SCP-2442とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
概要
SCP-2442 | |
基本情報 | |
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OC | Keter |
収容場所 | SCP-2442収容室 |
著者 | SoullessSingularity |
作成日 | 2014年8月8日 |
タグ | 人間型 現実改変 知性 精神影響 自我 |
リンク | SCP-2442 |
SCPテンプレート |
意識すれば何でも消滅を引き起こす事が可能な、活発で敵対的な、そして知能も高い異常なヒト型生命体。他のSCPオブジェクトを触ると、それは12時間以内に消えてしまうという。敵対的な、というのは財団そのものに対してではなく、むしろ財団の理念である『確保、収容、保護』に対してということのようだ。加えて、話しかけられたことに応答する声を生み出すことができ、この発言に説得力があるために職員たちもやがてSCP-2442を仲間として見てしまうようになる。O5はSCP-2442を収容する担当者にこの様に声明を出している。
SCP-2442が行うどんな主張も徹底的に無視しなさい。根拠が全くなく、妄想なのだと考えなさい。 - O5-10
SCP-2442 - SCP財団より,2022/06/25閲覧
SCP-2442を収容する収容室は光と音を遮断し、時間経過の構造概念を与えうるいかなる行動も、それを行わないか、あるいはランダムに実施する。2人のエージェントに常時モニタリングされているが、この時声が聞こえたらSCP-2442を鎮静し、担当エージェントは記憶処理を施される。
事案
2003年2月4日、SCP-2442は収容から外れ、再収容までの間に多くの損失を被った。どうやら、複数の職員がSCP-2442と会話後に援助を行ったことがわかっている。そしてそのうちの数名は消失してしまっている。
SCP-2442はエージェントが、「これは真実なのか?これになんの意味があったのか?全てになんの意味があったのか」と問うと、その意味を知っていますよと回答、そして自分と、『彼女』を助けてほしいと告げると、エージェントは自分の知識を話すと告げ、消失。その後SCP-2442は別の収容室で、「これはあなたに誰かを思い出させますか」と発声すると、女性の泣き声が聞こえてくる。中空から滴る水に手を伸ばし、拭き取りながら、「私を信じてほしい、一緒にやり遂げられる」と話す。この後の完全な記録は機密情報になっている。
2012年12月5日にもSCP-2442は収容から外れた。サイト管理者ドゥアルテがなんとか財団の損失を軽減でき、致命的でない情報を提供する事でSCP-2442を混乱させたという。この件もまた、抜粋記録しか載っていない。
そして3度めの事件。サイト管理者カンナ(パンジャブ人男性)がSCP-2442に質問をした。「きみは誰と話しているんだ?何をしているんだ?何故しているんだ?」これに対してSCP-2442は「ここはどこですか?」と尋ねる。「財団だ」と言われた際に、SCP-2442は「何の土台ですか (Foundation of what?)」と尋ねる。財団ではなく土台。カンナが混乱し、「それは何らかの土台ではない、財団で……」と述べると、SCP-2442は観葉植物に向かい話しかける。「聞いてください、レヴァントさん」と。
SCP-2442は茶色の髪と茶色の目をした中年女性の写真を取り出しながら、「私は貴方の名前を知っています。貴方も私の名前を知っていますよね。この女性の顔を覚えていますか」と尋ねる。するとカンナは、「彼女が幼かった頃に家庭教師として教えました」と述べた。やがて、SCP-2442のことをカンナは「フェスターガード先生」と呼びかけ、その後すぐ「トーマスと呼んでくださいとおっしゃっていましたね、トーマスさん」と言い直す。この時のカンナはアメリカ人女性の女性のものとなる。
<22:17> SCP-2442: "その通り、私はトーマスです、あなたの友人の。最初の面会が失敗に終わった時、私はあなたの精神がそれ自体をどのようにして構築したかより深く観察しなければなりませんでした。様々な対処メカニズムを教えるという以前の試みが何故上手くいかなかったのか、今やかなり明らかになりました。それらはここの分派になってしまったのです、競合したのですね。思うに、職員は彼らの事を―"
<22:18> カンナ: "要注意団体。" サイト管理者カンナは泣き始める。 "トーマスさん、ごめんなさい。ここには大勢の人がいるんです、とても多くの…私が仕舞い込んだ記憶が、あるんです。私が制御できなかったために。出来るかどうか分かりません。とても難しいんです。"
<22:19> SCP-2442: "大丈夫ですよ、ステーシー。私達はちょっとずつですが、そこに近づいています。あなたと私、一緒にです。もはや一人でこれら全てに立ち向かう必要はないんです。既にどれだけあなたが手放す術を学んだかを、どれだけ遠くまで来れたかを確かめて下さい。" SCP-2442は手を伸ばし、サイト管理者カンナの左手を握る。 "私達の始めた時のことを、私が話した事を覚えていてください。私は彼らを見つける事が出来るだけですが、あなたなら―"
<22:20> カンナ: "彼らを手放すことを、遠くへ行くことを学びました。分かってます。あなたと共に、トーマスさん。そろそろ―そろそろ面会を終わらせましょうか?" エージェント・█████と████がSCP-2442を収容室に戻すために現場に到着し、ドアをガンガン叩く。
SCP-2442 - SCP財団より,2022/06/25閲覧
この事件記録を見たO5は混乱した。O5-3は安定を、常態を保持しなければならない、と主張し、O5-4は他の誰もがこれを知らないようにしろ、特別な何かを与えるなと主張し、O5-5は知ってはならない知識から世界を保護するのだ、世界は私達を必要としている、そして彼女はそれは私達を必要としていると狂ったように主張していた。
解説
このオブジェクトを読む上で重要なこと。それは「シェアード・ワールド『SCP Foundation』というものは、あくまでヘッドカノン (脳内設定)だけがそこに存在し、絶対的なカノン (公式設定)はない」ということである。仮に財団それ自体であっても、その作品にとって必要なければ存在する必要はない。この作品においては、財団の実在性すら否定されているのである。
もっとわかりやすく書こう。SCP-2442のキモは、『財団は、ステーシー・レヴァントというひとりの女性の妄想である』ということ。そして、SCP-2442は精神科医トーマス・フェスターガードであり、事件記録とされているものは、トーマスによるステーシーの統合失調症の治療である。統合失調症という病気は非常に恐ろしいもので、世界が自分に攻撃しようとするなどの、常人が耳にすると荒唐無稽に聞こえてしまうような妄想に苛まれ、それが故に他者とのコミュニケーションを正常に取れなくなる。酷いとそれが原因で警察沙汰になることすらあり、余計に社会から孤立して妄想を深めていくのである。
故に、個々のアノマリーは「ステーシーの不安の具象化」と捉えるべきであり、トーマスがそれを消してまわるというのは「ステーシーの不安をひとつひとつ取り除いている」ということになる。要注意団体とは、『治療に失敗したステーシーの前の担当であった精神科医』『善意で余計な知識を吹き込んだ誰か』『統合失調症を差別、あるいは嘲笑したり、騙して他者の攻撃をさせようとする者』などを示すといえよう。
「直視せざるをえない苦悩 (SCP-173)」「見たくない現実 (SCP-096)」「何をしても無駄だという徒労感 (SCP-682)」「標準治療を否定する甘言 (SCP-049)」「問題を先送りにしようとする現実逃避願望 (SCP-871)」「現実逃避してもすぐ引き戻される苦難 (SCP-1048)」……。
そうした統合失調症の患者の妄想である『財団』にとって、統合失調症が治ることはKeterクラスの災害である。そりゃそうだ、現実で折り合いがつかないことがあって統合失調症になったステーシーにとって、
SCP-2442
時として治療は唯の痛々しき真実に過ぎず
Sometimes Therapy Is Merely Painful Truths
関連動画
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関連項目
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