が表示されているという画面構成が一般的である。画面中央に照準点(Crosshair)、体力や銃弾数の表示は画面隅に小さく表示されている。近年は没入感を高めるため、いわゆるヘルスバーのような記号的な表示はなるべく抑えられたHUDレスデザインで設計されたゲームは多い。シングルプレイのゲームではよりその傾向が多くみられるが、一方でマルチプレイのゲームでは利便性を優先してレーダーやミニマップが常時表示されているものも多い。
2Dスプライト画像が用いられていた頃の初期のFPSは画面中央下に武器を持った腕、画面下には体力や武器の所持段数といったプレイヤーのステータス表示枠といった画面構成が一般的だった。DOOM系列のタイトルに限定されたものではあるが、ダメージを受けるとボコボコになる顔アイコン(通称"Doomguy")は有名で、初期のFPSのトレードマークだったと言えるかもしれない。
一人称視点はプレイヤー自身の主観視点でもあり、ムービーやカットシーンを使用せずにゲーム内の出来事だけで物語が進行するものや、プレイヤーキャラクターが入れ替わり、文字通り別視点で語られるといった、ストーリーテリングの手法として用いられているゲームは多い。また、視点操作は同時に狙いをつけて(Aiming)撃つことでもあり、一人称視点とシューティングゲームの新和性が高い理由であるともいえるだろう。
視点移動と同時にプレイヤー自身の移動やアクションも導入されている。初期のFPSやスポーツ系ではジャンプを駆使したアクションで相手の攻撃を避けることもゲームプレイのひとつであった。近年のミリタリー風のデザインのFPSでは、リーンやカバーといった物陰に隠れる動作や、相手の背後に回り込む、いわゆる裏取りといった立ち回りが要になっている。対戦用のマップは、どこかで立ち止まって相手を狙うのではなく、常に移動することが重要なレベルデザインになっていることが多い。これらは視点や移動が固定されていて自動で進行する「ガンシューティング」と大きく異なる部分でもある。
Aim Down Sight(ADS)銃の照準器(サイトやスコープ)を覗き込む動作のこと。ゲームによって異なる部分はあるが平たく言えば命中率が変化する。近年のFPSやTPSでは多く導入されている。ADSを使わずに画面中央に表示された照準点のみで狙うことを国内コミュニティでは対義語として「腰だめ撃ち」とも呼ばれている。 より狙いやすくなるかわりに視点移動が抑えられプレイヤーの移動速度が遅くなるといった具合で、ADSといわゆる腰だめ撃ちを切り替えることがテクニックのひとつである。 ヘッドショット文字通り標的の頭を狙って撃つことで、ダメージ量が大きい、一撃必殺といった作りが一般的である。より小さな的を狙うというシューティングゲーム的な設計と言える。 体力(Health)基本的には他のゲームジャンルと同様である。近年ではシールドとも呼ばれている自動回復が導入されていることも多い。リアル系よりのタイトルでは基本的には回復がなく、負傷や出血といった概念が導入されているものもある。 対戦の変則的なルールではInstagibという一撃必殺モードもある。いわゆるオワタ式。 大人数の対戦やCo-opタイトルでは、倒されても追加ダメージを受けなかったり一定時間内であれば味方プレイヤーによる蘇生や復活が可能なシステムが導入されている。FPSのプレイヤーは注射器やAEDで生き返る。 蘇生時に誤って味方にとどめを刺してしまう医療ミスを「神田川」と呼ぶ。 しゃがみ(Crouch)、伏せ(Prone)文字通りその場で身を屈めること。武器の反動を抑える、足音を抑える、物陰に隠れること。シングルプレイではスニーキングとして用いられている。一方、対人戦のマルチプレイでもスニーキングの効果は十分で、じっとしていれば意外と気づかれなかったりする。 ジャンプ基本的には一般的なアクションゲームと同様のものである。スポーツ系タイトルでは「ストレイフジャンプ」や「バニーホップ」などといった特殊なテクニックが用いられている。特にバニーホップ、通称バニホという言葉は有名で独り歩きしており、ジャンプしながら攻撃を避けるという程度の意味合いで呼ばれていることも多いだろう。 |
リーン(Lean)上半身を左右に傾けて覗き込む動作。誤解を恐れずに言えば手動で行うカバーアクション。リアル系よりのタイトルで導入されていることが多い。 リロード文字通り銃弾の装填である。ゲーム的な意味では銃弾の管理やリロードを行うタイミングといった具合。自動で行われるものとプレイヤーが任意のタイミングで行うものがある。 リロードといっても一連の動作は自動である。一部のゲームではリロード時のアニメーションをスキップしたり、動作を中止する「リロードキャンセル」というテクニックが導入されているものもある。 リアル系タイトルではマガジンごとの管理を行うものやボルトアクションを手動で行うもの、RPGよりのタイトルでは、銃弾の種類の管理や、ジャム(弾詰まり)が再現されているものもある。 リコイル(Recoil)射撃の反動。強力な武器や連射が可能な武器は反動で照準が大きく揺れたり上方向にずれるように作られているゲームは多い。主にミリタリー風のゲームなどでは、フルオートやセミオートの切り替え、手動でのバースト射撃などで反動をコントロールすることで照準の位置を安定させるテクニックが求められる。 視界の揺れ(Head bobbing)移動と同時にプレイヤーの視点が揺れること。初期のFPSからある臨場感を出す演出のひとつだろう。一方で画面酔いの原因にもなりがちで、好みがわかれる部分もあり、大抵のゲームは設定で切り替えが可能である。 格闘・近接攻撃射撃武器のほかに格闘・近接武器が導入されているFPSは多い。ゴールデンアイ007のチョップやHalf-Lifeのカナテコが有名だろう。いわゆる初期装備といったところ。 装備ではなく独立した攻撃手段として導入されているゲームもある。背後からのステルスキルや止めの一発といったシステム。近年のBFシリーズではカウンターも導入されている。 近距離でしか攻撃が当たらない代わりに攻撃力が結構高めに設定されているゲームは多く、実はFPSは素手が一番強かったりする…? 珍しい例では画面下から主人公の蹴りが飛び出すキック攻撃ができるゲームもある。 投擲武器手りゅう弾、投げナイフ、虫、などといった投擲武器が登場することも多い。一昔前は通常の武器と同様に持ち替えて選択するものが多くみられたが、近年は独立したホットキーなどに割り当てられてることが多い。 昔のタイトルでは基本的に手りゅう弾を投げる音や落下した音を頼りに判断する…といった具合であったが、近年ではグレネードがどこに落ちたかマーカーが表示されるようになっている。 爆発物だけではなく、スタングレネードやスモークグレネードといった相手の視界を奪うアイテムが導入されているゲームも多い。 マルチプレイでは「Fire in the hole!(爆発するぞ!)」「コンボラ」といった掛け声が発せられる。 |
「Hitscan」とは狙った位置に攻撃が即命中する当たり判定、「Projectile」は実際に弾丸が発射され、弾丸自体に当たり判定があるもの、一部では物理演算でシミュレートされているものを指す言葉である。
近年のアクションよりのゲームの多くはおおむねHitscanと言ってもいいだろう(BFは例外)。線状の弾道は演出上のものであり、システム的には点と点で当たり判定が計算されている。つまりはシステム上、銃弾を避けることは絶対に不可能である。ピストルやライフルといった武器はHitcsanであることが多いが、グレネードランチャーやロケットロランチャーといった擲弾銃は、大抵どのゲームでも弧を描いて飛び命中した地点で爆発するのでProjectileである。
初期のFPSやスポーツ系FPSはProjectileの大きなエネルギー弾やロケット弾が多く、一部に攻撃力が高いが装填の遅いHitscanのライフルなどがある程度で、基本的にはProjectileの弾を避けるというゲームでもあった。珍しい例でUnreal Tournamentに登場するShock rifleという武器は切り替えが可能で、Projectile弾をHitscan弾で撃って爆発させるといったテクニックが導入されている。
リアル系のタイトルの多くはProjectileであり、銃器や銃弾によって弾速や落下、跳弾などがシミュレートされている。
FOVとは「Field of View」の略称であり、主に3Dのゲームにおいて基本的には水平方向を基準とした視野角を指して呼ばれている。この概念は3Dゲーム全般にあるものであるが、FPSというジャンルは一人称視点という形式から視野角の変化の影響が顕著である。
PCタイトルでは90度前後が一般的である。これは人間が目を動かさず真正面で見えるおおよその範囲と、一般的なディスプレイの4:3のアスペクト比に基づいた数値であると言えるだろう。
コンソールタイトルは70度前後が多く、極端な場合は60度の視野角設定になっている。視野角の縮小に対しては否定的な意見が多く、画面酔いの原因のひとつとも言われており、例えばコミュニティ間での影響が大きかったBioshockは後年に発売されたリマスター版ではゲーム内で設定変更が可能になっている。近年では一部ではあるがコンソールタイトルでもFOVの値の設定が行えるタイトルが出てきている。
ただし、適切かどうかはゲームごとの最適化と単に慣れといったところだろう。
参考文献:FPSキーワード探究 第一回 「FOV」
この項目ではFPSというゲームジャンルの起源と発展の過程を解説する。FPSは他の様々なゲームジャンルの影響もあって発展したものであるが、本項では便宜上FPSのタイトルを中心に扱う。なお、時代の分類はメディアやコミュニティの評価や当時の情勢を参考にした筆者の独自研究である。同時期のタイトル一覧の項目では発売当時革新的で後年のタイトルに影響を与えたものやシリーズ作品の原点などを取り扱い、マイナーではあるが時代を先取りしていた作品も一部紹介する。
一人称視点で自由に移動ができるゲームが作られたのは1973年の「Maze War」がはじまりと言われており、のちに一人称視点で迷路状のダンジョンを探索するRPG、「3DダンジョンRPG」と呼ばれるゲームジャンルが誕生した(詳しくは該当記事参照)。一人称視点のRPGはFPSと互いに影響を受けながら発展しTESシリーズのように現代に受け継がれている。
1991年11月にid Softwareから発売された「Catacomb 3-D」は魔術師が地下墓地のダンジョンを探検する内容のゲームで、それまでのシューティングゲームで見られた戦車や戦闘機の操縦画面とは異なる、最初に人型キャラクターを扱った一人称視点のシューティングと言われている。画面中央下に武器を持った主人公の手が表示されている初期のFPSの画面構成は本作が原型である。
噂程度の話ではあるが、Catacomb 3-D開発中の当時、最初の3Dの一人称視点RPGと言われている「Ultima Underworld(1992)」の開発者と交流があり、技術的な面で影響を受けた…らしい。
1992年5月にid Softwareからリリースされた「Wolfenstein 3D」はCatacomb 3-Dを発展させたもので、よりシューティングに特化した設計になっている。本作が一人称視点シューティングというゲームジャンルを確立したと言われている。超初期のFPSタイトルではあるものの、1994年にはスーパーファミコンにも移植されて日本でも発売されたので意外とプレイヤーは多いかも。
そして1993年、同じ開発チームが発表した「DOOM」が爆発的に人気を博し、本作をきっかけに一人称視点のシューティングゲームは独立したゲームジャンルの一つとして定着していった。この頃は「DOOM系シューティング」「DOOMクローン」とも呼ばれいた。
当時のFPSはまだ擬似3Dアクションであり、マップこそは3Dで作られていたが敵やアイテムなどのオブジェクトは2Dのスプライト画像が用いられていた。実際にDOOMにはポリゴンは一切使われていない。多くは照準を上下に動かすことはできず、敵がどの高さにいても方向さえあっていれば攻撃が命中する設計が基本的なものであった。
完全な3DのFPSが作られたのは1996年にid softwareが発表した「Quake」が最初であると言われている。ゲーム内のほとんどのオブジェクトが3Dで描写されるようになり、それまでよりも進化した高さの概念が導入され、高低差を生かした3Dアクションシューティングとなった。また、インターネットを通じたマルチプレイも非常に人気があり、この頃にマウスを使った現在における一般的なFPSの操作方法や、サーバーブラウザの導入といったマルチプレイの基礎が築かれたと言われている。また、柔軟なゲームエンジンは進化と派生を繰り返して現在の最新のFPSでも使用されている。(参考:Quake樹形図)
そして2年後の1998年、Epic Gamesが発表した「Unreal」は、当時の常識を打ち破る驚異的なグラフィックで話題となった。それまでのゲームの舞台が屋内中心だったのに対し、広大な高地が描かれている点も新しかった。今となってはグラフィック技術は旧世代のものだが、洗練されたビジュアルデザインは現在でも十分通用するものであると言えるだろう。プレイヤーの攻撃を回避するなどといった高度なAIも導入されている。完成度の高い柔軟な「UnrealEngine」は改良を繰り返し、こちらも今現在でも多くのゲームで使われている。
ちなみに、PCゲームにありがちな「グラフィックが凄すぎて(発売時点での)最高スペックのPCでも快適に遊べない」という話はUnrealが最初らしい。
1998年11月にValve Softwareから発表された「Half-Life」は、ムービーやカットシーンといった客観的な演出を一切使わず、ストーリー展開が全てプレイヤーが見るゲームの中で実際に起こる独自の演出により、それまでは単なる設定でしかなかったストーリーをゲームと融合させ、ゲームの中の世界をプレイヤーに体感させることに成功した。主人公はプレイヤー自身であるという一人称視点のゲームの最大の魅力を引き出したのだ。FPS界に革命を起こした本作は、多くのプレイヤー、ゲーム開発者に絶賛され、同年度の50種類以上のメディア賞、ゲーム賞を独占した。現代のFPSの原型となった作品といえるだろう。
また、Quake Engineを改良したゲームエンジン「GoldSrc」も完成度が高く柔軟なもので、MODから派生したタイトルも数多く、「Counter-Strike」「Team Fortress Classic」などといった現代の対戦FPSの基礎となった作品も登場した。
これらの理由から「Quake」「Unreal」「Half-Life」はFPSを代表する三大作品と言われることがある。
基本的な操作方法、一人称視点を活かしたストーリー演出など、ゲームデザインの基礎が出来上がったFPSはその後、独自の要素、シューティング以外のジャンルとの融合など、様々なゲームデザインを持ち合わせた個性のある作品が多く作られるようになっていた。
それまではPCゲームでのタイトルが主流であったが、2000年前後になってからは家庭用ゲーム機(コンソール)でも「Killzone」「メトロイドプライム」などといった各種専用タイトルやマルチプラットフォームに対応した作品も数多く発表されるようになり、プレイヤー層がより幅広いものとなった。特に2001年のXbox向けタイトル「Halo: Combat Evolved」はコントローラーでのプレイに最適化されており、ほか、ダメージの方向を示すマーカーやシールド制の体力などといったシステムを導入している。本作はコンソールタイトルにおけるFPSの金字塔と言えるだろう。
2000年ゴア描写も話題になった 「Soldier of Fortune」 でQ・Eキーを使った体を傾けて物陰から覗き込む動作"Lean(リーン)"が導入。2001年のリアル系FPSの代表作 「Operation Flashpoint: Cold War Crisis」で銃の照準器(アイアンサイト)を覗き込む動作、 2003年の 「Vietcong」や 「Call of Duty」でAim Down Sight(ADS)の切り替えが初めて導入され、この時期に現代的なFPSのゲームデザインが形成されていった。
2004年に発表された「DOOM 3」と「Half-Life 2」は、ビデオゲームのグラフィック技術や物理エンジンを革新的に向上させ、当時は"次世代のグラフィック"、"グラフィック新世代"などと呼ばれていた。
※SourceEngineのことを掘り下げる
また、2005年ごろから韓国でサービスが展開されていた無料オンラインゲームが日本国内でも展開されるようになり、後述するオンラインFPSと呼ばれるタイトルも多く見られるようになった。
2007年に発表されたCall of Dutyシリーズの「Call of Duty 4: Modern Warfare」は様々なプラットフォームで展開し異例ともいえるほどの大ヒット作となった。国内でも日本ゲーム大賞2008の特別賞を受賞した。
本作の大きな特徴はストーリー演出を重視した一人称視点によるカットシーンで、言わばHalf-Lifeで確立された一人称視点ならではの演出をより発展させたものである。また、それまで主流だった回復アイテムを使う体力システム撤廃し、HALOでも導入されていたシールド制とも呼ばれる体力の自動回復を導入したことで、プレイヤーが回復アイテムを探して右往左往するようなことはなくなり、ゲームの進行をスムーズなものに仕立て上げ、FPSはより軽快なアクションシューティングに変わったと言えるだろう。
このようなゲームデザインはのちに「レールシューター」などと呼ばれ、本作以降多くのタイトルが同様の設計を導入するようになっていった。また、模倣されるようになったのはゲームデザインに限らず、現代戦というテーマやビジュアルも後を追う作品が多く、それまでは戦争ものと言えば第二次大戦が主流だったFPS界隈の流れを大きく変えるものであった。第二次大戦ものの代表作であったMedal of HornorシリーズやBattlefieldシリーズも現代戦争もののジャンルとして続編が作られることになった。
Disれ!CoD vs BFラップバトル! |
これらの理由から主にコミュニティ間ではCall of Dutyシリーズと、対をなすBattlefieldシリーズは近年におけるFPSの代表作として扱われていることは多い。
Call of Duty4がFPSのゲームデザインだけでなく市場やコミュニティの形成にも大きな影響を与えた作品であることは確かだと言える。しかし一方では、いわゆる一本道的なレベルデザインや、類型的な内容が続くシリーズ構成などを筆頭に、FPSのゲーム性が失われてしまっているという声も決して少なくはなく、レールシューターでは"ない"ことが評価されるタイトルも多かった。
2012年に「ArmA2」のMODとして登場したリアリティを追求した対人サバイバル系シューター「DAYZ」はFPSというジャンルに限らず、ゾンビものやサバイバルものというジャンル、オンライン対戦ゲームそのものを大きく変えるものであった。
リアル系FPSのMODという形式から、一からプレイするまでのハードルが若干あったにも関わらず、ベースになったArmA2の月間の売り上げ率をそれまでの500%近く伸ばすまでに至った。本作の流行をきっかけにインディータイトルやアーリーアクセスを中心に、「Rust」「7 Days To Die」「H1Z1」後の「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」などといった、リアル系よりの大人数での対戦やサバイバル系の多くのフォロワー的タイトルが作られた。DAYZ自身ものちにスタンドアローンタイトルとして独立した。
DAYZのベースはFPSではあるものの、FPSとTPSを切り替えることが出来るゲームであり、フォロワータイトルはTPSベースのものも多く、純粋なFPSとはまた違うジャンルと言った方がいいかもしれない。例えるならRTSタイトルのMODから派生したMOBA(DotA系)のように、FPSから派生した新しいアクションシューターのジャンルのひとつと言ったところだろうか。
大人数での対戦ものが流行する一方で、対戦主体のゲームだけではなく「Bioshock Infinite」や「Metro 2033」のように一人称視点による演出を重視した物語主体の作品や、現代におけるThiefとも言えるステルスシューター「Dishonored」も高く評価されている。
2014年5月にPCゲーム界隈で大きな出来事があった。FPSというジャンルにおいても1996年の初代Quakeから利用されていたオンライン対戦用のサーバーサービス、つまるところマスターサーバーであったGameSpyの運営が終了した。影響は大きく、ひとつの時代の終焉とも言えるかもしれない。GameSpyを導入していたゲームの多くは新しいサービスに移行したが、BF1942やBF2のように販売終了してしまったタイトルもあった。ただ、一方で販売終了したことにより「ProjectReality」などといったMODタイトルが独立するきっかけにもなった。
2015年の「Tom Clancy's Rainbow Six Siege」は初期のRainbow Sixシリーズを思い起こさせるタクティカルシューターに近い作りになっており、近年の対戦系FPSの中ではプレイヤー数の増加が最も多かったタイトルとも言われている。2016年の「Battlefield 1」は、BF2以降続いていた現代戦から大きく変わって第一次世界大戦を題材にしており、高度なグラフィックやシングルプレイの評価も高い。
近年においては、世界大戦ものの復興や、新生「DOOM(2016)」「UnrealTournament(2014)」「Quake Champions(2017)」といった旧作のゲームデザインを受け継いだリメイクなどから、FPSにおける原点回帰的な流れが見えるかもしれない。
新しいFPSのジャンルとしては、非対称型対戦の先駆けとなった「Evolve(2015)」、MOBA風の要素を含んだ「Overwatch(2016)」が登場した。
ブロードバンド回線が普及してからは、無料のアカウントとクライアントを導入したいわゆるオンラインゲーム形式のタイトルも多く登場した。かつては月額料金制のものも一部存在したが、現在ではアイテム課金制やF2P(Free-to-play)の形式が広く一般的である。国内では2005年ごろから主にオンラインゲーム事業が盛んな中国や韓国の企業によるサービスが展開されており、それらのタイトルはプレイヤーや広告上では「オンラインFPS」「無料FPS」とも呼ばれている。形式上、ローカル対戦やユーザーによるサーバー稼働が可能な一般的なFPSとは違い、運営側のサーバーやサポートが終了した場合はプレイ自体が不可能になる。
中国・韓国系オンラインゲームタイトルのゲーム内容はCounter-Strikeのゲームルールを模倣したCSクローンと呼ばれるものが大半である。アイテム課金制・無料オンラインゲームという形式や、日本語入力が中心のチャット、運営元の掲示板を中心にした独自のコミュニティが形成されていることから、一般的なFPSタイトルとは異なる文化や用語が形成されていることが多い。
英語圏のゲームでもF2Pモデルは数多く導入されている。専用タイトルだけではなく製品タイトルとして販売されていたものが後年にF2P化されることもある。2007年に発売され2011年にF2P化した「Team Fortress 2」や「Evolve Stage 2」といったものが挙げられる。現在でいうF2Pとは若干異なるが、開発中止になったあと無償公開された「Wolfenstein: Enemy Territory」という例もあった。これらのゲームは日本語専用サービスといったものはなくコミュニティも英語が中心であり、先に述べた無料オンラインFPSとはプレイヤー層やコミュニティは異なっている。
MMO形式は大規模な対戦を実装するための技術的制約からか数は少なく、2017年現在、実質的な運営がされているのは「Planetside2」のみである。
詳しくは該当記事を参照
日本国内に限定した珍しい例で、国産タイトルや独自に移植を行った主に対戦専用のタイトルが一部リリースされている。ある意味では国産のFPSとも言えるかもしれない。特徴としてトラックボールやジョイスティック、足を使うペダルといった専用のデバイスが用意されていることが多い。また、PCタイトルの移植作品では、ルールの変更や流血表現が抑えられていたり、設定やキャラクターが独自にアレンジされている。
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FPSは黎明期の頃からローカル対戦をはじめ、ネットワークを通じたマルチプレイ(対戦)やCo-op(協力プレイ)の人気があり対戦専用のゲームも数多く作られてきた。現在のFPSにおける対戦の基礎を築いたQuakeは開発途中の段階でスタッフが対戦プレイに夢中になっていたという逸話もある。ある世代にとってはゴールデンアイ007の対戦モードが馴染み深いものかも。
FPSの対戦の基本設計はプレイヤーの実力が試されるもので、その競技性の高さからe-sportsやゲーム大会で試合項目になっている代表的なジャンルのひとつであり、Twitchをはじめとする動画配信サイトでの配信番組や、試合中の高度なプレイや決定的瞬間を収めた「フラグムービー」の製作と投稿も盛んである。
ゲームによって名称は異なるが、デスマッチ、チームデスマッチ、Capture the flag、Conquest…などといったものが代表的な例として挙げられるだろう。PvP(Player vs Player)ではなく協力して攻略をする対AI戦のPvE(Player vs Enemy)形式のCo-opも数多い。ほかに例を挙げるとCounter-Strikeの爆弾解除ルールが有名であり、無料オンラインFPSの多くはこのルールを採用している。
基本的には10人前後での対戦やチーム戦が多い。BFシリーズを筆頭に32人対戦や64人対戦、さらに一部のタイトルは100人対戦…といった大人数での対戦が楽しめるゲームもあり、MMOFPSの代表作である「Planetside2」では1000人以上の同時対戦を実現している。特殊な例として近年では「Evolve」や「Dead by daylight」のような1対4の非対称型の対戦ルールも注目されている。
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専用のマップやゲームモードをはじめ、シングルプレイやストーリーモードを複数人でプレイするものもある。プレイヤーごとに技能や役職が割り当てられたり、他のプレイヤーによる回復や復活が導入されていることが多い。Half-LifeのMOD「Sven Co-op」が草分け的タイトルと言えるだろう。「LEFT4DEAD」 「PAYDAY」 「KillingFloor」などがCo-op主体のFPSの代表作として挙げられる。近年ではCoDシリーズのおまけとして実装されているゾンビモードも有名である。
おおよそ2000年頃までは試合開始時は基本的な装備のみで、マップのあちこちに散らばった銃器や回復アイテムを回収する形式のものが多かった。他に多く見られたのはCounter-Strikeのような試合中のスコアで装備を購入するシステムや、Team Fortress、RtCWolfenstein、BF1942などの専門の技能と装備を持つプレイヤーキャラクターを選択するクラス制を導入したものもある。現在では試合の前にプレイヤーが使用する武器やアイテムをあらかじめ選択、カスタマイズして、それらを装備した状態で試合を行うという形式も多く見られる。
かつてはプレイヤーが持つものはスキン(使用するキャラクターの見た目)だけというものが多かったが、近年ではプレイヤーに数値化された経験値とレベルアップの概念が導入されたタイトルも数多く見られるようになってきた。ここでいう経験値やレベルは一般的なコンピューターRPGにおける能力の強化とは異なるもので、あくまで単なる称号だったり、使用できるアイテムのアンロックなど、直接ゲームバランスに影響するものではない。また、プレイヤーの技量を示すといった役割も持っている。
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ニコニコ動画で有名なキーボードクラッシャー。対戦専用FPSのUT2004で対戦相手にキレるという"ネタ"。 |
FPSにおける対戦は基本的にプレイヤー自身の技量が求められるゲームであることが多く、それこそが競技性の高さであり楽しさの一つでもあるが、初心者と熟練者との差が顕著に現れて試合内容が一方的なものになってしまうなと、ゲームバランスが崩壊してしまう問題も存在している。
プレイヤーの技量に合わせた相手を見つけてくれるマッチングシステムや、チームメンバーを技量によって平均化したり、メンバーをシャッフルするオートバランスシステム、それらのゲーム内のシステムだけではなく、コミュニティによって初心者専用、熟練者専用サーバーなどとプレイする場所を分けることによってバランスを保とうとする活動は多くあるが、最終的な判断はゲーム内のプレイヤーやサーバーを選択する個々のプレイヤーに求められるものであるため、全てが解決したわけではないのが現状である。
技量の格差は個人戦や少人数でのチーム戦では顕著に現れてしまうが、大人数でプレイするルールを採用したものや、専門技能を持ったクラス制を導入し役割分担が可能なものなど、単なる戦闘だけではなく味方へのサポートにも焦点を当てたゲームであれば個人の格差は目立たなくなるだろう。個人同士の試合が苦手と感じるプレイヤーはそういったゲームをプレイしてみるといいかもしれない。
参考文献:責任のあいまいな対象
FPSに限らず対戦ゲーム全般で見られることだが、プレイヤー同士の暴言を見かけることは残念なことに決して珍しくはない。そのような行為はコミュニティの評判だけではなく、ゲームそのものの評価を下げることに繋がってしまう。もし、どちらかが一方的でフェアな試合ではないと感じたら、熟練者の方から率先してチームシャッフルの投票など試合内容の改善を行っていくことが望ましい。
※おおよそFPS全般で使われている一般的な用語に限定(したつもり…)。オンラインゲーム全般の用語などは除いています。ゲームやコミュニティによって呼び方や解釈が違ったり、独自のルールやシステムに基づいた用語、コミュニティ独自のスラングなどもあるのでより詳しく知りたい方は各種wikiサイトを参照してください。
現在のFPSはほぼ全てのタイトルが、視点の移動とプレイヤーの移動を同時に行う独自の操作方法を持っており、一般的にキーボードでのプレイヤー移動とマウスでの視点操作、もしくは二つ以上の方向入力のあるコントローラーを使用する。基本的にFPSというゲームは前者のキーボードとマウスでプレイするように設計されている。というのもFPSの操作体系はPCタイトルでのFPSそのもののゲームデザインの発展とともに作られたからである。だたし、全体での優劣があるかという話では決してなく、向き不向きはタイトルごとの最適化と、単に慣れといった具合だろう。
プレイ中の手元を映した動画。冒頭でESDF配置の解説を行っている。 |
黎明期のFPSである「Wolfenstein 3D」や「DOOM」のような高低差の概念がまだなかった頃は視点移動も同様で、視点の高さ、つまり上下の移動はなく、視点移動はプレイヤーを水平に旋回させることによるものだった。諸説はあるが、上下左右自由に見渡すことが出来る自由視点は「System Shock」とその前身となった「Ultima Underworld」で初めて導入されたと言われている。ただ、当時の視点の操作はキー入力のみで行うという現在の操作方法とはかけ離れたとても複雑なものだった。
同時期の「Marathon」によりマウスを使った視点移動「フリールック(もしくはマウスルック)」が導入され、そして「Quake」のマルチプレイにおいてキーボードとマウスを使用するその操作方法がコミュニティ間で一気に広まったと言われており、以降多くの3Dのアクション・シューティングゲームがその操作方法を導入した。現在ではPCタイトルのFPSやTPSはほぼ全てが同様の操作で統一されている。
(※FPSにおける視点移動は厳密にはプレイヤーの向きの移動である。プレイヤーの向きとは別にさらに視点だけの移動も採用したゲームもあるが、それは稀な例であり、ゴールデンアイ007のような特定のコンソール専用ソフトや、Operation FlashpointやArmAなどのより細かい操作が求められるリアル系タイトルにほぼ限定されている。)
参考文献:Free look
キー人力は左手の位置にある”W・A・S・D”キーが移動として使われているのが現在では一般的である。また、移動用のキーの周りで割り当てられるキーを増やすために位置を右に一つずらした”E・S・D・F”という設定を使用しているプレイヤーも多い。そのほか競技性の高いタイトルでは個々のプレイヤーのマウス感度やキー配列の設定を記録した「bind(バインド)」と呼ばれるファイルや設定方法がユーザー間で公開、共有されている。
| W,A,S,D | プレイヤーの移動 | 左Shift | スプリント、ダッシュ |
| 左クリック | 攻撃 | 左Ctrl or C | しゃがみ、Crouch、スニーキング |
| 右クリック | ADS, Alt fire | 数字キー, マウスホイール |
武器やアイテムの選択 |
| R | リロード | Q, E | リーン、もしくはアイテムの使用やUseキー |
ゲームによって異なる場合もあるが、近年のPCタイトルは上記の操作方法で統一されていると言えるだろう。
PCゲームのプレイヤーにとっては当たり前のことでも、コンソールタイトルのゲームが中心でコントローラーを使用してゲームをしている人からはキーボードとマウスを使う見慣れない操作方法が敬遠されてしまうこともあるかもしれない。コントローラーに対応したFPSが多く登場する以前は、コミュニティ内で操作方法やデバイスに関する質問が挙がることは珍しいことではなかった。
かつては先の項目で解説した理由から、FPSはコントローラーでのプレイは困難で使用が推奨されないとする声も多かったが、XBOX専用タイトルとして発表された「HALO」など、コントローラーでプレイするように最適化され独自の設計がされたゲームの登場や、コンソールでの「Call of Duty 4」のヒット以降、マルチプラットフォームタイトルやプラットフォーム専用タイトルなどで、コントローラーでプレイすることを前提にゲーム内容が調整されたFPSも多く登場した。
近年ではPC版でもデフォルトでコントローラーの入力に対応したものは数多い。現在ではコンソールタイトルやコントローラーでのプレイが中心のプレイヤーも一般的である。PCタイトルでコントローラーに対応したFPSがほとんどなかった頃は、キー入力をコントローラー入力に変換するソフトウェアが利用されていた。
コントローラーでのプレイの特徴としては、アナログスティックによる移動入力の強弱が可能であり、キー入力ではトグル入力かホールド入力を使うスプリントや忍び歩きといった動作がスムーズに行えることや、コントローラーの振動といった体感的なフィードバックが挙げられるだろう。
しかし、一方では視点移動を自動誘導するアシスト機能を初めとする安直な難易度の低下、視点移動を減らすためのFOV(視野角)の縮小、視点移動の加速、前作や他プラットフォームにある機能の削除など、ゲームバランスに悪影響を与えるような設計をしているものもあり、また、マルチプラットフォームで展開しているタイトルや複数の入力デバイスに対応したものでは、対戦プレイにおいて入力デバイスによって技量の差が出てしまうのではと、コミュニティ上で論争になってしまうことも少なくはない。
参考文献:
PCタイトルはキーボードとマウスでの最適化、コンソールタイトルはコントローラーでの最適がされており、同じFPSというジャンル、場合によっては同じタイトルでも、それぞれは異なるゲーム内容であるとも言えるだろう。コミュニティ上で両者を区別せずに混同すると話が噛み合わなくなりがちなので注意が必要である。ゲームバランスの混同はコミュニティに限らず一部タイトルにも見られる話であり、コンソール版を調整せずにそのままPC版に移植したものや、他機種を考慮していないマルチプラットフォームタイトルは否定的な評価が多い。ただし、あくまで一部タイトルの話であって、プラットフォームごとに専用のチームが調整と変更を行っているタイトルも多い。
コンソールタイトルでサードパーティ製のマウスを使うプレイヤーは、通常のコントローラーのプレイヤーと区別して「マウサー」とも呼ばれている。ただし、一部の対戦専用のタイトルではそういった外部デバイスの使用はサポート対象外であり、特にオンライン上や大会では、いわゆるハードウェアチートという扱いで使用が禁止されている例もある。
珍しい例として、アーケードゲームのタイトルではジョイスティックやペダルなどのタイトルに最適化された専用のコントロールデバイスが用意されるため、おおむね快適な操作環境が用意されていると考えてもよい。
現実はリアル系FPS? |
FPSのサブジャンルの代表例として「スポーツ系」と「リアル系」と呼ばれるものがある。爆風でのジャンプや加速しながら移動するテクニックといったアクションを重視した競技性の高いFPSはスポーツ系、一発が致命傷になるダメージ表現や現実的な銃の挙動を再現したものはリアル系と呼ばれてカテゴリー分けされることもある。ただ、そういったカテゴライズが多かったのは昔の話であって、現在ではFPSといってもジャンルは多種多様であり、厳密にどちらかに線引きをすることは難しく、後述する特定のタイトル群を指すときにおおよそ限定されている。
誤解されがちなのは、一般的にリアル系とは写実的なグラフィックデザインを指すのではなく、ゲームデザインを指して呼んでいる。例えば特に誤解されやすいCounter-Strike(CSクローン含む)やCall of Dutyは、アクション重視であり、どちらかといえばスポーツ系よりである。リアル系と呼ばれているタイトルはアクションシューティングというよりも、戦術シミュレーションに近い内容も含んでいる。
スポーツ系とリアル系という呼び方は日本国内のコミュニティ独自のもので、英語圏ではスポーツ系は「Arena shooter」、リアル系は「Tactical shooter」と呼ばれている。また、先述したようにやや古い言い回しであることと、誤解をされやすい呼び方でもあるためか、近年のメディア上では英語圏での呼称に倣って「アリーナ系」や「タクティカル系」と呼ばれていることもある。
スポーツ系は初期のFPSに近い内容である。主にQuakeやUTなどの初期のFPSタイトルと似たデザインのゲームを指して呼ばれている。英語圏では「QUAKEⅢARENA」に由来して「Arena Shooter」と呼ばれている。基本的にはプレイヤー同士の対戦が主体になっている。
主な特徴として、レーザーやロケットといった派手な武器をはじめとするSF的な設定のビジュアルが多い。対戦に使用されるマップは、マップのあちこちに置かれた武器や回復アイテムを回収する作りになっており、アイテムの位置を記憶してお互いに回収する動きを先読みするテクニックが要求される。ワープポイントやジャンプパッドといったギミックが導入されているものも多い。
加速しながら移動する「ストレイフジャンプ(Strafe-Jump)」や「バニーホップ(Bunny hop)」、自分の足元にロケットを撃ち込んで自らの爆風で飛距離を伸ばす「ロケットジャンプ」、相手と同じ場所にテレポートして圧死させる「テレフラッグ(Telefrag)」などといった特殊なアクションやテクニックが盛んに使用されている。また、武器の弾道が遅く相手の攻撃を目視で避けることもテクニックのひとつである。特にストレイフジャンプとバニーホップは有名で、後年のタイトルでも同様のシステムが採用されていたり、プレイヤー間のテクニックとして使用されていることは多く見かけられる。
PCタイトルが一般的であり、コンソールタイトルでは視点移動やFOV(視野角)の制限から難しく不向きなジャンルであると考えられ、純スポーツ系のタイトルと言えるタイプのものはほとんど無かったが、近年ではTitanfallやCoD:AWのようにスポーツ系に近いアクションを導入したタイトルも出ている。
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リアル系は現実での戦闘や戦術を再現したシミュレーションに近い作りのFPSである。初期のRainbowSixやOFPが草分け的タイトルと言えるだろう。銃撃戦よりも目的地までの移動行動や立ち回りだったり、実戦開始前のプランニングがゲームプレイの主体であることも多い。対戦に限らずシングルやCo-opでの対AI戦も盛んなジャンルである。
回復アイテムや自動回復は無いものが多く、ダメージのほとんどが致命傷である。出血や負傷の概念があり止血処理が必要なものもある。銃器の動作も弾道計算や、携行数に限りのあるマガジン単位のリロード、距離に応じた照準器の調整などといった実物を再現した設計になっている。そのほか、リーンや伏せといった身を隠す動作が導入されているものが多いのも特徴である。
一般的なアクションよりのFPSと比較するとシビアで難易度が高い印象があるかもしれないが、根強い人気のあるジャンルでもあり、リアル系でないタイトルをリアル系として調整した(もしくは作り変えた)MODが作られることは数多く、BF2の「ProjectReality」、HL2の「Insurgency」、 W:ETの「TrueCombat:Elite」といったものが有名である。また、他のゲームではあまり見かけないようなマニアックな銃器類が実装、再現されていることが多い点も人気のひとつと言ったところだろうか。
スポーツ系とはまた別の理由で操作方法が複雑になりがちゆえPCタイトルがほとんどである。コンソール版がヒットしたCoD4以降はFPS全体でリアル系よりのタイトルが減少傾向にあった時期があり、例えばRainbowSixシリーズは開発元が移行しリアル系とは対照的なカバーシューターに変わっていた時期もあった。しかし、一方で近年ではDAYZをきっかけとするサバイバルものの流行や、原点回帰したとも言えるRainbowSixSiegeのようにコンソールプレイヤー間も含めリアル系が再評価されているとも言えるだろう。
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※表に当てはまらないゲームはたくさんあります。大体の目安か、あるあるネタ程度のものだと思ってください…。
| 非リアル系 | リアル系 |
| 体力(Health)の回復 ヘッドショットが致命傷 |
回復なし 負傷と応急処置の概念 跳弾や味方の誤射が致命傷 |
| 目標に即着する当たり判定(Hit scan) 真っ直ぐに飛ぶ銃弾 1発単位で何度でもできるリロード 照準器やスコープによって命中率が変わる |
発射された銃弾ひとつひとつの当たり判定(Projectile) 落下や貫通をシミュレートした銃弾 マガジン単位のリロード 標的の距離に応じで照準器を手動で調整する |
| 体力や銃弾、ミニマップやレーダーなどの画面表示 | 必要最小限の画面表示、別画面のマップやコンパス HUDレスデザイン |
| お互いが向き合う近距離での撃ちあい | 相手が豆粒みたいな距離から狙撃 |
| 目的地まで一秒でも早く走る | 目的地まで一時間ぐらい歩く |
非リアル系とリアル系の違いは、現代的なFPSによくある乗り物にも見ることができる。例えばアクションよりのゲームでは、戦車であればプレイヤー自身で移動しながら大砲を撃つことが出来るし、戦闘機でムチャクチャな曲芸飛行も出来るだろう。一方でリアル系よりのゲームでは、実際の戦車と同じように複数人での運用が求められたり、戦闘機であればフライトシミュレーターに近い作りになっている。
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この項目は独自研究です。 単なる一筆者による考察です。くだらなくても生暖かい目で見てやってください。 |
エフ・ピー・エスとは… |
記事の冒頭で触れたように日本国内ではFPSは他の一般的なゲームジャンルと比較するとマイナーな存在である。特に現代的なFPSの国産タイトルがほぼ皆無であることから国内でのゲームジャンルとしての定着具合が伺えるだろう。普段ゲームを多くプレイするユーザー同士のコミュニティ内でさえも、TPSやガンシューティングなどの別ジャンルのゲームと混同されてしまっていることは珍しくない。メディア上でも過去には海外タイトルを発売する際に国内の広報がわざわざジャンルの解説をする動画を製作していた例もある。
本記事の掲示板も含め、ゲームの話題を扱うコミュニティではときおり国内でのFPSの認識についての話題が挙がることがある。この項目ではコミュニティ上でよく挙げられるユーザーの意見を例に参照しつつ、国内での現状の理由を考察してみる。
先に挙げておくと、インディーゲームやMODの範囲であれば、日本人や日本のコミュニティによって開発されたFPSは数多い。しかし国内の有名企業や開発スタジオによる商業ベースのタイトルは、ほとんど開発すらされていない状況である。もちろん厳密に言えば過去に一人称視点のゲームが作られていた例もあるが、それも一部であり、また当時の一般的なFPSのゲームデザインとは大きく異なり、ロボットの操縦画面などといった独自のジャンルに近いものが大半である。(ただし、2017年にはホラーゲームのバイオハザードシリーズがFPS風にジャンルが転換したといったケースもある)
国産のFPSがほとんどない今日では、国内からしてみれば海外産のゲームがほぼ全てであることは事実で、コミュニティ上では”一つのゲームジャンル”というよりも”洋ゲー”という広く曖昧な括りで解釈されてしまっていることもあるかもしれない。
そして、海外や異文化という印象が影響していると思われる以下のような意見が見かけられるは少なくない。
一人称視点とシューティングを最大限に生かしたパズルゲーム |
FPSというジャンルが定着しない理由として「日本は銃に馴染みがないから」という意見がコミュニティ上で挙がっていることは多く見かけられるだろう。しかし、この意見には大きな疑問がある。国産タイトルのゲームでも銃器は多く登場し絵描かれているはずである。そもそも逆に言い換えてみれば「海外は銃に馴染みがある」なんてのは諸外国へのとんでもない偏見でしかない。
ビデオゲームにおける銃の描写の補足として、FPSに限らず銃器が登場するゲームでは基本的に商標の関係上で実在の銃ではなく架空の銃である方が多い。この辺りの事情は国産のゲームとだいたい同じである。また、FPSにおいてはSFやファンタジーの世界観設定を持つものや、ストーリー主体のアドベンチャー的作品や独自のゲームデザインを持ったものなど、つまりは実銃をモデルにした銃撃戦がメインではない作品は多く挙げられる。
ただ、国内版が発売されるような近年のヒット作では現代戦争をモチーフにした写実的なビジュアルの内容であるものは多く、また国内でサービスを展開している無料オンラインFPSなどでは「銃撃戦ゲーム」や「ガンシューティング」(ややこしい…)という言葉を広告として使用していることも多くあり、現状”ゲームデザインよりもビジュアルだけが目立ってしまう”のは仕方ないね。これらのことが別ジャンルのTPSやガンシューティングとの混同をされてしまう要因と考えられる。
銃器がアイコンとして登場する他のゲームとの大きな違いとは何だろうか。FPSの最大の特徴で大前提にあるものは「一人称視点」であることだろう。
ゲーム内でパートナーとなる彼女との交流は全て一人称視点で描かれる。 プレイヤーが操作する主人公は明確なキャラクター像を持っており、文字通り"主人公の視点"で物語は進む。 |
「FPS」という名称の由来でもあるFirst-person(一人称)とは、ゲーム内の主人公の視点、もしくはプレイヤー自身がゲーム内にあるとして描かれたものでプレイヤー自身の視点であるということである。
国内のコミュニティ上ではFPSに対して「主人公の姿が見えない」「キャラクターが見えない」と言われてしまっていることもある。本記事でも過去リビジョンでは同様の逆説的な解釈に基づいた概要説明が書かれていた。
これは、ある種の国産ゲームに慣れ親しんでいる人からは、一人称視点の3Dゲームそのものが稀で、三人称ないし客観視点で設計された、三人称視点で操作する客観的なプレイヤーキャラクター像を描かないということ自体に違和感を覚えられてしまっているのかもしれない。
ここで今一度考えてもらいたいのは、一人称視点という描き方がFPSだけの特殊な例では決してないということだ。国産ゲームでも多く作られているノベルゲームやアドベンチャーゲーム、しいてはギャルゲーやエロゲーも、主人公もしくはプレイヤー自身の視点を一人称視点で描いているという点では同じではないだろうか。また、レースゲームのドライバー視点や、ロボットを操縦するゲームのコックピット視点などもFPSと同じ3Dの一人称視点によるゲームの描き方をしている。
ほんとあたりまえの話なんだけど、必ずしも三人称視点でキャラクター像を描いたり、もしくは主人公というキャラクター像がなくてもゲームプレイはもちろん物語や体験も十分成立するのである。FPSは一人称視点という広く大きなゲームの描き方のなかで、シューティングやアクションに特化したジャンルという単純な話なのである。
現在のFPSではあたりまえのように見られるプレイヤーの手と装備の動きの描写。手や装備だけが画面に映るのはおかしい?このような描写は国内の一人称視点のゲームではどういうわけかオミットされていることが多い。 |
しかし、一人称視点のゲームであることが理解されたうえでも、そう設計されたゲームに対して「視界の一部しか画面上にないのはおかしい」「見えないところから攻撃されてしまうのは理不尽だ」などといった声を見かけることもある。
国内でもポピュラーであるゲームジャンルのRPGを例に考えてもらいたい。今日の国産RPGタイトルでも見かけられる"ターン制のコマンド入力の戦闘"や"ランダムエンカウント"といったシステムやルールは、普段そういったゲームをよくプレイする人であるなら何の疑問もなくゲームとして自然と楽しんでプレイできるだろう。
そこで「交互にしか行動できないのはおかしい」「ランダムエンカウントは理不尽だ」という野暮な疑問を投げかけることはないはずだ。
ゲームジャンルとは数多くのゲームの開発の積み重ねの上でゲームとして楽しめるように設計され、多くのプレイヤー間でそのゲームデザインとルールが認識されたからこそジャンルとして定着したのである。
ゲームジャンル、すなわち基本の設計やルール、その描写や演出自体が奇妙にそして適していないと思われてしまうのは、そのコミュニティやプレイヤーの中ではまだジャンルとして定着していないからなのだろう。じゃあ何で日本ではFPSというジャンルが定着していないのだろうか(あれれ?)。逆にそもそも何故日本以外ではFPSがゲームジャンルと定着しているのか、いつどこでどのようにして定着したのだろうか。
ここでFPSの歴史の話をおおまかに振り返ろう。
このマークは何でしょう |
DOOMにはじまり、Quake、Unreal、Half-Lifeなど、新しいゲームジャンルを形成し現在のFPSの原型を作り上げたゲームは全てPCゲームタイトルとして作られたものであった。特に3DのFPSの原型で操作方法や対戦の基礎を作り上げたQuake、後にMODから新しいゲームも作り上げられたUnrealやHalf-Lifeは、当時のPCゲームユーザーがオンライン上で開発者との交流をしてコミュニティが一体となって築き上げられたものであった。FPSというゲームジャンルは当時のプレイヤーによって形成されたジャンルとも言えるのではないだろうか。
当時の日本ではそれらのゲームは輸入版という形でしか入ってこなく、コミュニティの形成も個人のファンサイトこそあったが、大きなコミュニティや開発者との交流の場は少なかったと思われる。そして何より、昔から今日に至るまでコンソール機が広く一般的であった日本ではFPSの主流であったPCゲーム市場とそのコミュニティは海外と比較すればとても小さく、決して国内におけるゲーム文化のメインストリームではなかっただろう。
PCゲームという大きなプラットフォーム、開発者とプレイヤーが一体化したコミュニティ、そしてFPSがひとつのゲームジャンルとして定着していくまでの過程、すなわちFPSという文化の基盤となる部分が、近年まで国内のコミュニティにはほとんどなかった…ということなのかもしれない。
舞台は日本! |
国産はなくともゴールデンアイ007にはじまり、HALOやCODなどの国内向けタイトルのヒット作や無料オンラインゲーム、一人称視点のゲームそのものであればマインクラフトやスレンダーマンなどの海外インディーゲームは国内でも人気作として広く知られているはずだ。
一昔前と比較すればFPSはコミュニティ間でも周知されて、偏見や誤解も減ってきたと思いたい…。
国内のコミュニティでもFPSの文化の基盤が出来上がり、一般的なゲームジャンルとして周知され理解が広がれば、いつの日か名作と言われる国産FPSが生まれる日が来るかもしれない。
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※オンラインFPSタイトルは該当記事参照。厳密にはシューターではないが現代的なFPSと同じ設計の一人称視点のゲームも便宜上一応記載。
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最終更新:2026/01/01(木) 14:00
最終更新:2026/01/01(木) 14:00
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