いてまえ打線単語

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いてまえ打線とは、大阪近鉄バファローズの打線につけられた愛称である。ここでは主に2001年の打線について取り上げる。

概要

「いてまえ」は大阪弁で「やっちまえ」という意味であり、相手の投手陣を打ち込んだ際に「いいぞ、もっとやれ！」という感じで使われる。

きっかけは1979年頃に当時の近鉄の応援団が「いてまえ～！」と使い始めたころから自然に定着した物と言われており、その歴史は意外に古い。
元々近鉄バファローズ自体が外国人も含め、強打者が多く生まれてきた球団でもあり、この年は投手力よりも打撃力で相手を圧倒する試合が多かったのもこの言葉が定着するきっかけとなったといえる。

2001年

打順	守備	名前	打席	試合	打率	本塁打	打点	盗塁	タイトル・表彰	備考
1	中	大村直之	左	136	.271	16	53	5
2	二	水口栄二	右	110	.290	3	30	1
3	左	タフィ・ローズ	左	140	.327	55	131	9	MVP ベストナイン本塁打王	打率リーグ4位
4	三	中村紀洋	右	140	.320	46	132	3	ベストナインゴールデングラブ賞打点王	打率リーグ7位
5	右	礒部公一	左	140	.320	17	95	7	ベストナイン	打率リーグ6位
6	一	吉岡雄二	右	127	.265	26	85	2
7	指	川口憲史	左	124	.316	21	72	0
8	遊	ショーン・ギルバート	右	76	.267	6	24	3
9	捕	的山哲也	右	101	.177	5	25	1

前年の近鉄は最下位で、シーズン開幕前も評判はそれほど高くなく、ダイエーが3連覇をするか、西武が優勝するのではないかという声の方多かった。

シーズンでは開幕戦の日本ハム戦にて一時は1-6と圧倒されるも、ここから打線が奮起して終わってみれば10-9で大逆転勝利。4月は16勝11敗1分で首位に立ったが、5月には勢いが鈍り、18日には5位に転落するも、翌19日のロッテ戦にて中村紀洋が延長12回に決勝グランドスラムで勝利すると息を吹き返しここから6連勝。
6月には上記のショーン・ギルバートが加入した他、タフィ・ローズが月間14本塁打の活躍で14勝8敗と勝ち越しに成功。しかし7月は9勝8敗、8月は5連敗を喫する等で11勝12敗となかなか勝ちきれずにいた。

そして勝負の9月、近鉄は2連勝の後に5連敗を喫し、ダイエー・西武との優勝争いから脱落しそうになるも、9日のダイエー戦にてローズがパ・リーグ新記録の53号本塁打を放って勝利すると、ここから11勝1敗という驚異的なラストスパートをかけ、9月26日のオリックス戦にて北川博敏による代打優勝決定逆転満塁サヨナラ本塁打でこの年の近鉄を象徴するようなドラマティックな勝利で見事に優勝を決めた。

チーム打率.280、211 本塁打、685打点、1332安打、770得点はいずれもリーグトップ。
3番のローズは当時のシーズン本塁打記録に並ぶ55本の本塁打を放ち、4番の中村紀洋は打点王の他に満塁本塁打3本、サヨナラ本塁打2本と4番の役割を見事全うし、5番の礒部はリーグトップとなる得点圏打率.417を記録している。

その一方、チーム防御率は4.98（リーグ最下位）という優勝チームとしては過去最悪の数字であった。規定投球回に達したのが前川勝彦のみというほど駒不足に苦しんだが、シーズン途中にショーン・バーグマンとジェレミー・パウエルを獲得し、また読売ジャイアンツから三澤興一をトレードで獲得する。岡本晃と大塚晶文のWストッパーが安定したこともあり、これでようやく投手陣の再整備にある程度成功した。

先制される試合も多かったが、この年は一度打線に火が付けば勢いが止まらず、優勝までの76勝の内なんと半分以上の40勝が逆転勝利、このうち5点差以上のビハインドをひっくり返した試合が4試合もある。三澤はビハインドの場面での登板が中心だったが、無傷の7勝を上げた。

ただし、この数字は「飛びすぎるボール」の弊害でもある。この年のパ・リーグはチーム防御率4点台が4チームもあり、近鉄だけが飛び抜けて投壊していたというわけではない。この傾向はV2の1980年も同じであり、打ちまくってリーグ最高の打撃成績を残す代わりに、チーム防御率が4.96（リーグ4位）という、2001年とほぼ変わらない数字であった。

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